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2014年5月31日 (土)

貧打にあえいで交流戦3連敗!

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  HE
阪  神000001000 170
日本ハム000000102x 340

息詰まる投手戦でしたが、阪神に決定打なく9回安藤投手がホームランを喫してサヨナラ負けでした。唯一、勝利のチャンスがあったとすれば、能見投手の単独の完封、もしくは完封リレーだけだったような気がします。7回に大谷選手に完璧なホームランを打たれた時点で勝利が遠のいた印象がありました。西武戦に続いて阪神は交流戦3連敗です。

明日は、
がんばれタイガース!

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今週の読書は東野圭吾『虚ろな十字架』と角田光代『私のなかの彼女』ほか

今週の読書は発売早々に買った東野圭吾『虚ろな十字架』と図書館の予約がやっと回ってきた角田光代『私のなかの彼女』ほか、以下の通りです。小説は大いに感動した力作ばかりでしたが、専門書の方は櫨浩一『日本経済の呪縛』を除けば、このところハズレが多い気がします。

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まず、東野圭吾『虚ろな十字架』(光文社) です。テーマは死刑は無力だということです。おそらく、大多数のほかの日本人と同じで、私は家族や親しい友人や隣人などを殺人事件で亡くした体験を持ちません。ですから、ホントの意味で実感は湧かないんですが、死刑がある意味で前近代的な風習を継承した野蛮な制度だと言われれば、そうかもしれないと思いますし、逆に、遺族感情などを勘案すると殺人に対して死刑を配するのは当然だと言われれば、やっぱり、そうかもしれないと思います。要するに、定見はないんですが、刑罰というものを社会復帰のための更生手段と考えれば死刑は廃止すべきかもしれませんが、当人だけでなく社会全体に対する見せしめ的な犯罪抑止手段と考えれば死刑も許容すべきかもしれません。その両方の要素があるわけでしょうから、何とも難しいところです。小説としては、当然に社会派の力作ですし、ストーリーのプロットは言うに及ばず、登場人物のキャラの立て方も、細かな表現力も、上質の仕上がりの小説になっています。作者はハッキリと死刑に対する否定的な態度を示していますから、この点で異論はあり得ましょうが、我が国でも指折りの売れっ子小説家の作品であることは十分に感じ取れると思います。昨年の『夢幻花』も力作でしたが、この作品もとってもいいです。私のような東野圭吾ファンは必読と言えましょう。

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次に、角田光代『私のなかの彼女』(新潮社) です。これも素晴らしい作品です。先週か先々週か、第2回河合隼雄物語賞が授賞されると何かのメディアで知りました。何らかの文学賞を受賞してもおかしくない水準に達した小説と言えます。アチコチの書評などで書かれている通り、北関東出身の主人公の女性がバブル期に東京で大学生活を過ごし、表現者として時代の寵児になった恋人との結婚を考えつつも、実家の蔵の取壊しの際に母方の祖母の小説家としての実像に触れる機会があり、自分自身も小説家を志すというストーリーです。祖母はすでに亡くなっていますので、主人公と母親との関係、もちろん、主人公と恋人との関係、とてもナチュラルで時代の先端を行くようなバブル期の寵児であった恋人との別れ、ひとつひとつのターニング・ポイントを作者は見事に紡ぎ上げて、ラストまで持って行きます。序盤の物語の前置き的な部分は別にして、主人公が大学に入学する18歳からの20年間を、実に小説家らしい視点から主人公の心と行動を跡付けます。この人生は運命で決まっていたことなのか、主人公自身が切り拓いたのか、とても興味深く読めます。ただし、主人公の恋人の仙太郎については読者の読み方が分かれそうな気もします。私は仙太郎をポジティブに捉えましたが、特に女性ではネガティブに受け止める人もいるかもしれません。バブル期を経験していなければ特にそういう傾向が出そうな気もします。ややハードルが高いかもしれないんですが、仙太郎の発言や行動を正しく解釈できなければ、小説としての評価が低下しそうで少し残念な気がします。

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次に、石弘光『国家と財政』(東洋経済) です。言うまでもなく、作者は一橋大学の教授を務め、政府税調の会長を歴任した税制や財政の専門家です。今週の読書は見ての通り、フィクションの小説2冊に主として経済の専門書が3冊なんですが、小説の水準が高かった分、専門書は物足りない思いをしました。その中でも本書はマシな方でした。シャウプ勧告から始まる戦後税制を概観し、財政学を体系的に再構築したマスグレイブ教授の業績を紹介しつつ、実に冷静に、新たな理論展開なしに従来の財政理論の再構築に終始したマスグレイブ教授へのノーベル経済学賞授与がなされなかったのは当然、との冷めた見方を表明していたりします。純粋経済学的というか、ケインズ的なハーベイ・ロード仮説の成り立たない財政学の政治経済的な側面を政府審議会などの委員として十分に観察した結果の考察も一見に値します。ただし、いくつかの主要な章で、後半部分が著者と著名な財政学者や税制学者との個人的な交流に当てているのは違和感がありました。もっとも、著者もこういった自慢話をしたい年齢に達したのかもしれません。それから、典型的には「バイアス」の語なんですが、アルファベットで綴る際に "b" を用いるにもかかわらず、なぜか「ヴ」を当てているカタカナ表記の外来語がありました。例えば、偏向の意味で「ヴァイアス」と表記したりしています。編集者のレベルが心配です。戦後日本の財政や税政について概観するには便利な1冊かもしれません。

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次に、森田長太郎『国債リスク』(東洋経済) です。私はこの本の主張が何なのかがよく分かりませんでした。要するに、ありきたりなアベノミクス批判本なんだろうと思って読み始めたんですが、いくつか「トンデモ経済学」的な見方が示されているものの、正統的な経済学的な見方も表明されています。先週取り上げた櫨浩一『日本経済の呪縛』でも、現時点での日本経済の最大のリスクは財政赤字であると指摘しており、私も唯一最大のリスクかどうかはともかく、財政赤字が最大のリスクのひとつであろうことは十分に理解しています。本書の主たる主張は、アベノミクスが日本国債というか、財政破綻のテール・リスクを高めた可能性がある、という1点だと受け止めています。では、従来のデフレ均衡の方がよかったのか、というと、そうでもないようです。実に直感的な私の受止めを比喩的に表現すると、かなり好成績と評価すべきアベノミクスの95点の答案に対して、足りなかった5点の部分にスポットを当てて、何やらよく分からない「トンデモ経済学」を振り回して文句を垂れている、という印象を持ちます。しかも、全体として好成績であることは明らかなものだから、その文句も実に中途半端に終っている、と言うことなんだろうと思います。興味ある人だけが読めばいいと思います。

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最後に、猪木武徳[編]『<働く>は、これから』(岩波書店) です。私は読んでいませんが、NHKの取材などを基にした『里山資本主義』が話題になったことがありましたが、それを雇用に当てはめれば、こういう本が出来るのかもしれないと想像をたくましくしてみました。岩手県釜石市や島根県海士町の現地調査などを基にして、高度成長期の昔を懐かしんでいるとしか、私の貧困な読解力では読みこなせませんでした。唯一読む価値があると私が考えたのが清家教授による 第2章 地に足の着いた雇用改革を という論文なんですが、成熟社会でうまく行かなくなったからといって、従来からの日本的雇用慣行すべてを投げ捨てるのではなく、本当に必要な雇用改革を取捨選択しつつ漸進的に進めるべきである、という主張を展開しています。それはその通りだと思います。他の論文で、極めて限られた地域的な成功体験を日本全体に適用せんが如き分析には辟易しました。政府の一部の部局をはじめとして、戦後の高度成長期に根付いた日本的雇用慣行を無条件に規範に据えて岩盤規制を墨守しようという勢力があるがために、逆の方向から極端な議論が生じていることも理解すべきです。その意味で、決して好き嫌いの観点ではないバランスの取れた議論が必要です。

薄給の身の上のため、今週の読書も『虚ろな十字架』以外はすべて図書館から借りて読んでいます。ですから、どうしても、私の場合は図書館の予約の順番に左右される読書になりがちです。さて、来週の読書やいかに?

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2014年5月30日 (金)

いっせいに発表された政府統計から消費増税のインパクトを考える!

今日は、5月最後の閣議日ということで、政府統計がいっせいに発表されました。すなわち、今夜のエントリーで取り上げる順で並べると、経済産業省から鉱工業生産指数が、総務省統計局の失業率や厚生労働省の有効求人倍率などの雇用統計が、また、総務省統計局から消費者物価指数(CPI)が、それぞれ発表されています。いずれも消費税率引上げ直後の4月の統計ですから、消費増税のインパクトを見る上で大いに注目されるところです。結論を先取りすれば、生産の減少は想定に範囲内であり、雇用は消費増税をものともせずに改善を続け、消費者物価は消費税率引上げ以上に上昇した、と言うことになります。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じた記事を引用すると以下の通りです。

4月鉱工業生産指数、2.5%低下 基調判断を下方修正
経済産業省が30日発表した4月の鉱工業生産指数(2010年=100、季節調整済み)速報値は前月比2.5%低下の99.6だった。2013年11月以来の低水準で、マイナスは2カ月ぶり。消費増税前の駆け込み需要で生産が増えていた自動車や白物家電などに反動減の動きがみられた。QUICKがまとめた市場予想の中央値は2.0%低下だった。経産省は基調判断を「横ばい傾向」に下方修正した。下方修正は12年9月以来。経産省は「駆け込みの特需がなくなり、生産のペースが落ちている」とみている。
業種別でみると15業種のうち12業種が低下した。輸送用機械工業が3.5%低下。太陽光パネル関連の部材に反動減が出た電子部品・デバイス工業が5.2%低下した。
駆け込み需要の一服で出荷指数は5.0%低下の98.0。消費増税に向け作り込んだ製品在庫の解消も進み、在庫指数は0.5%低下の105.2、在庫率指数は1.8%低下の103.5だった。
前回の消費税引き上げ時の97年4月(2.6%低下)と生産の低下幅はほぼ同じだった一方、過剰在庫を抱える状況には至っておらず、経産省は「在庫が生産の重荷になることはなさそう」とみている。97年4月は在庫が2.9%に上昇していた。
同時に発表した製造工業生産予測調査によると、電子部品など出荷が遅れていた製品の生産で5月は一時的に1.7%上昇する見込みである一方、6月は2.0%低下する見込み。
雇用改善一段と、4月の求人倍率1.08倍に上昇
厚生労働省が30日発表した4月の有効求人倍率(季節調整値)は1.08倍と前月から0.01ポイント上がった。改善は17カ月連続で2006年7月以来7年9カ月ぶりの高い水準となった。製造業やサービス業を中心に求人が増えている。景気の回復を受け、経営者が雇用に前向きになっている。
有効求人倍率は全国のハローワークで職を探す人1人に対して、企業から何件の求人があるかを示す。高いほど仕事を見つけやすい。
4月の有効求人倍率が上昇したのは、消費増税後も経営者が先行きに自信を持って雇用に前向きになったことが背景とみられる。厚労省は5月に入ってからの求人状況なども踏まえ、雇用に「消費増税の大きな影響は見られない」(職業安定局)と判断している。
4月に受け付けた新規求人数(原数値)は前年同月と比べて10.0%増と、3カ月ぶりに2ケタの伸びになった。主要11業種のうち10業種がプラスで、製造業が23.2%増えた。サービス業(15.2%増)、宿泊・飲食サービス業(11.6%増)が好調だった。
企業の人手不足感は強まっており、厚労省は「建設業や外食産業、小売業、医療介護といった業種で人材の不足が目立つ」とみている。景気の回復で求人が増えていることに加えて、生産年齢人口が減っているためだ。
総務省がまとめた4月の完全失業率(季節調整値)は3.6%と3カ月連続で横ばいだった。水準としては07年7月以来の低さ。総務省は「消費増税の大きな影響はなく、引き続き持ち直しの動きが続いている」(統計局)とみている。
就業者の数は前年同月比0.4%増の6338万人だった。製造業が3.6%増の1080万人と5年ぶりの高い水準になったことが主因だ。
雇用者に占める非正規の比率は36.7%と前年同月より0.9ポイント上がった。定年退職したシニア層や主婦がパートで働きに出ているためだ。
4月の消費者物価3.2%上昇 消費増税分を上回る伸び
総務省が30日発表した4月の全国消費者物価指数(CPI、2010年=100)は値動きの激しい生鮮食品を除く指数が103.0と、前年同月に比べて3.2%上がった。消費税率を5%から8%に引き上げた増税分の上乗せが順調だったうえ、物価の基調も底堅かった。1991年2月以来、23年2カ月ぶりの大幅上昇になった。
生鮮食品を除く品目では9割で前年よりも価格が上がった。身近な品目ではガソリンが前年同月比6.4%の値上がり。生鮮食品を除く食料は4.1%上がった。スパゲティやワインなど4月に入って3月より値上がりした品目も目立った。
日銀は消費増税が4月の消費者物価を前年同月比で1.7ポイント押し上げると試算していた。4月の総合指数から1.7ポイントを差し引くと1.5%の上昇。3月よりも上昇幅が0.2ポイント拡大しており、増税の影響を除いても物価上昇が続いたことがうかがえる。
全国の先行指標となる東京都区部の5月中旬速報値は生鮮食品を除く指数が102.0と、前年同月比2.8%の上昇だった。2.7%の上昇だった4月と比べて上昇幅は0.1ポイント拡大した。
日銀が試算した消費増税が物価を押し上げる効果を除き、消費増税分の転嫁が5月中旬までに終わったとすると5月は0.9%上昇となり、4月の1.0%上昇より1ポイント低下した。増税分の影響を除いた都区部の物価はやや伸びが鈍っている。

いずれもとてもよく取りまとめられた記事なんですが、さすがに、これだけ並べるともうおなかいっぱい、という気もします。次に、鉱工業生産と出荷のグラフは以下の通りです。上のパネルは2010年=100となる鉱工業生産指数そのもの、下は輸送機械を除く資本財出荷と耐久消費財出荷です。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた部分は景気後退期です。なお、昨日まで直近の景気の谷はこのブログのローカル・ルールにより2012年11月に仮置きだったんですが、政府のお墨付きを得ました。すなわち、本日開催された内閣府景気動向指数研究会において、2012年11月が暫定ながら景気の谷であったと認定されています。詳しくは「第15循環の景気の谷の暫定設定について」を参照下さい。

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先月の速報発表時における4月の製造工業生産予測調査は前月比で▲1.4%減、日経QUICKによる市場の事前コンセンサスは▲2.0%減だったんですが、統計に示された実績では▲2.5%減とさらに下振れしました。しかし、引用した記事にもある通り、1997年の消費増税時には4月の減産は前月比で▲2.6%でしたから、ほぼ企業の想定内とする声は順当かと私は受け止めています。特に、鉱工業指数のうちの在庫や在庫率が全体として4月は3月よりも低下しており、少なくとも意図せざる在庫の積上りは回避されているように見受けられます。ただし、非耐久消費財の在庫・在庫率が上昇しており、やや不思議な気がします。駆込み需要の動向を見誤ったのかもしれません。また、先行きについても製造工業生産予測調査に従えば、引用した記事にもある通り、5月は+1.7%の増産の後、6月は▲2.0%の減産と複雑な動きをしそうです。先行きは一進一退の動きながら、場合によっては、短期的には生産の谷は4月で早々に終了する可能性が十分あると私は見込んでいます。むしろ、日本電機工業会から5月27日に発表された「民生用電気機器 2014年4月度 国内出荷実績」によれば、耐久消費財のうち、エアコン、電気冷蔵庫、電気洗濯機などは前年同月と比較して台数ベースではプラスやゼロを記録していたりします。いずれにせよ、消費増税のショックは大きくないと考えるべきです。

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雇用のグラフはいつもの通り上の3枚です。上から順に、失業率、有効求人倍率、新規求人数です。いずれも季節調整済みの系列をプロットしています。雇用については生産のような悪化はなく順調に改善を続けており、統計作成官庁である厚生労働省や総務省統計局が言うように「消費増税の大きな影響は見られない」どころか、消費増税のネガティブなインパクトをものともせずに雇用は改善を続けているように見受けられます。バックグラウンドとして、景気の改善が進んでいる一方で、高齢化に伴う労働力人口の減少、特に、団塊の世代の65歳超えが大きな要因と考えられます。ですから、これも本日経済産業省から発表された「平成26年 企業の賃上げ動向に関するフォローアップ調査中間集計結果」によれば、上場企業の約半数に当たる46.7%が今春にベースアップを実施したと回答し、ベースアップを実施した企業のうち3割以上が、「政策効果によって企業収益が改善したことが賃上げを後押しした」とアベノミクスに対して肯定的な評価を下しています。雇用が量的に改善する一方で、質的にも賃金上昇や正社員採用の増加の方向に進むことが期待されます。

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ということで、雇用の参考グラフを2枚ほど書いてみました。上のパネルは非正規比率、下は産業別の雇用者数の増減で、季節調整していない原系列の産業別雇用者数の前年同月さによる増減数を積上げ棒グラフでプロットし、全体の雇用者数の増減を折れ線グラフで示しています。ここ1年で2%ポイントほど非正規比率は上昇しましたが、3-4月と低下を示しているのが見て取れます。ただし、この非正規比率も季節調整していませんので、春先はこのような季節変動があるのかもしれません。現時点では何とも言えません。産業別雇用者数では、濃い緑色の医療・福祉とともに、水色の製造業についても円安是正の効果により増加を示しています。3月まで消費税率引上げ前の駆込み需要で雇用を増加させた卸売・小売業は4月に入って減少に転じています。

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いつもの消費者物価上昇率のグラフは上の通りです。折れ線グラフが全国の生鮮食品を除くコアCPI上昇率と食料とエネルギーを除く全国コアコアCPIと東京都区部のコアCPIのそれぞれの上昇率を示しており、積上げ棒グラフは全国のモアCPI上昇率に対する寄与度となっています。東京都区部の統計だけが5月中旬値です。いずれも総務省統計局の発表する丸めた小数点以下1位の指数を基に私の方で算出しています。ということで、消費者物価は想定以上に上昇を記録しています。引用した記事にある通り、日銀では消費税率引上げの消費者物価上昇率への影響を+1.7%ポイントと試算していますから、消費税率引上げの影響を除くベースでも4月の上昇率は3月を上回ったことになります。現時点では、需給ギャップの引締りというよりは、いわゆる便乗値上げに近い価格上昇ではないかと想像されますが、もしもそうだとすれば、需給ギャップに基づかない便乗値上げ分は早い段階で剥落する可能性があります。もしも、駆込み需要の盛上がりなどに伴う需給ギャップに応じた物価上昇が生じているのであれば、日銀のインフレ目標の達成が近づいているのかもしれません。

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最後に、4月18日付けのエントリーで取り上げた東大日次物価指数のその後の動きをフォローしたグラフが上の通りです。すでに4月半ばに想定されていた結果ですが、4月1日の消費税率引き上げによってポンと上昇した物価も、すぐにゼロ近傍に舞い戻っています。

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2014年5月29日 (木)

商業販売統計に見る消費税率引上げ前後の駆込み需要と反動減やいかに?

