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2014年3月31日 (月)

鉱工業生産は積雪の影響で2月は減産に転じる!

本日、経済産業省から2月の鉱工業生産指数 (IIP) が公表されています。季節調整済みの指数で前月比▲2.3%低下の101.5となりました。3か月ぶりの減産です。しかし、基調判断は「総じてみれば、生産は持ち直しの動きで推移」で据え置かれています。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

2月の鉱工業生産、2.3%低下 大雪の影響で3カ月ぶりマイナス
経済産業省が31日発表した2月の鉱工業生産指数(2010年=100、季節調整済み)速報値は101.5と、前月比で2.3%低下した。1月の確報値が前月比3.8%上昇と高い伸びを示した反動に加え、記録的な大雪の影響で3カ月ぶりにマイナスに転じた。
2月の速報値はQUICKがまとめた市場予想(0.3%上昇)を大きく下回った。経産省は「マイナスは1月の指数が高かった反動や大雪による一時的な落ち込みのためで、水準としては高い(前年同月比では6.9%上昇)」として生産の基調判断を「持ち直しの動きで推移している」で据え置いた。
業種別でみると、15業種のうち11業種が低下した。大雪の影響で工場の操業を一時的に止めた「輸送機械工業」が前月比5.8%減と指数を押し下げた。「国内販売や輸出は堅調で、需要の減少によるものではない」(経産省)という。1月にボイラーなどが大きく伸びた反動で「はん用・生産用・業務用機械工業」は3.3%減だった。
出荷指数は生産が落ち込んだことで1.0%低下の103.9、在庫指数は0.8%低下の103.8だった。在庫率指数は1.7%上昇の100.6だった。
同時に発表した製造工業生産予測調査によると、先行きはパソコンなどで消費増税前の最後の駆け込み需要が出て3月が0.9%上昇。4月は駆け込み需要の反動から0.6%低下する見込みだ。

いずれもとてもよく取りまとめられた記事だという気がします。次に、鉱工業生産と出荷のグラフは以下の通りです。上のパネルは2010年=100となる鉱工業生産指数そのもの、下は輸送機械を除く資本財出荷と耐久消費財出荷です。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた部分は景気後退期です。なお、毎度のお断りですが、このブログのローカル・ルールで、直近の景気の谷は2012年11月であったと仮置きしています。

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日経QUICKによる市場の事前コンセンサスが+0.3%の増産だったにもかかわらず、2月の生産が減産に転じたのは、統計から判断する限り、何らかの供給制約に伴う結果であり、引用した記事にもある通り、需要不足が原因ではありません。というのは、すべて季節調整済みの指数の前月比で見て、生産が▲2.3%減、出荷も▲1.0%減、ここまでであれば、供給制約か需要不足かは不明なんですが、他方、在庫も▲0.8%減となっていますから、需要はあるにもかかわらず、生産が追いつかず在庫を取り崩した、という生産と出荷と在庫のバランスを想像できるかと思います。その供給制約の原因は積雪と記者発表で説明されているようです。私は多くの情報を持ち合わせませんが、操業停止や流通網の混乱などが軽く想像できようかと思います。もっとも、先月1月の増産が+3.8%増とかなり大きかったわけですから、反動減の要素もゼロではないと私は考えています。供給制約に戻って、この説を補強するもうひとつの傍証は製造工業生産予測調査です。先月の製造工業生産予測調査では、3月には消費税率引上げ前の駆込み需要も一段落して▲3.2%減と見込まれていましたが、今月の製造工業生産予測調査では3月は一転して+0.9%増と、目先の生産見通しに変化が生じています。2月に生産できず在庫の取崩しで対応した駆込み需要を少し遅れて3月に生産して適正在庫水準を維持する、ということなんだろうと考えられます。4月は▲0.6%減ですから、消費増税後の反動に対応した極めて分かりやすい結果といえますし、統計作成官庁である経済産業省による基調判断の通り、ならしてみれば生産は堅調と見なして差支えないと受け止めています。

いよいよ明日、5%から8%に消費税率が引き上げられます。すでに一部の店舗では価格表示を内税方式から外税方式に変更して、私なんぞは少し混乱したりもしましたが、どこまでスムーズな転嫁が進むのかも気にかかるところです。メディアでは朝一番からニュースのトップを飾ったりするんでしょうが、このブログでは少し時間が経過してから取り上げたいと考えています。

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2014年3月30日 (日)

今日もボロ負けで、これが現在の実力なのか?

  HE
阪  神000100101 390
読  売04000350x 12171

今日は午後から荒れ模様のお天気の中をヤボ用で外出し、試合はまったく見ていませんが、帰宅するとボロ負けの結果だけ知りました。まあ、現時点での実力からすれば、こんな結果もあり得るというか、ひょっとしたら順当なのかもしれません。我がタイガースは低迷期に入った可能性があり、采配がどうしたこうしたというわけではなく、ここ数年、若手の育成を怠ったツケが出ている気がします。今年は優勝よりもクライマックス・シリーズ狙いなのかもしれません。

それでもやっぱり、
がんばれタイガース!

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2014年3月29日 (土)

昨夜を超えるヒットを打たれながらも今日は守り勝つ!

  HE
阪  神101000012 5120
読  売100001100 3160

今日は投手のピッチングだけでなく、内外野の守備で守り勝ちでした。昨夜の14安打を超える16安打の乱れ打ちを浴びながら、投手陣もよく耐えました。5番のマートン選手のホームランも目が覚めましたが、4番に座った新外国人選手のゴメス内野手がそこそこ打点を稼いでくれているのが頼もしいです。

明日も、
がんばれタイガース!

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今週の新刊書読書と角川書店のサイト閉鎖

今週の新刊書の読書は以下の通りです。

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まず、朝井リョウ『世界地図の下書き』(集英社) です。昨年半ばの発行ですから、図書館のめぐりが悪かったともいえますが、直木賞受賞後の第1作ですから注目の作品とも考えられます。私はこの作者の小説は、映画化された『桐島、部活やめるってよ』と直木賞受賞作の『何者』しか読んだことがないんですが、前者が高校生を、後者が就活中の大学生を、それぞれ主人公にしていたのに対し、『世界地図の下書き』では小学生が主人公に据えられています。しかも、何らかの家庭の事情があって施設に入っている小学生です。そして、ここまでピュアに小学生を描き出せる作家はそういないと感じました。私の好きな作家では道尾秀介くらいかもしれません。重松清とはまったくことなる視点から小学生を捉えています。特に、恵まれない境遇にありながら、力強い希望に満ちた施設の小学生の将来を示唆したラストは素晴らしいと思います。決して単純なハッピーエンドではありません。そこに作者の力量を感じました。「世界地図の下書き」とは何と秀逸なタイトルだろうと大いに感心してしまいました。ただし、誠に惜しむらくは、ランタンを飛ばすというのを知らないと実感が湧かない可能性があります。私はランタンを使った「願いとばし」なるイベントを知りませんので、少し疑問が残る部分がありました。

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次に、大森洋平『考証要集』(文春文庫) です。著者はNHKドラマ番組部で時代考証を担当するチーフディレクターだそうです。いろいろな言葉を辞書のように50音順に並べて、時代考証の観点から解説を加えてあります。もちろん、辞書的に使う方法もあるでしょうが、通読しても面白いこと請合いです。例えば、鍋焼きうどんは明治時代以降の食べ物であり、江戸時代の時代劇に登場させるのはNGなど、「目から鱗が落ちる」内容なんですが、この「目から鱗」という表現が新約聖書に由来する翻訳表現であって、江戸時代で使うと隠れキリシタンになってしまう、などなど、どこまで実用性があるかは議論が分かれるものの、トリビア知識としてはとても重宝しそうです。

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次に、吉田洋一・赤攝也『数学序説』(ちくま文芸文庫) です。まえがきにある通り、本書は「第一に大学の一般教養における数学の教科書とする意図をもって書かれた」本です。初版が何と1954年に出版されており、私よりも長寿のロング・セラーです。私は京都大学の教養部で数学は主として解析を勉強し、岩波書店から出版されている高木貞治先生の『解析概論』改定第3版を教科書に勉強した記憶があります。今でも持っています。当然ながら、本書は解析だけでなく、代数、幾何から確率論まで広範な範囲をカバーしています。読書感想を書き連ねるよりも、以下に目次を掲げておきたいと思います。

1
幾何学的精神 - パスカルとエウクレイデス
2
光は東方より - 代数学の誕生
3
描かれた数 - デカルトの幾何学
4
接線を描く - 微分法と極限の概念
5
拡がりを測る - 面積と積分法の概念
6
数学とは何か - ヒルベルトの公理主義
7
脱皮した代数学 - 群、環、体
8
直線を切る - 実数の概念と無限の学の形成
9
数学の基礎づけ - 無限の学の破綻と証明論の発生
10
偶然を処理する - 確率と統計

最後に、伊東潤『天地雷動』(角川書店) も読みました。4月23日発売予定だったりします。角川書店では出版前にモニターを募集していて、私もしょっちゅう応募するので、出版前の読者モニターは3回目くらいになります。しかし、悲しいかな、先週の有栖川有栖「火村シリーズ」が角川ビーンズ文庫で再販されたのをお知らせした折にも書きましたが、現在、角川書店のサーバがフィッシングメール送信に悪用された可能性があり、サイトを閉鎖して調査中だそうです。すでに読み終わったんですが、感想文を書き込めません。しかも、角川書店の然るべき人からだと思うんですが、別のサイトにサーバを用意したのでソチラに書き込んでくれと、何とGメールで依頼が来ました。サーバがハッキングされてオフィシャル・サイトが長期に閉鎖中の会社の担当者からGメールで示されたURLにホイホイとアクセスする呑気な人がどれだけいると考えているんでしょうか。その程度のセキュリティ・リテラシーだから、サーバをハッキングされてサイト閉鎖に追い込まれたんだろうと想像しています。セキュリティに関してはのんびりした会社なんでしょうね。

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2014年3月28日 (金)

2014年シーズンは巨人相手にボロ負けで開幕!

  HE
阪  神004000000 491
読  売00316200x 12141

開幕投手の能見投手が5回途中までで自責点10と大きく崩れて、2014年シーズンはボロ負けで始まることとなりました。4番に座った新外国人選手のゴメス内野手がツーベースを2本もかっ飛ばし、梅野捕手が開幕戦で出場したのが見どころだったかもしれません。

明日は、
がんばれタイガース!

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政府統計から見た日本経済の現状やいかに?

今日は3月最後の閣議日です。ですので、31日に公表される鉱工業生産統計を除いて、主要な政府統計が多数発表されています。すなわち、総務省統計局の失業率や厚生労働省の有効求人倍率などの雇用統計、経済産業省の商業販売統計、そして、総務省統計局の消費者物価 (CPI) などです。すべて2月の統計で、消費税率引上げ前の駆込み需要に支えられてはいるものの、基本的には順調な景気の回復ないし拡大を示していると私は受け止めています。まず、長くなりますが、本日公表された統計指標のヘッドラインを報じた記事を日経新聞のサイトから引用すると以下の通りです。

失業率3.6%に改善 2月、女性中心に雇用けん引
雇用の改善が続いている。総務省が28日発表した2月の完全失業率(季節調整値)は3.6%と前月から0.1ポイント改善し、2007年7月以来の低さとなった。厚生労働省が発表した2月の有効求人倍率(季節調整値)も1.05倍と同0.01ポイント上がった。改善は15カ月連続で6年半ぶりの高水準。4カ月連続で求人数が求職数を上回った。
政府の経済対策や消費増税前の駆け込み需要が、雇用情勢の改善につながっている。子育てが一段落した主婦が働きに出る動きが続いており、女性の完全失業率は3.3%と1997年9月以来、16年5カ月ぶりの水準に改善した。
全体の就業者数(季節調整値)は6332万人と前月から13万人増えた。雇用者の数に占める非正規労働者の比率は38.2%と、依然としてパートや派遣、契約社員といった非正規が雇用の回復を引っ張っている側面が強い。
新規求人数(原数値)は前年同月比7.1%増えた。11業種のうち10業種でプラスとなり、製造業は19.9%増と、6カ月連続の2桁増だった。働き方ごとに見てもフルタイムとパートタイムでともに7.1%増だった。月ごとの新たな求職者1人に対して、新たな求人が何人分あるかを示す新規求人倍率は1.67倍と、21年9カ月ぶりの高い水準になった。大雪で新規求職者が減ったことも数字を押し上げた。
2月の小売販売額、同月で過去3番目 駆け込みで高額品伸びる
経済産業省が28日発表した2月の商業販売統計(速報)によると、小売業の販売額は前年同月比3.6%増の10兆9130億円と、2月としては比較可能な1980年以降で過去3番目の大きさだった。増加は7カ月連続。消費税率引き上げ前の駆け込み需要で、自動車や冷蔵庫など高額商品の販売が伸びた。
小売業の内訳をみると、自動車が14.9%増と6カ月連続でプラス。大型家電の買い替えが進んだことで、機械器具も11.2%増だった。大雪の影響で野菜の価格が上昇し、飲食料品も1.7%増となった。
百貨店とスーパーの大型小売店は2.4%増の1兆4686億円と、7カ月連続で増加した。既存店ベースは1.3%増。このうち時計や宝飾品などの売れ行きが伸びた百貨店は2.9%増。スーパーは衣服の販売が低調だったものの、消費増税前に主力の食料品で買いだめの動きがみられ、0.5%増だった。
コンビニエンスストアは6.2%増の7468億円だった。新規出店に加え、大雪に備え弁当などのまとめ買いが増えた。
同時に発表した専門量販店販売統計(速報)によると、2月の販売額は家電大型専門店は3571億円、ドラッグストアが3630億円、ホームセンターが2230億円だった。
2月消費者物価、9カ月連続プラス 上昇率は前月と同じ
総務省が28日朝発表した2月の全国の消費者物価指数(CPI、2010年=100)は、生鮮食品を除く総合が前年同月比1.3%上昇の100.5だった。プラスは9カ月連続で、07年10月から08年12月まで15カ月連続で上昇して以来の長さ。上昇率は1月と同じだった。
上昇率が1%を超えるのは4カ月連続で、08年5月から11月まで7カ月連続で超えて以来となる。電気料金やガソリンの上昇が引き続き指数を押し上げた。消費増税を前にテレビやパソコン、エアコンといった電気製品なども幅広く上昇。上昇品目数は290、下落品目数は172で、5カ月連続で上昇品目数が下落品目数を上回った。1月は上昇が279、下落が184だった。物価上昇の裾野は拡大している。
食料とエネルギーを除く総合(コアコア指数)は前年同月比0.8%上昇と5カ月連続のプラスだった。傷害保険料の引き上げや円安による海外パックの旅行代金の上昇が押し上げる構図が続いた。
同時に発表した3月の東京都区部のCPI(中旬の速報値、10年=100)は、生鮮食品を除く総合が1.0%上昇の99.7だった。伸び率が1.0%台に乗せるのは08年11月(1.1%上昇)以来。13年度平均の生鮮食品を除く総合は、前年度に比べ0.4%上昇の99.4で5年ぶりにプラスに転じた。

いずれもとてもよく取りまとめられた記事なんですが、さすがに、これだけ並べるともうおなかいっぱい、という気もします。次に、雇用統計のグラフは以下の通りです。上のパネルから順に、失業率、有効求人倍率、新規求人数・新規求人倍率となっています。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた部分は景気後退期です。なお、毎度のお断りですが、このブログのローカル・ルールで、直近の景気の谷は2012年11月であったと仮置きしています。これは雇用統計だけでなく、シャドーで景気後退期をお示しした商業販売統計のグラフにも共通です。

