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2013年12月17日 (火)

4月から消費税率が引き上げられる来年度の経済見通しやいかに?

先週月曜日の12月9日に7-9月期の2次QEが発表され、その直後の9-10日にかけてシンクタンクや金融機関などから来年度経済見通しがいっせいに発表されています。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、ウェブ上でオープンに公開されているリポートに限って取りまとめると下の表の通りです。ヘッドラインは私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しました。ほとんどの場合、消費税率引き上げ後の来年度成長率に関する見通しを採用しています。なお、より詳細な情報にご興味ある向きは左側の機関名にリンクを張ってありますから、リンクが切れていなければ、html 形式の富士通総研を別にして、他の機関は pdf 形式のリポートが別タブで開いたり、ダウンロード出来たりすると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちに Acrobat Reader がインストールしてあって、別タブが開いてリポートが読めるかもしれません。

機関名201320142015ヘッドライン
日本総研+2.5+0.9+0.92014年度は、消費税率引き上げ後の反動減が景気下押しに作用し、4-6月期は大幅マイナス成長に。もっとも、その後は、①経済対策の着工・進捗に伴う公共投資の押し上げ、②企業向け減税や家計支援による内需の下支え、③堅調な米国景気や金融緩和などを通じた円安による輸出環境の改善、などを背景に成長率は持ち直しへ。
ニッセイ基礎研+2.5+0.2+0.9実質GDPは2013年7-9月期の前期比年率1.1%から10-12月期に同3.3%へと再加速した後、2014年1-3月期には消費税率引き上げを控えた個人消費の駆け込み需要を主因として前期比年率5.0%の高成長になるだろう。しかし、2014年4-6月期は駆け込み需要の反動減と物価上昇に伴う実質所得低下の影響が重なることで年率▲6.4%の大幅マイナス成長となることが予想される。反動減の影響は消費税率引き上げ直後が最も大きく、その後は押し下げ幅が縮小するが、実質所得減少による影響は年度を通して下押し圧力となる。マイナス成長は1四半期で終了するが、その後もあまり高い成長は期待できないだろう。
大和総研+2.5+1.0n.a.個人消費、住宅投資や、それに付随する生産、設備投資などへの影響を全て考慮すると、消費税増税によって2013年度のGDPは0.51%押し上げられ、2014年度のGDPは0.77%押し下げられる見込みである。
みずほ総研+2.5+0.8n.a.消費税率が引き上げられた直後の2014年4-6月期は、駆け込み需要の反動が生じること、家計の実質所得が目減りすることにより、大幅なマイナス成長(前期比年率▲0.5%と予想)が避けられないであろう。
2014年7-9月期以降については、円安・海外景気回復を背景とした輸出増、企業収益の改善に支えられた設備投資回復が続き、景気は緩やかな回復軌道に戻ると予測している。消費税率引き上げによって実質所得が目減りするため、個人消費(実質)は年間を通じて前年の水準を下回るとみられる。しかし、前期比ベースでみると駆け込み需要の反動で落ち込んだ4-6月期の水準からは徐々に持ち直していく展開になろう。
第一生命経済研+2.5+0.9+1.1消費税率引き上げ前の駆け込み需要の反動が出ることに加え、税率引き上げに伴う実質可処分所得減少による消費の下押しが予想されるため、14年度の成長率は鈍化が避けられない。もっとも、①経済対策効果で公共投資が高水準を維持すること、②輸出の増加が見込めること、③景気回復の波及により設備投資が好調に推移、賃金も改善が明確化すると見込まれることから、景気後退局面入りは避けられる。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券+2.9+1.6+2.6実質成長率は13年度2.9%、14年度1.6%、15年度2.6%の予想
三菱総研+2.6+0.9n.a.14年度は、前半に駆け込み需要の反動減を見込むが、13年度中の企業収益の改善が設備投資や賃金の回復につながり、14年度後半には緩やかながらも再び成長軌道に戻していくと予想する。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング+2.3+0.5n.a.2014年度は、消費税率引き上げ後の影響が、家計部門を中心に現れる。このため、2014年度の実質GDP成長率は前年比-0.5%と小幅プラスにとどまり、ゲタ(-0.9%)を除いた年度中の成長率では-0.4%となる見込みである。ただし、海外景気の持ち直しを背景に輸出の増加が続くため、増税後に景気が失速することは回避されよう。内外需の寄与度は、内需が前年比-0.2%と2009年度以来5年ぶりにマイナスに転じるのに対し、外需は+0.7%にまで高まろう。
伊藤忠経済研+2.6+0.5+1.32013年度の高成長から一転して、2014年度は0.5%の低成長を予想する。消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動から個人消費や住宅投資など家計部門が大きく落ち込む。安倍政権が講じる5.5兆円規模の経済対策や遅ればせながら増勢を強める設備投資や輸出の拡大により、反動減はある程度相殺されるものの、成長ペースの減速全てを回避は出来ない。なお、マイナス成長は2014年4-6月期の一四半期にとどまり、いわゆる2四半期連続のマイナス成長を意味するテクニカルリセッションには陥らず、また日本において、景気基準日付の決定権限を有する景気動向研究会がリセッション認定をすることもないと考えられる。
農林中金総研+2.6+1.1n.a.14年4月の消費税増税後は景気が一時的ながらも大幅に悪化するのは不可避であろう。政府は、それを緩和するために国費支出規模で約5.5兆円の経済対策を策定、業績改善企業に対して賃上げを要請してきたほか、成長戦略の実現に向けた法制度の整備に着手しているが、耐久財消費などの不振や2%前後の実質所得の目減りもあり、増税後の景気回復力はなかなか戻らないと思われる。
富士通総研+2.6+1.0n.a.日本経済は、消費が高水準を維持する中、生産、雇用の回復が続き、住宅投資、公共投資も大きく増加することによって回復が続いています。賃上げも視野に入りつつあり、来年4月に消費税率を引き上げても、景気は腰折れしないとの前回見通しのシナリオに変更はありません。