本日、経済産業省から4月の商業販売統計が発表されました。4月1日からの消費税率引上げが実施された直後の統計ということで大いに注目されましたが、個人消費の代理変数として注目され、統計のヘッドラインとなる小売業販売額は、季節調整していない原系列の前年同月比で▲4.4%の減少、季節調整指数の前月比で▲13.7%の減少と、ほぼ想定内ながら予想通り、駆込み需要の反動減により大幅な減少を示しました。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

4月の小売販売額、4.4%減 約3年ぶりマイナス幅 9カ月ぶり減
経済産業省が29日発表した4月の商業販売統計(速報)によると、小売業の販売額は前年同月比4.4%減の11兆110億円と、9カ月ぶりのマイナスとなった。減少幅は2011年3月(8.0%減)以来の大きさだった。消費増税前の駆け込み需要の反動で、自動車や家電などの販売減少が目立った。
小売業の内訳をみると、自動車が10.2%減で8カ月ぶりのマイナス。白物家電の落ち込みが響いた機械器具は12.3%減、飲食料品は1.9%減少した。
百貨店とスーパーの大型小売店は6.1%減の1兆4668億円と、前年同月比で9カ月ぶりの減少。既存店ベースでは6.8%減だった。このうち既存店ベースで百貨店は衣料品の販売が落ち込み10.1%減。スーパーは主力の飲食料品が減り、5.1%減少した。
一方、コンビニエンスストアは4.2%増の8113億円で、前年同月比で14カ月連続のプラスとなった。増税前に買いだめが起きた反動でたばこは減少したが、おにぎりや弁当が好調だった。
同時に発表した専門量販店販売統計(速報)によると、4月の販売額は家電大型専門店は2869億円、ドラッグストアが3496億円、ホームセンターが2698億円だった。

いつもながらよく取りまとめられた記事だという気がします。次に、商業販売統計のグラフは以下の通りです。上のパネルは季節調整していない原系列の小売販売の前年同月比伸び率を、下のパネルは小売業の2010年=100となる季節調整指数を、それぞれプロットしています。影を付けた部分は景気後退期です。なお、毎度のお断りですが、このブログのローカル・ルールで、直近の景気の谷は2012年11月であったと仮置きしています。

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まず。前回の統計発表時にも1997年の消費税率引上げ当時と比較しましたが、今月も季節調整していない原系列の統計の前年同月比で同じことを考えると、1997年当時は3月が+12.4%増の後、4月は▲3.8%減となりましたが、今回は3月+11.0%増、4月▲4.4%減ですから、ほぼ想定通りの動きと言えます。コンマ以下まで考えに入れれば、3月の駆込み需要は1997年の方が大きかったが、4月の反動減は今回2014年の方が大きい、と言うことになります。この程度は誤差範囲内かもしれず、議論しても仕方ないので、大雑把に、3月の駆込み需要と4月の反動減はほぼ想定の範囲内・レンジ内と受け止めています。単価が高い商品ほど、また、耐用期間が長いほど、消費増税の影響の大きいと考えられますから、当然ながら、事前の駆込み需要と事後の反動減が大きく、引用した記事にもある通り、4月統計に見る通り、自動車が▲10.2%減、白物家電を含む機械器具が▲12.3%減の一方で、飲食料品は▲1.9%減と影響は軽微だったと言えます。

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同じように、3月の駆込み需要と4月の反動減を百貨店・スーパー・コンビニの業態別に見たのが上のグラフです。直感的に理解される通り、販売単価が 百貨店 > スーパー > コンビニ でしょうから、この販売単価が大きい順で3月の駆込み需要と4月の反動減が大きくなっているのがグラフから読み取れると思います。当然です。このあたり、商業販売統計は統計として信頼性が高いと私は受け止めています。

内閣府が週次で発表している「消費税率引上げ後の消費動向等について」を私はチェックしているんですが、政府によるいわば「大本営発表」に近い情報かもしれないとはいえ、消費は想定通りに反転ないしマイナス幅の縮小を示していると私は受け止めています。景気が腰折れする確率も事前の想定通りにかなり小さいと考えるべきです。

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2014年5月28日 (水)

今年のサラリーマン川柳のベスト10と梅雨の天気傾向やいかに?

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やや旧聞に属する話題かもしれませんが、先週、第一生命から毎年恒例のサラリーマン川柳のベスト10が公表されています。今年で第27回だそうです。昨年もそうだったんでしょうが、今年も流行語やはやりモノがふんだんに取り入れられていて、よく世相を反映していると私は受け止めています。

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また、ついでながら、昨日2月27日、日本気象協会から今年2014年梅雨時期の天気傾向が発表されています。日本気象協会のサイトから引用した上の画像の通りです。極めて大雑把に言って、今年の梅雨は、梅雨入り・梅雨明けともに平年に比べ遅い、また、奄美・沖縄を除いて、6月は晴れる日が多いが、7月は天気がぐずつく、と言った傾向があるようです。

やや怪しげなカップリングの記事になってしまいました。帰宅が遅くなり、簡単に済ませておきます。

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2014年5月27日 (火)

息詰まる投手戦で藤浪投手が涌井投手に投げ勝つ!

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  HE
ロ ッ テ000000000 041
阪  神00020000x 260

息詰まる投手戦を藤浪投手が制し涌井投手に投げ勝った試合でした。前回登板でOKされた反省からか、藤浪投手が大いに力投し、女房役の清水捕手のリードも冴え渡りました。いい流れを保ち、打線も集中力高くワンチャンスをモノにしました。交流戦無敗のロッテに阪神が初めて土をつけ完勝でした。

次の西武戦も、
がんばれタイガース!

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企業向けサービス価格指数 (CSPI) は消費税率引上げで大きく上昇幅を拡大!

本日、日銀から4月の企業向けサービス価格指数(CSPI)が公表されています。ヘッドラインの企業向けサービス価格上昇率は消費税率引上げ前の前月比で+2.4%、前年同月比で+3.4%、消費税を除くベースでも前年同月比+0.8%の上昇を記録しました。4月1日からの消費増税の影響を受けて上昇率が大幅に高まっています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

4月企業向けサービス価格、3.4%上昇 消費増税で約23年ぶり高さ
日銀が27日発表した4月の企業向けサービス価格指数(2005年平均=100)は99.4と、前年同月に比べ3.4%上昇した。消費税率引き上げの影響で、伸び率は1991年1月(3.4%上昇)と並ぶ23年3カ月ぶりの高さだった。
消費税の影響を除く伸び率は前年同月比0.8%上昇と、2013年12月(1.0%上昇)以来の高さとなり、3月(0.7%上昇)から小幅に拡大した。日銀は年度初めの価格改定で「これまでのコストアップを転嫁する動きがあった」(調査統計局)と見ている。
企業向けサービス価格指数は運輸や通信、広告など企業間で取引される価格水準を示す。
消費税の影響を除いたベースで見ると、上昇品目64に対し下落品目は42と、8カ月連続で上昇品目が下落品目を上回った。業種別で上昇が目立ったのは運輸。高速自動車道や一般有料道路で自動料金収受システム(ETC)の割引制度の縮小や料金の見直しによる値上げが影響した。

いつもながら、よく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、企業向けサービス物価上昇率のグラフは以下の通りです。サービス物価(CSPI)とコアCSPIの上昇率とともに、企業物価(CGPI)上昇率もプロットしています。CSPI上昇率がCGPIに追い付いたように見えなくもありませんが、左右の軸で目盛りが異なりますので注意が必要です。なお、影をつけた部分は景気後退期なんですが、いつものお断りで、直近の景気の谷は昨年2013年11月だったと仮置きしています。

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当然ながら、4月1日からの消費税率引上げにより企業向けサービス物価の上昇率も大きな影響を受け、上昇率が大幅に高まっています。しかし、消費税率引上げの影響を除く4月の前年同月比+0.8%は3月の確報実績+0.7%を上回っていますから、消費税率引上げの影響を差し引いても物価は着実に上昇幅を拡大している可能性があります。もっとも、単月の統計結果ですから、一部に消費税率アップを超える便乗値上げが生じていて、その分だけ物価上昇が押し上げられている可能性は排除できません。便乗値上げについては、それだけ需給が引き締まっていると見なすのか、一時的な物価動向を示すに過ぎず便乗値上げ分は早くに剥落すると見込むのか、見極めは難しいところです。特に前年同月比で見た上昇率が高かったのは、機械修理や清掃などの建物サービスを含む諸サービスが+4.1%、運輸が+4.0%となっていますが、運輸は有料道路が+26.3%を示した効果が大きく、しかも、引用した記事にもある通り、ETCの割引制度の縮小などですから、どこまでがいわゆる「実力」なのかは疑問が残ります。なお、消費税率引上げにもかかわらず、情報通信はまだ前年比でマイナスなんですが、マイナス幅は着実に縮小しています。サービスは一般的に商品に比べてコストに占める人件費の割合が大きく、しかも、CSPIは需給ギャップに敏感な指標ですので、賃金動向との関係も含めて、今後もその行く方が注目されるところです。

日銀は5月14日に発表された企業物価(CGPI)も、今日発表のCSPIも、いずれも消費税率引上げの影響を除く上昇率を参考として公表しています。先月発表された消費者物価の4月東京都区部の統計では総務省統計局は消費税率の影響を除く試算は公表していなかったように思います。日銀に出来て統計局に出来ないこと、あるいはその逆もいっぱいあるんでしょうから、エコノミストとしても決してムリは言いたくないんですが、今週金曜日の発表予定の全国CPIもやっぱり消費税の影響を除く上昇率の公表はしないんでしょうか?

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フレンチ・オープン・テニスで錦織圭選手が1回戦敗退!

全仏オープンで錦織圭選手が1回戦敗退の波乱でした。
昨夜のブログで応援したのに、誠に残念!

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2014年5月26日 (月)

昨日から始まったフレンチ・オープン・テニスでの錦織圭選手の活躍やいかに?

昨日からローランギャロスにて全仏オープンが始まりました。日本では何といっても男子シングルの錦織圭選手の活躍が注目されています。近代テニスになってからは我が国初めての世界ランキング9位の選手です。もっとも、2008年7月29日付けのエントリーで取り上げたように、1920年のアントワープ・オリンピックでは熊谷一弥選手と柏尾誠一郎選手が男子テニス競技で銀メダルを獲得していますから、100年ほど昔の我が国男子テニスのレベルは世界でもトップクラスだったわけです。
下の画像はWOWOWのサイトから引用した全仏オープンの男子シングルのドローです。ものすごく見にくいんですが、錦織選手は第9シードです。

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何はともあれ、
がんばれ錦織圭!

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2014年5月25日 (日)

ミスから失点し反撃は遅きに失しロッテに完敗!

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  HE
ロ ッ テ003000200 590
阪  神000000020 263

交流戦に入ってセリーグの各チームを蹴散らしているロッテに歯が立たず完敗でした。ミスで失点し、なかなか先発投手を捉えられず反撃は遅きに失しました。点差以上に力の差を感じる一戦でした。

明日は藤浪投手を守り立てて、
がんばれタイガース!

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今週のジャズは木住野佳子「ふるさと -Tribute to Japan-」と「Hope」

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今週のジャズは木住野佳子「ふるさと -Tribute to Japan-」と「Hope」です。取りあえず、収録曲は以下の通りです。

  • ふるさと - Tribute to Japan -
    1. 故郷
    2. 上を向いて歩こう
    3. 朧月夜
    4. 浜辺の歌
    5. リンゴ追分
    6. 早春賦
    7. さくらさくら
    8. 赤とんぼ
    9. 冬の夜
    10. ちいさい秋みつけた
    11. 見上げてごらん夜の星を
    12. かえり道
  • HOPE
    1. HOPE
    2. 飛翔
    3. 虹のしずく
    4. Meridienne
    5. Tiny Flower
    6. 牛とカタツムリ
    7. 蝶の夢 written
    8. If I Fell
    9. hikari
    10. リベルタンゴ
    11. Inori

まず、「Hope」という曲については、秋吉敏子がジャズとしてはとてもめずらしくシングルCDで出していることが有名です。谷川俊太郎が歌詞を提供し、秋吉敏子の長女である Monday 満ちるがボーカルを担当しています。ボーカルなしのピアノ・トリオによる演奏だけで、曲名と同じアルバムも出ています。私は聞いたことがあります。その秋吉敏子の有名な「Hope」と、このアルバムに収録されている「HOPE」は別の曲のようです。アルバムのライナー・ノートを見る限り、アルバムに収録されている「HOPE」は木住野佳子の作曲らしいです。私も聞き比べてみました。誠に失礼ながら、同じ日本人女性ジャズ・ピアニストとは言え、秋吉敏子と木住野佳子では年齢とともにピアニストとしての格が2-3ランクくらい違いますから、絶対に知らなかったはずはないのに、どうして木住野佳子が後出しで、こんなややこしいことをしたのかは私には不明です。
前置きが長くなりましたが、それはともかく、非常に静かで余りアドリブのないアルバムに仕上がっています。ヒーリングとかバラード系が多いので、例えば、あのコルトレーンだってインパルスから出した「Ballads」ではほとんどメロディ・ラインをなぞるだけのアルバムを出していますし、私を含めて日本でも愛好家がかなり多いと感じています。キース・ジャレットにも「The Melody at Night, with You」なんてアルバムもあります。ですから、ヒーリング系のこういったアルバムも好きなジャズファンはかなりいそうです。木住野佳子はビル・エバンス系のピアニストだと思っていましたが、この2枚のアルバムを聞く限り、少し違う印象を持つかもしれません。でも、非常に都会的なセンスのよさを感じるという点については同じかもしれません。
私も高校生のころは2-3日前から体調を十分に整えて気合を入れてコルトレーンを聞いたりしていましたが、今では読書のBGM的に静かな夜にジャズを聞くこともめずらしくありません。ただし、「ふるさと -Tribute to Japan-」については、同じような趣旨のアルバムがヨーロピアン・ジャズ・トリオが「Japanesque」と題して出していますので、コチラもオススメです。下の動画は YouTube にアップされているものです。

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2014年5月24日 (土)

オリックス戦に続いてソフトバンク戦も1勝1敗で乗り切る!

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  HE
阪  神100300000 491
ソフトB002100000 3111

互いに守備のミスがあり、満塁のチャンスを逃したりと、同じような展開で進みましたが、何とかソフトバンク戦も1勝1敗のタイで乗り切った試合でした。交流戦に入っていきなりパリーグ首位と2位の2強のオリックス、ソフトバンクと敵地で対戦するスケジュールが組まれていて、そうでなくてもセリーグのチームは分が悪いんですが、何とか最初の2連戦2カードをいずれもタイで乗り切れたんですから御の字と言えます。明日からは甲子園でロッテ、西武と対戦し一息ついて連勝の可能性も探りたいところです。

明日の甲子園でのロッテ戦は、
がんばれタイガース!

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今週の読書は上田早夕里『深紅の碑文』ほか

今週の読書は、著者からご寄贈いただいき、昨日のエントリーで最近にはめずらしくシングルアウトして取り上げた櫨浩一『日本経済の呪縛』を別にして、印象的だったのは上田早夕里のオーシャンクロニクル・シリーズの長編第2弾『深紅の碑文』ほか、以下の通りです。今週はややハズレが多かった気もします。

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まず、上田早夕里『深紅の碑文』上下 (早川書房) です。『華竜の宮』の続編であり、リ・クリテイシャスによる海面上昇により陸地のかなりの部分が水没した後、地下のマグマが吹き上がって<大異変>が生じてプルームの冬を迎えるまでの25世紀の地球を舞台にストーリーは展開されます。リ・クリテイシャスの後ですから生物改造が始まっており、陸上民と海上民の対立も深まっています。前作の長編『華竜の宮』と一部に登場人物は重複しています。なお、念のためですが、私は『華竜の宮』は読んでいます。2011年の第32回日本SF大賞受賞作品です。主人公的な役割を果たすのは外交官を退官して支援団体の理事長をしている青澄とアシスタント知性体のマキです。『華竜の宮』では陸上民と海上民の対立が一時的とはいえ回避され、海上民を受け入れるベースキャンプの建設が進んだ後を受け、本作品では深宇宙を目指す宇宙船の打上げがひとつのテーマとしてスポットを当てられています。もっとも、ラブカのリーダーであるザフィールについて延々と人物像を解き明かす部分は薄っぺらで、単に陸上民に関する記述と海上民に関する記述のバランスを取っただけという印象をぬぐえませんでした。SF小説の出来としては『華竜の宮』の方が高い気もしないでもありませんが、ルーシーとして海上民を海底深く残すというプロジェクトよりも、深宇宙にアシスタント知性体とともに地球人類の記録を送り込もうというプロジェクトの方により強いスポットを当てていますので、単なるノワール小説っぽいSFというだけではなく、将来への明るい展望を指し示している面もあります。ただし、戦闘シーンや流血シーンなども少なくありませんし、『華竜の宮』から感じていることですが、科学や技術に関する解説がほとんどなく、ややSFとしての深みに欠けると言わざるを得ません。また、著者のサイトでは「オーシャンクロニクル・シリーズ」と何度も書いているんですが、私は不勉強にしてメディアの書評サイトなどでこのシリーズ名を見たことがありません。誠に貧弱なメディアながら、私のこのブログでは「オーシャンクロニクル・シリーズ」というシリーズ名を連呼しておきたいと思います。シリーズ第3弾の長編はあるんでしょうか。青澄が死んだので本作で最後なんでしょうか。著者のサイトの意気込みからすれば、次作がある可能性が高いんでしょう。

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http://www.keizaikai.co.jp/book/detail/9784766785678.html
次に、橋本之克『9割の人間は行動経済学のカモである』(経済界) です。昨年2013年3月25日付けこのブログのエントリーでノーベル賞経済学者であるダニエル・カーネマン教授の『ファスト&スロー』上下(早川書房) を取り上げ、行動経済学の入門書の代表作のひとつとして紹介しましたが、本書はさらに分かりやすく行動経済学を解説しています。このブログでは紹介していないんですが、ダン・アリエリー『予想どおりに不合理』を私は読んだ記憶があり、両方とも行動経済学のいい入門書といえます。本書の場合、『予想どおりに不合理』も部分的にそうなんですが、学問的な観点もさることながら、マーケティング的というか、あるいは、経済学や心理学よりも経営学的な観点からの実例や解説が多く、ひとつひとつの解説が実体験とともに十分な理解度を得られると思います。すなわち、参照点を考慮に入れるプロスペクト理論、よく考えれば不合理な行動は取らないのにヒューリスティクスで間違ってしまう人間性、フレーミング理論を活用したマイレージやお試しセットの利点、双曲割引的な時間選好による不合理な消費行動、などなど、ついつい「あるある」と思ってしまう経済行動が満載です。自分や家族の経済行動を理解する上でとても参考になります。ただし、あくまで私の場合に限ってかもしれませんが、行動経済学の成果をビジネスに活用して大儲けする能力は私にはないと感じてしまいました。

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次に、永濱利廣『エコノミストが教える経済指標の本当の使い方』(平凡社) です。経済指標を解説しつつ、日本経済についての理解が深まるように工夫されています。ただし、余りにも入門レベルです。大学に入ったばかりの経済学部1年生くらいを対象にしているんではないかと想像しています。タイトルから想像して、経済指標の解説としては、例えば、私自身が単身赴任で大学に出向していたころ、2年生向けの基礎ゼミのテキストでは久保田博幸『ネットで調べる経済指標』(毎日コミュニケーションズ) を使っていました。すでに絶版になった本ではないかと思うんですが、本書よりもレベルは高かったし、もっと実用的だったと記憶しています。サイトから経済データをダウンロードして、Excel でグラフを書いたりする授業でした。経済学部とはいえ大学に入ったばかりの1年生にはツライかもしれないものの、2年生くらいであれば十分に取り組める課題として設定したつもりです。従って、私が1年生向けと考える本書はさらに入門編で、ほとんど経済について何も知らないぐらいのレベル向きなんではないかという気がしないでもありません。まったく別の観点ながら、こういう本でも出版できるのは著者が売れっ子のエコノミストだからなんだろうと、ある意味で感心しています。

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最後に、島田裕巳『なぜ八幡神社が日本でいちばん多いのか』(幻冬舎新書) です。知っている人は知っていると思いますが、著者は宗教学者であり、同時に、オウム真理教の大いなる理解者でもありました。地下鉄サリン事件後ですらそうだったと私は記憶しています。だからこそ大学を去ったんではないかと私なりに推測をめぐらせたりしています。それはともかく、本書は神社に関する論考です。ただし、タイトルに偽りありで、どうして八幡神社が多いのかは解明されていません。そうではなく、八幡、天神、稲荷、伊勢、出雲、春日などの神社の系統について歴史的な経緯を含めて延々と解説をしています。神道というのは宗教的な中身、例えば、道徳的な行動規範、儀式や典礼、生死観や世界観、魂の救済などがほとんどありませんから、宗教的な解説はできない可能性がありますが、それでも、神殿の作りに関する建築学的な解説とか、拝礼方法に関する蘊蓄くらいは欲しかった気もします。本書で最初に取り上げられる3類型、すなわち、八幡、天神、稲荷はそれぞれに呼び名が異なり、さらない、同じ神社でも明神と権現を聞き知っているんですが、それがどういう類型なのかはハッキリしません。私のようなシロートの見方では、八幡が武道や勝負ごと、天神が文芸や学問、稲荷が商売ごと、と大雑把に受け止めているんですが、このシロート考えが合っているのかどうかくらいは解説して欲しかった気もします。それほど期待はしていませんでしたが、やや残念です。新書に対する私の偏見を助長した気がします。

昨日の金曜日に東野圭吾『虚ろな十字架』を発売直後に衝動買いで買い求めてしまいました。来週の読書の中心になるのかもしれません。借りている本を先に読むのかもしれません。

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2014年5月23日 (金)

4番のホームラン合戦もソフトバンクに逆転負け!

