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2014年4月29日 (火)

『肩をすくめるアトラス』前のゴールデンウィーク前半の読書

昨日、帰り道でお隣の区の中央図書館に立ち寄って、アイン・ランド『肩をすくめるアトラス』(ビジネス社) を借りて、早速に読み始めたんですが、それまでに読み終えた3冊は以下の通りです。結構、話題の書が含まれていると自画自賛しています。

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まず、山田昌弘『「家族」難民』(朝日新聞出版) です。著者は、パラサイト・シングルとか、婚活といった流行語を世に送り出した著名な社会学者です。まず、本書では、自分を必要とし、大切にしてくれる存在がいることが人間の幸福に必要だと論じることから始めますが、これは数学における公理だとして論を進めます。そして、こういった存在のいない人を本書のタイトルである「家族難民」と定義しています。そして、少し歴史をさかのぼった高度成長期から説き起こし、学校を卒業すれば当然のように正社員として就職して結婚し子供を持つ人生を送っていた国民が、徐々に変化して現在あるいは近い将来に、正社員に就職できず、従って、結婚したり子育てをするに十分な所得を得られず、その結果、シングルのままで生涯を終わる人の割合が激増することに警告を鳴らしています。しかし、少なくとも本書ではこの家族難民化の進行を緩やかにさせる方策が論じられているだけで、根本的な解決は存在しないような気が私もします。そうだとすれば、ホントに政策的に解決せねばならない課題なのか、クレーメーキングに終わっているのか、なんとも私には判断がつきません。エコノミストの目から見れば、例えば、ベーシック・インカムを保証して、家族形態は個々人の自由な選択に任せる、ということが大原則だと思うんですが、クレームメーカーの側では違う論理が成り立ちそうな気もします。

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次に、池澤夏樹『アトミック・ボックス』(毎日新聞) です。父親が原爆開発に関わっていた資料を残して死に、それをかかえて社会学者の娘が公安警察から逃げて、キーマンに会いに行くストーリーです。ちょっと、国家機密法の世界に近いものがあると感じる読者がいるかもしれません。警察から逃げるというのは伊坂幸太郎『ゴールデンスランバー』にやや似通っているところがありますが、社会学者としての調査対象だった高齢者から「先生が警察に追われているのなら、私どもは先生を匿いますよ」(p.160) と言われるほどのサポートを受け、公安警察から逃げ切って東京についてキーマンだった人物とその背後にいる国会議員経験者である黒幕からすべての情報を得た上で、同じく手厚いサポートを受けたメディアの記者を通じて事実関係を公表するというサスペンスです。原爆開発やその計画の挫折の理由などは、ハッキリ言って、かなりありきたりで新鮮味に欠けますが、社会学者としての調査対象だった高齢者からの支援を受けつつ、メディアの記者の妻のプロットに乗って奇想天外な方法で公安警察から逃れて東京に到達する主人公の冒険談として読めば面白いです。社会派の小説なんでしょうが、主人公の父親の代の原爆開発計画ではなく、その娘の代の逃避行に読ませどころがあるような気がします。

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最後に、海堂尊『カレイドスコープの箱庭』(宝島社) です。著者のバチスタ・シリーズの最新刊で、何と、著者のデビュー作である『チーム・バチスタの栄光』の桐生准教授が再登場しますし、p.239以降は「海堂ワールド」として、過去・現代・未来の登場人物相関図、全登場人物表、桜宮市年表、大学・病院施設MAP、用語解説、医療用語辞典と本作が最終作であるかと誤解させかねない豪華オマケつきです。ストーリーはいつもの田口&白鳥コンビで東城大学病院の医療事故、と言うか、死亡患者の家族からのクレームについて調査して真相を解明するというミステリです。何度か、この著者の著作を取り上げた際に言及した通り、ミステリとしては『チーム・バチスタの栄光』から徐々にレベルが落ちてきていたんですが、本作では少し盛り返しているような印象があります。次作に期待です。

今夜からチョッピリ『肩をすくめるアトラス』を読み始めました。2段組で1200ページを超える大作ですから持運びもままならず、私自身も読み切れるかどうか自信がないながら、取りあえず、挑戦してみます。ダメだったら、私と大きく意見を異にするリバタリアンの書ですから、イソップ的な「すっぱい葡萄」で済ませようと企んでいます。

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