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失業率がほぼ3%台半ばまで低下し、有効求人倍率も1倍を超えているんですから、雇用は堅調に推移しているといえます。もちろん、いくぶんなりとも4月の消費増税を控えた駆込み需要の効果も含まれていると考えるべきですが、2月の積雪の影響もあって、1997年の消費税率引上げほどの駆込み需要は2月時点では生じておらず、むしろ、雇用の増加には4月以降の景気動向も盛り込まれている可能性が十分あると私は受け止めています。そのあたりの企業マインドは、4月1日に公表される日銀短観に現れるんだろうと期待しています。発表された現実の指標を離れて、ひとつの参考ですが、失業率はどこまで低下するのか、という議論があります。一例として、日経センターで集計しているESPフォーキャストの結果では、3月7日に公表された最新の2月調査におけるフォーキャスターの平均で、2015年度は3.61%、2016年1-3月期でも3.58%と、3%台半ばの現在の水準で下げ止まる、という予想が示されています。あるいは、この水準が自然失業率である、というエコノミスト間の緩やかなコンセンサスがあるように私は感じています。しかし、フィリップス曲線に基づく議論では、日銀のインフレ目標2%を達成するためには3%そこそこか、2%台に突っ込むくらいの失業率が2%のインフレに対応する可能性も高く、私も3%台前半、具体的には3.1%とか3.2%の失業率は十分に達成可能ではなかろうかと考えています。特に、ここ2-3か月の足元では、高齢化とともに労働力人口が減少する中で、就業者が増加するという好ましい形で、また、急速に失業率が低下する形で雇用が改善しています。ですから、記憶は定かではありませんが、今年に入ってから、外部の財界団体だか労働組合だかとの会議の席上で、あくまでエコノミストとして、こういった趣旨の個人的な見解を展開したこともあります。4月からの消費増税で一時的に雇用が悪化する可能性はありますが、その先も景気が腰折れせずに回復ないし拡大を続けた場合、どこまで失業率が低下するかも興味深いところです。

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小売販売も前年同月比で+3.6%の増加となっています。消費者物価上昇率が+1%台半ばにも達していませんから、実質で見ても+2%を超える増加です。他方、総務省統計局の家計調査では2月の消費支出は前年同月比で実質▲2.5%の減少となっており、消費を現す統計の結果が分かれてしまいました。私は基本的に家計調査よりも商業販売の方に信頼を置いているんですが、2月の積雪とともに昨年がうるう年であった点を考慮すれば、商業販売統計ほど小売売上げが増加するのもやや疑問が残ります。いずれにせよ、引用した記事の通り、消費支出は自動車や家電耐久財の駆込み需要に支えられて堅調に推移していると考えてよさそうです。逆に、4月の消費増税以降の買控えによる反動減に対してもそれなりの覚悟が必要です。

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消費者物価も+1%を超えて順調に上昇率を高めて来ましたが、4月からの消費増税により一時的にせよ需給ギャップがマイナスに振れますので、この1%台前半ないし半ばの上昇率でモメンタムが低下する可能性があります。興味あるのは、その場合、日銀があくまで目標の2%インフレに向かって追加的な金融緩和に踏み切るのか、それとも、インフレ目標の達成を先延ばしにして静観するのか、という点です。私は基本的にリフレ派のエコノミストなんですが、インフレ率原理主義者ではありませんから、金融の追加緩和はその時点での景気動向に依存すると考えています。やや大胆な意見かもしれませんが、噛み砕いていえば、景気がよくてインフレが低ければ結構なことではないか、すなわち、インフレ目標の達成のために景気を加熱させるべきではないと考えています。ただ、もう1点強調しておくと、物価上昇のけん引役が為替と原油などの商品価格から、引用した記事にもある通り、かなり幅広い品目に裾野を広げています。ヘッドラインやコアのインフレ率は頭打ちになりつつあるように見えなくもありませんが、その中身は多くの品目で価格が上昇するという好ましい内容に変化した、と考えるべきです。

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最後に参考まで、上のグラフは全国51都市、すなわち、県庁所在市と政令指定市の消費者物価地域差指数です。横浜がトップでもっとも物価水準が高く、東京都区部とさいたま市がこれに続いています。なぜか、私が2年間単身赴任した長崎市がこの首都圏の3地域を追っている形になっています。

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2014年3月27日 (木)

3月調査の日銀短観の業況判断と設備投資計画の予想やいかに?

来週火曜日4月1日の発表を前に、シンクタンクや金融機関などから3月調査の日銀短観予想が出そろっています。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、ネット上でオープンに公開されているリポートに限って、大企業製造業と非製造業の業況判断DIと大企業の設備投資計画を取りまとめると下の表の通りです。設備投資計画は2014年度、すなわち、来週4月1日から始まる来年度です。ヘッドラインは私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しましたが、今回の日銀短観予想については、来年度2014年度の設備投資見通しに特化して拾いました。ただし、三菱総研だけは設備投資計画が予測項目に含まれていないため、先行きの業況判断DIを取っています。いつもの通り、より詳細な情報にご興味ある向きは左側の機関名にリンクを張ってあります。リンクが切れていなければ、html の富士通総研以外は、pdf 形式のリポートが別タブで開くか、ダウンロード出来ると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちに Acrobat Reader がインストールしてあってリポートが読めるかもしれません。

機関名大企業製造業
大企業非製造業
<設備投資計画>
ヘッドライン
12月調査 (先行き)+14
+17
<n.a.>
n.a.
日本総研+18
+25
<+▲0.1>
製造業、非製造業ともに、国内景気の回復基調や老朽化設備の更新、東京五輪関連投資などを背景に、3月調査としては、過去の景気回復局面並みの投資計画となる見込み。もっとも、設備投資額からみれば、大企業、中小企業ともにリーマン・ショック前の7割程度にとどまっており、企業の設備投資に対する慎重な姿勢は依然として根強く残っている状況。
大和総研+19
+23
<+1.8>
リーマン・ショック以降、低水準での推移が続いていた設備投資は、足下で徐々に改善傾向にある。設備投資の先行指標である機械受注統計などを見ても改善が続いており、2014年度以降設備投資は増加基調が続く見込みである。改善の続く企業収益を背景に、賃上げや設備投資などを積極的に行う企業が増加することで、生産性の上昇やさらなる経済の循環的改善が期待できる。
みずほ総研+18
+24
<+0.5>
(2014年度の設備投資計画(全規模・全産業)は前年比▲1.4%と予測した。製造業では前年比+2.1%と2年ぶりにプラスの発射台が見込まれる。非製造業は3月調査段階では例年マイナスとなることが多いが、2013年度に比べてマイナス幅が縮小すると見込んでいる。
ニッセイ基礎研+19
+24
<▲0.8>
14年度設備投資計画は今年度比▲3.5%を予想。例年3 月調査では計画が固まっていないことからマイナススタートになる傾向があるため、数字自体にはあまり意味が無く、過年度の初回調査との比較感で強弱を計ることになる。▲3.5%という水準は今年度の初回調査、いわゆる発射台であった▲3.9%を若干上回るレベル。今年度収益の改善や設備投資減税という追い風はあるが、消費税増税への懸念から慎重さが残る内容になると予想。
伊藤忠商事経済研+18
+22
<▲1.2>
2014年度の大企業全産業の設備投資計画は前年度比▲1.2%とマイナス圏からのスタートを予想する。未だ2013年度の業績及び投資が未確定な下で、消費税率引き上げ後の需要動向に対する懸念もあり、3月調査の段階では、プラス圏の計画を期待はできない。但し、日本郵政が明らかとしている2014年度からの3年間における1.3兆円の大規模設備投資計画が、3月調査の段階から盛り込まれれば、非製造業を中心にプラス計画となる可能性もある(当社予想では3月調査では盛り込まれないと想定)。1.3兆円が3年間で均等に実施される場合、大企業非製造業の設備投資額は2014年度に3%弱、大企業全産業では2%弱押し上げられることになる。
第一生命経済研+18
+24
<▲0.5>
楽観的に考えると、設備投資計画は、消費税が上がる前よりも、上がった後の方が不確実性は解消され、大きな金額を実行しやすくなると推測される。逆に、今まで設備投資の拡大が鈍かった理由を、消費税増税までの不確実性の強さのせいだということもできる。
筆者は、製造業は消費税の影響を受けにくいこともあって、設備投資は3月調査のデータからプラス計画になるとみる。一方、非製造業、あるいは中小企業は慎重な見方に傾くだろう。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券+20
+27
<+0.8>
14年度の設備投資計画については、大企業・中小企業とも、3月調査としては比較的強めの計画が打ち出される見通しだ。景気の堅調な拡大が続く中、多くの企業では、生産能力の増強や営業用設備の機能拡充が必要となっている模様だ。
三菱総研+18
+26
<n.a.>
先行きの業況判断DI(大企業)は、新興国経済の不透明感が依然として強いほか、消費増税後の一定の反動は避けられないことから、製造業は+14%ポイント、非製造業は+18%ポイントといずれも悪化を予想する。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング+18
+27
<▲0.9>
2014年度については、消費税率引上げ後の景気に対する懸念もあって、設備投資は慎重な計画となるだろう。
富士通総研+20
+25
<+0.4>
2014年度の設備投資計画(全規模・全産業)については、まだ年度開始前のため、慎重な計画(前年度比-2.3%)からスタートすると見込まれる。

私が知る限り、ほぼすべてのシンクタンクや金融機関の予想で、業況判断としては3月調査の足元が取りあえずのピークとなり、6月調査あるいは3月調査の先行きでは3月調査の足元よりも落ちるだろうと見込んでいます。もちろん、その落ち方には温度差があり、大きく落ちると見ている「弱気派」と落ち込みは小さいと予測している「強気派」があるのはいうまでもありません。私は中間よりもやや「強気派」だと自分で自覚していますが、大部分のエコノミストが予想している方向性、すなわち、3月調査の先行きの業況判断DIは3月調査の足元よりも落ちる、という予想は完全にコンセンサスが出来ている一方で、3月調査の先行きでも少なくとも大企業レベルでは業況判断DIはプラスを維持する、という見方にもコンセンサスがあるようです。すなわち、短観のヘッドラインとなる大企業製造業の業況判断DIが、3月調査の先行きについてマイナスまで落ち込むことはない、という意味で「強気派」がドミナントなんではないかと私は受け止めています。
私の方で重視した2014年度の設備投資計画ですが、伊藤忠商事経済研のコメントが非常に的確な見方であると考えています。また、実際の予測の数字として私の予想はニッセイ基礎研に近いといえます。ニッセイ基礎研は2014年度の設備投資計画について、大企業は▲0.8%減、全規模全産業で▲3.5%減を打ち出しています。そんなもんだろうという気がします。ただし、4月の消費増税以降の景気動向を見つつ、この設備投資計画は上積みされる可能性が十分あると考えるべきです。ということで、下のグラフは、そのニッセイ基礎研のリポート p.3 (図表5) 設備投資計画 (全規模全産業) を引用しています。

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2014年3月26日 (水)

企業向けサービス価格上昇率は安定してプラスを続ける!

本日、日銀から2月の企業向けサービス価格指数 (CSPI) が公表されています。ヘッドラインで見て前年同月比+0.7%の上昇、変動の大きい国際運輸を除いたコアCSPIでも+0.5%と、安定したプラスが続いています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

2月企業向けサービス価格 10カ月連続上昇 建設単価上昇で
日銀が26日発表した2月の企業向けサービス価格指数(2005年平均=100)は96.5と前年同月比0.7%上昇した。プラスは10カ月連続。建設労働者の賃金が上昇した一方で、前年に比べて円安進行のペースが鈍ったことで輸出入など運輸関連の伸びが鈍化。伸び率は前月比横ばいだった。
企業向けサービス価格指数は運輸や通信、広告など企業間で取引されるサービスの価格水準を示す。今回数値を精査した結果、過去の公表数値の一部を見直した。全137品目のうち前年比で上昇した品目数は63、下落は44。6カ月連続で上昇が下落を上回った。
業種別にみると、上昇に寄与したのは土木建築など諸サービスで1.6%の上昇。国土交通省が、国や自治体が公共事業の費用を見積もる際に使う「労務単価」を2月から引き上げたことで、土木建築サービスが5.8%上昇した。上げ幅は前月(2.8%)と比べ拡大した。宿泊サービスは東京や大阪で出張や観光による利用が好調で、4.0%上昇した。
一方、上げ幅を縮める要因となったのは運輸。1.4%の上昇と、前月から0.8ポイント上げ幅を縮めた。前月に比べて円安の進行が一服したことで、主にドル建てで取引される外航タンカーなどの運賃を円換算した価格が伸び悩んだ。

いつもながら、よく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、企業向けサービス物価上昇率のグラフは以下の通りです。サービス物価(CSPI)とコアCSPIの上昇率とともに、企業物価(CGPI)上昇率もプロットしています。CSPI上昇率がCGPIに追い付いたように見えなくもありませんが、左右の軸で目盛りが異なりますので注意が必要です。なお、影をつけた部分は景気後退期なんですが、いつものお断りで、直近の景気の谷は昨年2013年11月だったと仮置きしています。

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ヘッドラインの前年同月比上昇率への寄与度で見て、相変わらず、運輸が+0.31%と大きいんですが、2月の寄与度の+0.52%からは縮小しました。引用した記事にもある通り、土木建設サービスをはじめとする諸サービスがウェイトが大きいこともあって+0.50%と運輸を上回る寄与度を示しています。金融・保険も昨年10月から前年同月比でコンスタントに+1%台半ばの上昇率で2月の寄与度も+0.08%を記録しています。ただ、技術革新の速度が大きい情報通信は▲0.20%とマイナス寄与を示しています。全般的な印象として、CSPI らしいというか、為替動向の影響が剥落しつつあり、その分、上昇率の高まりに一服感が見られる一方で、需給ギャップに応じた動きとなっていることが確認されたと私は受け止めています。
先月の統計発表時にも指摘した点ですが、ラスパイレス指数の上方バイアスについては、消費者物価指数(CPI)や企業物価指数(CGPI)が2010年基準に移行しているにもかかわらず、企業向けサービス価格指数(CSPI)が2005年基準のままなので、決して無視はできませんが、よくよく考えれば、私の直感でも、財貨(グッズ)に比べてサービスのバスケットは相対的に安定しているのではないかという気がしています。例えば、財貨(グッズ)について考えると、2005年時点ではほとんどウェイトがゼロだったと想像されるスマートフォンは現時点でもはや無視できませんし、薄型テレビについてもよく似た時点があった気がします。従って、総務省統計局によるCPIの中間年見直しでは、ハードウェアであるスマートフォンとその通話料金をCPIバスケットに取り込んだりしています。他方、何らかの確認をしたわけではなく、単なる私の直感ですが、サービスではバスケットの変更の規模は財貨ほどではなさそうな気もします。ですから、基準年改定の実務的な問題の方が理由としては大きそうですが、CSPIの基準年改定がCPIやCGPIから遅れても問題視されないんだろうと受け止めています。もちろん、技術革新の影響もあって下落を続ける情報通信の指数水準は2005年基準で2月にはほぼ60のレベルまで下落していますから、それなりにウェイトも高まっている可能性も否定できず、当然ながら、ラスパイレス指数の上方バイアスは否定のしようもありません。

いずれにせよ、先月と同じ結論ですが、日銀の想定するインフレ目標の達成に向けて、国内景気はゆるやかな回復ないし拡大の経路に乗っている、と私は考えています。もっとも、4月からの消費増税の負のショックの程度を想定内と仮定すれば、という前提なのは当然です。

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2014年3月25日 (火)

東洋経済オンラインによる大学・学部別「難易度ランキング」トップ30

このお彼岸休みで大学入試の合格発表がほぼ一段落し、先週から今週にかけて、東大や京大などいくつかの大学の前期試験の合格者の高校別ランキングを報じる週刊誌が書店の店頭に並んでいます。私も買い求めたりしました。ということで、かなり強引ですが、大学受験に関して、一昨日3月24日に東洋経済オンラインに登場した「大学・学部別『難易度ランキング』トップ30」のうち、経済・経営・商学系の画像を引用すると以下の通りです。

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我が母校の京都大学経済学部も顔を出しています。だからどうだというわけでもないんですが、今夜は遅くなったので、これで済ませておきます。

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2014年3月24日 (月)

そろそろサクラが開花する季節にお花見について考える!