駆込み需要を含めて今年度2013年度は1年を通して2%台半ばか後半くらいの成長率を維持した後、来年4月からの消費税率引上げに伴って4-6月期の成長率は大きくダウンし、その後も年間を通じて2014年度は実質所得の減少に伴う成長率の低下が続くものの、政府による経済対策や来年年央くらいからの世界経済の回復による輸出増に助けられ、我が国経済は2四半期連続のマイナス成長というテクニカル・リセッションはもとより、本格的な景気後退に陥ることなく、徐々に回復・拡大基調を取り戻す、のがメイン・シナリオとして提示されています。来年度2014年度は、私自身はマイナス成長もあり得ると考えていますが、上のテーブルではもっとも成長率の低いニッセイ基礎研でもプラス成長を確保する姿が示されています。もっとも、今年度から来年度にかけて、駆込み需要に伴う大きなゲタを持ち、おそらく、直感的に+1%近いゲタを持って来年度に入りますので、ニッセイ基礎研以外にも伊藤忠経済研などもゲタを除いた1-3月期対比の成長率はマイナスと予想しているように見えます。消費税率引上げのインパクトは数字で明示した機関は大和総研だけであり、上のテーブルではヘッドラインに収録してハイライトするとともに、下のグラフをリポートの p.35/59 図表29: 消費税増税の影響 から引用しています。消費税増税シナリオと増税なしシナリオが対比されています。なお、成長率とともに注目の集まる物価上昇率に関しては、上のテーブルには入れませんでしたが、コア消費者物価の前年比で+1%に届かず0%台半ばくらいを予想している機関が多いと受け止めています。

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最後に経済見通しを離れて、何度も私はこのブログで、企業が次々と優遇策を打ち出されて、企業業績や株価がかなり高い水準に達している一方で、国民の所得や賃金はサッパリ上がらないことを指摘していますが、とうとう、企業収益を設備投資や賃金に振り向けるのではなく、国債を購入しているという記事が「企業の国債保有膨らむ トヨタ4兆円超、成長への投資課題に」と題して今朝の日経新聞朝刊に掲載されていました。赤字を垂れ流している財政から各種補助金を企業へ支給したり、法人税を減税して、財源のために国債を発行して企業収益を上げたにもかかわらず、企業は利益を設備投資や賃金に振り向けることなく、自らへの優遇策の財源として発行された国債を購入している、というのです。増税される消費税を負担する消費者をバカにした話だと考えるエコノミストは私だけなんでしょうか?

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