« 貿易赤字は解決されねばならない政策課題なのか? | トップページ | 今週の新刊書の読書感想文 »

2014年3月20日 (木)

2015年卒大学生の就職に関する意識やいかに?

先週から今週にかけて、卒業式のシーズンで、女子大生なんでしょうか、袴姿の若い女性を見かけたりします。私も大学の教員を2年間だけですが務めた経験があり、リーマン・ショック後の大学生の就職が厳しかったころですから、大学生の就活や就職に関する意識には特に注目しています。雇用を重視するエコノミストである点は何度か、このブログでも表明しているところです。ということで、一昨日の3月18日に来年2015年に卒業する大学生を対象にした「マイナビ大学生就職意識調査」の結果が公表されています。詳細な集計結果がpdfの全文リポートでも明らかにされています。まず、マイナビ採用サポネットのサイトからTOPICSを6点引用すると以下の通りです。

TOPICS
  • 就職観で上昇した項目は「楽しく働きたい」「個人の生活と仕事を両立させたい」
  • 大手企業志向2年連続で上昇
  • 企業選択のポイントで「安定している会社」や「給料の良い会社」が2年連続で増加
  • 行きたくない会社で「休日・休暇が取れない」や「残業が多い」が上昇
  • 就職希望度、「なにがなんでも就職したい」は、前年比1.9pt増の89.7%
  • 海外志向で「海外勤務はしたくない」が5割

ということで、3連休前の今夜のエントリーでは、この大学生の就職意識調査について、リポートマイナビ採用サポネットのサイトから、何点か図表を引用しつつ、簡単に紹介したいと思います。ブログではすべて取り上げ切れませんが、毎年、定点観測のように同じ質問をしているので15年くらいの長期時系列のグラフも多く、リポートをじっくり読むとかなり興味深い点を見出すことが出来ると思います。

photo

まず、大学生の職業観です。上のグラフは、今年2014年卒業生と来年卒業の学生を並べてあります。パッと見で、「楽しく働きたい」の割合が増えて、「人のためになる仕事をしたい」が減っています。では、「世のため人のため社会のため」、ではなく、利己的な動機に基づく職業観か、というとそうでもない気がします。例えば、別の動機なんでしょうが、公務員人気は相変わらずと聞いたりもします。もっとも、この調査では公務員人気は分かりません。いずれにせよ、リポートの p.1 のグラフを見る限り、「楽しく働きたい」が2001年卒から2015年卒まで15年連続でトップの位置を占めているのは事実です。

photo

大手企業志向について長期の動向をプロットしたのが上のグラフです。「絶対に大手企業がよい」と「自分のやりたい仕事ができるのであれば大手企業がよい」の合計の割合を取っています。バブル経済の余韻の残る1993年から統計があるようですが、最近、2001年以降くらいでは、やっぱり、リーマン・ショック直前のころがひとつのピークと見なせますし、逆に、昨年2013年卒がボトムとなっていたりします。おそらく、この大企業志向については景気動向や景気に連動する雇用情勢をモロに反映しているんだろうと私は受け止めています。すなわち、最近、2年連続で大企業志向が高まっているのは、アベノミクスに伴う景気の改善を受けた動きと考えるべきです。

photo

次に、大企業などの企業規模を別にして、行きたい企業と行きたくない企業に関しては、まず、「どのような企業がよいと思うか」に関する回答が上のグラフの通りです。1人で2つの選択肢まで回答できるようになっています。リポートの p.4 のグラフに2001年卒業生からの推移が示されていて、一貫して、「自分のやりたい仕事(職種)ができる会社」がトップなんですが、リーマン・ショックを境にして「働きがいのある会社」よりも「安定している会社」の比率が高くなる傾向を見出すことが出来ます。そうなのかもしれません。

photo

最後に、「行きたくない会社」の回答が上のグラフの通りです。これも、1人で2つの選択肢まで回答できるようになっています。一言で表現すれば、「ブラック企業」ということになるのかもしれませんが、そのようなズバリの選択肢はありませんので、「ブラック企業」の中身を問うているのと同じ意味だと私は理解しています。ここ2-3年では、15年間ずっとトップだった「暗い雰囲気の会社」の割合が低下して来て、「ノルマのきつそうな会社」や「休日・休暇がとれない(少ない)会社」の割合が大きくなっているようです。これも分かる気がします。

このブログでは紹介するにもスペースなどに限界がありますが、リポートでは、いくつかの結果について男女別や文系と理系の別、あるいは、エリアデータなども明らかにしており、また、今夜のエントリーでは紹介し切れなかった結果、例えば、最初に引用したTOPICSの5点目、6点目のように、「就職希望度(なにがなんでも就職したい)」、「志望職種」、「海外志向」なども含まれています。特に、「海外志向」について、チリでの大使館勤務とジャカルタでの開発援助の2回の海外勤務を経験した私としては、「海外勤務はしたくない」が過半の51.2%を占めるという結果は少しショックでした。

|

« 貿易赤字は解決されねばならない政策課題なのか? | トップページ | 今週の新刊書の読書感想文 »

コメント

うちの会社も海外にしか工場がありませんので、海外志向が入社の条件です(たとえ社内のIT部門でも)。しかし、いざ実際に海外赴任を打診すると、色々と障害があるようです。海外に行くと、えらく刺激を受けて成長するんですけどね。結婚や子供の問題でしり込みするようです。

投稿: kincyan | 2014年3月21日 (金) 04時32分

海外勤務は結婚相手にもよるんでしょうね。分かる気がしますが、もう少しグローバルな視野を持つために海外にも目を向けて欲しい気がします。

投稿: ポケモンおとうさん | 2014年3月21日 (金) 08時27分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/20840/55439882

この記事へのトラックバック一覧です: 2015年卒大学生の就職に関する意識やいかに?:

« 貿易赤字は解決されねばならない政策課題なのか? | トップページ | 今週の新刊書の読書感想文 »