私が参照しているアンケート調査のサイトはいくつかあるんですが、中でも、毎週アンケート調査を実施して結果を公表している注目のサイトがあります。すなわち、@nifty何でも調査団青山ハッピー研究所です。前者のバック企業は分かりやすいんですが、後者はアサヒグループホールディングスお客様生活文化研究所が運営しています。ビールや飲料などを主体とする企業と考えてよさそうです。ということで、後者の青山ハッピー研究所から、先々週の3月12日に「お花見」をテーマにしたアンケート調査結果が公表されています。まず、とても長くなりますが、青山ハッピー研究所のサイトから結果のポイントを何と11点と数多く引用すると以下の通りです。

シーズン間近! 今年、お花見に出かけますか?
  • 6割以上が「お花見に行く」と回答 - 寒波、景気も左右!? 参加意向が復調へ
  • 6割以上の女性が「お花見に行く」と回答 - 桜の下で女子トークに花を咲かせる
  • お花見は「春の家族レジャー」 - 子どもや夫婦、ペットも一緒に楽しむ
  • 場所選びの一番人気は「花密度」 - トイレや水場、駐車場、出店なども重視
  • 一つの場所に留まらず、移動しながら桜を楽しむ「散歩派」「ドライブ派」に支持!
  • 子どもと一緒なら「ピクニック派」、大人同士なら「宴会派」
  • 人気ナンバーワンは「お花見弁当」 - 遠足気分、野外でお弁当を広げる楽しみ
  • 「おにぎり」「揚げ物」など、箸や皿を使わず、手や楊枝でつまめる手軽さもポイント
  • ハレの日、お花見は「ビール」で乾杯! - 女性には味の豊富な「チューハイ」が人気
  • ドライブ派は「ノンアル片手にお花見」が常識化!? - 寒さ凌ぐ「温かいお茶」も
  • 一人当たりの参加費は「2,000円台」 - 弁当持参など、低コストで満足度高いレジャー

リポートをコンパクトに要約する能力にやや不安を残すんですが、今夜のエントリーでは、急に暖かくなってサクラの開花も待ち望まれるこのタイミングで、お花見に関するアンケート調査結果について、いくつか図表を引用しつつ簡単に紹介したいと思います。

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まず、お花見に行くつもりかどうかを聞いた問いの回答結果をここ数年で並べたのが上のグラフです。今年のお花見については、「必ず行くつもり」と回答した人は29.6%に上り、さらに「まだ決まっていないが行くつもり」という声も31.3%に達しており、全体の6割以上の回答者が「今春、お花見に行く」意向を持っているということになります。我が家では、結婚して子供達が生まれたのが杉並に住んでいたころで、近くに井の頭池を水源とする川が流れており、その当時に何度か井の頭公園まで花見に行った記憶があります。ボートにも乗りました。でも、上の倅が幼稚園に上がるころに私がジャカルタに海外赴任してしまい、その後はお花見の習慣はなくなってしまった気がします。

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次に、お花見のタイプについての問いの回答結果は上の表の通りです。各タイプの厳密な定義はともかく、雰囲気で理解するとして、その昔のお花見は3番目に出現する「宴会派」だったような気がします。レジャーシートを張って、その上で飲めや歌えやの宴会をするわけです。でも、最近では「散歩派」や「ピクニック派」も少なくないようです。なお、図表の引用は省略しますが、どこに行くかとの問いに対しては、「桜の本数の多い場所」(47.4%)と自宅に近い場所(47.3%)が拮抗した結果となっています。

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最後に、1人あたりのお花見予算に対する回答結果のグラフは上の通りです。エコノミストとしては気にかかるところですが、全体の6割の回答者が1,000円以上3,000円未満のレンジに収まっており、お花見はそれなりに低コストのアウトドア・レジャーであるといえそうです。また、これも図表の引用は割愛しますが、ビール会社のアンケートに配慮した回答者から、お花見で楽しみにしている飲料はビールが65.3%と2番目のチューハイ(23.5%)を大きく上回ってトップとなっています。

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2014年3月23日 (日)

春を迎えて体重管理に精を出す!

今年の冬はかなり気温が低くて積雪もたびたびあって、私の肉体はせっせと皮下脂肪を貯めこんでいたようですが、このお彼岸の連休から気温も少しずつ上がるようになり、春を迎えて体重管理に精を出しています。
私の場合、体重管理の中心はスポーツです。特に、この花粉が飛散する季節は室内競技ばっかりです。花粉の季節が終われば自転車で出かけもしますが、3月に自転車で遠出したりすれば大きなダメージを受けることは確実です。ですから、カロリー消費の効率性は測りがたいものの、時間的に長い時間やっているのは水泳です。私は中学高校と水泳の授業の記憶がなく、水泳は決して得意ではないため、室内プールで泳ぐのはクロールと平泳ぎばっかりで、背泳ぎやましてやバタフライなんぞの他の泳法は出来ません。世間の常識の通り、平泳ぎよりもクロールの方が速いのは当然ですが、私の場合はなぜか、足にプルブイをはさんでキックを打たずにクロールで泳ぐ方が、キックを打つクロールよりも速く泳げます。とても不思議です。
下のグラフはBMIの推移です。3月に入って大きく低下しているのが努力の結果だったりします。

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2014年3月22日 (土)

マスクはいかに活用されているか?

私は冬に入って12月くらいの寒くなった時期から始まって、花粉の終わる4月下旬まで、ほぼ半年近くの間、外出にはマスクが手放せないんですが、今週水曜日の3月19日にネット・リサーチ大手のディムズドライブから「マスク」に関するアンケート結果が公表されています。マスクは毎日交換し、プリーツ型が80%を超え、一番の不満は「メガネが曇る!」など、私も大いにうなずける点が報告されています。まず、ディムズドライブのサイトから調査結果のポイントを何と11点引用すると以下の通りです。

「マスク」に関するアンケート
  • 自分が風邪・インフルエンザ・ノロ等に罹った時のマスク着用率、半数の50.9%
  • マスク利用者の「予防着用率」は74.2%
  • マスク交換のタイミングは? 1日1枚、次の日になったら交換
  • マスク姿は相手に失礼かなと気を遣うのは「改まった食事会」
  • プリーツ型 80.8%、立体型 8.2%
  • 4人に1人が「どのブランドか分からずに使っている」
  • マスクのサイズ、女性の15%が「合わない」
  • マスクへの不満は「メガネが曇る!」 女性の3割は「メイクが落ちる」事も不満
  • 惹かれるフレーズは? 「メガネがくもらない」「抗菌」「息・呼吸ラクラク」「ピッタリフィット」
  • マスクをしない人の6割は 「マスクの習慣が無い」
  • "伊達マスク"、10・20代女性の4割が「経験あり」

私自身がマスクのヘビーユーザーですので、調査結果はとても興味深いところです。ということで、上のポイントのうちからいくつか図表を引用しつつ、簡単に紹介したいと思います。

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マスクは基本的に予防のため、自分自身が罹患しないことと他人にうつさないことの療法の意味での予防を目的としているという結果が出ていますが、それはそれとして省略し、私もご同様で、マスクの取替えについては1日1枚が基本と思います。上のグラフの通りです。ただし、私の場合、取り替えるのは夕方、すなわち、帰宅する時です。上のグラフの下のパネルでは4番目の「内側が湿気等で不快になったとき」に相当すると思います。というのは、朝の一番気温が低い時にこうなるので、朝の通勤後にマスクを捨てて、帰宅の際に新しいマスクをする、というのが私のデフォルトになっています。

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マスクのタイプはプリーツ型で、50-100枚位の箱買いというのも基本でしょう。ここでは出現しませんが、プリーツ型で上の方にワイヤが入っているマスクなんだろうと思います。まだ、ガーゼの平型マスクをしている人もいるようですが、私はここ2-3年では見かけたことがありません。高齢者が病院や何らかの施設の中なんかで使っているのかもしれません。お徳用っぽいプリーツ型でなく、いわゆる立体型は高級感があるのかもしれません。また、透明マスクというのが0.3%を占めていますが、私は見たことがありません。ネットで検索してみましたが、かなり高額なようで、私のような薄給の公務員には手が出ないと感じました。医療用なんかの用途なんでしょうか。

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マスクに対する不満は眼鏡が曇る、これに尽きます。ただし、我が家の下の倅なんぞは息苦しいと訴える時もあります。それから、フィットせずに隙間ができるという不満もありますが、先日、電車に乗っていて、私の横に座って居眠りしている人のマスクが呼吸のたびにピコピコと膨らんだりしぼんだりするのを見て、向かいに座っていた小学生の集団が、このマスクを高級品と認定していました。呼吸のたびにピコピコと膨らんだりしぼんだりするのは、要するに、フィット感がよくて隙間ができていないから、という理由らしいです。分かる気もします。それから、どうでもいいことですが、マスクのヒモとイヤホンの関係は、私はイヤホンをしてからその上にマスクをするようにしています。

最後に、図表は引用しませんが、上に引用した調査結果の最後のポイントにある通り、若い女性で「伊達マスク」をする人が一定の割合でいるようです。アニメ「クレヨンしんちゃん」のベニサソリ隊を思い出してしまいました。なお、「伊達マスク」とは違うのかもしれませんが、私も何らかの理由でヒゲを剃らずに出勤する日にマスクをすることがあります。

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2014年3月21日 (金)

今週の新刊書の読書感想文

この週末は、私のように3連休というサラリーマンも少なくないと思いますし、また、我が家の倅どものように春休みが始まっている学生や生徒の諸君もいっぱいいそうな気がします。弘通、読書の季節といえば秋なんでしょうが、花粉症で出歩くのが億劫な私のような人間にとっては、この春の季節も読書に適していそうな気がします。というころで、今週の読書は以下の通りです。

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まず、ネイト・シルバー『シグナル&ノイズ』(日経BP社) です。ひと昔前の「情報化時代」なんていわれたこともありましたが、特にインターネットの発達に伴って、利用可能な情報量はうなぎ上りに増加しています。しかし、ホントに必要なシグナルなのか、単なるノイズなのかは一見して判断に苦しむ場合もあります。ノイズをシグナルと誤認すると過剰適応(オーバーフィッティング)の問題を生じます。また、本書では、特に何かを賭ける場合、典型的にはギャンブル、にはベイズ統計の利用をオススメしています。ア・プリオリに決まるコイントスとかサイコロのような客観的な確率は別にして、しょせん、確率とはかなりの程度に主観的なものなのですから、事前と事後の確率を推定するベイズ統計は理にかなっているかもしれません。本書は学術書というよりも、ジャーナリストが取材した結果のような部分も少なくありません。また、p.493 からの10ページほどを読めば本書をすべて読んだうちの5割くらいの知識を得ることが出来ます。その意味で本屋さんで立ち読みするのに適した本だという気もします。

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次に、嶋中潤『代理処罰』(光文社) です。日本ミステリー文学大賞新人賞の受賞作品だそうです。妻は自動車事故で老女を轢き殺して出身地のブラジルに帰国してしまった後、高校生の娘が誘拐され、身代金引渡しに指名された妻を探してブラジルに渡伯するというストーリーです。なかなかよく考えられたプロットのミステリなんですが、いかんせん、タイトルとした「代理処罰」はまったくストーリーやプロットに関係しません。「代理処罰」に関する法律的な議論に興味ある向きには大きく肩透かしを食ったような読後感が残るかもしれません。新人賞受賞作品ですから、当然ながら、新人が書いています。そのつもりで読み進むべきです。

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次に、『首都崩壊』(幻冬舎) です。私はこの作者の作品は何冊か読んだことがあり、そのうち、強毒性の鳥インフルエンザのパンデミックを取り上げた『首都感染』は2011年5月29日のエントリーで読書感想文を披露していたりします。また、本書では首都圏直下型の地震に焦点を当てていますが、同じテーマの『M8』も読んだことがあります。なお、「エム・エイト」と読みます。『M8』が地震予知に的を絞った理系作品であったのに対し、本書『首都崩壊』は首都直下型地震による被害を避けるために、何と、首都移転を実行しようとする官僚や政治家や建築家にスポットを当てている文系作品です。東北の震災後に書かれた小説であり、首都直下型地震に対して、とても斬新な視点を提供している気もしますが、ややあり得ないという意見もあるでしょう。同じ作者が同じ首都直下型地震をテーマにしている小説としては『M8』の方を私は熱烈にオススメします。

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最後に、もう20年ほども昔に始まったミステリのシリーズなんですが、有栖川有栖「臨床犯罪学者・火村英生の推理」シリーズ が角川ビーンズ文庫で改めて出版されています。エラリー・クイーンや法月綸太郎のように、作者と同じ有栖川有栖が登場するシリーズですが、英都大学の推理小説研究会の江神部長を探偵役に据えた「学生アリス」シリーズの続きの「作家アリス」シリーズです。探偵役はタイトルの通り、英都大学助教授の火村英生です。「学生アリス」シリーズは既刊で長編4冊だけで、私はすべて読んでいると思うんですが、「作家アリス」シリーズは膨大にあります。もっとも、短編が多いのも事実です。エラリー・クイーンの向こうを張って国名シリーズも含まれていたりします。私が知る限り、既刊は上の6冊なんですが、悲しくも現時点で角川書店のwebサイトが不正侵入にあって閉鎖されているため確認できません。

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2014年3月20日 (木)

2015年卒大学生の就職に関する意識やいかに?

先週から今週にかけて、卒業式のシーズンで、女子大生なんでしょうか、袴姿の若い女性を見かけたりします。私も大学の教員を2年間だけですが務めた経験があり、リーマン・ショック後の大学生の就職が厳しかったころですから、大学生の就活や就職に関する意識には特に注目しています。雇用を重視するエコノミストである点は何度か、このブログでも表明しているところです。ということで、一昨日の3月18日に来年2015年に卒業する大学生を対象にした「マイナビ大学生就職意識調査」の結果が公表されています。詳細な集計結果がpdfの全文リポートでも明らかにされています。まず、マイナビ採用サポネットのサイトからTOPICSを6点引用すると以下の通りです。

TOPICS
  • 就職観で上昇した項目は「楽しく働きたい」「個人の生活と仕事を両立させたい」
  • 大手企業志向2年連続で上昇
  • 企業選択のポイントで「安定している会社」や「給料の良い会社」が2年連続で増加
  • 行きたくない会社で「休日・休暇が取れない」や「残業が多い」が上昇
  • 就職希望度、「なにがなんでも就職したい」は、前年比1.9pt増の89.7%
  • 海外志向で「海外勤務はしたくない」が5割

ということで、3連休前の今夜のエントリーでは、この大学生の就職意識調査について、リポートマイナビ採用サポネットのサイトから、何点か図表を引用しつつ、簡単に紹介したいと思います。ブログではすべて取り上げ切れませんが、毎年、定点観測のように同じ質問をしているので15年くらいの長期時系列のグラフも多く、リポートをじっくり読むとかなり興味深い点を見出すことが出来ると思います。

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まず、大学生の職業観です。上のグラフは、今年2014年卒業生と来年卒業の学生を並べてあります。パッと見で、「楽しく働きたい」の割合が増えて、「人のためになる仕事をしたい」が減っています。では、「世のため人のため社会のため」、ではなく、利己的な動機に基づく職業観か、というとそうでもない気がします。例えば、別の動機なんでしょうが、公務員人気は相変わらずと聞いたりもします。もっとも、この調査では公務員人気は分かりません。いずれにせよ、リポートの p.1 のグラフを見る限り、「楽しく働きたい」が2001年卒から2015年卒まで15年連続でトップの位置を占めているのは事実です。

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大手企業志向について長期の動向をプロットしたのが上のグラフです。「絶対に大手企業がよい」と「自分のやりたい仕事ができるのであれば大手企業がよい」の合計の割合を取っています。バブル経済の余韻の残る1993年から統計があるようですが、最近、2001年以降くらいでは、やっぱり、リーマン・ショック直前のころがひとつのピークと見なせますし、逆に、昨年2013年卒がボトムとなっていたりします。おそらく、この大企業志向については景気動向や景気に連動する雇用情勢をモロに反映しているんだろうと私は受け止めています。すなわち、最近、2年連続で大企業志向が高まっているのは、アベノミクスに伴う景気の改善を受けた動きと考えるべきです。

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次に、大企業などの企業規模を別にして、行きたい企業と行きたくない企業に関しては、まず、「どのような企業がよいと思うか」に関する回答が上のグラフの通りです。1人で2つの選択肢まで回答できるようになっています。リポートの p.4 のグラフに2001年卒業生からの推移が示されていて、一貫して、「自分のやりたい仕事(職種)ができる会社」がトップなんですが、リーマン・ショックを境にして「働きがいのある会社」よりも「安定している会社」の比率が高くなる傾向を見出すことが出来ます。そうなのかもしれません。

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最後に、「行きたくない会社」の回答が上のグラフの通りです。これも、1人で2つの選択肢まで回答できるようになっています。一言で表現すれば、「ブラック企業」ということになるのかもしれませんが、そのようなズバリの選択肢はありませんので、「ブラック企業」の中身を問うているのと同じ意味だと私は理解しています。ここ2-3年では、15年間ずっとトップだった「暗い雰囲気の会社」の割合が低下して来て、「ノルマのきつそうな会社」や「休日・休暇がとれない(少ない)会社」の割合が大きくなっているようです。これも分かる気がします。

このブログでは紹介するにもスペースなどに限界がありますが、リポートでは、いくつかの結果について男女別や文系と理系の別、あるいは、エリアデータなども明らかにしており、また、今夜のエントリーでは紹介し切れなかった結果、例えば、最初に引用したTOPICSの5点目、6点目のように、「就職希望度(なにがなんでも就職したい)」、「志望職種」、「海外志向」なども含まれています。特に、「海外志向」について、チリでの大使館勤務とジャカルタでの開発援助の2回の海外勤務を経験した私としては、「海外勤務はしたくない」が過半の51.2%を占めるという結果は少しショックでした。

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2014年3月19日 (水)

貿易赤字は解決されねばならない政策課題なのか?