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  HE
阪  神200000000 251
ソフトB00000400x 461

上本選手の復帰でタイガース打線に活気が戻ったような気もしていたんですが、貧打で完敗でした。初回ゴメス選手のツーランで先制したまではよかったんですが、相手の4番李選手のスリーランで逆転され、ラッキーセブンはフォアボールとデッドボールでワンアウト満塁まで攻め立てたんですが、上本選手と代打新井選手の連続三振で無得点に終わって、現在の打線ではここまでが精一杯でした。先発のメッセンジャー投手ももう少し粘って欲しかった気がします。なお、今成三塁手のタイムリー・エラーでの失点は痛かったんですが、守備は目をつぶって使っているんですから、これくらいで責めるべきではありません。

明日は、
がんばれタイガース!

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櫨浩一『日本経済の呪縛』(東洋経済) を読む

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櫨浩一『日本経済の呪縛』(東洋経済) を読みました。今週、同僚とともに著者のオフィスを訪ねる機会があり、著者手ずから本書をちょうだいしました。なお、私はこの著者のこれまでの出版、いずれも日本経済新聞出版から出ている『貯蓄率ゼロ経済』と『日本経済が何をやってもダメな理由』は読んでいたりします。ということで、まず、本書の目次というか、章別構成は以下の通りです。

第1章
増加する金融資産
第2章
金融資産は誰かのお金
第3章
対外金融資産
第4章
お金と経済
第5章
借りたお金と自分のお金
第6章
資産の価値
第7章
ストック経済化の限界
第8章
資産価格の引き上げ
第9章
ギリシャ化する日本
第10章
高齢化と金融資産
第11章
取り組むべき課題

いつもながら、包括的に日本経済を論じた良書で、副題「日本を惑わす金融資産という幻想」や上の目次にある通り、金融資産に焦点を当て、金融資産は誰かの負債であるという観点から、金融資産を積み上げるよりも、サービス経済化を受け入れる利点を強調して本書を締め括っています。かなり平易な表現を用いており、それだけで物足りなく感じる読者がいそうで少し怖い気もするんですが、他方、やや断定的に過ぎる表現も見られます。ただし、キチンと読めば議論の背景として作者が想定しているモデルが透けて見えますから、決して不正確な言い方ではないことが理解できると思います。例えば、ホンワカと読めば、家計が資産を積み上げることを意図しているので政府が国債を発行しているように読めなくもありませんが、資産と負債が同時決定であり、その意味で、どちらがどちらの原因と結果になっているかは不問とされていることは明らかです。
また、著者の経済分析のあり方からして当然といえますが、決して危機感を煽ったり、むやみに現在の政府や日銀の経済政策に反対したりすることはなく、その意味でバランスの取れた視点を提供しています。すなわち、4月6日付けのエントリーで取り上げた橘木俊詔・広井良典『脱「成長」戦略』の説くゼロ成長戦略のような無責任な見方ではなく、例えば、p.268 では、「経済成長しなくてもよいという意味ではない。GDPが大きい経済のほうが国民が豊かになりやすいことは確か」としつつ、成長の中身が重要と指摘しています。私の直感では、資産を積み上げることに否定的で、サービス化を受け入れるというのは、価値保蔵を重視しない、ということとほぼ同義だと受け止めています。背景として考えられているであろうモデルも、そのように動学的に構築されていると私は解釈しています。もっとも、価値保蔵を重視しないということは、決して短期的な見方で終始しているというわけではなく、将来消費の流列の現在価値への割引で代理される長期的な消費の最大化などを排除するわけではありません。
その意味で、もう一度、経済学における短期と長期の議論に私は視点が戻ってしまいました。すなわち、伝統的な経済学では、何らかのショックが生じた際に価格が変動せず量で調整するのが短期、価格で調整して量は変動しないのが長期、量と価格の両方が動くのが中期、などとされています。あくまで私の解釈ですが、古典派経済学では、短期の景気変動と長期の定常経済への収れんをいずれも許容しています。そして、古典派的な短期の景気変動を許容する経済学へのアンチテーゼとしてマルクス主義経済学とケインズ経済学の2派が誕生し、この両派の長期に対する議論が両極端に分かれてしまいました。マルクス主義経済学では生産力はほぼ一直線に上昇し、最終的には豊かな社会主義経済や共産主義経済が達成されるという明るい未来を描き出した一方で、ケインズ経済学では『貨幣改革論』 A Tract on Monetary Reform (1923), Chapter 3 からの引用で、余りにも有名な "In the long run we are all dead" とされ、長期について思考を及ぼすことを拒否ないし無視しているように私は感じています。ついでながら、古典派的な定常状態への収れんを何度も蒸し返すのがローマ・クラブ的なゼロ成長戦略であることは言うまでもありません。本書はケインズ経済学よりは短期の景気変動に対する許容度が少し高いように私は読みましたが、決してケインズ経済学のように長期の視点を拒否ないし無視しているわけではないと受け止めています。

繰返しになりますが、平易な表現すぎて物足りないという向きがあろうかとは思いますが、キチンとした理論モデルを背景に、決して危機感を煽ったり、意図的な偏りに基づいた記述で終始することなく、包括的でバランスのいい日本経済論を展開している良書です。ただし、細かいことながら1点だけ苦言を呈すると、pp.49-50 で"非ケインズ効果"として解説しているのは、Giavazzi and Pagano 的な実証的効果ではなく、Barro 的な理論上の「リカード等価定理」です。ちょっとした差なんですが、割りと序盤でこういったケアレスミスというか、勘違いを発見すると、その後の読書速度が低下したり、そうでない場合に比べてより懐疑的な読み方をされる恐れがあります。

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2014年5月22日 (木)

博報堂「"属"ブランド力調査」に見る奈良県の属性やいかに?

多くの善良なる人々には関係のないことで、私は京都に生まれて京都に育ちましたが、中学校・高校と6年間は奈良の学校に通っていました。ということで、ネットなどで奈良の情報に接して感じるのは、私の実感とも同じで、京都人ほど郷土に誇りを持っていない可能性があります。言葉は悪いですが、やや卑下していると言ってもいいのかもしれません。今まではトピック的にしか感じられなかったんですが、最近の博報堂の調査で「"属"ブランド力調査」が月曜日の5月19日に発表され、何となく、私の実感が裏付けられた気になっています。

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見れば判りますが、横軸が内部評価、縦軸が外部評価で47都道府県の散布図がプロットされています。典型例として赤で3県が強調表示されており、外部評価も内部評価も高い沖縄県、外部評価が低いが内部評価は高い福岡県、そして、内部評価は低いが外部評価が高い奈良県、となっています。より詳細な調査結果を収めたリポートでは、奈良県は「内部・外部のどちらからも観光地として県外のファンが多いとされていたものの、内部・外部評価ともに住民の郷土愛が強いという声は少なく、内部よりも外部評価が高い結果に。」と評価されています。実に、もう40年近くも前の1970年代に通学していた時の実感と一致したりします。

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この県民性が消費行動に現れた結果が、2009年調査の全国消費実態調査で確かめられます。上の図表は総務省統計局が発表している「全国消費実態調査結果ニュース」から都道府県別消費支出の他の市町村(県外)での購入割合の図表を引用しています。首都圏の埼玉県や神奈川県、あるいは、関西圏の滋賀県や京都府などを抑えて、奈良県の県外購入の割合が全国でもっとも高い、との結果が示されています。もちろん、郷土愛だけの問題ではないんでしょうが、県内よりも県外での買い物を選好する結果のひとつの表れであることは言うまでもありません。このあたりに、内部評価の低さが出ているような気がします。

全国消費実態調査の結果を見れば、奈良県の逆が九州や東北ということになります。郷土愛が強いこともさることながら、九州に単身赴任して自動車なしで住んでみて、交通事情とともに各県の面積が大きいので県外に出るだけでもタイヘンという事情もあるような気がします。

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羽生三冠が4連勝で名人位に返り咲き!

昨夜まで成田山新勝寺で指されていた第72期将棋名人戦七番勝負の第4局が終局し、挑戦者の羽生三冠が111手で森内名人を破り、4連勝で4年ぶりに通算8期目の名人位に復帰しました。誠におめでとうございます。
昨夜忘れていたので、取り急ぎ。
なお、下の終了図は朝日新聞のサイトから引用しています。

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2014年5月21日 (水)

最終回に4番ゴメス選手の決勝ホームランでオリックスに雪辱!

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  HE
阪  神201003001 7121
オリックス020040000 6111

やや帰宅が遅くなり、4番ゴメス内野手の9回決勝ホームランしか見ていません。何とか、競った打撃戦をモノにしてオリックスに雪辱です。

次のソフトバンク戦も、
がんばれタイガース!

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貿易統計に見る消費増税の影響と貿易赤字の行方やいかに?

本日、財務省から4月の貿易統計が発表されています。ヘッドラインとなる輸出額は季節調整していない原系列で前年同月比+5.1%増の6兆692億円、輸入は+3.4%増の6兆8,781億円、差引き貿易収支は▲8,089億円の赤字と、22か月連続の貿易赤字を記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

4月の貿易赤字、8089億円 1年8カ月ぶりに赤字縮小
財務省が21日発表した4月の貿易統計(速報、通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は8089億円の赤字(前年同月は8774億円の赤字)だった。貿易赤字は22カ月連続だが赤字額は前年同月の8774億円を下回った。赤字縮小は2012年8月以来1年8カ月ぶり。消費増税前の駆け込み需要の反動で輸入の増加幅が小幅にとどまる一方、自動車などの輸出が伸びた。
輸出額は前年同月比5.1%増の6兆692億円。増加は14カ月連続。品目別では自動車や科学光学機器などの増加が目立った。地域別では米国向けが1.9%増の1兆1229億円。欧州向けが12.7%増の6338億円。アジア向けは3.6%増の3兆2631億円で、うち中国向けは9.8%増の1兆954億円だった。
輸入額は3.4%増の6兆8781億円で4月としては比較可能な1979年以降で最大となった。増加は18カ月連続。液化天然ガス(LNG)や半導体等電子部品の増加が目立った。地域別では欧州、アジアからの輸入額が4月としては過去最大となった。
為替レート(税関長公示レートの平均値)は1ドル=102円43銭で、前年同月比6.7%の円安だった。

いつもながら、とてもよく取りまとめられた記事です。次に、貿易統計のグラフは以下の通りです。上下のパネルとも月次の輸出入を折れ線グラフで、その差額である貿易収支を棒グラフで、それぞれプロットしていますが、上のパネルは季節調整していない原系列の統計であり、下は季節調整済みの系列です。輸出入の色分けは凡例の通りです。

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消費増税直前の3月の駆込み需要と4月の反動減の影響がどのように貿易に出るかといえば、輸出には3月マイナス4月プラス、輸入は符号が反対で3月プラス4月マイナス、というのが常識的なところですが、上のグラフのうち季節調整済みの系列をプロットした下のパネルについては、明らかに、その傾向が読み取れます。実は、今年の1-2月は昨年と中国の春節の月が違って、コチラも統計がややガタガタしたんですが、消費税増税についても同じような効果が貿易に見られました。ですから、4月の貿易赤字の縮小をもって、すでに貿易赤字のピークは超えて、赤字幅の縮小が始まった、と見るのはやや早計な気がしますが、すでに景気が回復を示している米国は別として、欧州や中国の景気が本格的な回復に向かえば我が国からの輸出は増勢を強めると私は考えています。従って、例えば、日経センターが先週5月14日に発表したESPフォーキャストの予想では、貿易収支の黒字転換について、2016年年央くらいに黒字転換すると考えるエコノミスト13人に対して、数年内には黒字転換しないと考えるのが27人と、3人に2人くらいの割合で黒字転換否定派が多いとの結果が発表されているところ、私はESPフォーキャスターには選ばれていませんがおそらく前者に属し、2年先に黒字転換していない可能性は否定しないながらも、エネルギーの商品価格が大きく高騰しないと仮定すれば、輸出の増加に伴って貿易赤字は先行き徐々に縮小していくと楽観しています。

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ということで、上のグラフは我が国の輸出をプロットしています。上のパネルは季節調整していない原系列の輸出額の前年同月比伸び率を数量と価格で寄与度分解し、下は輸出数量指数とOECD先行指数(OECD/CLI)のそれぞれの前年同月比伸び率を重ねて示してあります。ただし、OECD先行指数の伸び率は1か月だけリードを取っています。まだまだ先進国需要の代理変数であるOECD先行指数の伸びは力強さに欠け、同時に、中国をはじめとする新興国経済でも景気鈍化の兆しが見られることから、我が国からの輸出が大きく伸びる局面はもう少し先になりそうですが、何度も繰り返してきた通り、貿易赤字縮小を輸出拡大の面から捉えて、国際競争力強化のためと称して財政リソースをつぎ込む単なるターゲティング・ポリシーを「成長戦略」と勘違いしたり、他方、貿易赤字縮小を輸入抑制の面から捉えて、燃料輸入抑制のために原発再稼働を貿易政策に割り当てたりするのは、いずれも大きな疑問を私は感じざるを得ません。

最後に、商品価格の上昇が我が国の輸入額を増加させている可能性が大いにあります。もちろん、日本は小国ではありませんから、我が国が原発停止により燃料輸入を増加させている事実そのものが原油や天然ガスなどの商品価格の上昇を引き起こしている可能性は否定しませんが、おそらく、あくまで私の直感による蓋然性の問題として、米国金融政策の量的緩和政策の方がより商品価格を押し上げているような気がします。イエレン議長の下で米国連邦準備制度理事会が量的緩和政策のテイパリングを始めれば、商品市況の正常化から我が国の輸入額が落ち着きに向かう可能性を指摘しておきたいと思います。

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2014年5月20日 (火)

交流戦いきなりの関西ダービーは先発藤浪投手がKOされてオリックスにボロ負け!

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  HE
阪  神002000000 291
オリックス33310200x 12110

先発藤浪投手が2回6失点でKOされ、2番手秋山投手もボロボロに打ち込まれ、勝負は序盤で決着して阪神はいいところなくオリックスにボロ負けでした。交流戦いきなりの関西ダービーは見どころもなく、私はさっさと入浴してしまいました。

明日は、
がんばれタイガース!

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帝国データバンク「2014年度の業績見通しに関する企業の意識調査」に見る消費増税の影響やいかに?

