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2013年12月14日 (土)

最近の読書から

先週末は読書の記事を書かなかったので、2週間分ということになりますが、このところ、あまり新刊書は読んでおらず、旧刊の文庫本を借りてばかりいます。この2週間で話題の新刊を読んだのは以下の4-5冊くらいだという気がします。

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まず、石津朋之『大戦略の哲人たち』(日本経済新聞出版) です。いわゆる戦略論については、私もクラウゼヴィッツやリデルハートなどを読んだこともあるんですが、本書では、文民政治家による戦争指導としての「大戦略」の理論家・哲人として、ハルフォード・マッキンダー、マイケル・ハワード、バーナード・ブロディ、ヘンリー・キッシンジャー、エドワード・ルトワック、マーチン・ファン-クレフェルトの6人を取り上げています。この6人をすべて知っているとすれば大したもんですが、私はキッシンジャーしか知りませんでした。何分、日本経済新聞出版社から刊行されていますので、私のような専門外のエコノミストにも分かりやすいように気配りされています。戦争を対象とする学問領域ですから、それだけでアレルギーを感じる向きにはどうしようもありませんが、普段の仕事や専門外の領域に目を向ける読書と割り切って楽しむことが出来れば、何らか得るものがありそうな気がします。

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次に、品川正治『戦後歴程』(岩波書店) です。リベラルな財界人として名を成し、火災保険会社の社長まで上り詰め、今夏に亡くなった著者が、岩波書店の月刊誌『世界』に連載していた自叙伝です。副題は「平和憲法を持つ国の経済人として」となっています。どうしても、昭和のころのやや古いお話しが中心になりますが、安保闘争など、現時点で振り返ってもいろんな視点を提供してくれます。著者は京都大学の昔の教養部の前身である第三高等学校から戦争を経て東京大学のご卒業ですが、自由闊達でやや左派の京都大学の学風を強く受け継いでいるように見えます。ある意味で、私と共通する部分も少なくないように受け止めています。このような財界人がかつて存在したことを知るだけでも読む意味があると思います。

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小説に目を転じて、まず、道尾秀介『鏡の花』(集英社) です。人の死というものをかなり正面から捉えている小説です。短篇集という見方もできますし、連作の長編とも受け取れます。いくつかの短編でいくつかの家族を取り上げ、シミュレーションのように誰が死んだ場合にはどうなる、という視点で家族や親しい人が描かれています。ほんの小さな違いで、その家族や周囲の人達の世界を大きく変えてしまう、ということがよく理解できます。この作者が世間の注目を集めた『向日葵の咲かない夏』と同じで、読み進むうちに何か違和感のようなものを感じるかもしれません。シミュレーションの結果であろうと思いますから、何が何でも読み進み最後まで読み切るべきです。道尾秀介という作家の力量を感じさせる1冊です。大いにオススメします。

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最後に、畠中恵『明治・妖モダン』(朝日新聞出版) です。江戸と東京が交差するような明治の初期の銀座の煉瓦街の派出所や牛鍋屋を舞台に、人間ならぬ妖の活動を描きます。ひとくちに「妖怪」と称しますが、「ゲゲゲの鬼太郎」でも明らかなように、人に害をなす妖怪と人間の味方になってくれて利益をもたらす妖怪がいます。この小説では最終話の第5話で、アッと驚く結末が待っています。少し前まで「三丁目の夕日」的に昭和を懐かしむ団塊の世代の人達のひとつの流行を感じる時もあったものの、やっぱり、NHK大河ドラマ「八重の桜」ではないんですが、さかのぼるとすれば明治までです。とても痛快で楽しく、それでいて少し不気味な小説です。

年末年始休暇は、我が母校の京都大学推理小説研究会、いわゆるミス研の作家の推理小説を読もうかと、図書館で予約したり借りたりし始めています。法月綸太郎の「法月綸太郎シリーズ」、綾辻行人の「館シリーズ」を中心に、ほかにも我孫子武丸や麻耶雄嵩など、すでにかなり読んではいるんですが、改めて読み返したり、未読の作品も読みたいと思います。

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