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2014年5月12日 (月)

消費増税でかく乱された景気ウオッチャーと経常収支をどう見るか?

本日、内閣府から4月の景気ウォッチャー調査結果が、また、財務省から3月の経常収支が、それぞれ発表されています。景気ウォッチャーは消費増税で大きくかく乱され、現状判断DIが前月比▲16.3ポイント低下の41.6を示した一方で、先行き判断DIは+15.6ポイント上昇の50.3を記録しました。また、経常収支は季節調整していない原系列の統計で▲1兆2,179億円の赤字となり、うち貿易収支が▲1兆1,336億円の赤字を占めています。まず、長くなりますが、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

4月街角景気、先行き判断の上昇率は過去最大 反動減は一時的
内閣府が12日発表した4月の景気ウオッチャー調査(街角景気)によると、2-3カ月後の景気を占う先行き判断指数は15.6ポイント上昇の50.3となり、5カ月ぶりに改善した。改善幅は現行調査になった2001年8月以降で最も高い伸びとなり、これまで最高だった東日本大震災直後の11年4月(11.8ポイント上昇)を上回った。消費増税による駆け込み需要の反動減や消費者心理悪化の影響が薄れるとの期待が多かった。
家計分野では「消費増税前のまとめ買いによる家庭内在庫も2-3カ月先にはなくなるので徐々に回復してくる」(東北のスーパー)、「賃金のベースアップや株価の下支えなど、前回の消費増税時よりも条件が良く、今月も増税の影響は少なかった。夏には消費が回復しそうな気配がある」(近畿の百貨店)と前向きな声が多かった。
内閣府は、消費増税による反動減の影響について「一時的との見方が多い」としたうえで「自動車や家電などの耐久消費財に比べ、日用品や食料品といった非耐久消費財の方が回復が早い」と分析している。
一方、足元の景気実感を示す現状判断指数は前月比16.3ポイント低下の41.6と2カ月ぶりに悪化した。マイナス幅は東日本大震災時の11年3月(20.7ポイント低下)に次ぐ過去2番目の大きさ。消費増税による駆け込み需要の反動減で、自動車や家電販売を中心とした小売業の売れ行きが落ち込んだことを映した。
家計分野では「3月は前年同月比160-170%伸びたが、4月は約8割の売り上げで、消費増税による駆け込み需要の反動減の影響が反映された」(南関東の乗用車販売店)といった声が上がった。
内閣府は街角景気の基調判断を前月の「緩やかに回復している」から「緩やかな回復基調が続いているが、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動により、このところ弱い動きもみられる」へと、13年6月以来10カ月ぶりに下方修正した。先行きについては「緩やかに回復していくと見込まれる」との認識を示した。
調査は景気に敏感な小売業など2050人が対象で、有効回答率は90.7%。3カ月前と比べた現状や2-3カ月後の予想を「良い」から「悪い」まで5段階で評価して指数化する。
13年度経常黒字7899億円で過去最低 所得収支増も貿易赤字拡大
財務省が12日発表した2013年度の国際収支状況(速報)によると、海外とのモノやサービスなどの総合的な取引状況を示す経常収支は7899億円の黒字だった。黒字額は3年連続で減少し、現行基準で比較可能な1985年以降で過去最低となった。12年度比での減少率は81.3%とこれまでで最も大きい落ち込みとなった。海外から受け取る利子や配当など第1次所得収支は増えたものの、原粗油や液化天然ガス(LNG)など燃料輸入が膨らみ貿易赤字が拡大した。
貿易収支は輸送の保険料や運賃を含まない国際収支ベースで10兆8642億円の赤字。赤字額は貿易収支について、現行基準で比較可能な96年度以降で最大となった。輸入額は原粗油やLNG、半導体等電子部品などが増え、12年度比19.6%増の80兆6681億円と4年連続で増加し、過去最大。輸出額は12.2%増の69兆8039億円で、3年ぶりの増加に転じた。
旅行や輸送動向を示すサービス収支は3兆5779億円の赤字。これにより、貿易・サービス収支の赤字額は14兆4422億円で、85年度以降で最大となった。
一方、第1次所得収支は16兆6596億円の黒字だった。黒字額は12年度比で14.0%増加し、85年度以降で最高となった。円安が進み、企業が海外投資から受け取る利子や配当が増えた。今後は円安一服で燃料輸入のペースが鈍化するなどして貿易赤字が縮小する一方、所得収支の黒字が拡大基調を強めれば経常黒字は再び増加に向かう可能性もある。
同時に発表した3月の経常黒字は1164億円だった。黒字は2カ月連続。輸入額は前年同月比23.2%増の7兆6443億円、輸出額は6.2%増の6兆5108億円。第1次所得収支は1兆7549億円の黒字だった。

いずれも長いながら、とてもよく取りまとめられた記事だという気がします。次に、景気ウォッチャーの現状判断DI及び先行き判断DIのグラフは以下の通りです。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた部分は景気後退期です。なお、毎度のお断りですが、このブログのローカル・ルールで、直近の景気の谷は2012年11月であったと仮置きしています。

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初めに書いた通り、4月1日からの消費増税で大きくかく乱され、3か月前と比較する現状判断DIが大きくダウンした一方で、2-3か月先を見込む先行き判断DIが大きくアップしました。引用した記事には、2011年3月の震災と比べて、1番目だの2番目だのといった記述がありますが、メディア的にはともかく、経済学的にどこまで意味があるのかないのか疑問です。いずれにせよ、現状判断DIが大きく落ちて、先行き判断DIが大きく上がりましたから、この4月の結果から読み取れるのは、先日の景気動向指数と同じで、景気ウォッチャー調査は統計として十分に信頼を置ける、ということと、消費増税のショックについて、深さはともかく、期間は短そうである、という点です。少なくとも供給サイドのマインドは消費増税のショックからV字回復する可能性があります。なお、統計作成官庁の内閣府では基調判断をビミョーに変更したようですが、これもどこまで意味があるかないか、何とも分かりかねます。

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経常収支については、3月速報が出て年度統計が利用可能になりましたので、2013年度の経常収支が1兆円を割り込んで7,899億円と統計が比較可能な1985年以降で過去最低となった点がメディアでは強調されています。季節調整済みの系列による月次統計のグラフは上の通りですが、ほぼ2011年3月の震災以降のトレンドに沿った動きだと私は受け止めています。積上げ棒グラフの赤で示した1次所得収支はほとんど変化ないのに比較して、黒で示した貿易収支がクロニカルにマイナス幅を拡大しており、経常収支の黒字幅縮小は貿易収支の赤字拡大から生じていることが明らかに読み取れます。もっとも、この貿易収支の動向は国際経済における各国の景気局面の差に起因する部分が大きく、中国をはじめとする新興国や欧州に比べて、アベノミクスにより我が国が早くに景気回復・拡大を達成したことから、輸出の伸びに比べて輸入の増加が大きく、貿易赤字が積み上がっていると考えるべきです。従って、新興国や欧州が景気回復・拡大の軌道に乗れば、円安の進行と相まって、我が国の貿易赤字も縮小すると私は期待しています。ですから、貿易赤字を国際競争力低下の帰結と誤解して、財政リソースを特定産業につぎ込むターゲティング・ポリシーを「成長戦略」であると勘違いしないように注意する必要があります。

マインドについては、明後日に需要サイドの消費者態度指数も公表予定です。先行き判断は調査項目に含まれていませんが、何らかの景気ウォッチャーとの比較も可能かもしれません。

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