昨日5月19日、帝国データバンクから特別企画として「2014年度の業績見通しに関する企業の意識調査」と題するリポートが公表され、4月1日に実施された消費税率引上げが企業業績に及ぼす影響も含めて、本年度の企業業績に関する見込みなどが明らかにされています。まず、帝国データバンクのリポートから調査結果(要旨)を3点引用すると以下の通りです。

調査結果(要旨)
  1. 2014年度の業績見通しを「増収増益」とする企業は30.5%。2013年度実績からは5.4ポイント減少するものの、見通しとしては調査を開始した2008年度以降で最高となった。
  2. 企業の約6割で駆け込み需要が「あった」と回答。ただし、当初の想定よりも小さいとする企業も約3割。駆け込み需要による反動減を想定する企業のうち6割弱が3カ月以内に、9割弱が今秋までに反動減は終了すると見込んでいる。特に、駆け込み需要の大きかった『卸売』や『小売』『運輸・倉庫』においては、6割超が3カ月以内に終了すると予想。
  3. 2014年度業績見通しの下振れ材料は「個人消費の一段の低迷」が39.2%でトップとなった。次いで、「原油・素材価格の動向」が続いた。他方、上振れ材料は「個人消費の回復」が43.4%でトップ。次いで、「公共事業の増加」「所得の増加」が続いている。上振れ、下振れともに個人消費の動向が最大の焦点となっている。

ということで、リポートからグラフを引用しつつ、簡単に紹介しておきたいと思います。なお、調査対象は全国2万3,323社で、有効回答企業数は1万204社(回答率43.8%)だそうですから、かなりサンプルは大きいと受け止めています。

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まず、上のグラフは2014年度の企業の業績見通しに関する調査結果です。下のパネルは業種別に「増収増益」を見込む企業の割合を示してあります。2012年12月の総選挙で安倍内閣が成立し、いわゆるアベノミクスが始まって、その直後の2013年度については、為替の円安是正に伴う株価の上昇や年度末の一時的な現象ながら消費増税直前の駆込み需要が発生したりと、企業活動はかなり活発化し、増収増益の企業が多かったのは確かです。さらに足元の2014年度については、消費増税の駆込みに対する反動減もあって、2013年度ほどは企業活動活発化のモメンタムは大きくない可能性はあるものの、依然として売上げや収益の水準は高く、3割程度の企業は「増収増益」を見込んでいることが明らかにされています。この企業活動の成果が従業員の賃金・所得にトリクルダウンするかどうかも注目です。

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次に、上のグラフは消費増税の影響についての結果を取りまとめてあり、左が消費増税に伴う駆込み需要の有無を、右が反動減終了までの期間見通しを示しています。6割近くの企業が駆込み需要があったと回答したものの、、当初想定した規模と比較すると、想定より小さかったと感じている割合は28.7%、想定通りの規模だったとする企業は23.4%で、想定を上回る駆け込み需要があったとする企業は7.2%にとどまっています。もっとも、重要なのは駆込み需要後の反動減ですが、この駆込み需要に対応した反動減が生じると仮定すれば、反動減も想定内に収まる可能性が高いのかも知れません。また、反動減が終了するまでの期間もほぼ想定内で短く、3か月以内が56.3%、4-6か月以内が30.7%で、合わせて6か月以内を見込んでいる企業が87%に達する結果となっています。グラフは引用しませんが、特に駆込み需要後の反動減の影響が大きそうに見える業種、すなわち、運輸・倉庫、小売、卸売では3か月以内と想定している企業がいずれの業種でも60%を超えていて、正直なところ私は少し驚きました。総じて見れば、消費増税の影響は深さも期間もほぼ想定通りとの結果と受け止めました。でも、この「想定」がどの程度だったかは不明であり、やや不安が残らないでもありません。
また、これも図表は引用しませんが、今年度2014年度の業績見通しについては、上振れ・下振れ材料ともに個人消費の動向が最大の焦点となっているとの結果が示されています。すなわち、複数回答による上振れ・下振れ材料のうち、回答割合の高かった5項目を並べると以下の通りです。

  • 上振れ材料
    1. 個人消費の回復
    2. 公共事業の増加
    3. 所得の増加
    4. 外需の好調維持
    5. 消費税率引上げによる駆け込み需要・反動減の早期収束
  • 下振れ材料
    1. 個人消費の一段の低迷
    2. 原油・素材価格の動向
    3. 消費税率引上げによる駆け込み需要・反動減の長期化
    4. 外需の悪化
    5. 所得の減少

実は、下振れ材料の11番目に「賃金相場の上昇」が上げられています。アベノミクスによりデフレ脱却に成功すれば、物価とともにお給料が上がる世界が待っています。景気の拡大が続いたとしても、余りにデフレ経済に適応し過ぎた経営は成り立たない可能性もあります。あくまで一例ですが、質の高い労働力に対して、その質の高さや生産性に見合った賃金を払えない企業は、何らかの経営の改革が求められる可能性を覚悟しておくべきかもしれません。

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2014年5月19日 (月)

3月の機械受注は消費増税前の駆込み需要で大幅な増加を示す!

本日、内閣府から3月の機械受注統計の結果が公表されています。民間設備投資の先行指標となる船舶・電力を除く民需で定義されるコア機械受注は+19.1%増の9,367億円に大幅に増加しました。このうち、製造業は+23.7%増の3,846億円、船舶・電力を除く非製造業は+8.5%増の5,151億円とともに増加を示しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

機械受注3月19.1%増 基調判断を上方修正
内閣府が19日発表した3月の機械受注統計によると、民間設備投資の先行指標とされる「船舶・電力除く民需」の受注額(季節調整値)は前月比19.1%増の9367億円だった。プラスは2カ月ぶりで、伸び率は統計を遡ることができる2005年4月以降で過去最高だった。2月からの反動増に加え、年度末ということもあって大型案件が相次いだことなどが寄与した。
QUICKが16日時点でまとめた民間予測の中央値(6.2%増)を大幅に上回った。内閣府は機械受注の判断を前月の「増加傾向に足踏みがみられる」から「増加傾向にある」に上方修正した。
主な機械メーカー280社が製造業から受注した金額は23.7%増の3846億円と2カ月ぶりに増加した。その他製造業向けにボイラーやタービン、その他輸送用機械向けに航空機や運搬機械が伸びた。
船舶・電力を除いた非製造業から受注した金額は8.5%増の5151億円と2カ月ぶりにプラス。通信業からのコンピューターやその他非製造業からの航空機などの受注が増えた。
併せて発表した1-3月期の受注額は4.2%増の2兆5474億円と4四半期連続のプラスだった。4-6月期は製造業、非製造業とも底堅い設備投資が見込まれ0.4%増になる見通しだ。
同時に発表した2013年度の受注額(船舶・電力を除く民需)は前年度比11.5%増の9兆7030億円と過去最高の伸び率を記録し、2年ぶりに増加した。内訳は製造業が10.2%増、非製造業が12.1%増だった。

いつもの通り、いろんなことをとても適確に取りまとめた記事だという気がします。次に、機械受注のグラフは以下の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその6か月後方移動平均を、下は需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。影をつけた部分は景気後退期なんですが、毎度のお断りで、直近の景気の谷は2012年11月であると仮置きしています。

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実は、先月の統計発表時の4月10日付けのエントリーでは、「短期的には増加基調がピークアウトしている可能性」が否定出来ないと書いたんですが、3月統計では再び力強く増勢を示しています。単月の振れの激しい統計ですから、統計作成官庁の内閣府でも、基調判断がビミョーに揺れてしまい、1月統計までの「増加傾向」を2月統計では「増加傾向に足踏み」と下方修正し、そして、今日発表された3月統計では再び「増加傾向」に戻しています。さらに、4-6月期の受注見込みも+0.4%増の2兆5,586億円と、堅調な見通しとなっています。結局、2013年度のコア機械受注も2ケタ増でしたし、アベノミクスによる景気回復・拡大は雇用も拡大させつつ、設備投資にも点火し、要素需要を増加させる段階に達したと、私のような先行きを明るく見たいタイプのエコノミストは楽観視したいところです。もっとも、4-6月期はプラスとはいえ、3月の大幅増の後を受けて、消費増税の実施された4月統計は前月比マイナスに陥ることは覚悟すべきです。何せ3月統計なんですから、いくぶんなりとも消費増税前の駆込み需要の影響を受けている可能性は排除されません。いずれにせよ、もう少し統計の推移を見守る必要がありそうです。

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ついでながら、機械受注の参考グラフを2枚ほど示しておきたいと思います。上のパネルはコア機械受注の外数である官公需を、下は四半期ごとに公表される達成率を、それぞれプロットしています。公共事業については、私は詳しくないんですが、これこそピークアウトしたんでしょうか。また、達成率は経験則として90%あたりが景気転換点の分かれ目と言われますが、2012年のミニ・リセッションを終えてグングン上昇しており、今年2014年1-3月期には100%を超えました。

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2014年5月18日 (日)

クリンナップのソロ2本をルーキー岩崎投手と細かい継投で守ってDeNAに完勝!

  HE
D e N A000010000 150
阪  神01000102x 491

8回まで、3番と4番のソロホームラン2本の得点をルーキー岩崎投手から細かい継投で守るという展開でしたが、8回ウラに代打の新井良太選手のダメ押しヒットが出て、終わってみればDeNAに4-1で完勝でした。交流戦に入れば投手陣のやり繰りはラクになりますし、このところ調子を落としていた4番ゴメス選手に昨日から当たりが戻り、打撃陣も底を打ってこれから上昇傾向に戻るのかもしれません。大いに期待を込めての予想です。

セリーグのチームには分の悪い交流戦ですが、
がんばれタイガース!

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今週のジャズ鑑賞はケニー・バロンのソロピアノ

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昨年リリースされたケニー・バロンのソロピアノを収めたCD2枚です。2枚組のCDではなく、あくまで別の独立したCD2枚として発売されています。一応、上の Beautiful Love が vol.1 で、下の My Funny Valentine が vol.2 ということになっています。アルバムの曲目構成は以下の通りです。

  • Beautiful Love
    1. Beautiful Love
    2. Body and Soul
    3. Up Jumped Spring
    4. Don't Explain
    5. Well You Needn't
    6. Skylark
    7. Autumn Leaves
    8. Love Walked In
    9. Memories of You
    10. Lullabye
  • My Funny Valentine
    1. Summertime
    2. Have You Met Miss Jones?
    3. Black Orpheus
    4. Embraceable You
    5. Mack the Knife
    6. Calypso
    7. Fly Me to the Moon
    8. Monk's Dream
    9. I Thought about You
    10. My Funny Valentine

誠に申し訳ないながら、私はケニー・バレルのピアノにはそれほど馴染みがなく、評価もボチボチだったんですが、このアルバムは2枚とも聞いてみました。これまた、悪いんですが、ボチボチの評価は変わりませんでした。でも、これだけスタンダード曲を素直に弾いていますので、日本人的には好きそうなアルバムだという気がします。私の場合は、BGMのようにこのアルバムを聞いていて、ジャズらしい緊張感を求めるわけではないんですが、こういったジャズも年齢とともに好きになったような気がします。また、ジャズのアルバムでは必ずしも重視されるわけではありませんが、とっても高音質です。2枚とも高音質ソフト部門で Jazz Japan Award 2013 を受賞しています。

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2014年5月17日 (土)

今週の読書は道尾秀介『貘の檻』ほか

今週の読書は、私の大好きな若手ミステリ作家である道尾秀介『貘の檻』ほか、以下の通りです。

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まず、道尾秀介『貘の檻』(新潮社) です。読み進むと気にならなくなりますが、同時代的な書き方をされている舞台は1984年です。それと32年くらい前の「昔の事件」が対比されています。決して21世紀の現在を舞台にしているわけではないので、少し注意が必要かもしれません。どうして1984年が舞台なのかは私は読み解くことが出来ませんせした。書下ろしのかなり長い作品ですが、主人公が離婚した元妻にもとにいる小学生の息子を連れて郷里に帰省した中盤少し前あたりから俄然と面白くなります。物語が一気に進み、最後の最後でどんでん返しが待っています。その意味で、かなり本格的なミステリなんですが、いろんなポケットを持っているこの作者のひとつの面が出ており、すなわち、底流に流れる悪意から暗い雰囲気が醸し出されています。この「悪意」のようなものは都会的ではなく、信州の寒村を舞台にした作者の意図はよく理解できます。まあ、悪く表現すれば、暗くおどろおどろしい初期の作品に先祖返りした印象すら感じられ、最近の何作かの明るく優しく甘い作品の雰囲気とは違っています。ホラー的な雰囲気はあるものの超常現象的な出来事はなく、ミステリ作品の構成としてはかなりしっかりしており、ラストに向かって突き進む謎解きは圧巻です。読む人によってはこの作者の最高傑作に近い評価を下す可能性はあります。特に、悪夢を誘う狭心症の薬や農業用の穴堰の構造など、人間を極限状態に追い込みかねない舞台装置の配置も見事です。私はこの作者の最高傑作は『カラスの親指』だと考えていますが、この作品も力作だと受け止めています。今週読んだ本の中では、唯一買い求めた本でした。

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次に、日経新聞『リーマン・ショック 5年目の真実』(日経新聞) です。タイトル通り、2008年9月から5年を経過したリーマン・ブラザーズ証券の破綻などの金融危機を振り返ります。ただし、タイトルにこだわるつもりはありませんが、目新しい「真実」の発見があったかどうかは疑わしいと私は考えています。同じようにジャーナリズムの世界から出版され、この手の本としてはアンドリュー・ロス・ソーキン『リーマンショック・コンフィデンシャル』上下が有名で、私も読んだんですが、本書がリーマンショックからギリシアなどのソブリン・リスクに話をつなげ、民間経済、特に銀行部門の債務を政府に付け替えたとのストーリーで迫っているのに対して、『リーマンショック・コンフィデンシャル』では当時の流れに乗って、リーマン・ブラザーズ証券からAIGにつなげています。ですから、デリバティブのCDOやCDSについてもそれ相応の重点が置かれているんですが、本書はそうではありません。その分、やや深みに欠けるように見受けました。さらに、リーマン・ショックの一方の主役だった米国連邦準備制度理事会 (FED) の役割が欠けています。当時の役職で言えば、米国財務省のポールソン朝刊やコーンFED副議長へのインタビューは収録されていますが、当時のバーナンキFED議長やガイトナーNY連銀総裁はインタビューもありませんし、ほとんど出て来ません。この点も減点材料と言えます。私は紙面でも追っていたんですが、決して総力取材というカンジでもなく、5年を経た現時点の結論としてもやっぱり、本書よりも『リーマンショック・コンフィデンシャル』上下の方をオススメします。

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次に、NHK取材班『超常現象』(NHK出版) です。タイトルからはオカルト本であろうとの推測が成り立ちますが、そこは偏ったスポンサーがつきかねない民放ではなくNHKのことですから、決してオカルトではなく、「現在の科学では解明されていないだけで、将来は科学的な根拠が見出されると考えられる自然現象」と言った主旨の現象を取り上げています。第1部が心霊現象、第2部は超能力で構成されています。エジプトのピラミッドとかナスカの地上絵なんかを期待していたんですが、それは含まれていませんでした。それはともかく、科学と超常現象の関係については、科学的に確実に否定される以外の現象を肯定的に受け止める考えと、逆に、科学的に確実に肯定される現象以外はすべて否定的に受け止める考えの両極端があります。私は死後の霊の世界は全否定で虚無である以外の何物も認めないんですが、超能力のうち、決して超能力者エスパーではない普通の人間に秘められていながら、現時点では解明されていない何らかのパワーというものは信じています。本書では、p.230以降でテレパシーを「量子もつれ」で説明できるかもしれないとしていますが、そこまで言わなくても、p.206以降で乱数発生装置を多数の人間の意識と共鳴させて、乱数発生の確率に影響を及ぼそうというイベントを紹介し、0.02%ながら統計的に有意なズレが発生したとリポートしています。話は大きく飛ぶんですが、実は、これがスポーツなどの応援の成果ではないかと私は考えています。我が阪神がビジター・ゲームよりも甲子園で高い勝率を残しているひとつの理由だと考えるべきです。

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次に、藤田宜永『銀座 千と一の物語』(文藝春秋) です。「銀座百点」に連載された作者の短編、というよりもショート・ショートに近い長さのとても短い33編の短編小説を集めて編まれています。当然ながら銀座を舞台にしており、何点か写真も収録されています。もちろん、小説ですからドキュメンタリーの実話ではなくフィクションなんですが、ほとんどファンタジーのような現実離れした小説もあったりします。それはそれで夢があっていいと思います。私は不勉強ながら、この作家は冒険小説とかハードボイルド系ではないかと想像していたんですが、完全に人情話系の小説ばかりが集められています。もっとも、短編小説に共通する特徴としては、銀座らしいと言えば言えるんでしょうが、やや年齢層が高いです。原宿や渋谷を舞台にしているわけではないので当然です。同じことの裏返しで、やや色っぽいと言うか、艶っぽいお話が多いです。そして、何かの書評で見たんですが、仲間で群れることのない自立した個人を主人公に据えています。その意味で、大人の短編小説ないし年寄りの小説、と言うことも出来るかもしれません。

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最後は同じ若手作者のSF短編小説集2冊で、宮内悠介『盤上の夜』(創元SF文庫) と『ヨハネスブルグの天使たち』(早川書房) です。作者は30代半ばの新進気鋭のSF作家であり、短篇集『盤上の夜』に収録されている短編「盤上の夜」で第1回創元SF短編賞山田正紀賞を受賞するとともに、短篇集『盤上の夜』は第147回直木賞候補に推され、第33回日本SF大賞を受賞しています。そして、『ヨハネスブルグの天使たち』でも第149回直木賞候補に推され、第34回日本SF大賞特別賞を受賞しています。現時点で単行本として発行されているのは、上の2冊だけだと思います。日本SF大賞は1980年に始まって以来、井上ひさし『吉里吉里人』が選ばれたり、あるいは、コミック『童夢』とか映画の『ガメラ2 レギオン襲来』とかアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』からの受賞があったりしましたが、最近では、2008年貴志祐介『新世界より』、2009年伊藤計劃『ハーモニー』、2011年上田早夕里『華竜の宮』などなど、私も読んでみようかという気にさせられるレベルの高い作品が目白押しです。ついでながら、この3冊の大賞受賞作については私も読んでいます。ということで、本書も非常に本格的なSF短編小説集となっています。この作者のデビュー作『盤上の夜』はボード・ゲームである囲碁、チェッカー、麻雀、将棋などを取り上げて、ジャーナリストがインタビューなどで構成するという形式を取っています。文庫本が出たので借りて読んだところ、とっても感激して、第2作の『ヨハネスブルグの天使たち』も借りました。コードネームDX9という日本製のホビー・ロボットにまつわる短編などが集められています。出版された2冊とも短篇集ですが、この作者には長編SF小説にもそのうち挑戦して欲しい気がしています。また、実は、上田早夕里『深紅の碑文』上下も借りたんですがまだ読んでいません。温暖化が進んだ将来に陸地がなくなった時の物語と聞いています。

最後に、どうでもいいことながら、私はSF小説の読書量は決して多くないんですが、それでも、日本の誇る傑作SF小説を問われれば光瀬龍の『百億の昼と千億の夜』に最初に指を屈すべきだと考えています。かなり記憶は不確かながら、私は小説と萩尾望都によるコミックと両方を読んでいます。

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2014年5月16日 (金)

井納投手を打ち崩せずDeNAに負ける!

  HE
D e N A102000000 380
阪  神000000010 160

一番の敗因は打てない打線というしかありません。もちろん、エース能見投手の先発ですから、序盤に3点はやや取られ過ぎという気もしますが、代打今成選手のホームランだけでは勝てません。トップバッターの不在もありますが、全般的に打線が湿りがち、特に4番ゴメス内野手が4月から大きく下り坂で、このあたりが実力なのか、という気がしないでもありません。

明日は、
がんばれタイガース!

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で、結局、今年の花粉症はどうだったのか?