本日、財務省から2月の貿易統計が発表されています。いずれも季節調整していない原系列の統計で、ヘッドラインとなる輸出額は前年同月比+9.8%増の5兆8000億円、輸入額は+9.0%増の6兆6003億円、差引き貿易収支は▲8003億円の赤字となりました。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

貿易赤字8003億円、2月最大に 輸入が9%増
財務省が19日発表した2月の貿易統計(速報、通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は8003億円の赤字だった。貿易赤字額は2月としては、比較可能な1979年以降で最大。前年同月は7733億円の赤字だった。貿易赤字は20カ月連続で、2013年9月以降、最長期間を更新し続けている。
全体の輸入額は前年同月比9.0%増の6兆6003億円。79年以降で、2月では最大だった。円安を背景に原油や液化天然ガス(LNG)など高水準の燃料輸入のほか、中国からの電子部品などの輸入増加が目立った。輸入額の増加は16カ月連続。半面、輸入数量指数は0.5%減と、5カ月ぶりの減少だった。
一方、輸出額は9.8%増の5兆8000億円で、12カ月連続で増えた。中華圏の大型連休である春節(旧正月)が今年は1月末だった影響もあり、2月の中国向けの輸出額が前年比で3割近く増えたことが大きい。中国向けに自動車や、液晶デバイスなど科学光学機器、プラスチックなどの輸出が伸びた。輸出数量指数は5.4%増で、増加は2カ月ぶり。
為替レート(税関長公示レートの平均値)は1ドル=102円83銭で、前年同月比12.4%の円安だった。
貿易収支を地域別にみると、対中国は1108億円の赤字、対アジアは3525億円の黒字。対欧州連合(EU)は373億円の赤字。一方、対米国の貿易黒字は前年同月比8.3%減の4837億円だった。

やや長い気はするものの、いつもながら、とてもよく取りまとめられた記事です。次に、貿易統計のグラフは以下の通りです。上下のパネルとも月次の輸出入を折れ線グラフで、その差額である貿易収支を棒グラフで、それぞれプロットしていますが、上のパネルは季節調整していない原系列の統計であり、下は季節調整済みの系列です。輸出入の色分けは凡例の通りです。

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貿易赤字は続いていますが、先月1月ほどの大きさではないですし、そもそも、私は貿易赤字や経常収支の赤字が、我が国製造業の国際競争力の低下に起因するものではないと考えていますし、政策課題として取り組むことにより早期の黒字転換が必要とも考えていません。ただし、政府の財政赤字と経常赤字が並立する「双子の赤字」に、もしも日本が陥るとすれば、貯蓄投資バランス上で貯蓄不足が原因である可能性が高く、何らかの政策の必要性は認めます。例えば、政府支出を削減するとともに民間部門に対して増税を行って財政赤字の減少を目指すとか、であり、この実例は現に実行されつつある政策です。しかしながら、1980年代のレーガン政権下の米国のように、過剰消費が我が国の家計部門で生じているとはとても思えません。高齢化に伴うマクロの貯蓄不足はあり得ますが、現時点でそこまで深刻化しているとは受け止めていません。ですから、国際競争力回復のためと銘打って、カギカッコ付きの「成長産業」に政府の財政リソースを振り向けるターゲティング・ポリシーを、これまたカギカッコ付きの「成長戦略」と称して実行するのは貿易赤字解消のために有効かどうかは大いに疑問だと考えています。出来れば避けたい気がします。

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上のグラフは輸出の推移です。上のパネルは、季節調整していない原系列の輸出額指数の前年同月比伸び率を輸出数量指数と輸出価格指数で寄与度分解したものであり、下のパネルは輸出数量指数の前年同月比伸び率と1か月のリードを取ったOECD先行指数の伸び率を重ねるようにプロットしています。下のパネルの影をつけた部分は景気後退期なんですが、いつものお断りで、このブログのローカル・ルールにより直近の景気の谷は2012年11月と仮置きしています。この輸出の動向を詳しく見ると、いわゆるアベノミクス後の輸出額は、主として為替の円高修正ないし円安に伴う価格効果で増加して来ていたのが見て取れる一方で、ここ数か月で輸出数量も伸び始めているのも事実です。これは下のパネルから、先進諸国の景気回復に伴う動きであることが読み取れます。まだ中国などの新興国・途上国の景気低迷による輸出の伸び悩みが解消されたわけではありませんが、世界経済の回復ないし拡大とともに我が国の輸出は増加基調を取り戻すと期待してよさそうです。もちろん、そろそろJカーブ効果も終了するでしょう。統計上の貿易赤字のすべてではありませんが、赤字のうちの日本と世界の景気局面の違いにより生じた部分は、この先、緩やかながら解消に向かうと私は考えています。

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貿易赤字のもうひとつの側面である燃料輸入のグラフは上の通りです。鉱物性燃料輸入額とそのうちのLNG輸入額を面グラフで、LNG輸入数量を折れ線グラフでプロットしています。引用した記事では、原油やLNGなどの燃料輸入が貿易赤字の原因のひとつとして取り上げられており、決して、私はこの見方を否定するものではありませんが、少なくとも、この燃料輸入増のかなりの部分は我が国の景気回復ないし拡大に起因するものであると考えるべきです。当たり前ですが、原発を再稼働すれば燃料輸入が落ち着きを取り戻して貿易収支が黒字に戻る、かどうかは定かではないと覚悟すべきです。

繰返しになりますが、貿易収支の赤字化、また、貿易赤字に起因する経常黒字の大幅な縮小や赤字化について、輸出と輸入の面から見て疑わしい論調が2点あります。輸出面では、貿易赤字を国際競争力の低下に起因すると考え、有望産業に政府の財政リソースを振り向けるような「成長戦略」に私は大きな疑問を感じますし、同様に、輸入面から、貿易赤字の原因を原発停止に伴う燃料輸入の増加と見なす意見にも同意できません。そして、何よりも貿易赤字の解消を経済政策の重要な政策課題のひとつと考える論調には賛成しかねます。

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2014年3月18日 (火)

今年の花粉症やいかに?

今シーズンの花粉飛散量は、東京近郊では昨シーズンに比べて半分以下というのが事前の予想だったんですが、実は、3日前の土曜日、私は少し自転車で遠乗りをした加減もあるのかもしれませんが、夕方から鼻水が止まらなくなりました。今シーズンに入って、もっとも重篤な花粉症の症状だったと思います。どうも、私の実感では、今シーズンの花粉の飛散量が少ないのは時期が遅くからしか飛散しないからであって、1日当たりの花粉飛散量は決して昨シーズンと比べて少ないわけではないらしい、という気がしています。というわけで、前置きが長くなりましたが、先週3月13日にネオマーケティングから「花粉症に関する調査」の結果が公表されています。37.3%が「今年の花粉症は重い」と予想しているほか、何点か私もうなずける結果が出ています。まず、リポートから【調査結果概要】を3点引用すると以下の通りです。

【調査結果概要】
【1】今年の花粉予報! 37.3% が「今年の花粉症は重い」と予想
【2】1シーズンの対策・治療費用は「3,000円未満」55.1%
【3】花粉症歴で異なる効果的対策グッズ、ビギナーは「マスク」ベテランは「処方される飲み薬」

今夜のエントリーでは、以下、リポートからいくつかグラフを引用して、調査結果について簡単に紹介したいと思います。

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まず、去年の症状と今年の症状の予想に関する結果は上のグラフの通りです。私は去年も今年も「やや重」と回答するんではないかと思います。私は関西人らしくアッサリした性格で、粘着質でも、ましてや恨みがましい性格ではないと自分で考えているんですが、花粉症だけは年々重篤な症状を呈するような気がします。後の設問との関係でいうと、私は発症してから7-8年なんですが、50歳を超えて体力的に下り坂なのか、年々花粉の飛散量が増えているのか、毎年のように過去最悪の症状を呈しているように思えてなりません。それでもまだ、「やや重」でとどまっている気がします。

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次に、シーズン当たりの平均の花粉症対策費の調査結果は上のグラフの通りです。私はマスクのほか、飲み薬と目薬はいずれも処方薬ですので、シーズン通して1万円近くかかっていると思います。ゼロも含めて3,000円未満で過半の50%超ですから、私はコストがかかっている方だと自覚しています。ただ、上のグラフを見る限り、早くから発症している人ほど費用がかかっているように見えます。私も症状が重篤だから、というのとともに、花粉症にかぎらず風邪などでも、医者に行って処方薬をもらうのがひとつの習慣になっている、というのも理由かもしれません。

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最後に、花粉症対策グッズは上のグラフの通りです。手軽なマスクが人気を集めていて、私も愛用して手放せないんですが、やっぱり効果があるのは処方薬だという気がします。最初の【調査結果概要】にある通り、発症してから時間がたっていない人はマスクに頼り、時間がたつにつれて処方薬の効果を認める、という傾向があるのは確かなようです。
私の場合は、いずれも処方薬の飲み薬と点眼薬です。飲み薬は基本的に朝晩1錠ずつ毎日2錠の錠剤なんですが、行きつけのアレルギー科の先生から、花粉が少ない日は1錠でも十分だから自分で判断して服用するように、と指示されていたりします。眠くなりにくい薬を処方してもらっていますが、重篤な症状が出た際に服用する方の薬はものすごく眠くなります。それはともかく、慢性のアレルギー薬とはいえ、6週間分しか処方箋を出してくれませんので、1シーズンに2回は医者に行くことになります。このシーズンにはとっても混み合うアレルギー科ですので、それはそれで負担になります。

3月終わりから4月に入ると、花粉の主役がスギからヒノキに交代し、人によっては症状が軽くなったりするようですが、私はゴールデンウィークまでノンストップで花粉症が続きます。花粉症でない人には、3月半ばの今ごろは、そろそろ暖かくなって陽気のいい季節に入るんですが、今日の春一番なんか、私にとっては花粉をもたらす恐怖の風だったりします。ゴールデンウィークまで気が抜けません。

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2014年3月17日 (月)

GfK調査に見る家電販売の駆込み需要やいかに?

先週金曜日3月14日に市場調査会社大手のGfKから「主要家電製品の販売動向」と題するリポートが発表されています。2月の家電量販店における主要家電製品の販売動向の詳細が明らかにされています。まず、リポートから【概要】を引用すると以下の通りです。

【概要】
  • 1、2月のエアコン、冷蔵庫、洗濯機の販売台数は過去5年の同月と比べ最多。
  • 平均単価が上昇、販売金額の伸び率は台数を大きく上回る。
  • 3月に入り駆け込み需要は小型家電にも波及。

次に、同じリポートから2月の前年比増減と直近3月の月初まで含めた週次数量前年比増減のグラフを引用すると以下の通りです。

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上のパネルを見ると、テレビとパソコンについては数量の増加は大きくないものの、販売金額は増加を示しています。白物の生活家電であるエアコン、冷蔵庫、洗濯機は数量ベースでも大幅に増加しており、両者に共通して、販売金額の前年比が大幅に増加しているのが読み取れます。当然ながら、販売単価が上昇しているわけで、消費増税前の影響による値上がりの大きそうな高額の家電耐久財に対する駆込み需要が広がっているのが見て取れます。一応、念のためなんですが、昨年2月がうるう年だった点は忘れるべきではありません。下のパネルの週次のグラフには関係ありませんが、上のパネルの月次のグラフでは影響は小さくありません。今年の2月はうるう年翌年のウラ年であるにもかかわらず前年比で大幅プラスを示しているわけです。また、下のパネルに目を転じると、ずっと前年比プラスをを続ける生活家電を別にすれば、本格的な駆込み需要は2月最終週から始まっており、オーディオを除いて、3月3日の週からは前年比で2桁の伸びを示しています。このリポートからは何ともいえませんが、3月の駆込み需要はさらに勢いを増している可能性があります。なお、2月10日の週から2月17日の週にかけて一部の品目において伸び悩んでいるのは積雪に伴う外出手控えの可能性があります。調査の対象が家電量販店ですから、例えば、ネット通販よりは積雪の影響は大きいものと考えるべきです。逆から見れば、2月の寒波と積雪により3月の駆込みがさらに大きくなる可能性が否定できません。

当然のことながら、「山高ければ、谷深し」ですので、3月末までの駆込み需要が大きければ大きいほど、4月からの反動減も大きくなります。2月統計からは積雪の影響があって駆込み需要は1997年に比べて小さそうに見えたんですが、実は、積雪影響分は3月に上乗せされるのかもしれません。まだ3月が終わっていないだけに何ともいえません。

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2014年3月16日 (日)

第一生命の「第27回サラリーマン川柳」の投票結果やいかに?

少し前に、第一生命経済研究所に行く用件があって、第一生命の本社を皇居のお堀側から入ったんですが、なかなか賑々しく「サラリーマン川柳」の宣伝がしてありました。第一生命のサイトを見ると、「じぇじぇじぇ」とか、「倍返し」とかの昨年の流行語がいくつか取り入れられていたりします。

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上の画像にもある通り、投票締め切りは今週3月19日です。もしも投票したい向きにはお早めに。私はすでに投票を済ませました。

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2014年3月15日 (土)

今週の新刊書の読書は文庫本2冊だけ

いろいろと図書館のめぐりが悪いというか、花粉症が本格化して体調がすぐれないというか、今週の新刊書の読書は以下の文庫本2冊にとどまりました。今日から明日にかけては少し図書館を回って、何冊か新刊書を借りたいと思っています。

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まず、三上延『ビブリア古書堂の事件手帖 5』(メディアワークス文庫) です。前巻から告知されているところですが、このシリーズも半分を超えたようです。前巻で栞子の母親が登場し、この最新刊で大輔の告白に栞子が回答します。せどり屋の志田の人物像も徐々に明らかにされます。古書に対するウンチクとしては、手塚治虫、特に『ブラック・ジャック』に対するウンチクが興味深かった気がします。小説と関係なくて、どうでもいいことを2点上げると、第1に、表紙の栞子が妙に丸く太っている気がします。第4巻まではもっと細身でシャープな印象だったような気がしないでもありません。第2に、昨年1-3月期にフジテレビで実写のドラマ化されたビデオを初めて見たんですが、やっぱり、主演女優さんの印象が原作とドラマで違うという意見にもうなずけるものを感じてしまいました。

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次に、高田郁『美雪晴れ みをつくし料理帖』(ハルキ文庫) です。私は50歳を越した年齢からしても時代小説は少なからず読んだりするんですが、新作が出ると必ず買っているのがこの「みをつくし料理帖」シリーズと佐伯泰英の「居眠り磐音 江戸双紙」のシリーズです。この最新刊『美雪晴れ』では、ご寮さん芳が柳吾の元に嫁いで一柳の女将に収まるとともに、いよいよ澪が吉原に乗り込んで鼈甲珠を売り始めます。最後のおまけの短編に小松原がチラリと登場します。いよいよ、このシリーズも今年8月刊行の最終巻『天の梯 (そらのかけはし)』で完結を迎えます。とても楽しみです。雲外蒼天と旭日昇天の行く末やいかに?

