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2014年2月23日 (日)

先週の読書

先週末は図書館の予約が一気に回って来ました。このミス大賞受賞本も一気に2冊読み切ってしまったりしました。経済史の学術書をはじめ、以下の通りです。

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まず、岡本隆司[編]『中国経済史』(名古屋大学出版会) です。実に多くの学者さんが執筆しています。有史時代の最初にさかのぼって中国経済を歴史的に解き明かしている、というか、解き明かしているわけではないにしても、中国経済の歴史を延々と事実として積み重ねています。通常、経済史はマルクス主義的な唯物史観を援用する場合が多く、原始共産制から始まって、奴隷制、封建制、資本制、そしてまだ見ぬ社会主義・共産主義へと一直線に突き進む歴史観を背景にすることが多いんですが、本書は学術書ながらマルクス主義的な歴史観を取っていません。繰返しになりますが、中国経済に関する歴史的な事実を延々と積み上げています。しかも、クロニカルに記述する部分と、トピックとしてコラム的な扱いをなされたテーマに分かれていて、とても読みづらいです。一般の方にはオススメしません。また、この本を読んだからといって現在の中国経済に関する理解や認識が深まるとも思えません。

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次に、三浦しをん『まほろ駅前狂騒曲』(文藝春秋) です。この作者のまほろ(=町田)シリーズはこれで3冊目です。直木賞を授賞された『まほろ駅前多田便利軒』も『まほろ駅前番外地』も私は読んでいます。ハッキリいって、私は三浦しをんの小説のファンです。エッセイは少しクセがありますので、ファンとまではいえないかもしれませんが、それでもほとんど読んでいるつもりです。この作品はシリーズに共通する多田と行天を主人公に、オールスター・キャストでドタバタ劇が進行します。何と多田便利軒で行天の子供を預かることになり、その女の子を中心にいろいろと展開します。ストーリーも文体もとても出来がよく、万人にオススメします。

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次に、八木圭一『一千兆円の身代金』(宝島社) です。今年の「このミス大賞」を授賞された2作品のうちのひとつです。元副総理の孫であり、副総理の長男で代議士の甥に当たる小学生が誘拐され、政府の国債残高に相当する身代金要求が出されます。そうです。私がこのブログで盛んに取り上げる世代間不平等をテーマにしたミステリなんです。こんな小説が登場して、「このミス大賞」を受賞するくらいに世代間不平等が人口に膾炙したと思うと、ブログで何度も取り上げたエコノミストとしては一定の感慨がなくもありませんが、政府に勤務する公務員として少し情けなくなったりもします。ノーベル文学賞も、昨年のアリス・マンローの前まで、ついつい「大きな物語」に授賞されるケースが多かった気がしますが、我が国のミステリも「大きな物語」が好まれるようになったのかもしれません。

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次に、梶永正史『特命指揮官』(宝島社) です。これまた、「大きな物語」のミステリです。しかも、日本国内では収まり切らずに、国際的なスケールの舞台も視野に入れつつ物語が展開されています。主人公は「電卓女」とあだ名される警視庁捜査2課の女性刑事、郷間彩香です。捜査1課の殺人モノのミステリと違って、捜査2課ですから経済犯や知能犯を相手にするセクションです。30歳そこそこの女性刑事、少しピンと来ませんが、誉田哲也の「ストロベリーナイト」シリーズの姫川玲子を少しデフォルメしたのがモデルになっているのかもしれません。本格ミステリ特有のあっと驚く大どんでん返しはなく、タマネギの皮をむいていくように物語の進行とともに事実が明らかにされて行きます。会話とモノローグ的な部分が判然とせず、ややクセのある文体で読みにくいと感じる向きもあるかもしれませんが、プロットはそれなりに秀逸です。でも、物語が大き過ぎてシリーズ化するのは難しそうな気がします。

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経済史の学術書に小説が続いて、最後に、工藤卓哉・保科学世『データサイエンス超入門』(日経BP社) です。タイトル通りのデータサイエンスの入門書です。何度か繰り返されているのは、データの活用はあくまで経営のサポートであり、データがあるので分析をして何かの役に立てたいとの発想ではなく、経営方針に沿ってデータをいかに利用するかを考えるべき、ということにつきます。残念ながら、あくまでビジネスを念頭に置いた発想であり、組織のマネジメントといった着眼ではありません。ですから、私のような公務員にはほとんど何の参考にもなりませんでした。

この週末も何冊か予約が回って来ました。2月も半ばを過ぎて読書が進んでいます。

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