今年については私が我が家で最もひどい花粉症の症状を呈してしまったんですが、通常、花粉症は建国記念日からゴールデンウィークまで、と言われ、さすがに今年もそろそろ終局しつつあるように見受けられます。ということで、今週月曜日の5月12日に、今年の花粉症を振り返って、ネット・リサーチ大手のマクロミルから「2014年の花粉症に関する実態調査」と題する調査結果が公表されています。図表とともに、簡単に取り上げておきたいと思います。まず、マクロミルのサイトから調査結果のトピックスを4点引用すると以下の通りです。

トピックス
  • 今年、花粉症を発症したのは41% 花粉飛散量の多かった2013年調査と比較すると4ポイント減少
  • 今年、花粉症症状があった人の三大症状は「鼻水」86%、「くしゃみ」80%、「目のかゆみ」77%
    鼻症状有訴者は95%
  • 花粉症有訴者の花粉対策は「マスク使用」62%がトップ
    処方薬の利用者は38%、市販薬の利用者は36%と同程度
    効果感は処方薬、市販薬を問わず薬剤の効果感は7割を超えて高い
  • 花粉症有訴者のうち、今年病院を受診したのは31%
    「毎年行っているので」48%、「医者の診察をしてもらいたいので」36%などが主な理由
    非受診理由は「それほどひどい症状ではない」42%「市販薬で対応できる」36%「病院に行くのが面倒なので」34%

マクロミルのサイトから、【図1】花粉症有病率 のグラフを引用すると以下の通りです。私は当然ながら、オレンジ色の「昨年のシーズンも発症したし、今年も発症した」に該当します。でも、飛散量が昨シーズンの半分という環境省の公式予測が正しかったのかもしれませんが、今シーズンの発症率は昨年よりも低下しているようです。サンプル数が少ないので統計的に有意な差があるとは認められないような気もしますが、大サンプルで調査して、どのような結果が得られるのか、私はとても興味があります。

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マクロミルのサイトから、【図2】花粉症の症状 のグラフを引用すると以下の通りです。圧倒的に鼻症状なんですが、私もそうです。一応、目薬も処方してもらいますが、一番困るのは鼻水が止まらない時です。私の実感からすると、体調の低下によって下痢が始まると薬効成分を吸収できず花粉症の症状が悪化する、それがさらに体調の悪化から巡り巡ってまたまた花粉症の悪化につながる、といるスパイラル的な症状や体調の悪化に悩まされることが多いような気がします。また、花粉症の症状がひどい時向けに強い薬も処方してもらうんですが、それを服用すると激しく眠くなるので、平日の仕事中は避けたい気がします。

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グラフは省略しますが、引用したトピックにあるように、花粉症への対策としてもっともポピュラーなのは「マスクの使用」で60%を超えています。そして、薬について見ると、今年の場合、「いずれか市販薬計」が36.4%に対して、「いずれか処方薬計」が37.6%とほぼ同程度です。これも、トピックにある通り、花粉症有訴者のうち今年病院を受診したのは31%にとどまっています。私は毎年アレルギー科の医者に行っており、平均的な対応よりも少し手厚いのかもしれません。ということで、マクロミルのサイトから、【図5】受診理由 のグラフを引用すると以下の通りです。私の理由も「毎年行っているので」なのかもしれません。

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このブログでも2月4日付けのエントリーで取り上げましたが、環境省の予想では花粉飛散量は「前シーズンの半分以下になる地域が多い見込み」とされていたところ、確かに私の実感でも飛散開始時期はかなり遅かったものの、飛び始めれば1日辺りの飛散量は昨シーズンと同じだったような気もします。飛散する日数は昨年の半分だったかもしれませんが、1日当たりの飛散量は昨シーズンと変わらず、私はかなり苦しめられたように感じてしまいました。

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2014年5月15日 (木)

1-3月期1次QEは消費増税前の駆込み需要で大幅なプラス成長を記録

本日、内閣府から今年2014年1-3月期のGDP統計1次速報、いわゆる1次QEが公表されています。季節調整済みの系列による成長率は前期比で+1.5%、前期比年率で+5.9%を記録しました。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

1-3月期GDP、年率5.9%増 内需がけん引
内閣府が15日発表した2014年1-3月期の実質国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除いた実質の季節調整値で前期比1.5%増、年率換算で5.9%増と6四半期連続のプラスとなった。4月の消費増税前の駆け込み消費が活発化したうえ、企業業績の回復を背景に設備投資が大幅に増加。13年10-12月期(年率0.3%増)から伸び率が急拡大した。QUICKが14日に集計した民間予測の中央値である年率4.3%増も上回り、東日本大震災後の回復期にあたる11年7-9月期(年率10.8%増)以来の高成長だった。生活実感に近い名目成長率は1.2%増、年率で5.1%増となった。
実質成長率への寄与度で見ると、国内需要が1.7ポイント押し上げた半面、輸出から輸入を差し引いた外需は0.3ポイントの押し下げ要因となった。
内需のうち個人消費は2.1%増と6四半期連続のプラス。消費増税を前に自動車や家電製品といった耐久財に加えて、日用品などでも駆け込み需要が出た。設備投資は4.9%増と4四半期連続のプラス。伸び率は11年10-12月期(8.2%増)以来の高さだった。好調な業績を受けて企業の投資マインドが改善。「ウィンドウズXP」のサポート終了による買い替え需要で、パソコン関連メーカーの設備投資も増えた。
住宅投資は3.1%増と8四半期連続で増えたが、伸び率は10-12月期の4.3%増から鈍化した。旧消費税率の適用条件が9月までの契約だったため駆け込み需要が一足早く発生していたため。公共投資は12年度の補正予算の効果が一巡し2.4%減と5四半期ぶりに減少に転じた。
外需は輸出が6.0%増。自動車や半導体製造装置が伸びた。一方、輸入は原油や天然ガスが伸びて6.3%増だった。その結果、成長率に対する外需寄与度は3四半期連続でマイナスだった。
総合的な物価動向を示すGDPデフレーターは前年同期比でプラス0.0%となり、09年7-9月期(0.0%増)以来18四半期ぶりにプラスに転じた。甘利明経済財政・再生相は15日午前の記者会見で「デフレ脱却に向けて着実に前進している」との認識を示した。国内の物価動向を表す国内需要デフレーターはプラス0.7%と3四半期連続のプラスだった。
実質季節調整系列の金額ベースで見ると535兆5245億円で、現行基準になった1994年1-3月期以降で最高になった。
同時に発表した13年度のGDPは実質で前年比2.3%増、生活実感に近い名目で1.9%増となった。

ということで、いつもの通り、とても適確にいろんなことが取りまとめられた記事なんですが、次に、GDPコンポーネントごとの成長率や寄与度を表示したテーブルは以下の通りです。基本は、雇用者報酬を含めて季節調整済み実質系列の前期比をパーセント表示したものですが、表示の通り、名目GDPは実質ではなく名目ですし、GDPデフレータと内需デフレータだけは季節調整済み系列の前期比ではなく、伝統に従って季節調整していない原系列の前年同期比となっています。また、項目にアスタリスクを付して、数字がカッコに入っている民間在庫と内需寄与度・外需寄与度は前期比成長率に対する寄与度表示となっています。もちろん、計数には正確を期しているつもりですが、タイプミスもあり得ますので、データの完全性は無保証です。正確な計数は自己責任で最初にお示しした内閣府のリンク先からお願いします。

需要項目2013/1-32012/4-62013/7-92013/10-122014/1-3
国内総生産GDP+1.2+0.9+0.3+0.1+1.5
民間消費+1.0+0.7+0.2+0.4+2.1
民間住宅+1.8+0.8+3.3+4.3+3.1
民間設備▲2.0+1.0+0.7+1.4+4.9
民間在庫 *(+0.0)(▲0.3)(+0.1)(▲0.0)(▲0.2)
公的需要+1.4+1.8+1.5+0.5▲0.4
内需寄与度 *(+0.8)(+0.7)(+0.8)(+0.6)(+1.7)
外需寄与度 *(+0.4)(+0.1)(▲0.5)(▲0.6)(▲0.3)
輸出+4.3+2.9▲0.7+0.5+6.0
輸入+1.1+1.8+2.4+3.7+6.3
国内総所得 (GDI)+0.8+0.9+0.1▲0.1+1.0
国民総所得 (GNI)+0.7+1.6▲0.2▲0.1+0.7
名目GDP+0.8+0.9+0.2+0.2+1.2
雇用者報酬+0.9+0.2▲0.4▲0.1▲0.3
GDPデフレータ▲1.0▲0.6▲0.4▲0.4±0.0
内需デフレータ▲0.8▲0.3+0.3+0.5+0.7

テーブルに加えて、いつもの需要項目別の寄与度を示した積上げ棒グラフは以下の通りです。青い折れ線でプロットした季節調整済みの前期比成長率に対する寄与度であり、左軸の単位はパーセントです。グラフの色分けは凡例の通りとなっていますが、本日発表された1-3月期の最新データでは、前期比成長率が大きなプラスであり、特に消費増税前の駆込み需要に伴う赤の民間消費と水色の設備投資のプラス寄与が大きく、逆に、黒の外需がマイナス寄与を示しているのが見て取れます。

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一昨日のエントリーでは、私自身の1次QE予想として、前期比年率で+5%に届くか届かないか、と言ったくらいの見込みを示しましたが、私の予想を超えた高い成長率でした。私の予想が下に外れた最大の要因は、消費税率引上げ前の駆込み需要の大きさが私の予想を超えたことに起因すると受け止めています。さらに、駆込み需要が私の予想を上回った原因は我が家で長らく自動車を持ちつけていないからではないかと、勝手に推測しています。もっとも、3月の家計調査結果の追加参考図表の3として、1997年当時と今年のそれぞれの3月の消費支出の伸び率を比べた「消費支出の増加に寄与した主な費目別対前年同月実質増減率」と題するリポートが総務省統計局から示されていますが、これを見る限りは自動車は1997年当時の方が大きく伸びています。他方、1997年当時は世の中に存在しなかった統計なので比べようもありませんが、家計消費状況調査の3月速報を見る限り、自動車(新車)は前年同月比で実質+43.0%の伸びですから、家計調査で把握しきれていない部分も少なくない可能性があります。いずれにせよ、自動車が駆込み需要で大きく売上げを伸ばしたことは明らかです。

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といことで、GDPベースの消費を耐久財・半耐久財・非耐久財・サービスの4財に分類して、季節調整済みの系列の前期比伸び率をプロットしたのが上のグラフです。1-3月期には耐久財消費が大きく伸びていて、次いで半耐久財、非耐久財が続き、サービス消費の伸びがもっとも低くなっています。耐久期限に応じて駆込み需要が発生したのが見て取れます。3月の家計調査結果に基づいて「消費税率引上げによる駆け込み需要が見られた主な品目等」と題する追加参考図表がやっぱり総務省統計局から公表されています。コメやめん類といった食料よりも、エアコンや冷蔵庫などの耐久財が大きな伸び率を示していることが明らかにされています。もちろん、駆込み需要で大きく伸びた品目は4月から反動減も大きくなります。「山高ければ、谷深し」ということです。さらに、注目すべきは雇用者報酬であると私は考えています。すなわち、最初にお示ししたテーブルにもある通り、実質の雇用者報酬はここ3期連続してマイナスをつけている一方で、消費増税前の駆込み需要に対する支出がかさみましたから、当面の間、消費は停滞を続ける可能性が高いと覚悟すべきです。すでに、4月28日付けのエントリーで商業販売統計を取り上げた際に、小売売上げは1997年4月から12か月連続で前年同月比マイナスとなったという歴史的事実を明らかにしましたが、先行きの消費が1997年と同様の動向を示す可能性は十分にあると私は考えています。

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ただし、先行き消費の明るいトピックはデフレ脱却です。上のグラフはGDPデフレータ、消費デフレータ、国内需要デフレータのそれぞれの前年同月比上昇率をプロットしています。消費デフレータと国内需要デフレータはすでにプラスに転換していますが、トータルのGDPデフレータも1-3月期には前年同月比でゼロに達し、マイナス領域を脱しました。いよいよ、物価が上がってお給料も上がる世界を取り戻しつつあるように期待しています。そして、消費に関するもうひとつの明るい兆しは、マインドがようやく下げ止まりつつあると見込まれることです。下のグラフは、今日内閣府から発表された消費者態度指数ですが、4月は前月よりも▲0.5ポイント低下して37.0を記録し、5か月連続で前月を下回って、依然として低迷しています。消費者態度指数を構成する4項目の意識指標を見ても、「耐久消費財の買い時判断」が上昇しているほかは、「暮らし向き」「収入の増え方」「雇用環境」は低下しています。しかし、消費増税が実行された4月から年央くらいまでに、そろそろ消費者マインドは底を打つんではないかと私は期待しています。

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2014年5月14日 (水)

先発岩田投手が好投し終盤に追い上げられるも首位広島に競り勝つ!

  HE
阪  神001200001 491
広  島100000011 380

一番の勝因は先発岩田投手の好投でしょう。打線はもう少し打って欲しいところです。有り体に言えば、大和選手がホームランを打てる程度のローテーションの谷間に登板する投手なんですから、もう少し得点しておきたいところなんですが、現在の打線ではこのくらいが精一杯なのかもしれません。打線は低調ですから、福原投手が戦線離脱した投手陣への負担が大きくなります。交流戦に入って投手陣が一息つけるまで、もう少しです。

交流戦前のDeNA戦も、
がんばれタイガース!

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企業物価は消費税率引上げのため大きく上昇率を高める!

本日、日銀から4月の企業物価指数 (CGPI) が公表されています。消費増税直後の物価統計の発表として注目されたんですが、前月比で+2.8%、前年同月比で+4.1%の大幅な上昇となりました。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

企業物価、4月は4.1%上昇 消費増税除けば1.4%
日銀が14日発表した4月の国内企業物価指数(2010年平均=100、速報値)は105.7と、前年同月比で4.1%上昇した。プラスは13カ月連続。4月の消費税率引き上げが幅広い品目の価格押し上げにつながり、上昇率は前月(1.7%)から大幅に拡大した。前月比では2.8%上昇した。
消費税率引き上げの影響を除いた指数は102.9。前年同月比1.4%上昇と、3月(1.7%)に比べ伸び率は鈍化した。外国為替市場で円相場が下げ渋っており、物価の押し上げ効果が和らいでいる。前月比では0.1%上昇で、増税による押し上げ効果は2.7%程度となる。
企業物価指数は出荷や卸売り段階など企業間で取引する製品の価格水準を示す。全820品目のうち、前年比で上昇した品目は394、下落した品目は341。上昇が下落を上回るのは8カ月連続。
消費税を除くベースで項目別にみると、「電力・都市ガス・水道」や「石油・石炭製品」が上昇する一方、薬価改定で値下がりした病院向け医薬品を含む「化学製品」が下落した。
円ベースの輸出物価は前年比1.5%上昇、輸入物価は2.6%上昇した。

いつもながら、コンパクトによく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、いつもの企業物価上昇率のグラフは以下の通りです。上のパネルは国内と輸出入別の前年同月比上昇率を、下のパネルはその3指数の上昇率の中から国内物価だけを取り出してズームアップして、それぞれプロットしています。影をつけた部分は景気後退期です。いつものお断りですが、このブログだけのローカル・ルールで、直近の景気循環の谷は2012年11月であったと仮置きしています。

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当然ながら、消費税率引上げに従って、国内物価だけが4月に大幅に上昇率を高めているのが下のパネルから読み取れます。ただし、グラフには書きにくかったので加えていませんが、日銀試算に従えば、4月の国内物価上昇率は、引用した記事にもある通り、消費税込みで前月比+2.8%、前年同月比+4.1%ですが、消費税率引上げの影響を除けば前月比+0.1%、前年同月比+1.4%となり、3月が前年同月比+1.7%でしたから、消費税の影響を除けば4月はむしろ上昇幅が縮小しています。消費増税に伴う需給ギャップのマイナス方向への振れがありますから当然と言えます。前月の3月から上昇した品目として統計を作成している日銀から、食料品・飲料・たばこ・飼料、輸送用機器、石油・石炭製品、電力・都市ガス・水道などの寄与度が高いとされているんですが、円安圧力の軽減もありますし、需給ギャップの引締りに起因するのか、消費税率引上げの転嫁が進んだのか、どちらなのかは私にはサッパリ分かりません。統計以外の何らかのサイド・インフォメーションが必要なんですが、私は不勉強にして持ちつけません。

企業物価のうちの国内物価を見る限り、4月の消費税率引上げに伴って、上昇率は大きく高まっていますが、消費税の影響を除けば、むしろ、物価上昇圧力は低下しています。今後の物価動向次第では、日銀が追加緩和に踏み切る可能性が残されたと私は考えています。

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2014年5月13日 (火)

延長戦で力尽きて首位広島にサヨナラ負け!

 十一十二 HE
阪  神001000000000 150
広  島000000100001x 2110

延長戦までもつれ込みましたが、首位広島にサヨナラ負けです。一昨日にも書きましたが、現状の阪神の打撃陣と投手陣の調子を見ると1-0で勝っておかねばならなかったところでした。7回まで藤浪投手を引っ張った上に打たれて同点に追いつかれた時点で苦しくなったのは事実です。延長戦に入ってからは呉投手をイニングまたぎで投げさせたり、一方的に広島に押されまくって結局はサヨナラ負けでした。

明日はローテーション谷間同士ですから勝機あり、
がんばれタイガース!

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今年2014年1-3月期の成長率は駆込み需要で上振れか (1次QE予想)

明後日木曜日の5月15日に今年2014年1-3月期GDP速報1次QEが内閣府より発表される予定となっています。必要な経済指標がほぼ出尽くし、シンクタンクや金融機関などから1次QE予想が出そろいました。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、web 上でオープンに公開されているリポートに限って取りまとめると下の表の通りです。ヘッドラインは私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しました。可能な範囲で、先行き経済の動向に関する記述を取っているつもりです。一応、先行きに言及していないのは、第一生命経済研と表の下に連ねた三菱系3社の計4機関だけであり、それ以外の機関についてはヘッドラインも長めに引用してあります。より詳細な情報にご興味ある向きは左側の機関名にリンクを張ってありますから、リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開いたり、ダウンロード出来たりすると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちに Acrobat Reader がインストールしてあって、別タブが開いてリポートが読めるかもしれません。

機関名実質GDP成長率
(前期比年率)
ヘッドライン
日本総研+1.1%
(+4.6%)
4-6月期を展望すると、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動減が、個人消費や住宅投資を中心に顕在化。これまで景気のけん引役であった内需が、押し下げ要因に転じる結果、マイナス成長は避けられず。もっとも、低迷が続く外需については、駆け込み需要や政策効果のはく落を受けて、①輸入が減少に転じること、②企業が優先して対応していた国内向け出荷に代わり、輸出への振り向けに余裕が生じること、に加えて、③米国経済など海外景気が底堅く推移すること、などから徐々に回復に向かう見通し。
大和総研+1.3%
(+5.5%)
2014年4-6月期については、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動から、個人消費は大幅に減少する見込みである。ただし、労働需給の引き締まりを反映してパートやアルバイトの賃金が上昇していること、ベースアップが多くの企業で実施されたことにより、所得環境は改善に向かう可能性が高い。所得の改善が個人消費を下支えするため、反動減の影響は一時的なものにとどまるとみている。
みずほ総研+0.6%
(+2.4%)
4-6月期は公需や外需が下支えとなるものの、駆け込み需要の反動が顕れる民需を中心に大幅なマイナス成長が避けられないだろう。
なお、7-9月期は個人消費や住宅投資が持ち直すことでプラス成長に復するとみられ、景気後退は回避されると予測している。
ニッセイ基礎研+1.2%
(+5.0%)
2014年1-3月期は駆け込み需要の本格化による民間消費の高い伸びを主因として高成長となった模様だが、4-6月期はその反動から民間消費、住宅投資が大きく落ち込むことが避けられない。一方、3四半期連続でマイナスとなった外需は、輸出の持ち直しと内需減速に伴う輸入の減少から成長率の押し上げ要因に転じるだろう。現時点では、4-6月期の実質GDPは前期比年率▲5%台のマイナス成長を予測している。
伊藤忠経済研+1.5%
(+6.0%)
反動減について、企業側は概ね想定の範囲内との見解の模様である。ただ、未だ断片的な情報にとどまり、4-6月期の動向を判断するには材料不足である。ちなみに1997年4-6月期は実質GDP前期比▲1.0%、民間最終需要▲3.0%、個人消費▲3.5%だった。
第一生命経済研+1.3%
(+5.5%)
1-3月期の高成長は、駆け込み需要の集中から個人消費が急増したことが主因。駆け込み需要の影響残存により住宅投資も高い伸びが続いたとみられる。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券+1.5%
(+6.0%)
14年4月の消費税率引き上げ(5%→8%)を前にした駆け込み需要の発生により、耐久消費財などへの支出が1-3月期に集中し、同期の個人消費を大きく押し上げた模様だ。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング+1.0%
(+4.2%)
1-3月期の高い伸びを主導したのが、消費税率引き上げ前の駆け込み需要によって急増した個人消費である。
三菱総研+1.0%
(+4.0%)
2014年1-3月期の実質GDPは、季節調整済前期比+1.0%(年率+4.0%)と6四半期連続のプラス成長を予測する。