今週は特に予約しておいた本が回って来ませんでした。今日のエントリーの2冊は私にしてはめずらしく、いずれも買い求めた本です。ここに取り上げた以外は、旧刊の文庫本で、京都大学ミステリ研を中心とする新本格派、すなわち、法月綸太郎、綾辻行人、我孫子武丸、有栖川有栖などの長編・短編を楽しみました。来週の読書やいかに?

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2014年3月14日 (金)

価格.com リサーチ「消費税率アップ直前意識調査」にみる駆込み需要やいかに?

いよいよ消費税率引上げまであと半月ほどを残すばかりとなりましたが、今週月曜日の3月10日に、価格.com リサーチから「消費税率アップ直前意識調査」と題する調査結果が公表されています。期間や対象者などの調査の詳細は明らかではないんですが、それなりに興味深い結果が示されています。調査対象者に大きなバイアスを含むことを承知の上で簡単に紹介したいと思います。まず、価格.com のサイトから topics を5点だけ引用すると以下の通りです。

topics
  • 消費税率アップの賛否: 「賛成」21.7%、「反対」54.7%。シニア層は税率アップに理解を示す
  • 消費税率アップ「賛成」意見: 国の財政状況を考えると消費税率アップはやむを得ない
  • 消費税率アップ「反対」意見: 税率アップのタイミングに異論あり。景気悪化懸念、税金の"無駄使い"削減の優先を訴える声も
  • 家計見直しの意向: 「見直す」「すでに見直した」で合計60%超。家族が多い世帯ほど、家計見直しが切実に
  • 消費税率アップを見越して購入したもの: 「車」や「住宅のリフォーム」など高額製品・サービスに高い需要

最初にお断りしておきますが、同様の消費税率引上げに関するアンケート調査はいっぱいあるんですが、例えば、大手調査会社のインテージの『消費税増税 影響分析プロジェクト』レポート第1弾なんぞは、スマートフォンのアプリを使った調査で、調査客体のバイアスがかなり激しい気がして取り上げていません。もちろん、この調査でも回答者のバイアスは当然に気にかかります。また、リサーチプラスの「増税に関する調査」なども参考になると思います。ただ、今日のエントリーで取り上げる価格.com リサーチの「消費税率アップ直前意識調査」は駆込み購入に関して、極めて詳細な商品分類で質問していますので、そのアドバンテージは大きいと考えています。見れば分かりますが、デジカメを「コンパクト」と「一眼レフ」に分けているほどの念の入れようだったりします。もちろん、タイトルにもある通り、直前のタイミングでの調査結果も興味深いと私は考えています。
ということで、今さらながら、消費税率の引上げの賛否を質問してもしょうがない気はするものの、まず最初、下のグラフは「消費税率アップの賛否」です。当然ながら、過半の回答者が反対を表明しています。特に、私からコメントする気にもなりません。

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続いて、下のグラフは「家計見直しの意向」に関する回答結果です。何とも評価の難しいところですが、見直さないとする家計が 1/4 ある一方で、やっぱり、かなりの家計で見直し機運が高まっていることは確かであろうと思います。もちろん、このような調査に対する回答なんですから、見栄を張って回答している可能性があり、その分のバイアスは考慮すべきかもしれません。また、家計の見直しがいつまで続くのかも不明です。

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続いて、「消費税率アップを見越して購入したもの」の回答結果が下のグラフの通りです。やっぱり、世間で報じられている通り、「自動車」がトップです。あとは、日用品と住宅リフォームを別にすれば、ほぼ家電の耐久消費財が並んでいるという形です。「時計・アクセサリー・ブランド品」がもっと多いかと私は想像していましたが、そうでもないようです。

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最後に、「消費税率アップを見越してこれから購入したいと考えているもの」の回答結果は下のグラフの通りです。店頭に並んでいる商品と違って、「自動車」が上のグラフと比べてかなり落ちています。納車時期との見合いなんだろうと思います。また、目立たないんですが、「定期券、新幹線チケット、航空券」が上のグラフからジワリと増加しています。我が家でも、消費税率引上げに伴う運賃改定前に6か月定期券を購入しておこうと考えています。

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すでに、一部で実施されているところですが、消費税率の引上げにともなって、かなりの店舗で価格表示が外税方式に変更されます。最初はやや戸惑うかもしれません。それにしても、サイフに1円玉が増えそうな予感がします。

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2014年3月13日 (木)

高い伸びを示した機械受注と春闘結果の取りまとめ

本日、内閣府から1月の機械受注統計の結果が発表されています。GDPベースの民間設備投資の先行指標となるコア機械受注、すなわち、船舶と電力を除く民需で定義される機械受注は季節調整済みの系列で8,435億円、前月比+13.4%増と高い伸びを記録しました。まず、統計のヘッドラインを報じる記事を日経新聞のサイトから引用すると以下の通りです。

1月機械受注、13.4%増 伸び率は過去2番目の高さ
内閣府が13日発表した1月の機械受注統計は、民間設備投資の先行指標とされる「船舶・電力除く民需」の受注額(季節調整値)が前月比13.4%増の8435億円だった。プラスは2カ月ぶりで、伸び率は統計が遡れる2005年4月以降で13年3月(14.2%増)に次ぐ過去2番目の高さだった。前月が15.7%減と過去最大の落ち込みだったこともあり、反動で製造業、非製造業とも2ケタの伸び率を示した。
主な機械メーカー280社が製造業から受注した金額は13.4%増の3318億円と2カ月ぶりに増加した。電気機械向けの半導体製造装置や化学機械、化学工業向けのポンプや油圧機器などの需要が拡大した。
船舶・電力を除いた非製造業から受注した金額も12.1%増の5110億円と2カ月ぶりに増加した。金融・保険業向けのコンピューター、運輸・郵便業向けの鉄道車両などの需要が増えた。
内閣府は機械受注の判断を前月の「増加傾向にある」で据え置いた。

いつもの通り、いろんなことをとても適確に取りまとめた記事だという気がします。次に、機械受注のグラフは以下の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその6か月後方移動平均を、下は需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。影をつけた部分は景気後退期なんですが、毎度のお断りで、直近の景気の谷は2012年11月であると仮置きしています。

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1月のコア機械受に関して、市場の事前コンセンサスは日経QUICKによる予測中央値に従えば、前月比で+7.5%増、予測レンジでも▲4.0減から+11.4%増でしたから、予測レンジを突き抜けて増加したといえます。基本的には昨年2013年12月の▲15.7%減に対する反動増であり、上のグラフの上のパネルで見て取れるように、コア機械受注のレベルで見て、1月の受注額は昨年11月に届きません。しかし、11月実績に届かないとしても、それなりの受注額を回復したというのですから、今後の設備投資動向には期待が持てそうに感じるエコノミストは私だけではないと思います。統計作成官庁である内閣府の基調判断の通り、機械受注は前月一時的に減少したものの、機械受注は増加基調にあることが確認された、と考えてよさそうです。

業種・企業名賃金改善年間一時金
自動車
日産自3,500円 (3,500円)5.6か月 (5.6か月)
いすゞ2,500円 (3,500円)6か月 (6か月)
トヨタ2,700円 (4,000円)6.8か月 (6.8か月)
三菱自2,000円 (3,500円)5か月 (5か月)
ダイハツ800円 (3,500円)5.5か月 (5.5か月)
ホンダ2,000円相当 (3,500円相当)6か月 (6か月)
富士重2,200円 (3,500円)5.9か月 (5.9か月)
ヤマハ発2,000円 (3,500円)5.5か月 (5.5か月)
電機
日立2,000円 (4,000円)5.62か月 (5.8か月)
東芝同上 (同上)業績連動
三菱電同上 (同上)5.74か月 (5.87か月)
富士電機同上 (同上)5か月 (5.2か月)
安川電同上 (同上)業績連動
NEC同上 (同上)業績連動
富士通同上 (同上)業績連動
OKI同上 (同上)4.5か月+0.1か月相当 (5.2か月)
パナソニック同上 (同上)業績連動
鉄鋼
新日鉄住金14,15年度計2,000円
(両年度それぞれ3,500円)
業績連動
神戸鋼同上 (同上)135万円 (150万円)
JFE同上 (同上)業績連動
造船・重機・機械金属
三菱マ14,15年度計2,000円
(両年度それぞれ3,500円)
業績連動
コマツ3,600円 (4,000円)業績連動
住友重14,15年度計2,000円
(両年度それぞれ3,500円)
4.95か月 (5.2か月)
クボタ3,000円 (4,500円)212万円 (220万円)
GSユアサ1,000円 (4,500円)5.12か月 (5.3か月)
三井造14,15年度計2,000円
(両年度それぞれ3,500円)
4か月+5万円 (5.3か月)
日立造同上 (同上)4か月+10万円 (4か月+40万円)
三菱重同上 (同上)4か月+53万円 (4か月+55万円)
川重同上 (同上)業績連動
IHI同上 (同上)5.11か月 (5.4か月)
情報通信
NTT1,600円 (3,000円)134万5000円 (134万5000円)
NTTドコモ同上 (同上)180万7000円
(昨年支払い水準=183万9000円)
NTTデータ同上 (同上)交渉中 (5.8か月)
流通
イトーヨーカ堂2,031円 (2,611円)業績連動
ローソン3,000円 (3,000円)業績連動
ファミリーマート5,000円 (5,000円)業績連動
高島屋500円 (500円)昨年上期実績に対し+3%増額
(昨年上期実績に対し+3%増額)
ニトリ2,173円 (4,896円)業績連動

ついでながら、上のテーブルは昨日の春闘いっせい回答の結果を取りまとめています。カッコ内は労働組合からの要求です。主として、出典は日経新聞のサイト朝日新聞のサイト毎日新聞のサイトほかです。漏れているところがあるかもしれません。ご容赦下さい。賃金動向にも期待が持てそうなんですが、今後は、上のテーブルにあるような名だたる大企業から中堅・中小・零細企業への波及、さらに、正規職員から非正規職員への波及の2点が課題であろうと思います。

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2014年3月12日 (水)

OECD「経済見通し中間評価」ほか、消費者態度指数と法人景気予測調査と企業物価

昨日、経済協力開発機構 (OECD) から「経済見通し中間評価」 OECD Interim Economic Assessment が公表されています。副題は "Ongoing recovery for advanced economies, variation among emerging economies" とされており、先進国が世界経済の成長を牽引する一方で、新興国経済の停滞が見通されています。日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

「先進国、成長ペース速まる」 OECD短期見通し
経済協力開発機構(OECD)は11日、主要7カ国(G7)の短期経済見通しを公表した。緩和的な金融政策や財政支出によって、先進国の成長ペースは速まっていると分析。日本は4月の消費増税で一時的にマイナス成長に陥るものの、その後は回復軌道に戻ると予測した。
G7の2013年10-12月期の実質国内総生産(GDP)成長率は、米国の政府機関閉鎖や大雪が影響し、年率換算で2%増と前期より減速する。ただ、投資が戻り、世界の貿易量は増加しているなど「成長は着実に戻っている」と指摘。社債などの資金調達も容易になっていると指摘した。
4月からの消費増税を控える日本の成長率は、14年1-3月期は駆け込み需要で4.8%増になる一方、4-6月期は2.9%のマイナス成長になると予想。ただ「その後は成長は戻る」と付け加えた。米国と独仏伊のユーロ圏主要3カ国の成長率はそれぞれ1-3月期で1.7%増、1.9%増、4-6月期は3.1%増、1.4%増と予測した。
米国の金融緩和政策の縮小は、新興国市場が不安定になった状況を踏まえ「注意深く市場と対話して進める必要がある」と主張。一方、日欧については、物価上昇率が依然として目標を下回っているとして「金融緩和は維持されるか、強化されるべきだ」と訴えた。
世界経済のリスクは減っているとしながらも、日本の財政健全化は「始まったばかり」としたほか、ユーロ圏も回復はなお脆弱と説明。さらに中国など新興国経済の先行きが不透明なことを挙げた。

やや長いんですが、よくまとまった記事ではないかと思います。今夜のエントリーでは、OECD が記者発表に用いたジャーナリスト向けの記者発表資料からいくつか図表を引用して、簡単に我が国と先進国の足元から目先の短期の経済見通しを紹介したいと思います。

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まず、記者発表資料 p.2 OECD Composite Leading Indicators を引用すると上の通りです。そのものズバリのOECD先行指標なんですが、左側がOECDの加盟の先進国、右側がBRIICsから中国を除くんですから、ブラジル、ロシア、インド、インドネシアの4国だと思います。左右で対比して明らかなように、現在の世界景気の回復ないし拡大は先進国が牽引しています。このため、グラフは割愛しましたが、世界貿易が大きく増加しています。先進国経済の成長によりボリューム効果が出ているといえます。

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そこで、先進各国の足元から目先の短期経済見通しについて、記者発表資料 p.4 Indicator-based forecasts for GDP growth in the major economies を引用すると上の通りです。当然ながら我が国経済の見通しに着目すると、最初に引用した日経新聞の記事にもある通り、今年1-3月期は消費税増税前の駆込み需要で年率+4%超の成長を記録した後、4-6月期には▲3%近いマイナス成長を経て、その後、成長軌道に戻る、"the hike of the consumption tax rate on April 1st is pulling up activity in the current quarter as consumers bring forward purchases, but is likely to be followed by a contraction in the second quarter, and a recovery thereafter" と見込まれています。

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ただし、OECDではGDP成長率の見通しについて不確実性はかなり高いとして、上のグラフを示していたりします。記者発表資料の p.9 Appendix から Uncertainty around GDP forecasts を引用しています。資金数階のOECD経済見通しについて、予測誤差の標準偏差がプロットされており、このグラフを見ると、特に日本の標準偏差が大きくなっているようです。もっとも、標準偏差ですから、上の外したのか下に外したのかは不明だったりします。

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ここで、目を国内に転ずると、本日、内閣府から2月の消費者態度指数が、また、財務省から今年2014年1-3月期の法人企業景気予測調査が、それぞれ発表されています。前者は需要サイドの消費者マインドを代表する指標であり、後者は日銀短観ほどではありませんが企業マインドを把握できる指標です。上のグラフの通りです。なお、毎度のお断りですが、このブログのローカル・ルールで、直近の景気の谷は2012年11月、あるいは、2013年10-12月期であったと仮置きしています。見れば分かると思いますが、上のパネルが消費者態度指数、下のパネルが法人企業景気予測調査(BSI)です。消費者態度指数は前月から▲2.2ポイント低下して38.3となりました。統計作成官庁である内閣府は基調判断を「足踏みがみられる」から「弱含んでいる」に下方修正しています。また、法人企業景気予測調査(BSI)も今年2014年1-3月期は+12.7と、5四半期連続のプラスで昨年2013年10-12月期のプラス8.3から改善したものの、先行き2014年4-6月期の見通しは▲9.8と大きく落ち込んだ後、7-9月期には+8.3にリバウンドすると見込まれています。消費税増税の影響により、消費者マインド、企業マインドともに足元から目先の4-6月期にかけて悪化の方向にあるように見受けられます。

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さらに、日銀から2月の企業物価指数 (CGPI)が、それぞれ発表されています。国内物価が前年同月比で+1.8%の上昇と、円安効果が剥落しつつありますが、着実にデフレ脱却の方向に進んでいます。為替効果による物価押上げのフェーズから需給ギャップによる物価上昇のフェーズに移行しつつある段階ですが、4月からの消費増税による一時的な需給ギャップの悪化がやや懸念されます。なお、いつもの企業物価のグラフは上の通りです。上のパネルは国内と輸出入別の前年同月比上昇率を、下のパネルは需要段階別を、それぞれプロットしています。景気後退期のシャドウ部のローカル・ルールは上の消費者態度指数などのグラフと同じです。

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2014年3月11日 (火)

企業の社会貢献支出やいかに?

