12月に低下した消費者態度指数は消費税増税への警戒感を示すのか?
本日、内閣府から12月の消費者態度指数が発表されています。季節調整済みの一般世帯の消費者態度指数は12月には前月差▲1.2ポイント低下し、41.3となりました。「雇用環境」は上昇したものの、その他の3項目、すなわち、「耐久消費財の買い時判断」と「暮らし向き」と「収入の増え方」がともに低下を示しました。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。
12月の消費者態度指数、2カ月ぶり悪化 増税控えじわり警戒感
内閣府が17日発表した2013年12月の消費動向調査によると、消費者心理を示す一般世帯の消費者態度指数(季節調整値)は41.3と前月(11月)から1.2ポイント低下し、2カ月ぶりに悪化した。同調査では今後半年間の暮らし向きなどを対象世帯に聞くため、4月の消費増税を控えた警戒感から、耐久消費財を買い控えようとする心理が働いたことが影響したとみられる。内閣府は基調判断を前月の「改善基調にある」から「足踏みがみられる」に判断を引き下げた。下方修正は13年8月以来4カ月ぶり。
指数を構成する4項目のうち「暮らし向き」「収入の増え方」「耐久消費財の買い時判断」がマイナスだった。大企業を中心に冬のボーナスが増えた半面、毎月勤労統計調査では基本給や家族手当など所定内給与の減少が続いていることが「暮らし向き」と「収入の増え方」の指数を押し下げた。
一方「雇用環境」は上向いた。11月の有効求人倍率は1.00倍と6年1カ月ぶりに1倍台になるなど雇用環境の改善が寄与した。
1年後の物価の見通しについては「上昇する」と答えた割合(原数値)が0.8ポイント低下の88.4%と2カ月連続で減った。9割程度の世帯が上昇すると見込んでいるものの、足元で電気やガス料金が下がっていることが影響した。
調査は全国8400世帯が対象。調査基準日は12月15日で、有効回答数は5682世帯(回答率67.6%)だった。
いつもの通り、いろんなことをとてもよく取りまとめた記事だという気がします。次に、消費者態度指数のグラフは以下の通りです。昨年2013年4月から新系列に移行しています。また、影をつけた部分は景気後退期なんですが、毎度のお断りで、直近の景気の谷は2012年11月であると仮置きしています。

需要サイドの消費者マインドを代表する消費者態度指数は明らかに伸び悩んでおり、統計作成官庁である内閣府でも基調判断を「改善基調にある」から「足踏みがみられる」に変更しました。引用した記事では、4月からの消費税増税前の警戒感が強調されていますが、他の要因も見逃せません。すなわち、消費者態度指数を構成する各消費者意識指標についてコンポーネント別に前月差でみると、「雇用環境」が+0.1ポイント上昇した一方で、「耐久消費財の買い時判断」が▲3.1ポイント低下、「暮らし向き」が▲1.5ポイント低下、「収入の増え方」が▲0.6ポイント低下、と残る3項目は低下を記録しているところ、「雇用環境」が上昇して「収入の増え方」や「暮らし向き」が低下しているわけですから、量的な雇用が増加している一方で、質的な雇用条件や賃金が必ずしも同じ足並みで改善しているわけではない、ということが伺われます。これら2要因を総合すれば直感的な理解ながら、名目の賃金や雇用条件はそれなりに改善している気がしないでもないんですが、4月からの消費税率引上げを考慮すれば実質的な生活水準を低下させないだけの改善には及ばない、との受止めが広がっているんではないかとも考えられます。ただし、「耐久消費財の買い時判断」については消費税率引上げ前で安定しないことは確かです。
今日は月例経済報告閣僚会議も開催されています。1月の「月例経済報告」では景気の基調判断が上方修正され、2006年8月以来8年振りに「緩やかに回復している」と表現されました。家計部門による消費の拡大にけん引された景気拡大が、いかにしてキャッシュを溜め込んだ企業部門にバトンタッチされるか、中でも賃金は消費税率の引上げをカバーするだけの上昇を見せるのか、大いに注目です。
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