1次QEの注目点はいくつかありますが、ひとつは駆込み需要の大きさです。私は少し前まで1997年と比較して大きくないと考えていたんですが、5月に入ってから、実はかなり大きくて1997年と比べてもそれほど違わないと考えるようになり、特に、いくつかの消費の代理変数について3月統計が出るに従って、駆込み需要は小さくないとの予想が強まりました。すなわち、すべて季節調整していない原系列の統計の前年同月比で見ると、経済産業省の商業販売統計の小売は名目で+11.0%増、総務省統計局の家計調査が実質で+7.2%増、くらいまではまあまあと思っていたんですが、同じ統計局の家計消費状況調査が実質で+12.5%増と出るに及んで、政府も企業も「駆込み需要は想定内」の大合唱の中で、ひょっとしたら、1997年を上回る可能性もあると考えるようになってきました。私の実感がズレた最大の要因は、我が家では長らく買っていない自動車の販売が実は大きく伸びた点が関係しているような気がします。もうひとつのポイントはかなり技術的なんですが、国際収支統計の扱いです。今年2014年1月から国際収支統計マニュアルがBPM6に移行し、以前と継続性がなくなったと実感していましたが、GDP統計を作成している内閣府では「平成26年1-3月期四半期別GDP速報の推計方法について」と題するメモを出し、「見直し前の概念に組み戻す処理を行う」と表明しています。上のテーブルに示したシンクタンクや金融機関などのリポートでも簡単に触れているものがありますが、第一生命経済研では「国際収支統計の改訂がGDPを大きく撹乱」と題するリポートを発表して詳細に解説しています。ご参考まで。
ということで、上のテーブルに戻って1次QE予想を総括すると、消費増税前の駆込み需要で1-3月期の成長はかなり上振れしたと考えられます。当然です。みずほ総研が何か勘違いしたか計算ミスがあったような気もしますが、年率4%成長は超えているように私は受け止めています。極めて大雑把かつ直感的に言って、需要項目別の詳細を気にせずGDP成長率としての仕上がりだけを見れば、ニッセイ基礎研と日本総研のレンジに収まるような気がしています。もっとも、内需寄与度がプラスで、外需はマイナスというのは、ほぼ一致した見方だという気もします。そして、言うまでもありませんが、先行きについては消費増税のショックにより4-6月期は大きく下振れするものの、7-9月期には早くも持ち直す可能性が高い、と私も含めた多くのエコノミストは予想しています。
下のグラフは日本総研のリポートから引用しています。

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2014年5月12日 (月)

消費増税でかく乱された景気ウオッチャーと経常収支をどう見るか?

本日、内閣府から4月の景気ウォッチャー調査結果が、また、財務省から3月の経常収支が、それぞれ発表されています。景気ウォッチャーは消費増税で大きくかく乱され、現状判断DIが前月比▲16.3ポイント低下の41.6を示した一方で、先行き判断DIは+15.6ポイント上昇の50.3を記録しました。また、経常収支は季節調整していない原系列の統計で▲1兆2,179億円の赤字となり、うち貿易収支が▲1兆1,336億円の赤字を占めています。まず、長くなりますが、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

4月街角景気、先行き判断の上昇率は過去最大 反動減は一時的
内閣府が12日発表した4月の景気ウオッチャー調査(街角景気)によると、2-3カ月後の景気を占う先行き判断指数は15.6ポイント上昇の50.3となり、5カ月ぶりに改善した。改善幅は現行調査になった2001年8月以降で最も高い伸びとなり、これまで最高だった東日本大震災直後の11年4月(11.8ポイント上昇)を上回った。消費増税による駆け込み需要の反動減や消費者心理悪化の影響が薄れるとの期待が多かった。
家計分野では「消費増税前のまとめ買いによる家庭内在庫も2-3カ月先にはなくなるので徐々に回復してくる」(東北のスーパー)、「賃金のベースアップや株価の下支えなど、前回の消費増税時よりも条件が良く、今月も増税の影響は少なかった。夏には消費が回復しそうな気配がある」(近畿の百貨店)と前向きな声が多かった。
内閣府は、消費増税による反動減の影響について「一時的との見方が多い」としたうえで「自動車や家電などの耐久消費財に比べ、日用品や食料品といった非耐久消費財の方が回復が早い」と分析している。
一方、足元の景気実感を示す現状判断指数は前月比16.3ポイント低下の41.6と2カ月ぶりに悪化した。マイナス幅は東日本大震災時の11年3月(20.7ポイント低下)に次ぐ過去2番目の大きさ。消費増税による駆け込み需要の反動減で、自動車や家電販売を中心とした小売業の売れ行きが落ち込んだことを映した。
家計分野では「3月は前年同月比160-170%伸びたが、4月は約8割の売り上げで、消費増税による駆け込み需要の反動減の影響が反映された」(南関東の乗用車販売店)といった声が上がった。
内閣府は街角景気の基調判断を前月の「緩やかに回復している」から「緩やかな回復基調が続いているが、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動により、このところ弱い動きもみられる」へと、13年6月以来10カ月ぶりに下方修正した。先行きについては「緩やかに回復していくと見込まれる」との認識を示した。
調査は景気に敏感な小売業など2050人が対象で、有効回答率は90.7%。3カ月前と比べた現状や2-3カ月後の予想を「良い」から「悪い」まで5段階で評価して指数化する。
13年度経常黒字7899億円で過去最低 所得収支増も貿易赤字拡大
財務省が12日発表した2013年度の国際収支状況(速報)によると、海外とのモノやサービスなどの総合的な取引状況を示す経常収支は7899億円の黒字だった。黒字額は3年連続で減少し、現行基準で比較可能な1985年以降で過去最低となった。12年度比での減少率は81.3%とこれまでで最も大きい落ち込みとなった。海外から受け取る利子や配当など第1次所得収支は増えたものの、原粗油や液化天然ガス(LNG)など燃料輸入が膨らみ貿易赤字が拡大した。
貿易収支は輸送の保険料や運賃を含まない国際収支ベースで10兆8642億円の赤字。赤字額は貿易収支について、現行基準で比較可能な96年度以降で最大となった。輸入額は原粗油やLNG、半導体等電子部品などが増え、12年度比19.6%増の80兆6681億円と4年連続で増加し、過去最大。輸出額は12.2%増の69兆8039億円で、3年ぶりの増加に転じた。
旅行や輸送動向を示すサービス収支は3兆5779億円の赤字。これにより、貿易・サービス収支の赤字額は14兆4422億円で、85年度以降で最大となった。
一方、第1次所得収支は16兆6596億円の黒字だった。黒字額は12年度比で14.0%増加し、85年度以降で最高となった。円安が進み、企業が海外投資から受け取る利子や配当が増えた。今後は円安一服で燃料輸入のペースが鈍化するなどして貿易赤字が縮小する一方、所得収支の黒字が拡大基調を強めれば経常黒字は再び増加に向かう可能性もある。
同時に発表した3月の経常黒字は1164億円だった。黒字は2カ月連続。輸入額は前年同月比23.2%増の7兆6443億円、輸出額は6.2%増の6兆5108億円。第1次所得収支は1兆7549億円の黒字だった。

いずれも長いながら、とてもよく取りまとめられた記事だという気がします。次に、景気ウォッチャーの現状判断DI及び先行き判断DIのグラフは以下の通りです。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた部分は景気後退期です。なお、毎度のお断りですが、このブログのローカル・ルールで、直近の景気の谷は2012年11月であったと仮置きしています。

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初めに書いた通り、4月1日からの消費増税で大きくかく乱され、3か月前と比較する現状判断DIが大きくダウンした一方で、2-3か月先を見込む先行き判断DIが大きくアップしました。引用した記事には、2011年3月の震災と比べて、1番目だの2番目だのといった記述がありますが、メディア的にはともかく、経済学的にどこまで意味があるのかないのか疑問です。いずれにせよ、現状判断DIが大きく落ちて、先行き判断DIが大きく上がりましたから、この4月の結果から読み取れるのは、先日の景気動向指数と同じで、景気ウォッチャー調査は統計として十分に信頼を置ける、ということと、消費増税のショックについて、深さはともかく、期間は短そうである、という点です。少なくとも供給サイドのマインドは消費増税のショックからV字回復する可能性があります。なお、統計作成官庁の内閣府では基調判断をビミョーに変更したようですが、これもどこまで意味があるかないか、何とも分かりかねます。

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経常収支については、3月速報が出て年度統計が利用可能になりましたので、2013年度の経常収支が1兆円を割り込んで7,899億円と統計が比較可能な1985年以降で過去最低となった点がメディアでは強調されています。季節調整済みの系列による月次統計のグラフは上の通りですが、ほぼ2011年3月の震災以降のトレンドに沿った動きだと私は受け止めています。積上げ棒グラフの赤で示した1次所得収支はほとんど変化ないのに比較して、黒で示した貿易収支がクロニカルにマイナス幅を拡大しており、経常収支の黒字幅縮小は貿易収支の赤字拡大から生じていることが明らかに読み取れます。もっとも、この貿易収支の動向は国際経済における各国の景気局面の差に起因する部分が大きく、中国をはじめとする新興国や欧州に比べて、アベノミクスにより我が国が早くに景気回復・拡大を達成したことから、輸出の伸びに比べて輸入の増加が大きく、貿易赤字が積み上がっていると考えるべきです。従って、新興国や欧州が景気回復・拡大の軌道に乗れば、円安の進行と相まって、我が国の貿易赤字も縮小すると私は期待しています。ですから、貿易赤字を国際競争力低下の帰結と誤解して、財政リソースを特定産業につぎ込むターゲティング・ポリシーを「成長戦略」であると勘違いしないように注意する必要があります。

マインドについては、明後日に需要サイドの消費者態度指数も公表予定です。先行き判断は調査項目に含まれていませんが、何らかの景気ウォッチャーとの比較も可能かもしれません。

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2014年5月11日 (日)

メッセンジャー投手が虎の子の1点を守って完封勝利!

  HE
読  売000000000 041
阪  神010000000 160

メッセンジャー投手が虎の子の1点を守って完封勝利です。一昨日の能見投手は背信と考えるべき、と私は主張しましたが、打線も投手陣もともに激しく下り坂の現状の阪神にあっては、この1-0の勝ち方がもっとも蓋然性が高いと私は認識しています。もちろん、打線はもっと得点力をつけるべく試行錯誤は避けられませんし、投手陣もそれなりの休養を与えられるべきと思いますが、何とか1点でも2点でも早い回に得点して、早め早めの投手リレーで逃げ切ることを最優先で考えるべきです。現在の打撃陣、投手陣ともかなり状態は悪いと覚悟した上で、それなりのベンチワークを働かせるべき正念場と言えます。

首位広島との2連戦を2つとも勝つ気構えで、
がんばれタイガース!

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fox capture plan の セカンド・アルバム BRIDGE を聞く

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fox capture plan の セカンド・アルバム BRIDGE を聞きました。恥ずかしながら聞いたことのないグループでしたが、ピアノ・トリオです。まず、このアルバムの曲目構成は以下の通りです。よく分からないんですが、すべてオリジナル曲なんではないかと思います。

  1. Attack on fox
  2. RISING
  3. Bridge #1
  4. Far out
  5. 閉ざされた青い空間
  6. Bridge #2
  7. Pictures
  8. 3rd Down (Alternate Take)
  9. Bridge #3
  10. Teardrop

どうして知ったかというと、Jazz JapanAward 2013 の ニュー・スター部門に桑原あい THE SIXTH SENSE とともに選ばれましたので聞いてみた次第です。どうでもいいことですが、THE SIXTH SENSE は Award 2013 が発表される前の2014年1月26日にこのブログで取り上げています。なお、セカンド・アルバムというくらいですから、ファースト・アルバムがあり、trinity というタイトルで、私も聞いてみました。なぜか、どちらのアルバムも40分くらいで、今ではCD1枚1時間もめずらしくないご時世に、昔のLP並みの演奏時間だったりします。
で、やっぱり、カッコいいです。私の知る限り、Re-Trick や J.A.M と似たカンジで、ジャズといえばジャズかもしれませんが、クラブ音楽でもあり、ロックと見なす人は少なそうですが、その昔のフージョンという気もします。以下は、ご参考まで、YouTube にアップされている動画です。アルバムの1曲めと2曲めです。カッコよさを実感できます。



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2014年5月10日 (土)

終盤にリリーフ陣が打ち込まれてジャイアンツに逆転負けで4連敗!

  HE
読  売0010000203 6100
阪  神0002100000 390

厳しいようですが、今日もリリーフ陣で逃げ切って勝たねばならない試合でした。中日戦から2試合連続でセットアッパーの福原投手が救援に失敗し同点に追いつかれています。少し前の5月に入ってから、打線が下り坂で投手陣が抑えねばならないと私は主張しているんですが、昨夜の能見投手や今夜の勝ちパターンのリリーフ陣を見ている限り、投手陣も下り坂なのかもしれません。交流戦に入って投手のやり繰りが楽になるまで、タイガースはしばらく低空飛行が続きそうな気がします。

明日は3タテを避けるべく、
がんばれタイガース!

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今週の読書は村上春樹『女のいない男たち』ほか

今週の読書、すなわち、アイン・ランド『肩をすくめるアトラス』から後の読書は、村上春樹の短篇集『女のいない男たち』ほか、以下の通りです。

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まず、村上春樹『女のいない男たち』(文藝春秋) です。この作者としてはめずらしく、「まえがき」があります。私は初めて見ました。『ノルウェイの森』に「あとがき」があったと記憶していますが、「まえがき」は初めてです。収録されている短編は「ドライブ・マイ・カー」、「イエスタデイ」、「独立器官」、「シェエラザード」、「木野」、「女のいない男たち」で、最後の短編が書下ろしとなっています。「ドライブ・マイ・カー」と「木野」は、妻の不倫で最愛の伴侶をなくすお話しで、「イエスタデイ」は、幼なじみを熱愛しながら、どうしてもその女の子には手の出せない、超純情男の物語、「シェエラザード」は『千夜一夜物語』の王妃のように、主人公とセックスするたびに興味深い話を聞かせてくれるが、囚われの身は男性の方だったりします。「独立器官」は、交際中の人妻が不倫相手の自分ばかりか夫も捨てて、第3の男と失踪してしまうという面白おかしいストーリーで、私は共通する部分もある「ドライブ・マイ・カー」と「木野」が面白かったです。「シェエラザード」と「独立器官」はイマイチ。最後の書下ろしはやや短く、村上ファンは大好きになりそうですが、そうでなければ詰まらなさそうで、評価の難しいところかもしれません。まあ、特に出来のいい短篇集とも思えませんが、私のような村上春樹ファンは押さえておくべきと思います。

photo次に、ニコラス・ワプショット『レーガンとサッチャー』(新潮選書) です。原書は2008年のリーマン・ショックの年に発行されており、その時点までは、我が国で言うところの「市場原理主義」、いわゆる新自由主義的な経済学が幅を利かせていた気もします。でも、その後は見る影もなくなったのは広く知られているところでしょう。とは言いつつ、本書では経済についてはほとんど取り上げていません。と言うか、まったく取り上げていません。主眼は米ソの冷戦期における英米の協力関係であり、むしろ、英国に対する米国の優位を確立しつつ共産圏に対峙したアングロ・サクソンを描き出しています。この1980年代前半から半ばにかけては、本書で着目しているレーガン=サッチャー関係だけでなく、日米関係で言えば、「ロン・ヤス関係」というのがありましたが、本書ではまったく着目されていません。米英関係は必ずしも対等平等ではないにしても、ともに核兵器を保有する列強の間における協力関係であり、かたや、日本は米国の核の傘に守られている片務的な同盟関係ですから、もちろん、同列に論じることは出来ません。客観的な世界の政治情勢と首脳同士の個人的な関係が見事にマッチした稀有な例ということで、新自由主義的な経済を抜きに政治的・外交的な面から両首脳をとらえています。レーガンが航空管制官のストを潰し、サッチャーが炭鉱労働者に対抗する姿など、共産圏に対峙するよりも国内の対労働組合で強硬な姿勢を取ったという共通点も見逃すべきではありません。

photo次に、桂木隆夫[編]『ハイエクを読む』(ナカニシヤ出版) です。これまた、新自由主義的な経済学を論じたノーベル賞経済学者として有名なハイエクを取り上げた本です。桂木教授を編者に、何人かの専門家が論文を寄せていますが、経済学はむしろ少なくなっており、心理学や社会科学の方法論、共同体論などを第1部に収め、第2部はマルクルやシュンペーターなどと対比させてハイエクを論じています。論点が大きて、私の専門外の分野も多いので、ひとつだけ取り上げると、ハイエクが民主主義に懐疑的であったのは有名なお話なんですが、私は資本主義と民主主義は必ずしも大きな親和性を持っているわけではないと従来から考えています。というのは、資本主義のパワーの源泉は購買力であり、市場において使えるオカネであると言えるのに対して、民主主義は自然人すべてが平等に扱われますから、自ずと違いはあります。逆に、と言うか、何と言うか、私の誤解なのかもしれませんし、やや簡略に過ぎる見方かもしれませんが、社会主義でかなりの程度に平等が達成されると仮定すれば、社会主義と民主主義は親和的であると言えます。市場における購買力のパワーと民主主義的な決定プロセスのもっとも原初的な投票のパワーがほぼ一致するからです。しかし、資本主義、特に、ハイエクの考えるような政府による所得の再分配を排除した市場に基づくだけの資本主義では、自然人すべてを平等な基本的人権、特に平等な投票パワーを基礎として成立する民主主義社会とは親和性が大きくないと私は解釈しています。だからというわけでもないのですが、基本的人権の観点などからして、あくまで民主主義的な社会が先決的に存在すべきだと私は考えるものですから、所得の不平等、大きな不平等を容認して、所得の再分配の機能のない市場だけに基礎を置く資本主義というのは不完全な制度だと感じています。何らかの所得の再分配を政府が実施して、自然人すべてが平等な民主主義と経済の親和性が高められる方が望ましいという考え方です。

photo最後に、上念司『悪中論』(宝島社) です。まあ、中国の嫌いな人向けの本ではあるんですが、主張したいポイントは分からないでもありません。作者の主張の根拠として、かなり怪しい個人のブログサイトやイエロー・ジャーナリズムに近い報道などが幅広く網羅されていますが、この努力は大したもんだという気がします。もっとも、逆の観点から中国を賞賛する報道を探すのも可能だという気もしないでもありません。本書のサブタイトルは「中国がいなくても、世界経済はまわる」なんですが、本書の最大の欠点はこの「中国がいなくても、世界経済はまわる」かどうかが論証されていないことです。ただ、直感的にはおそらく、中国の経済活動がなくても世界経済が「まわる」のはかなり確度が高いという気が私もしています。当然ながら、中国の経済活動を代替する、もっと言えば、中国が世界に供給している財を、中国に代わって供給してくれる代替国はありそうな気がします。もちろん、ある国が1国で中国の供給すべてを代替することは不可能でしょうが、いくつかの国の集合体として中国経済を代替することは可能でしょう。でも、それを言えば、中国以外のほぼすべての国が集合体としての代替国がありそうです。日本も、ひょっとしたら米国経済ですら世界からいなくなっても、世界は「まわる」ような気がします。

最後に、読書とは何の関係もなく、昨夜、第72期将棋名人戦七番勝負の第3局が終局し、羽生三冠が森内名人を下して3連勝で、一気に名人位に王手をかけました。誠におめでとうございます。逆に、森内明治は早くもカド番です。第4局はさ来週5月20-21日に千葉県成田市で指される予定です。

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2014年5月 9日 (金)

打線が湿り能見投手が打ち込まれて3連敗!