やや旧聞に属する話題ですが、先週3月4日に東洋経済オンラインから「企業の社会貢献支出『トップ50』」と題する記事が掲載されています。社会貢献支出の額ではトヨタ自動車がトップになっています。社会貢献支出の額と経常利益に対する比率のそれぞれトップ50が以下の通り表になっています。いうまでもありませんが、引用元は東洋経済オンラインのサイトです。

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いろいろと事情があり、今夜のエントリーはこれだけです。まったく評論していないんですが、一応、「経済評論の日記」に分類しておきます。

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2014年3月10日 (月)

GDP統計2次QEは大きな修正なく、景気ウォッチャーは先行き判断が後退し、経常収支は大きく赤字に転落!

本日、内閣府から昨年2013年10-12月期のGDP統計、エコノミストの業界で2次QEと呼ばれる経済指標が公表されています。季節調整済の系列の前期比で見て+0.2%成長、前期比年率で+0.7%成長と、先週木曜日にこのブログで取り上げた通り、1次QEからの下方修正されたものの、修正幅はわずかでした。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

10-12月期の実質GDP、年率0.7%増に下方改定
内閣府が10日発表した2013年10-12月期の国内総生産(GDP)改定値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比0.2%増だった。年率換算では0.7%増。5四半期連続でプラス成長を確保したものの、2月17日発表の速報値(前期比0.3%増、年率1.0%増)からは下方修正された。
10-12月期の法人企業統計をもとに推計し直した結果、設備投資が0.8%増(速報値は1.3%増)に下方修正された。法人企業統計ではGDP改定値を算出する基礎となるソフトウエアを除く全産業の設備投資額が、季節調整して前期と比べると0.3%減と2四半期連続のマイナスだった。
公共投資も2.1%増(速報値は2.3%増)にやや下振れした。12月の建設総合統計を反映したためで、補正予算による公共事業の押し上げ効果の一服感がうかがえる。
12月の商業販売統計の確報値で衣料品や食品の流通在庫が増えたことが影響し、個人消費も0.4%増(0.5%増)に下方修正された。一方、民間の在庫寄与度はプラス0.0ポイント(速報値はマイナス0.0ポイント)とわずかに上方修正された。
生活実感に近い名目GDPは0.3%増(速報値は0.4%増)、年率で1.2%増(同1.6%増)だった。総合的な物価の動きを示すGDPデフレーターは前年同期比マイナス0.3%(同マイナス0.4%)だった。
同時に発表した13年暦年の実質GDPは12年比1.5%増と、速報値の1.6%増から下方修正した。名目は1.0%増で速報値と同じだった。

ということで、いつもの通り、とても適確にいろんなことが取りまとめられた記事なんですが、次に、GDPコンポーネントごとの成長率や寄与度を表示したテーブルは以下の通りです。基本は、雇用者報酬を含めて季節調整済み実質系列の前期比をパーセント表示したものですが、表示の通り、名目GDPは実質ではなく名目ですし、GDPデフレータと内需デフレータだけは季節調整済み系列の前期比ではなく、伝統に従って季節調整していない原系列の前年同期比となっています。また、項目にアスタリスクを付して、数字がカッコに入っている民間在庫と内需寄与度・外需寄与度は前期比成長率に対する寄与度表示となっています。もちろん、計数には正確を期しているつもりですが、タイプミスもあり得ますので、データの完全性は無保証です。正確な計数は自己責任で最初にお示しした内閣府のリンク先からお願いします。

需要項目2012/10-122013/1-32013/4-62013/7-92012/10-12
1次QE2次QE
国内総生産 (GDP)+0.0+1.1+1.0+0.2+0.3+0.2
民間消費+0.4+1.0+0.6+0.2+0.5+0.4
民間住宅+2.3+1.7+0.9+3.3+4.2+4.1
民間設備▲0.9▲0.9+1.0+0.1+1.3+0.8
民間在庫 *▲0.2▲0.1▲0.2+0.1▲0.0+0.0
公的需要+0.0+1.0+0.7+1.7+1.6+1.4
内需寄与度 *+0.6+1.1+1.9+1.6+0.9+0.8
外需寄与度 *▲0.1+0.4+0.1▲0.5▲0.5▲0.5
輸出▲2.9+4.2+2.9▲0.7+0.4+0.4
輸入▲1.9+1.1+1.8+2.4+3.5+3.5
国内総所得 (GDI)+0.1+0.7+1.0+0.1+0.1+0.0
国民総所得 (GNI)+0.2+0.6+1.8▲0.2+0.1▲0.0
名目GDP+0.1+0.7+1.0+0.1+0.4+0.3
雇用者報酬▲0.5+0.6+0.3▲0.4+0.1+0.1
GDPデフレータ▲0.7▲1.0▲0.5▲0.4▲0.4▲0.3
内需デフレータ▲0.7▲0.8▲0.3+0.4+0.5+0.5

テーブルに加えて、いつもの需要項目別の寄与度を示したグラフは以下の通りです。青い折れ線でプロットした季節調整済みの前期比成長率に対する寄与度であり、左軸の単位はパーセントです。棒グラフの色分けは凡例の通りとなっていますが、本日発表された昨年10-12月期の最新データでは、前期比成長率がプラスであり、黒の外需がマイナス寄与を示した他は、赤の民間消費、黄色の公的需要、グレーの在庫投資など内需の寄与は1-3月期や4-6月期と大差なく、水色の設備投資はプラスの寄与度をやや拡大しているのが見て取れます。7-9月期に続いて10-12月期も成長率が減速したのは外需が足を引っ張った結果といえます。

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景気判断に大きな影響を与えるほどの下方修正ではないと私は受け止めています。しかも、多くのエコノミストの間で緩やかなコンセンサスがあった「設備投資と公共投資が下方修正で在庫が上方修正」という形での改定です。加えて、今年の足元1-3月期は消費増税前の駆込み需要がそれなりの大きさで出ると考えられることから、むしろ、景気動向は4月以降の消費増税後の反動減の大きさ、また、4月の反動減のショックに続く年央から7-9月期にかけて景気の回復度合いに注目が集まっている雰囲気さえ感じられます。2月の積雪で駆込み需要がそれほど大きくならなかったのが吉と出るか、凶と出るか、何とも悩ましいところです。いずれにせよ、2次QEですので大きな変更もなく、特に今回の発表では注目度が低かった気もします。このブログでもサラリと済ませておきたいと思います。

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GDP統計2次QEを早々に済ませて、本日、内閣府から今年2月の景気ウォッチャー調査の結果も発表されています。上のグラフは現状判断DIと先行き判断DIをプロットしています。現状判断DIは53.0と引き続き50を超える高水準ながら、今年に入って2か月連続で低下しています。耐久消費財などの駆込み需要については、「家電を中心に売上が増加したものの、自動車販売の増勢が鈍化した」と報告されており、そろそろピークを過ぎつつあるのかもしれません。もちろん、耐用期間の差に応じて3月31日までは何らかの駆込み需要が続き、4月からドンと落ちるという構図に変わりはありません。先行き判断DIは上のグラフで見ても分かる通り、大きく低下しました。4月の消費増税が視野に入ったんですから当然です。足元2月よりも2-3か月先の4月から5月の方が落ちるに決まっています。なお、統計作成官庁である内閣府による基調判断は、先月に続いて、「景気は、緩やかに回復している。ただし、先行きについては、消費税率引上げ後の需要の反動減等の影響が見込まれる」とまとめられています。

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ひょっとしたら、GDP統計2次QEよりも注目を集めたのが今年1月の経常収支だったかもしれません。本日、財務省から発表されています。季節調整していない原系列の統計で、1月の経常収支は▲1兆5890億円の赤字、季節調整済みの系列でも▲5883億円の赤字と、過去最大の赤字を記録しています。上のグラフに見られる通り、貿易赤字の拡大が最大の原因です。中国の春節=旧正月のために輸出が伸び悩むとともに、原発停止に伴う燃料輸入の増加が要因です。まだ円安に伴うJカーブ効果も残っているようです。
報道ではいわゆる「双子の赤字」、すなわち、1980年代以降の米国のような経常収支と財政収支の両方の赤字を懸念するコメントも見かけますが、いずれも私は余り気にしていません。財政収支赤字は目に余る高齢者優遇も一因ですから政策的に是正する必要があると考えなくもない一方で、エントリーのタイトルで「赤字に転落」なんて書きましたが、実は、経常収支赤字については国際競争力の低下などを騒ぎ立てる必要はないと受け止めています。特に、経常収支や貿易収支をターゲットにして原発再稼働なんてのは政策割当てとして、どうしようもなく間違っていると考えるべきです。なお、国際収支項目の組替えが財務省からアナウンスされていて、従来の投資収支と外貨準備増減を統合し「金融収支」と表章し、その他資本収支を「資本移転等収支」に改めています。さらに、以前の所得収支は「第1次所得収支」、経常移転収支は「第2次所得収支」と呼ぶことにしています。それ以外にも何かあったのか、古い1990年代の統計は大きく変更されています。統計としての継続性が少し疑問です。

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2014年3月 9日 (日)

先週の読書から

先週の新刊書の読書感想文です。年度末で仕事は忙しいんですが、図書館からかなり借り出しています。何と、経済書がゼロになってしまい、ほとんどすべてがエンタメの小説ばっかりです。

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まず、ジェフリー・ディーヴァー『シャドウ・ストーカー』(文藝春秋) です。原題は XO といい、キスとハグ、すなわち親密さを表します。実は、私は XO ではなく、XOXO とダブルで続くメールをよく知り合いの米国人からもらったりしています。それはともかく、私はこの作者のリンカー・ライムのシリーズとキャサリン・ダンスのシリーズは邦訳されている限りで、少なくとも長編はすべて読んでいると思いますが、本書は後者のキャサリン・ダンスのシリーズ最新作です。ライムがニューヨークで物的証拠をかき集めて推理を働かせている一方で、ダンスは「人間嘘発見器」と呼ばれるようにキネシクスを駆使してカリフォルニアで事実を明らかにしていきます。本作ではカントリー音楽の売れっ子歌手に対するストーカーと殺人事件の関係を解き明かします。この作者の独特のどんでん返しが楽しめますが、やや、このどんでん返しもマンネリになってきたような気がします。なお、ライムのシリーズの『ウォッチメイカー』でダンスがこの作者のミステリに初登場するんですが、この『シャドウ・ストーカー』では逆にライムが登場して、所轄警察の鑑識課長から神のごとくに崇め奉られたりします。なお、作者の最新作は、私の知る限り、ノンシリーズの October List 及びリンカーン・ライムのシリーズの The Kill RoomThe Skin Collector がすでに米国で出版されたか、もうすぐ出版されるかというタイミングとなっており、私も邦訳されるのを楽しみに待っています。

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次に、吉田修一『怒り』(中央公論新社) 上下巻です。読売新聞の連載を単行本として出版しています。八王子の殺人事件の犯人が整形手術の上で逃亡している、という設定で、おそらく市橋達也の事件をモデルにしているんだろうと私は受け止めています。そして、犯人に見立てられるのが、房総の漁港にフラリと現れた男、東京でゲイのエリート広報マンに拾われた男、沖縄の離島にキャンプするように住み始めた男、の3人です。それぞれに謎の部分を有する男たちであり、真犯人以外の2人についての謎は作品の中で明らかにされて行きます。しかし、真犯人の謎の部分は最後まで解明されません。もちろん、出発点になった八王子の殺人事件の謎も不明のままに終わります。その点はやや不満が残らないでもありませんが、この作者の作品はハズレがありません。この作品もとてもいい出来に仕上がっています。特に、下巻に入ってからは一気読みでした。出版社のセールストークのように『悪人』に匹敵する作者の代表作とまではいいませんが、さすがに売れっ子作家らしく、『平成猿蟹合戦図』くらいにはいい出来で、最近の『太陽は動かない』や『路』よりは私の評価は高いといえます。ただし、誠に恥ずかしながら、『愛に乱暴』はまだ読んでいません。最後に、どうでもいいことながら、この作者の最高傑作は今でも『横道世之介』だと私は考えています。もっとどうでもいいことながら、三浦しをんの代表作も『風が強く吹いている』だと思っています。要するに、大学生が主人公の青春小説が私は好きなんだろうと思います。

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次に、桐野夏生『だから荒野』(毎日新聞) です。実は、私はこの作者の作品は初めてか、とても久し振りだという気がします。コチラは毎日新聞の連載を単行本として出版しています。まずまず高給取りのエリート広報マンの夫と大学生と高校生の2人の男の子を抱える家庭の専業主婦が、自分の46歳の誕生日に突然、傲慢で身勝手な家族から離れ「荒野」に向かってしまいます。東京から自動車で西へ向かい、最西端は長崎ということになります。ある意味では、小学生レベルの家出なのですが、主人公は家に帰るつもりがないので家出ではないと主張し、また、読売新聞の書評欄で角田光代さんがこの小説を評して、「逃亡」と表現しています。まずまず要領よく人生を生きる大学生の長男とイマイチの出来でネトゲにハマり込む次男の対比も鮮やかに描き出されています。難点をいえば、その次男が長崎に母を追う心境の変化はもっとていねいに書いて欲しかった気がします。最後は東京に戻るのは現実問題として仕方のない結末ながら、やっぱり難点なんですが、もうひと捻り欲しかった気がします。いずれにせよ、我が家と家族構成その他が似ていなくもないので、なかなか興味深く読むことが出来ました。

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最後に、相場英雄『ナンバー』『トラップ』(双葉社) です。私はこの作者の作品のうちで読んだのは『震える牛』だけだと思いますが、『デフォルト』という作品の出来がいいと聞いたことがあります。『ナンバー』と『トラップ』はこの順でシリーズになっており、経済犯や知能犯を追う警視庁捜査2課の西澤刑事を主人公にしています。両作品とも読切りにちかい短編4篇をそれぞれ収録していますが、微妙につながっていたりします。でも、シリーズ2冊を合わせて長編と見ることは出来ますが、各作品で長編ではないような気がします。『トラップ』の最後の短編が「トラップ」であり、主人公の西澤とその上司の何人かはミスにより所轄などに左遷されます。ですから、あるいは、2冊でシリーズが終わるのかもしれません。もっとも、誉田哲也の「ストロベリー・ナイト」のシリーズは姫川班がバラバラにされた後も続いていますので、このシリーズも続くのかもしれません。私にはよく分かりません。

今週の読書は、花粉の季節が本格化して自転車で遠くの図書館まで出かけなかったこともあり、たぶん、旧刊の文庫本などを読んで過ごしそうな気がします。大きな期待は出来ません。

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2014年3月 8日 (土)

米国雇用統計のグラフィックス

昨日3月7日、米国の労働省から2月の米国雇用統計が発表されています。ヘッドラインとなる非農業部門雇用者数は前月から+175千人増加した一方で、失業率は0.1%ポイント上昇して6.7%になりました。いずれも季節調整済みの統計です。まず、New York Times のサイトから記事の最初の3パラだけ引用すると以下の通りです。

U.S. Job Gains Likely to Allay Anxiety After a Dismal 2 Months
The American economy stirred to life last month, creating more jobs than in the previous two winter months and raising hopes that momentum in the labor market would gradually pick up as the cold weather in many parts of the country eases with the arrival of spring.
The report from the Labor Department for February, which came on Friday after job figures for December and January that were much weaker than the underlying trend, eased fear that the economy was downshifting to a slower pace. The data led some experts to conclude that weather, not a fundamental slowdown, was a major factor behind the recent shortfalls.
With employers hiring 175,000 workers, the payroll gain in February was hardly cause for celebration ? it was still well short of the pace needed to return the economy to full employment in the next few years. But it was twice the number added in December, when the cold and snow arrived.