  HE
読  売000001300 460
阪  神000100100 290

厳しいようですが、今日の出来の能見投手であれば、この結果は背信と考えるべきです。打線は明らかに下り坂で、得点力は2-3点しかないんですから、エースであればそれ以下に抑えて勝つことが求められます。打線もそろそろ組換えが必要そうに見えます。ようやく、福留外野手はスタメンから外しましたが、1-2番の出塁が極めて少なくなってしまっており、ゴメス選手がまだ好調を維持しているだけに、上位打線の出塁を眼目に打線組換えを考えるべきです。明日はサウスポーの内海投手の先発ですが、あえて、今成選手を1番で使うのも選択肢のひとつです。また、どうして、3割のアベレージを叩き出している俊介選手を今夜は外したんでしょうか?

明日は、
がんばれタイガース!

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景気動向指数は消費増税前の駆込み需要でかく乱され、一致指数は上昇し先行指数は下降を示す!

本日、内閣府から3月の景気動向指数が公表されています。消費増税直前の駆込み需要によりCI一致指数は前月から+1.1ポイント上昇して114.0を記録した一方で、CI先行指数は▲2.2ポイント下降して106.5となりました。適切に反応しているように見えます。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

3月の景気一致指数、2カ月ぶりプラス 先行は低下
内閣府が9日発表した3月の景気動向指数(CI、2010年=100)速報値は、景気の現状を示す一致指数が前月比1.1ポイント上昇の114.0と2カ月ぶりのプラスだった。駆け込み需要の活発化を受けて小売業や卸売業の販売額が増加したことが寄与した。景気回復で労働需給が引き締まる中で、残業時間や有効求人倍率といった雇用関係の指標も指数を押し上げた。
内閣府は一致指数の動きから機械的に求める景気の基調判断を最上位の「改善を示している」で据え置いた。
数カ月後の先行きを示す先行指数は2.2ポイント低下の106.5と2カ月連続のマイナスだった。消費税率の引き上げで中小企業の売り上げ見通しや消費者心理が悪化したことが響いた。
景気に数カ月遅れる遅行指数は0.2ポイント低下の116.8だった。
指数を構成する経済指標のうち、3カ月前と比べて改善した指標が占める割合を示すDIは一致指数が90.0、先行指数が0.0だった。

いつもながら、簡潔によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、下のグラフは景気動向指数です。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた部分は景気後退期なんですが、いつものお断りで、直近の景気の谷は2012年11月だったと仮置きしています。

photo

繰返しになりますが、消費増税前の駆け込み需要により、CI一致指数が上昇し、統計作成官庁である内閣府による基調判断は「改善を示している」で据え置かれましたが、CI先行指数は2か月連続で大きく低下しています。上のグラフから読み取れると思います。3月の先行指数の下降に寄与したのは、中小企業売上げ見通しD.I.、学卒を除く新規求人数、消費者態度指数などです。他方、先行指数とは逆に動いたCI一致指数の上昇に寄与したのは、小売と卸売の商業販売額、所定外労働時間指数などです。ただし、CI一致指数でマイナス寄与が大きかったのが耐久消費財出荷となっており、駆込み需要の影響が消滅するに従って、CI一致指数も下降に転じる可能性が強く示唆されていると私は受け止めています。いずれにせよ、消費増税前の駆込み需要にかく乱されつつも、3月の景気動向指数は一致指数と先行指数で逆の動きを見事に示し、統計としての信頼性の高さを見せつけられた気がします。

来週木曜日の5月15日には今年2-14年1-3月期のGDP速報、いわゆる1次QEが内閣府から発表されます。これも消費増税前の駆込み需要で上振れしていることが容易に想像されますが、1997年の増税と比べてどれくらいの規模の駆込み需要があったのかを見る目安にもなるような気がします。

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2014年5月 8日 (木)

三菱UFJリサーチ&コンサルティング「新入社員意識調査アンケート結果」に見る今年の新入社員のワーク・ライフ・バランス観やいかに?

やや旧聞に属する話題ですが、先週5月2日に三菱UFJリサーチ&コンサルティング「新入社員意識調査アンケート結果」が公表されています。こういった新入社員に対するアンケート調査結果は何種類かこのブログでも取り上げましたが、日本生産性本部と三菱UFJリサーチ&コンサルティングの調査だけは定点観測のように毎年取り上げています。でも、今年はこれで新入社員アンケートについては最後になりそうな気がします。まず、三菱UFJリサーチ&コンサルティングのサイトから調査結果のポイントを4点引用すると以下の通りです。

アンケート調査結果概要
  • 男性は出世意欲が強いが、女性は好きな仕事を楽しくする方が重要。理想の上司は「武田信玄」が連覇。
  • 30歳で自分の年収は「300-500万円程度」と予想。
  • 今の日本は「曇り」。中福祉中負担の「日本型社会」が維持されることを希望。
  • 8割弱が30歳で自分が結婚していると思っている。約4割は子どももいるだろうと予想。

というわけで、調査結果のリポートからいくつかグラフを引用しつつ、理想の上司など、上に引用したポイントはあまり気にせずに、リポートのサブタイトルになっている「重視されるワーク・ライフ・バランス」に留意しつつ、リポートを読んで私が重要と考えた点を簡単に紹介したいと思います。

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まず、リポート p.4 図表4.会社に望むこと を引用すると上の通りです。見ての通り、「人間関係がよい」がダントツで、続いて「自分の能力の発揮・向上ができる」が重視されています。その下の第3位からもワーク・ライフ・バランスの観点から重要なポイントが上がっていると私は受け止めています。これに対応するように、グラフの引用は省略しますが、p.5 図表6.仕事・職場生活に関する不安 では最大の不安に「上司・先輩・同僚との人間関係」が上げられています。また、2番目と3番目には、「仕事が自分に合っているか、うまくできるか」と「環境の変化に心身がうまく対応できるか」が上がっています。これを詳しく見たのが下のグラフです。

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ということで、続いて、上のグラフはリポート p.5 図表7.仕事・職場生活に関する不安 を引用しています。2つ取り上げられている「仕事が自分に合っているか、うまくできるか」と「環境の変化に心身がうまく対応できるか」については、前者の不安が絶対的なシェアとしては大きいんですが、ここ10年ほどでジワジワと下降線をたどっています。逆に、後者の不安は絶対的なシェアは前者よりも小さいんですが、徐々に上昇傾向にあるのが見て取れます。この最近の傾向について、リポート p.5 では「ゆとり世代が増えてきていることが、仕事に対する適性以前の問題として社会人になるという環境の変化にすら不安を抱いてしまう人を増加させる背景にあるのかもしれない。」と分析しています。

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続いて、ワーク・ライフ・バランスの極めつけである余暇とお給料の関係について、上のグラフはリポート p.6 図表8.給料と残業に対する考え方 を引用しています。伝統的な経済学では、労働は余暇を犠牲にして所得を得る手段と見なされており、余暇と賃金はトレード・オフの関係にあります。そして、グラフから明らかな通り、ここ何年かで新入社員の選好関数は徐々に賃金から余暇にシフトしているように見えます。その昔のバブル経済期には栄養ドリンクのコマーシャル・ソングに「24時間戦えますか?」というセリフがあって、私は生物学的にムリだろうと冷ややかに受け止めていたんですが、このバブル期には現時点に比べて余暇よりも賃金が選好されていたんではないかと、直感的に考えられる一方で、最近は徐々に賃金よりも余暇を選好する新入社員が増えている可能性が示唆されています。

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最後に、上のグラフはリポート p.17 図表28.将来に関する不安 (性別) を引用しています。最初にグラフを引用した現在の職場の不安ではなく、新入社員の将来不安ですから、50を超えた私なんぞの目先の不安ではなく、長い長い先の不安なんでしょうが、男性には「お金に関すること」が、女性には「生活に関すること」が、それぞれ、将来不安に見えがちなのは理解できるような気がします。

定番の設問として、「定年まで勤めるか、転職を希望するか」というのと、「海外勤務の希望」が抜けているように見えるかもしれません。いずれもワーク・ライフ・バランスの観点から重要と私は考えるんですが、前者は2012年から問いが変更されて回答の連続性が欠けると判断しました。また、後者は設問がそもそもありませんでした。別のアンケート調査を参照ください。

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2014年5月 7日 (水)

下り坂の打線が初物投手に完封されて中日にボロ負け!

  HE
阪  神000000000 060
中  日00304000x 790

先日の虎ブロにも書きましたが、打線はハッキリと下り坂です。でも、中日の初物投手に完封されるまでひどいとは思いませんでした。投手陣が踏ん張るしかないんですが、さすがにルーキー・バッテリーでは苦しかったかもしれません。ようやく福留選手を外す勇気が監督に出たのと、勝ちパターンのリリーフ陣を休ませることが出来たのが、本日の大きな収穫かもしれません。

明日は、
がんばれタイガース!

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経済協力開発機構 (OECD) の「経済見通し」 Economic Outlook No.95

昨日5月6日、閣僚理事会の開催を受けて経済協力開発機構 (OECD) から「経済見通し」 Economic Outlook No.95 が公表されています。来年2014年における先進国の成長率見通しを概観すると、我が国が前回の+1.5%成長から+1.2%に下方修正され、米国も+2.9%から+2.6%に下方修正された一方で、ユーロ圏欧州は逆に+1.0%から+1.2%に上方修正されています。2015年については、+0.1から+0.2%ポイントの小幅ながら、日米欧ともそれぞれ上方改定されており、総じて先進国では堅調な成長が続くとのシナリオが示されています。他方、非加盟国ながら、例えば、中国では2014年の成長率が+8.2%から+7.4%に大きく低下するとともに、2015年もわずかに下方改定と見込まれています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

日本は1.2%成長、OECDが予想下方修正
経済協力開発機構(OECD)は6日、日米欧などの経済見通し(エコノミックアウトルック)を公表した。2014年の日本の実質国内総生産(GDP)成長率を前年比1.2%増と、前回の昨年11月の時点から0.3ポイント下方修正した。15年については1.2%増と0.2ポイント上方修正した。
OECDは、日本の輸出が新興国経済の停滞で減速しているなどとして、14年の成長率予測を引き下げた。ただ政府の積極的な財政政策などで、消費税引き上げによる影響は抑制されており、「景気拡大は続く」と予測した。労働市場の逼迫が賃金上昇につながるほか、減税などに支えられ設備投資も増えると見込む。
一方で、財政健全化は「日本の信頼を維持するための最優先事項」と指摘。予定通り15年までに消費税率を10%に引き上げるよう促した。加えて、成長につながる構造改革に取り組むよう求めた。
米国は「速いペースで経済が拡大している」と説明。強い寒波の影響で14年は前回予測より成長率の伸びは小さくなるものの「投資や消費が力強く上向く」と予想した。ユーロ圏は債務危機から「徐々に脱却している」との見解を表明。今後も回復が続くとの見通しを示した。ただ高い失業率や銀行の貸出金利の高止まりなど課題は残ると説明した。
中国については14年、15年とも予測を引き下げたが「持続可能な水準で、悲観的になる必要はない」(玉木林太郎事務次長)という。

国際機関のリポートを取り上げるのはこのブログの大きな特徴のひとつであり、実は私の方ではこのリポートの全文を入手しているんですが、今夜のエントリーでは、記者発表で配布された資料と個別に発表されたリポートの第1章 General Assessment of the Macroeconomic Situation から図表を引用しつつ、日本経済に関する事項を中心に簡単に紹介しておきたいと思います。

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まず、上は地域別の成長率見通しの表です。これだけでは情報量が不足するという向きには、上の画像をクリックするとリポート本文 p.6 の Summary of projections と題する総括表が別タブまたは別画面で開きます。ということで、極めて大雑把に言えば、昨年2013年から今年2014年、さらに来年2015年にかけて世界経済は順調に成長率を高めるというシナリオが描かれています。例外は、昨年から今年にかけての新興国、特に中国と、今年から来年にかけての日本なんですが、ほとんど、落ち込みというほどの落ち込みを見せるとは考えられていません。なお、OECDでは「BRIICS諸国」との用語で、ブラジル、中国、インド、インドネシア、ロシア、南アフリカを指しており、通常のBRICsにインドネシアと南アフリカを加えています。OECD加盟の先進国では、経済回復が最も顕著だったのは米国であり、成長率は2014年に+2.6%、2015年は+3.5%と予測されています。 ユーロ圏欧州は3年間続いたマイナス成長からプラス成長に転じ、2014年は+1.2%、2015年は+1.7%の成長を示す見通しです。 今年から来年にかけて成長率を大きく高める米欧に比較して、日本では財政再建策を志向した消費増税が実施されることから成長が加速せず、2014-2015年は+1.2%の成長になると見込まれています。

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当然ながら、高成長の背景は金融緩和です。上のグラフのうち、特に右のパネルは OECD Financial Conditions Index をプロットしており、数字が大きく、グラフで上にシフトするほど金融が緩和していることを表しています。我が国はかなり引締め的な金融政策スタンスだったんですが、2012年暮れの安倍内閣の成立とアベノミクスの第1の矢あたりから急速に金融緩和の度合いを強め、昨年の黒田総裁の就任からいわゆる異次元緩和が始まり、大きく金融緩和的なスタンスに変更があったことがグラフからも明らかに読み取れます。この金融緩和がアベノミクスを支え、現在までの景気の回復・拡大をけん引していることは忘れるべきではありません。

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しかし、目を第2の矢である財政政策に転じると、2011-13年にかけては米欧に比較して我が国の財政がルーズであったことが上のグラフにも示されています。この民主党政権から始まったルーズな財政は安倍内閣に政権交代しても継続されており、民主党政権下の2012年と安倍内閣への政権交代を経た2013年はともに財政再建に逆行する政策スタンスを取っていることが示されています。米欧ではこの2011-13年にかなりの財政再建を成し遂げたことから、今年2014年は財政再建の負担は過去に比べて減少していますが、逆に、日本は過去のルーズな財政政策スタンスの修正を図るため、この4月から消費増税を実行したところであり、ようやく財政再建に大きく舵を切ったといえます。

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最後に、政策課題として、米国には金融緩和の縮小とともに雇用創出の強化に取り組む必要性を強調し、ユーロ圏欧州については金融緩和を継続しつつ本格的な銀行同盟を目指すなど銀行部門の健全化を主張している一方で、日本に対しては上のグラフのように金融緩和と財政再建を継続しつつ第3の矢である構造改革の実行を求めています。改めて、なんですが、OECDではアベノミクスの第3の矢は「成長戦略」ではなく、構造改革であると受け止められているようです。私も正しい認識だと思います。財政リソースを割り当てるターゲティング・ポリシーを「成長戦略」と見なさないことは、国際機関として当然です。そして、最後に、下のフラッシュは OECD の Newsroom に置いてあるのに直リンしています。国別の情報を表示するフラッシュです。事情によりサイズは少し縮小してあります。

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2014年5月 6日 (火)

ルーキー梅野選手のツーランで中日との延長戦を制す!

 十一十二 HE
阪  神010000101003 6120
中  日001001100000 350

延長戦を制したのはルーキー梅野選手のツーランでした。でも、中日クローザーの岩瀬投手から1点をもぎ取った俊介選手の渋い同点打もお見事でした。リリーフ陣が踏ん張りましたが、先発藤浪投手はもう少しがんばって欲しかった気もします。今成選手がセカンドを守ったり、投手陣もほとんど虫干し状態でしたが、雰囲気のいい勝ち方でした。明日につながりそうです。

明日は岩崎投手を守り立てて、
がんばれタイガース!

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2014年5月 5日 (月)

打撃陣は貧打に戻って投手陣は総崩れでヤクルト相手にボロ負け!

  HE
阪  神010000000 180
ヤクルト11032033x 13170

ヤクルトにボロ負けでした。先発メッセンジャー投手をはじめ、リリーフ陣も高宮投手を除いて東京ヤクルトに打ち込まれ、打線はタイムリーも出ずに1点止まりでした。昨夜と違って、打線も投手リレーも和田采配は外しまくりでした。打線はハッキリと下降線です。投手陣の踏ん張りどころかもしれません。

明日からのナゴヤドームは、
がんばれタイガース!

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Tord Gustavsen カルテットによる The Well を聞く

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ごく最近の新譜というわけでもないんですが、ピアニストのトルド・グスタフセンがテナー・サックスを含むカルテットのアルバム The Well を2012年に出しています。このピアニストのアルバムはトリオしか聞いたことがなかったんですが、なかなかの出来栄えだと受け止めています。北欧のピアニストらしい仕上がりです。私が高校生のころに夢中になったコルトレーンなどのバリバリ吹くワンホーン・カルテットとはまったく違う趣きで、あくまでピアノ・トリオにホーンが寄り添うイメージです。それはそれで一聴に値します。アルバムの構成は以下の通りです。

  1. Prelude
  2. Playing
  3. Suite
  4. Communion
  5. Circling
  6. Glasgow Intro
  7. On Every Corner
  8. The Well
  9. Communion, Var.
  10. Intuition
  11. Inside

YouTube にアップされた動画です。とてもよく雰囲気が伝わってきます。

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2014年5月 4日 (日)

和田采配の代打策がズバリ的中しローテーション谷間で鶴投手が今季初勝利!

  HE
阪  神010000102 4100
ヤクルト010000000 161

鶴投手のナイスピッチングで東京ヤクルトに雪辱でした。ゴールデンウィーク真っ最中の日曜日にローテーションの谷間が来るのも情けない話ですが、この谷間に今季初先発した鶴投手が6回を1失点に抑え、先発として役目を果たしたのは立派な結果と言えます。また、打つ方では、めずらしくも、和田采配の代打策がズバリ大当たりでした。代打一番手の新井選手こそミスショットしましたが、関本選手と今成選手はともに初球を強打し、長打で得点に結びつけました。今後も期待できそうです。

明日もメッセンジャー投手を守り立てて、
がんばれタイガース!