この後に、エコノミストへの取材結果などが続くんですが、まずまずよく取りまとめられている印象があります。続いて、いつもの米国雇用統計のグラフは下の通りです。上のパネルは非農業部門雇用者数の前月差増減の推移とそのうちの民間部門、下のパネルは失業率です。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。全体の雇用者増減とそのうちの民間部門は、2010年のセンサスの際にかなり乖離したものの、その後は大きな差は生じていません。

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市場の事前コンセンサスでは雇用者像は150千人程度と見込まれていましたし、2月の猛烈な寒波による悪影響の予想を考慮すれば、雇用者数の伸びはかなり堅調と私は考えています。足元の2月の統計だけでなく、先月1月も先々月12月も雇用者増は昨日の公表で上方改定されています。もっとも、失業率はわずかながら0.1%ポイント上昇しましたが、あまり大きく変化した気はしません。米国労働省では "little change" と表現しているようです。ただし、報道されている範囲では、雇用者数の伸びはサービス部門の派遣などの短期雇用者の増加であり、いわゆる decent job が増加しているわけではない可能性が指摘されています。

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また、日本の経験も踏まえて、また、現在の欧州中央銀行のスタンスも参考に、もっとも避けるべきデフレとの関係で、私が注目している時間当たり賃金の前年同月比上昇率は上のグラフの通りです。ならして見て、ほぼ底ばい状態が続いている印象です。逆にいえば、サブプライム危機前の+3%超の水準には復帰しそうもないんですが、底割れして日本のようにゼロやマイナスをつけて、デフレに陥る可能性は小さそうに見えます。

米国連邦準備制度理事会 (FED) のイエレン議長は先月2月27日の上院銀行委員会の公聴会で、今秋に量的緩和 (QE3) は終了するとの見通しを示しており、雇用統計の結果はこの見方をサポートしているように私は受け止めています。

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2014年3月 7日 (金)

景気動向指数から我が国の景気を考える!

本日、内閣府から1月の景気動向指数が発表されました。統計のヘッドラインとなるCI一致指数は前月から+1.0ポイント上昇して111.7を、CI先行指数も+1.1ポイント上昇して112.1を、それぞれ記録しています。消費税率引上げ前の駆込み需要に支えられているとはいえ、統計からは景気は順調に回復・拡大しているように見えます。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

景気一致指数、5年11カ月ぶり水準 伸び幅は4年ぶりの大きさ
内閣府が7日発表した1月の景気動向指数(CI、2010年=100)速報値は、景気の現状を示す一致指数が前月比2.5ポイント上昇の114.8と、08年2月(115.1)以来5年11カ月ぶりの高水準だった。上昇幅は10年1月(2.8ポイント上昇)以来4年ぶりの大きさだ。
消費増税前の駆け込み需要などを背景に自動車やパソコン、家電製品の販売が伸び、出荷もそれに伴って好調だった。資本財では米国や国内の発電所向けに蒸気タービンやボイラーの出荷が増えた。内閣府は一致指数の動きから機械的に求める景気の基調判断を最上位の「改善を示している」で据え置いた。
数カ月後の先行きを示す先行指数は0.5ポイント上昇の112.2と、06年11月(112.4)以来7年2カ月ぶりの高い水準だった。自動車やテレビといった耐久消費財の在庫が減少したことが寄与。株式相場の上昇や新規求人数の伸びもプラスに働いた。
景気に数カ月遅れる遅行指数は1.1ポイント上昇の115.6だった。
指数を構成する経済指標のうち、3カ月前と比べて改善した指標が占める割合を示すDIは一致指数が100.0、先行指数が77.8だった。

いつもながら、簡潔によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、下のグラフは景気動向指数です。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた部分は景気後退期なんですが、いつものお断りで、直近の景気の谷は2012年11月だったと仮置きしています。

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かなりの程度に消費増税の駆込み需要の寄与がありそうな気もしますが、景気動向指数のうちのCI一致指数は大きく伸びました。景気動向指数は、付加価値額を基に算出されている鉱工業生産指数のように水準を見るべき統計ではなく、方向性で景気を判断すべき指標ですが、引用した記事のように、ほぼ6年前のリーマン・ショック前の水準に戻りつつあるのはひとつの象徴的な景気動向イベントと捉える向きがあっても不思議ではありません。統計作成官庁である内閣府が基調判断を「改善」で据え置いたのは当然です。ついでながら、これも記事の最後のパラにある通り、DI一致指数も100に達しました。CI一致指数の伸びに対する寄与について、プラスの寄与が大きい順に5つの指標を上げると、投資財出荷指数(除く輸送機械)、耐久消費財出荷指数、生産指数(鉱工業)、鉱工業生産財出荷指数、大口電力使用量と続くんですが、耐久消費財出荷がモロに駆込み需要である一方で、投資財出荷と生産財出荷については駆込み需要とは関係が薄く、むしろ、設備投資動向に連動する指標だと考えるべきです。

今回の消費増税前の駆込み需要は、2月の積雪による影響もあり、また、来年10月に2段階目の税率引上げもありで、1997年当時に比べてやや駆込みの規模が小さいと感じています。政府の経済対策もありますので、駆込み需要の反動を乗り切って、設備投資にスムーズに景気の牽引役がバトンタッチできれば、また、賃上げによる消費の押上げが図られれば、海外景気が好転しているだけに、さらに我が国の景気拡大が力強さを増すと私は大いに期待しています。

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2014年3月 6日 (木)

来週月曜日に発表される10-12月期GDP統計2次QEは1次QEからほとんど修正なしか?

今週月曜日の法人企業統計をはじめとして、必要な経済指標がほぼ出尽くし、来週月曜日の3月10日に今年2013年10-12月期GDP速報2次QEが内閣府より発表される予定となっています。各シンクタンクや金融機関などから2次QE予想が出そろいました。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、web 上でオープンに公開されているリポートに限って取りまとめると下の表の通りです。ヘッドラインは私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しました。可能な範囲で、先行き経済の動向に関する記述を取っているつもりです。一応、明示的に先行きに言及しているのは、みずほ総研と伊藤忠経済研だけであり、この2機関はヘッドラインも長めに引用してあります。しかし、何せ2次QEですからアッサリと済ませた予測が多いのも事実です。月曜日に公表された法人企業統計のついでに2次QE予想をくっつけてあるリポートも少なくありません。なお、より詳細な情報にご興味ある向きは左側の機関名にリンクを張ってありますから、リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開いたり、ダウンロード出来たりすると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちに Acrobat Reader がインストールしてあって、別タブが開いてリポートが読めるかもしれません。

機関名実質GDP成長率
(前期比年率)
ヘッドライン
内閣府1次QE+0.3%
(+1.0%)
n.a.
日本総研+0.2%
(+0.7%)
公共投資が上方修正される一方、設備投資が下方修正となる見込み。
大和総研+0.3%
(+1.2%)
若干ながら一次速報から上方修正される見通しである。
みずほ総研+0.3%
(+1.1%)
2014年1-3月期は景気対策関連の事業執行が剥落し、公共投資が減少に転じると予想される。円安・海外景気の緩やかな回復を背景に輸出は回復が続くが、駆け込みの影響から輸入も高水準で推移するため、外需は小幅なプラス寄与にとどまるだろう。他方、4月の消費増税を前に自動車以外でも駆け込み需要が顕在化することで、個人消費は大幅に増加すると予想される。業績回復を受けて設備投資も回復傾向を維持するだろう。1-3月期は、駆け込み需要の追い風を受ける民需を中心に年率+4%台の高成長を見込んでいる。
ニッセイ基礎研+0.2%
(+0.9%)
1次速報の前期比0.3%(年率1.0%)とほぼ変わらないだろう。
第一生命経済研+0.3%
(+1.2%)
修正幅は小幅であり、景気認識に変更をもたらすほどのものではないだろう。
伊藤忠経済研+0.3%
(+1.2%)
2014年1-3月期の日本経済は消費税率引き上げ前の駆け込み需要により急加速が見込まれる。当社では、1-3月期に前期比年率6%程度の高成長を予想している。しかし、2014年度入り後は、駆け込み需要の反動と消費税率引き上げに伴う実質所得の目減りにより、大幅な落ち込みが避けられないのは言うまでもない。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券+0.4%
(+1.5%)
民間在庫増の上方修正幅が公共投資と設備投資をあわせた下方修正幅を上回り、実質GDP全体では上方修正になるとみられる。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング+0.2%
(+0.9%)
修正幅はいずれも小幅であり、景気の見方に変化が生じることはないと考えられる。
三菱総研+0.4%
(+1.6%)
GDP成長率の上方修正に寄与するとみられるのは、民間在庫投資と公的固定本形成である。

2次QEの成長率はほとんど1次QEから修正なし、というのが多くのエコノミストのコンセンサスで、しかも、設備投資と公共投資が下方修正で在庫が上方修正、というのも反対は少ないと私は受け止めています。極めて大胆な私の直感では、2次QEの成長率は1次QEからわずかに下方修正と考えています。上方修正のリポートは、1次QEが出る前の高い成長率を見込んでいたころの見方をまだ維持しているような気がしないでもありません。なお、第一生命経済研のリポートからヘッドラインに引用した「景気認識に変更をもたらすほどのものではない」の前には、省略してしまいましたが、「『設備投資の下方修正+在庫投資の上方修正』は好ましいものではなく、成長の内容としては1次速報からやや悪化する形」と明記してあります。私も同じ感想を持ちます。最後に、私の実感にかなり近い結果のニッセイ基礎研のリポートから詳細なGDPコンポーネントを含む2次QE予想のテーブルを引用すると以下の通りです。

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2014年3月 5日 (水)

マンキュー教授のブログのマネ - 人間は40歳ころにピークを迎えるのか?

昨日に続いて、やや帰りが遅くなったので、今夜はマンキュー教授のブログのマネで軽く済ませておきたいと思います。ということで、やや旧聞に属する先週のトピックですが、マンキュー教授のブログの2月27日付けのエントリー It is all downhill after 40 では、ノースウェスタン大学のジョーンズ教授らが Handbook of Genius という本の、たぶん、チャプターとして書いた以下のリファレンスからグラフを引用してエントリーを構成しています。

マンキュー教授のブログでは下のグラフを引用して、その出典を明記しているだけで、何のコメントもないんですが、要するに、ノーベル賞受賞者でも偉大な発明家でも、人間40歳がピークでその後は一気に落ちる、ということを主張したいんだろうと私は想像しています。マンキュー教授の意図はそう大きく間違っていないんだろうと思いますし、自分の人生を振り返って、人間40歳がピークというのは確実にそうだと私は実感します。

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なお、マンキュー教授が直接引用しているのは最初にお示ししたペーパーなんですが、実は孫引きで、最初に示したリファレンスのグラフは下の論文を出典にしていたりします。なお、上のグラフは下の論文の p.2 Figure 1. Age Distribution of Great Innovation に当たります。

マンキュー教授のブログは上のグラフ1枚だけなんですが、私のブログではもう少しお愛想をつけて、上の論文から p.6 Figure 4. Maximum Likelihood Estimates for the Potential to Produce Great Innovations as a Function of Age を引用すると以下の通りです。1900年時点で推計したところピークは30歳そこそこだったんですが、2000年時点では40歳まで延びています。平均寿命の延伸とともに人間としてのピークも後ズレしているわけです。ある意味で、当然です。

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私はとっくに50歳を超えましたので、マンキュー教授の表現を借りれば downhill を真っ逆さまに落ちているところだというのは自分でも分かっています。ひょっとしたら、自覚しているだけマシなのかもしれません。それにしても、こういった研究成果を見せられると、何かにつけて若年層を声高に批判する高齢者にはなりたくないと自戒しています。ついでながら、マンキュー教授のような著名なエコノミストでもグラフの孫引きなんぞをするんだという事実も判明して、私自身の研究成果では軽く許されそうな気がしてなりません。

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2014年3月 4日 (火)

毎月勤労統計により雇用の現状を確認する!

本日、厚生労働省から毎月勤労統計の結果が公表されています。賃金と景気に敏感な残業がこの統計のヘッドラインなんですが、製造業の所定外労働時間が増産により季節調整済みの系列で前月比+2.0%増加し、季節調整していない原系列の賃金給与総額は前年同月比で▲0.2%減の26万9195円と減少したものの、所定内給与は1年10か月振りに+0.1%増加して23万9156円を記録しました。まず、統計について報じた記事を日経新聞のサイトから引用すると以下の通りです。

1月所定内給与0.1%増、1年10カ月ぶりプラス 毎月勤労統計
厚生労働省が4日発表した1月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上)によると、基本給や家族手当などの所定内給与は前年同月比0.1%増の23万9156円だった。プラスは2012年3月以来1年10カ月ぶり。景気が回復傾向にある中で企業が正社員を採用する動きを拡大させたのが背景だ。
これまで賃金水準の低いパートタイム労働者数の伸びが正規雇用が主体の一般労働者数の伸びを上回っていたため、所定内給与を押し下げていた。しかし、1月は一般労働者数とパートタイム労働者数の伸び率が同じだったため、所定内給与は下げ止まった。景気回復で企業が正社員を増やしたためだ。
所定内給与と所定外給与を合わせた定期給与も0.4%増の25万8364円と、12年5月以来1年8カ月ぶりに増加した。所定内給与のプラス転換に加え、残業代などの所定外給与も1万9208円と4.3%増えた。
所定外労働時間は7.0%増え、8カ月連続でプラスだった。このうち製造業は15.6%増と7カ月連続で増え、伸び率は12年4月(16.8%増)以来の高さとなった。自動車業界などで景気回復や4月の消費増税前の駆け込みを背景に需要が拡大し、工場の稼働率が高まっている。総労働時間は1.4%増の136.5時間と2カ月連続で増加した。
一方、残業代やボーナスを含めた従業員1人当たり平均の現金給与総額は前年同月比0.2%減の26万9195円だった。マイナスは3カ月ぶり。冬のボーナスが例年より早めに支給された反動で、特別に支払われた給与が14.6%減少したことが影響した。
一般労働者とパートタイム労働者を合計した常用雇用は1.3%増の4631万8000人。一般労働者とパートタイム労働者はともに1.2%増えた。厚労省は「有効求人倍率や失業率も改善し、雇用環境は回復している」とみている。
ただ「確報値の方が賃金水準の低いパートタイム労働者の比率が高まる傾向がある」(厚労省)といい、3月中旬に発表される確報値では所定内給与はマイナスになる可能性がある。

いつもの通り、とてもよくまとまった記事だという気がします。次に、毎月勤労統計のグラフは以下の通りです。上のパネルは製造業の所定外労働時間指数の季節調整済み系列を、下は製造業に限らず調査産業計の賃金の季節調整していない原系列の前年同月比を、それぞれプロットしています。賃金は凡例の通り現金給与総額と所定内給与です。影をつけた期間は景気後退期であり、毎度のお断りですが、このブログのローカル・ルールで、直近の景気の谷は2012年11月と仮置きしています。

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基本的に悪くない結果だと受け止めています。まず、上のグラフの所定外労働時間が製造業で伸びたのは、鉱工業生産と整合的な動きです。もちろん、消費税増税前の駆込み需要も込みの伸びです。ですから、4月からの反動減もあり得ます。また、今回は1997年に比較して駆込み需要が大きくないと私は考えていましたが、実は、駆込み需要が小さいのは1-2月の積雪による消費への下押し圧力に起因するという有力な説があり、もしもそうならば、そして、3月に積雪などの天候やその他の経済外要因がなければ、3月にはドッと駆込み需要が発現する可能性は否定できません。その場合は、今回も1997年と同程度の駆込み需要とその後の反動減が結果的に生ずる可能性もあります。下のパネルの給与については、フルタイムとパートタイムの一般労働者がともに同じ率で前年同月から伸びましたので、所定内給与もほぼ2年振りにプラスを記録しました。現金給与総額がマイナスになっていますが、ボーナスなどの特別給与が昨年12月に前倒し支給された結果であり、悲観するには及びません。ただし、引用した記事にもある通り、この毎月勤労統計は速報から確報にかけて、パートタイム労働者の伸び率が高まる統計上のクセがありますから、そうなるとシンプソン効果により所定内給与が下方改定される可能性も否定できません。前年同月比で+0.1%増なんですから微妙なところです。

何度もこのブログで主張している通り、アベノミクス効果などによる好景気が雇用に及ぼす影響は、雇用の量的拡大、特に非正規の量的な雇用増から非正規雇用の賃金の上昇につながりました。この点は毎月勤労統計とともに、リクルートジョブズの統計などから明らかです。さらに、非正規雇用から正規雇用の増加、正規雇用の賃金上昇へと段階が進む場面を迎えつつあると私は考えています。

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2014年3月 3日 (月)

法人企業統計から何を読み取るか?

本日、財務省から昨年2013年10-12月期の法人企業統計が発表されました。国内総生産(GDP)改定値を算出する基礎となり、いつも注目が高いソフトウエアを除く設備投資額は、季節調整していない原系列では前年同月比で+4.0%増を記録しましたが、季節調整して前期と比べると▲0.3%減少しています。売上高や経常利益は季節調整ありなしのいずれの指標で見ても増加しており、いわゆる増収増益の結果が10-12月期については示されています。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

10-12月期設備投資4.0%増 法人企業統計、3期連続プラス
財務省が3日発表した2013年10-12月期の法人企業統計によると、金融機関を除く全産業の設備投資は前年同期比4.0%増の9兆4393億円で、3四半期連続のプラスだった。非製造業の旺盛な投資が継続したうえ、製造業もプラスに転換した。
設備投資の産業別の投資動向をみると、製造業は0.7%増と5四半期ぶりに増加した。輸送用機械で新車対応のための生産能力拡大や技術開発に向けた投資、情報通信機械でスマートフォン(スマホ)関連部品の生産増強のための投資が寄与した。非製造業は5.7%増と3四半期連続で増えた。宿泊業でホテルの改修が進んだほか、陸運業で物流センターの新設や防災対策のための投資が活発だった。
国内総生産(GDP)改定値を算出する基礎となり、注目が高いソフトウエアを除く全産業の設備投資額は、季節調整して前期と比べると0.3%減と2四半期連続のマイナスだった。
財務省は設備投資について、前年同期比ではプラスが続き伸び率も拡大していることから「基調としては持ち直している」とみている。
全産業の売上高は3.8%増の333兆429億円と2四半期連続で増えた。製造業は4.7%増。輸送用機械や化学が増えた。非製造業は3.4%増。建設業や卸売業などが増加した。
経常利益は前年同期比26.6%増の16兆1908億円と、8四半期連続で増えた。製造業は49.9%増。4月の消費増税を前に自動車の駆け込み需要があった輸送用機械に加え、スマホ関連部品の需要拡大で情報通信機械がけん引した。非製造業は14.4%増。サービス業でテーマパークの集客が好調で、ホテルの稼働率も向上した。公共工事や戸建て需要の増加を背景に建設なども伸びた。
同統計は資本金1000万円以上の企業の収益や投資動向を集計。今回の結果は内閣府が10日に発表する13年10-12月期のGDP改定値に反映される。

いつもの通り、とてもよくまとまった記事だという気がします。法人企業統計とGDP統計の関係についても最後のパラに適切に記述されています。次に、法人企業統計のヘッドラインに当たる売上げと経常利益と設備投資をプロットしたのが下のグラフです。ただし、グラフは季節調整済みの系列をプロットしています。季節調整していない原系列で記述された引用記事と少し印象が異なるかもしれません。また、影をつけた部分は景気後退期なんですが、いつものお断りで、直近の景気の谷は2012年11月あるいは10-12月期と仮置きしています。

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先述の通り、いわゆる増収増益の結果が示されており、4月からの消費増税を前にした駆込み需要も含めて、企業活動が活発になっている点についてはコンセンサスがあるものと私は受け止めています。しかし、引用した記事でも注目している設備投資の結果については評価が分かれるかもしれません。季節調整していない原系列では前年同期比でプラスにもかかわらず、季節調整した前期比ではマイナスですから当然です。来週発表のGDP統計2次QEでは設備投資は季節調整した前期比で表章されますから、法人企業統計の設備投資の伸び悩みがそのまま反映されるとすれば、GDPベースの設備投資も低い伸びに留まる可能性が示唆されています。他方、鉱工業生産指数などで示されている資本財の出荷は堅調であり、法人企業統計の結果は実感としては少し疑問が残ります。引用した記事の真ん中あたりのパラに、統計作成官庁である財務省のコメントとして「基調としては持ち直している」との見方が示されていますが、統計の計数よりも実感を重視してそうなんだろうと私は受け止めています。

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続いて、上のグラフは擬似的に計算した労働分配率及び設備投資とキャッシュフローの比率をプロットしています。労働分配率は分子が人件費、分母は経常利益と人件費と減価償却の和です。特別損益は無視しています。また、キャッシュフローは実効税率を50%と仮置きして経常利益の半分と減価償却の和でキャッシュフローを算出しています。このキャッシュフローを分母に、分子はいうまでもなく設備投資そのものです。いずれも、季節変動をならすために後方4四半期の移動平均を合わせて示しています。まず、上のパネルの労働分配率について見ると、昨年のミニ・リセッションではほとんど上昇も見られず、リーマン・ショック後のピークから下がり続け、大雑把に、ならして70%を十分に下回る水準で推移しているのが読み取れます。直近の10-12月期では原数値でも、移動平均でも65%を割り込んでいます。他方、下のパネルの設備投資はキャッシュフローの半分近くまで水準が低下しています。ほぼ歴史的な低水準と受け止めています。水準だけでなく、モメンタムとしても低下を示しているのがグラフから読み取れます。労働分配率については量的な雇用の増加、あるいは、質的な賃金の上昇に耐える企業体質が出来上がったと評価できますし、設備投資向けの資金も債券発行や銀行借入れに頼る必要なく、十分に内部資金で調達できると理解できます。今日発表の法人企業統計で、すでに十分に賃上げと設備投資の増加に向けた経営環境は整い、不足しているのは企業のアニマル・スピリットだけという姿が示されたと受け止めています。
もっとも、設備投資と賃上げの環境が整った一方で、設備投資も賃上げも振るわない結果となっている背景が2点指摘できます。第1に、4月の消費税増税以降の景気動向が不透明なことです。いかにも、長期の停滞が続いて、日本の企業家のアニマル・スピリットが萎縮しているのがよく分かります。第2に、年央の成長戦略を待っている可能性も指摘できます。これはアニマル・スピリットがまったく欠如して、政府のキャプチャによるレント・シーキングに走るという企業家にあるまじき思考パターンが出ている、との可能性も指摘できます。もちろん、そこまで我が国企業がアニマル・スピリットを失っているとは思いたくありません。と同時に、政府の成長戦略がターゲティング・ポリシーとして予算付けになることは絶対に避けるべきであり、企業活動の環境整備を大所高所から志向すべきであると主張しておきたいと思います。

何度でも繰り返しますが、我が国の経済成長や経済発展を阻害しているのは企業家かもしれない、という目で経済を観察・分析してみることを私は大いにオススメしています。市場からの退出があり得ない政府は相変わらず非効率なのかもしれませんが、企業が常に効率的とは限りません。非効率な企業が市場から退出せずにゾンビ化している可能性は従来から広く指摘されて来たところです。

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2014年3月 2日 (日)

先週読んだ話題の新刊書から

先週読んだ本の読書感想文です。1年以内くらいに出版された、という程度の新刊書ということで取り上げています。いろいろと旧刊書や文庫本も読んでいるんですが、今日のところはパスしておきます。

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まず、福場ひとみ『国家のシロアリ』(小学館) です。今日の読書感想文の中では唯一のノンフィクションで、残りはすべて小説だったりします。この本は週刊ポストに寄稿するジャーナリストが震災復興費が被災地以外に流用されている事実について取りまとめ、小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞したルポを基にした本なんですが、実は、震災復興予算がひどく水膨れしていて不要な予算がいっぱい入り込んでいるという点については、このブログでも2012年7月18日付けのエントリーで取り上げた原田泰『震災復興欺瞞の構図』(新潮新書) ほかでいろいろと明らかにされています。その点で特に新しい視点は提供されていませんが、ていねいな取材で事実関係を跡付けているのは好感が持てます。ただし、官僚も政治家も、それも与党も野党も、さらに、メディアまで全部が悪い、日本的なシステムが悪い、との結論は分からなくもないものの疑問を感じます。というのも、「みんなが悪い」というのは「誰も悪くない」というのとほぼ同義だからです。事実関係の積重ねはジャーナリストとして当然といえますが、さらに突っ込んだ分析で問題の本質を明らかにし、何をどうすれば解決できるのかを提示していただきたかったような気がします。そうでなければ、今後も同じ問題が引き続いて起こる可能性が高いんではないかと、問題の一端を担う官僚機構に属する私なんぞは悲観してしまいます。

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次に、中村文則『去年の冬、きみと別れ』(幻冬舎) です。どうでもいいことながら、私はこのブログで「読書感想文の日記」のカテゴリのエントリーを300以上もアップしているんですが、おそらく、このブログを始めたばかりのころの2005年9月の中川文則の「土の中の子供」が最初の読書感想文だと記憶しています。芥川賞を授賞されて読み、ガッカリして酷評した記憶が残っています。この『去年の冬、きみと別れ』は、2人の女性を焼死させた猟奇殺人事件の被告を取材しルポを書こうとしているライターの視点からストーリーが語られますが、この作者にしては初めてのミステリといえます。私はこの作者の最高傑作はなんといっても『掏摸 [スリ]』と『王国』(河出書房新社) の一連の姉妹作品であろうと受け止めており、おそらく、『掏摸 [スリ]』を最高傑作に推す読書人が多かろうと考えていますが、「土の中の子供」などと違って、もっと強烈な反社会的な行為とかウラ世界の組織とか、典型的には先の姉妹作品に共通して登場する木崎のような人物を描写するのに、この作者は長けているんではないかという気がします。その意味で、この作品は微妙なところであり、かなりいい出来だとは思いますが、『掏摸 [スリ]』を超える最高傑作ではないような気もします。2014年本屋大賞にノミネートされているそうですから、その意味では注目の書です。

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次に、伊坂幸太郎『首折り男のための協奏曲』(新潮社) です。基本的に短篇集なんですが、連作短編集に仕上げようとして失敗したカンジがします。タイトルにある「首折り男」を中心に据えるのか、それとも、時空の歪みなのか、はたまた、空き巣の黒澤なのか、いろいろと絡み合う話はあるんですが、逆に、まとまりなく発散しているような気もします。さらに、私の場合は図書館から借りて新潮文庫のアンソロジーをかなり読んでいますので、7編の短編のうち3作を既読だったりします。伊坂幸太郎や東野圭吾は借りるんではなくて買うようにしているんですが、この本は買ってやや損したと思ってしまいました。でも、新潮文庫のアンソロジーを未読の方はもっと楽しめそうな気もしないでもありません。

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次に、ミシェル・ウエルベック『地図と領土』(筑摩書房) です。2010年のゴンクール賞を本作品により授賞されています。私はこの作家の作品は初めて読みましたが、前作の『素粒子』がそれなりの話題をさらったのは知っています。本作品の主人公はアーティストであり、写真家から画家に転じ、大成功を収めて早々に引退します。そのほぼ生涯をすべて視野に入れ、なおかつ、作家本人が作中に登場して惨殺されたりします。本書のテーマのひとつであるアートとマーケットの関係についてはアングロ・サクソン人とフランス人では大きく意見が異なりそうな気がします。なお、私の感想よりも新聞などの書評のほうがより参考になるかもしれません。私が見ている限りで主要に以下の通りです。ご参考まで。

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最後に、原田マハ『総理の夫』(実業之日本社) です。多作な作家なんですが、私はこの作者の作品は『楽園のカンヴァス』しか読んだことがありません。この『総理の夫』は日本で初めての女性総理大臣の亭主の視点から、その日記を通して語られます。権謀術数渦巻く政界で、一直線な性格で突き進む女性総理とその所属政党である直進党のスタッフ、あるいは、連立政党の寝業師、はたまた、総理の夫の実家である実業家の兄や母などなど、あくまでフィクションとして読む分にはオッケーだろうという気がしますが、政治も経済と同じで1億国民が総評論家ですから、政策や政治姿勢や何やかやまで真剣に読み込んで感情移入すると、そこまですると少しやり過ぎの嫌いがあります。サラッとエンタメで軽く読むヒマ潰し本と考えるべきです。

今週末も何冊か話題の本を借りることが出来ました。経済書は含まれていませんが、来週の読書も楽しみです。

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2014年3月 1日 (土)

ビデオリサーチインタラクティブによるスマートフォン及びタブレット端末の普及調査

今週2月25日に、ビデオリサーチインタラクティブからスマートフォン及びタブレット端末の普及調査の結果が公表されています。今月3月下旬に公表予定の「スマコン (SmartDevice Contents Report) vol.06」の予備調査結果だそうですが、それなりに興味深い結果が取りまとめられていますので、週末の軽い話題として図表とともに簡単に取り上げておきたいと思います。まず、とても長くなりますが、ビデオリサーチインタラクティブのサイトから予備調査結果の主なポイントを引用すると以下の通りです。

予備調査結果の主なポイント
  • 15-69歳のPCインターネットユーザーでのスマートフォンの個人所有率は、前回調査(2013年8月)時点から4.8ポイント増加し、2年前(2012年2月)の2倍となる過半数の54.0%に達した。前回はじめてスマートフォンに抜かれた携帯電話/PHS(フィーチャーフォン)の個人所有率は41.9%であり、スマートフォン所有率との差は12.1ポイントに広がっている。
  • スマートフォン所有率を性別でみると、6回目の調査ではじめて女性の所有率(54.4%)が男性(53.7%)を僅かばかり上回る結果になった。
    性・年齢別に前回調査時点と所有率を比較すると、男性50代でスマートフォン・フィーチャーフォンとも動きが小さく(ともに0.6ポイントの低下)、買い替えの安定期に入ったとも想定されるが、その判断は次回調査結果を待ちたい。
  • 職業別では、前回調査と同様に女子学生(85.2%)、男子学生(78.3%)のスマートフォン所有率の高さが目立つ。また、主婦の所有率は前回から6.8ポイント増の45.7%を示し、半数越えが視野に入ったといえよう。
  • タブレット端末の個人所有率は、前回調査時点より1.8ポイント増の16.3%。性別では、男性20.2%・女性12.1%。

まず、結果のポイントの第1点、スマートフォン、携帯電話/PHSの所有率 時系列推移 (全体) のグラフを引用すると以下の通りです。シェアの上では、昨年年央にスマートフォンがガラケー/PHSを逆転したんですが、今回の調査でスマートフォンがさらに伸びて所有率が過半となったことが確認されています。

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次に、結果のポイントの第2点、スマートフォン、携帯電話/PHSの性・年齢別所有率 の図表を引用すると以下の通りです。男女ともクッキリと年齢が低いほどスマートフォンのシェアが高いのが見て取れます。平均した男女の差はそれほど大きくありませんが、30代を境にして、若い世代は女性のほうがスマートフォンのシェアが高く、中年以降の世代は男性の方がスマートフォンのシェアが高いという特徴が現れています。ただし、男性に比べて女性はインターネット・ユーザーの割合が高くないのも特徴のひとつかもしれません。

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最後に、ひとつ飛ばして、結果のポイントの第4点、タブレット端末の所有率 時系列推移 (全体) のグラフを引用すると以下の通りです。スマートフォンほどの爆発的な普及ではありませんが、タブレット端末も徐々に所有シェアを伸ばしています。

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グラフは省略しましたが、一般的にいって男女に共通して、学生はスマートフォン比率がもっとも高く、次いで社会人(有職者)、主婦や無職がスマートフォン比率がもっとも低い、という結果が出ています。そうなのかもしれません。何となく分かる気がします。

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今日は女房の誕生日!

今日は女房の誕生日です。誠にめでたい限りです。
祝ってやって下さる向きは、我が家恒例のジャンボくす玉をクリックして割ってやって下さい。

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