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アイン・ランド『肩をすくめるアトラス』(ビジネス社) を読む

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ゴールデンウィークの読書のひとつの目標にしていてたアイン・ランド『肩をすくめるアトラス』(ビジネス社) を読み終えました。ほぼ1週間かかりました。通常の単行本200-300ページくらいであれば、1-2日で読み終えるんですが、私としては読み終えるのに異常に長くかかった印象です。この作品は言わずと知れたリバタリアンのバイブルのように見なされている本です。私はエコノミストとして、リバタリアンよりはむしろ極論すればマルキストに近いんではないかと、自分自身で思うくらいなんですが、米国人エコノミストと接していて本書に言及する場合がかなりあって、年に1-2回くらいですが、まあ、参考までにまとまった時間の取れるゴールデンウィークに公立図書館から借りて読んでみました。
あらすじは、日本アイン・ランド研究会なる組織があるようですから、そちらのサイトでもご覧いただくほうが適当なんですが、あえて記せば、米国の鉄道会社の業務副社長の女性と画期的な合金を発明した製鉄会社社長の男性を主人公にしつつ、米国が社会主義的な計画経済を始めてしまって活力を失っていく中で、主人公たちや "Who is John Galt?" と何度も繰り返されるジョン・ゴールトなどは、米国経済の第一線から退いてコロラド山中のゴールト峡谷に新しいコロニーを作り上げる、というものです。
この本の最後にある「訳者あとがき」に山形浩生氏に「アドバイスをいただいた」(p.1270) という表現があるので、評価する経済学の傾向からして、どう考えてもおかしいと思って山形氏の以下のサイトを見ると、確かに、翻訳のアドバイスはしたのかもしれませんが、小説の内容はコテンパンに評価してありました。当然、そうなんでしょうねという気がします。かなり私の評価と似通っていますので、ここでもリンクを張っておきます。ついでに、この本が出た時に朝日新聞の書評が、やっぱり、山形氏が書いていて、コチラのリンクもお示ししておきます。なお、山形氏はリンクを示した上の方のサイトで、翻訳者とのやり取りを示した上で、「こんな人がランドを翻訳するというのは、実に不安。」と書いています。もっとも、その直後に「送りつけてきたので、この大著をチェックするはめになっている。訳は思ったよりまとも。」とも書いています。ご参考まで。

さて、山形氏のサイトでは「すさまじい小説」と表現されていて、私も1200ページを超える量とともに、作者の考えを反映しているのであろう登場人物の考え方に驚いています。量が多い原因のひとつは、作中のリバタリアン的な傾向を持つ主要な登場人物が何度も大演説をぶつからで、特に、"Who is John Galt?" のゴールトがテレビとラジオを電波ジャックして、p.1088 から延々としゃべるシーンが印象的です。その中で、 p.1146 において政府に関する考え方が いかにもリバタリアン的に以下のように要約されています。なお、傍点による強調は太字に変更してあります。

唯一適切な政府の目的は人権の保護、すなわち人民を暴力から守ることだけだ。適切な政府は警察にすぎず、人民の自己防衛の代理として行動し、ゆえに、武力攻撃をしかけてきた相手に対してのみ武力にうったえることができる。適切な政府の機能とは、犯罪者から人民を守るための警察、外国の侵略者から人民を守るための軍隊、そして契約違反や詐欺から人民の財産や契約を保護し、客観的な法律にもとづく合理的な規則によって争いを解決する法廷だけだ。

リバタリアンの考え方は、かなり経済的な概念だと私は考えていたわけですし、この小説は経済小説なんではないかと想像していたんですが、上の引用の通り、「経済」という言葉はほとんど出て来ません。もっと出て来ないのが「金融」ですし、「米国大統領」に至ってはまったく登場しません。ひたすら、経済活動に対して規制をかけたり指令を出したりする政府当局者に対する憎悪で凝り固まった小説だという気がします。作者のバックグラウンドを考えるとうなずけるかもしれません。他方、「金融」や「銀行」はほとんど登場しませんから、自由な経済活動を求める産業資本家を褒め称える内容になっています。もっとも、すべての産業資本家が賞賛の対象になっているわけではありません。競争を回避しようとしたり、市場経済を否定するがごとき企業家はいつの世の中にもいますし、この小説でも憎悪と嘲笑の対象とされています。また、ケインズの有名な「長期には我々はみんな死んでいる」という言葉が、2度ほど違う形で引用されており、ケインズ経済学的な考え方にも否定的な姿勢を示していると私は受け止めました。
経済と政府の関係について、リバタリアン的に政府はいっさい経済に介入すべきではなく、すべてを市場に任せるべきである、とする極論と、逆に、経済活動のすべてに対して計画に基づく指令を発する社会主義という極論と、いずれの制度も現実には存在しません。この両極論の間のいずれかに現実の各国経済は位置しています。もっとも、現時点では、リーマン・ショック後の Great Recession を経て、特に金融分野で政府のプレゼンスを高めようとする方向にある時期なのかもしれません。いずれにせよ、政府と経済ないし市場との関係は唯一絶対の指針があるわけではないと私は考えています。同時に、私はリバタリアン的な経済学は科学としての経済学の体をなしていないと考えていますが、「眉に唾」しつつリバタリアンのバイブルを手に取るくらいの度量の広さは示せたかもしれないと自負しています。逆に、読めばその書物に心酔してしまうタイプの読者にはオススメできません。

昨日から始まったゴールデンウィーク後半はチンタラとした読書に明け暮れそうな予感が漂っています。取りあえず、『肩をすくめるアトラス』を読み終えた後、昨日今日と有栖川有栖の火村シリーズを文庫本で読んでいたりします。

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2014年5月 3日 (土)

終盤にエース能見投手が打ち込まれてヤクルトに負ける!

  HE
阪  神000000101 261
ヤクルト00001004x 5112

守備もまずまずで締まった投手戦だったんですが、終盤にエース能見投手が打ち込まれて神宮球場で敗戦でした。やや能見投手を引っ張りすぎた嫌いはありましたが、今日はら始まったゴールデンウィーク後半の9連戦を考えると、エースの8回続投はベンチの判断としては間違っていない気がします。問題は打てなかった打線にあります。今成選手が2打点と気を吐きましたが、その次を打つ福留外野手が今日はノーヒットですから、明日は歩かされるかもしれません。明日の予告先発は鶴投手です。何としても、ここは打線の奮起を期待します。

明日は、
がんばれタイガース!

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米国雇用統計はアッとびっくりの堅調な安定感を示す!

日本時間の昨夜、米国労働省から4月の米国雇用統計が発表されています。統計のヘッドラインとなる非農業部門雇用者数は前月から+288千人増え、失業率は3月の6.7%から4月は6.3%に大きく低下しています。いずれも季節調整済みの系列です。まず、Los Angeles Times のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

Economy adds 288,000 jobs in April; unemployment rate down to 6.3%
Hiring surprisingly surged last month as the economy added 288,000 net new jobs - the best performance in more than two years - and the unemployment rate dropped to 6.3%, its lowest level since September 2008, the Labor Department said Friday.
Job-creation figures for February and March were also revised upward by a combined 36,000, meaning the economy has added a monthly average of about 214,000 positions this year. The revised figure for March was 203,000.
Economists had expected a more modest pickup, with the economy adding 215,000 net new jobs in April and the unemployment rate dropping just a tenth of a percentage point to 6.6%.
The last time the economy added more jobs than last month was in January 2012.
Job growth slowed during the winter as unusually harsh weather took a toll on the economy. The Commerce Department said this week that the economy expanded at just a 0.1% annual rate in the first three months of the year.
Some of April's large jobs growth was the labor market catching up from the winter slowdown, said Bart van Ark, chief economist at the Conference Board.
"But that is only one part of the story," he said. "Indeed, the more important part is that the economy has been gathering strength for some time."
He predicted continued strong job growth through the spring and maybe into the summer.
The private sector added 273,000 net new jobs in April and government added 15,000.
The large drop in the unemployment rate - to 6.3% in April from 6.7% the previous month - came in part because of people dropping out of the workforce. The labor force participation rate fell to 62.8%, from 63.2% in March, after three months of gains.
The April jobs report came amid mixed signs about the strength of the economy in a year most economists had predicted growth would accelerate.
Consumer spending jumped by 0.9% in March, the best performance since 2009 and a surge that should have helped spur job creation last month.
But initial claims for unemployment benefits rose last week to a two-month high of 344,000. It was the third straight weekly increase after hitting the lowest level since 2007, indicating job cuts picked up in April.

LA Times を引用するのは久し振りで、やや長いんですが、まずまずよく取りまとめられている印象があります。続いて、いつもの米国雇用統計のグラフは下の通りです。上のパネルは非農業部門雇用者数の前月差増減の推移とそのうちの民間部門、下のパネルは失業率です。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。全体の雇用者増減とそのうちの民間部門は、2010年のセンサスの際にかなり乖離したものの、その後は大きな差は生じていません。

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4月の非農業部門雇用者増の+288千人増もかなり大きいんですが、過去にさかのぼっての改定により、2月の雇用者数の増加は従来の+197千人増から+222千人増に、また、、3月も+192千人増から+203千人増に、それぞれ上方修正された結果、2-4月の3か月で月平均の雇用者増は+238千人増となり、雇用改善の目安と言われる+200千人増をかなり上回りました。市場の事前コンセンサスでも、4月は+200千人を超える増加と予想されていましたが、これに比較しても+288千人増は大きな改善と受け止められています。しかも、失業率は前月から0.4%ポイントの大幅な低下を見せて6.3%に達しています。ただし、引用した記事にもある通り、労働参加率も低下しており、職探しを諦めた結果として失業者が減った側面もあり、手放しで評価することは控えるべきですが、全体として、米国の雇用は極めて堅調かつ安定的と評価できそうです。しかも、物価と雇用のいわゆるデュアル・マンデートを政策指針とする米国連邦準備制度理事会(FED)が失業率の目標としている6%台半ばを下回ったことになりますので、米国の金融政策当局がイエレン議長の下、QE3の終了に向けて大きく舵を切ることは当然に予想されています。早ければ年内にもゼロ金利政策の解除が視野に入る可能性も排除されません。

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また、日本の経験も踏まえて、もっとも避けるべきデフレとの関係で、私が注目している時間当たり賃金の前年同月比上昇率は上のグラフの通りです。ならして見て、ほぼ底ばい状態が続いている印象です。逆にいえば、サブプライム危機前の+3%超の水準には復帰しそうもないんですが、底割れして日本のようにゼロやマイナスをつけて、デフレに陥る可能性は小さそうに見えます。

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そこで、やや気にかかるのが米国における雇用とGDP成長率の関係です。去る4月30日に米国商務省センサス局から公表された1-3月期の米国の実質成長率は、上のグラフの通り、前期比年率でわずかに+0.1%にとどまっています。米国経済は、2月の寒波の影響もあり、低成長に落ち込んだと多くのエコノミストは受け止めていましたが、どうもタイムラグの関係で、雇用が先行して上向き、成長率は雇用から消費に波及して高まる可能性があると私は考えています。日本と違って家計消費が経済成長率をけん引する米国経済ですから、先行きの展望は明るさを増したと評価できそうです。

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2014年5月 2日 (金)

雇用統計は消費増税直前の駆込み需要でかく乱されるも堅調な雇用を確認!

本日、総務省統計局の失業率などの労働力調査と厚生労働省の有効求人倍率などの一般職業紹介状況、すなわち、まとめて雇用統計が発表されています。いずれも3月の統計です。消費増税直前の駆込み需要によるかく乱も含めて、失業率は前月と同じ3.6%と低い水準を維持し、有効求人倍率は前月よりも+0.02ポイント上昇して1.07倍を記録しています。いずれも季節調整済みの系列です。まず、長くなってしまいますが、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

3月の失業率、前月比横ばいの3.6% 13年度平均3.9%に改善
総務省が2日発表した3月の完全失業率(季節調整値)は3.6%と前月に比べて横ばいだった。消費増税前の駆け込み需要などで内需が堅調なことから、増産体制をとった製造業で男性の就業者が増えた。景気回復を背景に転職しようとする動きも活発だった。総務省は「雇用情勢は引き続き持ち直している」とみている。
完全失業率を男女別にみると、男性が前月と横ばいの3.7%、女性は0.1ポイント上昇の3.4%だった。就業者数は6346万人で前月と比べ14万人増、完全失業者数は236万人で3万人増えた。うち「自発的な離職」は1万人増え、勤務先の都合や定年退職など「非自発的な離職」は前月比で横ばいだった。仕事を探していない「非労働力人口」は4495万人と18万人減り、労働市場への参入が活発なことを映した。
併せて発表した2013年度平均の完全失業率は12年度比0.4ポイント低下の3.9%と、07年度(3.8%)以来6年ぶりの低さだった。完全失業者数は24万人減の256万人、就業者数は47万人増の6322万人だった。
3月の有効求人倍率、1.07倍に上昇 6年9カ月ぶり高水準
厚生労働省が2日発表した3月の有効求人倍率(季節調整値)は前月比0.02ポイント上昇の1.07倍と、2007年6月(1.07倍)に並ぶ6年9カ月ぶりの高い水準だった。改善は16カ月連続で、QUICKがまとめた市場予想(1.06倍)を上回った。緩やかな景気回復を背景に職探しの動きが雇用に結びつき、有効求職者数が減少した。5カ月連続で有効求人数が有効求職者数を上回り、1倍台となった。
一方、新規求人倍率は前月比0.01ポイント下落の1.66倍と4カ月ぶりに悪化した。雇用の先行指標となる新規求人数のマイナス幅が新規求職申込件数の減少幅より大きかったため。新規求人数が減少した背景には、4月の消費増税による駆け込み需要の反動減を加味して、企業が採用を絞りつつあることが挙げられる。
前年同月と比べた新規求人数(原数値)は5.4%増えた。業種別にみると、自動車がけん引した製造業は18.4%増加した。職業紹介や労働者派遣業を含む「サービス業(他に分類されないもの)」は13.7%増、運輸業・郵便業は7.7%増だった。半面、卸売業・小売業は1.8%減り、10年4月(0.6%減)以来3年11カ月ぶりのマイナスに転じた。
厚労省は「雇用は順調に推移している」としつつも「今後は駆け込み需要の反動減の影響がどの程度出るか注視したい」としている。
都道府県別で最も有効求人倍率が高かったのは愛知県の1.55倍、最も低かったのは沖縄県の0.63倍だった。
併せて発表した13年度平均の有効求人倍率は12年度比0.15ポイント上昇の0.97倍と、07年(1.02倍)以来6年ぶりの高水準だった。景気の持ち直しや消費増税前の駆け込み需要を受けて雇用が回復したことを映した。

失業率と有効求人倍率に記事が分かれてしまいましたので長いんですが、いずれもとてもよく取りまとめられた記事だという気がします。次に、雇用統計のグラフは以下の通りです。上のパネルから順に、失業率、有効求人倍率、新規求人数となっています。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた部分は景気後退期です。なお、毎度のお断りですが、このブログのローカル・ルールで、直近の景気の谷は2012年11月であったと仮置きしています。

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2012年暮れ以降のアベノミクスによる経済の回復ないし拡大にともなって、雇用は改善を示し続けており、基本的には、2014年3月の失業率や有効求人倍率といった統計も、このラインの上にあると私は受け止めていますが、何分、消費増税直前の駆込み需要により、上振れている可能性が大きいと考えています。加えて、引用した記事にもある通り、先行指標である新規求人数や新規求人倍率がやや落ちましたので、気にかかるところです。でも、変動の激しい指標ですから、来月以降の動向も合わせて見る必要があります。
このところ、政府や日銀などから駆込み需要やその後の反動減は「想定の範囲内」という発言が出ていますが、では、「想定の範囲」がどの程度だったのかは不明です。例えば、月曜日に発表された経済産業省の商業販売統計や、グラフは示しませんが、今日発表された総務省統計局の家計調査などでは、家計の消費が1997年当時と比べてもかなり大きく上振れている姿が統計的に確認できます。生産については上振れは大きくなかったんですが、アベノミクスによる景気回復の主役のひとつであった消費が1997年と同程度の駆込み需要を示したのは、少なくとも、私の想定外でした。

今日発表の雇用統計については、基本的に堅調という従来からの判断でOKと考えていますが、本日のエントリーの主旨である雇用統計を離れれば、月曜日のエントリーの最後にも書いたのと同じ趣旨で、商業販売統計や家計調査などを見る限り、駆込み需要と反動減について「想定内」を繰り返すだけでなく、エコノミストとしては十分な注意を払って今後の経済動向を注視すべきと考えています。

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2014年5月 1日 (木)

ベネッセによる端午の節句に関するアンケート調査結果やいかに?

我が家には高校生の男の子が2人いますので、当然ながら、圧倒的に桃の節句よりも端午の節句に重点が置かれています。女房の気が向けば兜飾りの置き物が出たりするんですが、昨日4月30日に「『地味』は『質実剛健』のあらわれ?」と題してベネッセから端午の節句に関するアンケート調査結果が公表されています。ゴールデンウィーク後半の中心をなす「こどもの日」の端午の節句を前に、簡単にグラフとともに紹介しておきたいと思います。

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まず、上のグラフは「ご家庭にひな人形・五月人形はありますか?という問いに対する回答結果です。我が家には男の子2人に対するそれぞれの五月人形があります。ただし、世間一般では五月人形よりもひな人形の方が普及率は高いという結果が示されています。実際の人口統計はともかく、確率的に子供の男女比が同じと仮定すれば、女子のひな人形の方がやっぱり華やかなのかもしれません。その分、端午の節句を休日にしてバランスを取っている可能性はあります。もっと単純に、年度末の忙しい時期に休日を増やすよりも、ゴールデンウィークの時期の休日が好まれただけ、ということなのかもしれません。

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次に、上のグラフが「五月人形を飾るのは、どなたの役割ですか?」、下が「こいのぼりを飾るのは、どなたの役割ですか?」という問いに対する回答結果です。五月人形は母親が、こいのぼりは父親が、それぞれ飾る、という結果が示されています。そういえば、我が家では、こいのぼりは持っているのかもしれませんが、ここ10年ほど出したことはないように記憶しています。子供達が大雑把に幼稚園児だったジャカルタのころは毎年出していました。このアンケート調査結果と同じように、五月人形は女房が、こいのぼりは父親である私が、それぞれ出していました。でも、大雑把に小学生に上がった後の青山在住のころには出さなくなったと記憶しています。青山という上品な地区だったので、そういうものをベランダから外に出してはいけないという規則だったような気もします。よく覚えていません。

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上のグラフは「端午の節句の特別な食事で食べるもの」に対する回答結果です。オヤツのたぐいになるかもしれませんが、かしわ餅やちまきが上げられています。我が家もそんなもんだという気がします。出世魚が持ち出されたのは記憶にありません。

桃の節句が公家の風習から一般化したのに比べて、端午の節句は武家の風習に起源を持っており、華美に走らず質実剛健、というのが当然とされています。もっとも、端午の節句を男女の区別なく「こどもの日」として祝い、童謡にある通り、「5月5日の背比べ」をしながら、子供の成長を確かめる日として過ごしたい、と私は考えています。

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