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2014年6月30日 (月)

鉱工業生産は消費増税に伴う減産はほぼ終了するも出荷は減少が続く!

本日、経済産業省から5月の鉱工業生産指数が公表されています。消費税率の引上げにより3月までの駆込み需要に代わって4月から反動減が始まり、4月の生産は季節調整済みの前月比で▲2.8%減と大きな減産を示しましたが、5月には早くも減産がほぼ終了して、+0.5%と小幅ながら増産を記録しています。まず、とても長いんですが、統計のヘッドラインを報じた記事を日経新聞のサイトから引用すると以下の通りです。

鉱工業生産2カ月ぶり上昇 5月、車・繊維が好調
増税から「通常の水準に戻った」

経済産業省が30日発表した5月の鉱工業生産指数(2010年=100、季節調整値)速報値は99.8となり、前月から0.5%上昇した。上昇は2カ月ぶり。自動車、繊維工業品の生産が増えた。生産は消費税率が上がった4月の落ち込みから上向いたものの、6月は再び低下し、7月に上昇する見通し。増税後の回復は業種ごとにばらつきがあり、当面は横ばい基調が続きそうだ。
5月は全15業種のうち8業種で上昇した。上昇率が高まった主な要因は自動車や自動車部品などの輸送機械工業で、輸出向けを中心に生産が増え前月から1.9%上昇した。繊維工業も学生服などの生産増で1.9%上がった。
液晶など輸出用のスマートフォン(スマホ)の部品の生産増で電子部品・デバイス工業も0.4%上昇した。中国でのスマホ普及を背景に中国メーカーからの受注が増えているもようだ。京セラによると「コンデンサーなど様々な電子部品の需要が伸びている」(山口悟郎社長)という。
国内向けの工作機械も自動車産業向け中心に回復が続いている。日本工作機械工業会の花木義麿会長(オークマ社長)は「中小企業の設備投資を促進する国の補助金の効果も本格的に出てくる」とみる。海外向けも米国向け需要が堅調だ。
低下したのは7業種。化学工業(医薬品を除く)は4.5%下がった。合成洗剤などで駆け込み需要の反動減が続いている。パソコンなどの情報通信機械工業も9.3%低下した。
生産は消費増税前の駆け込み需要に対応する増産で1-3月に拡大し、1-3月の生産指数は102.5だった。増税直後の4月に落ち込んだ後、5月は「通常の水準に戻った」として経産省は基調判断を「横ばい傾向にある」と前月の判断を据え置いた。
5月の生産指数は5月末時点では前月比1.7%上昇の見通しだったが、国内での自動車や家電の販売がまだ鈍く、実際の上昇率は縮まった。5月の商業販売統計では自動車小売業の販売額は前年同月比4.1%減だった。増税前に駆け込み購入が多かった白物家電の販売が落ち込んだ機械器具も同7.2%減った。
耐久消費財を中心に出荷が鈍り、鉱工業全体の5月の出荷指数は96.8で前月比で1.2%下がった。2月以降、4カ月連続で低下している。在庫も全体で前月比2.9%上昇している。
大企業を中心に聞いた生産予測では6月は前月比0.7%低下で、2.0%の低下を見込んだ5月末時点よりは減少率が縮まった。7月は1.5%上昇する見通しだ。7月の上昇分は工場の生産設備などで当初6月に出荷を予定していた分が7月に遅れている影響もあり、経産省は「生産動向が強気になっているわけではない」としている。

長いながら、網羅的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、鉱工業生産と出荷のグラフは以下の通りです。上のパネルは2010年=100となる鉱工業生産指数そのもの、下は輸送機械を除く資本財出荷と耐久消費財出荷です。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた部分は景気後退期です。

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まず、季節調整済みの前月比で+0.5%の増産をどう評価すべきかについて、先月の統計発表時の製造工業生産予測調査では+1.7%の増産だったものの、日経QUICKによる市場の事前コンセンサスは+0.9%の増産でしたので、直近のし上の事前コンセンサスに比べれば少し下振れしたという見方が出来ます。しかし、4月の消費増税に伴う減産はほぼ下げ止まったということが出来ます。ですから、統計作成官庁である経済産業省でも基調判断を「生産は横ばい傾向」として示しているところです。すなわち、製造工業生産予測調査では6月は再び▲0.7%の減産を見込み、その先の7月の+1.5%増あたりまでジグザグを繰り返しつつ横ばい基調が続くという見方です。ただし、5月の増産は出荷の増加に支えられているわけではなく、在庫が積み上がった点がやや懸念されます。例えば、上のパネルに示したグラフのうち、下のパネルの資本財や耐久消費財については、まだ出荷がマイナスを続けています。それだけ耐久消費財などは消費増税前の駆込み需要が大きかったと言えますが、在庫が積み上がっているわけですから、現状の少し弱めの出荷が続けば、何らかの生産調整が必要とされる可能性も否定できません。ですから、引用した記事のタイトルのように「通常の水準に戻った」かどうかはまだ確認できない、少なくとも時期尚早であろうと私は考えています。ただし、その後の7-9月期以降については私も楽観しており、新興国や欧米の景気が順調に回復を示して外需が持ち直し、さらに、国内では賃上げや夏季賞与による所得のサポートが消費を活性化させるような方向に進めば、このくらいの在庫の積上がりは深刻に考える必要はない可能性もあります。少なくとも自動車については、大きな駆込み需要がありながら輸出の増加が増産をもたらしているのは事実です。先行きの見通しについては常に悩ましいところで、それだからこそ「横ばい傾向」なのかもしれません。

明日は日銀短観が発表されます。景気ウォッチャーなどとともに、国内のマインドは決して悪くない現状が示されると私は考えています。アベノミクズが始まってほぼ1年半が経過し、初期のころのように一本調子で景気が上向く時期は過ぎて、マインドと実体経済が少し乖離し始めている可能性を指摘しておきたいと思います。

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2014年6月29日 (日)

エース能見投手が初回に大崩れしてBクラスに転落!

  HE
中  日801000001 10130
阪  神000002000 2104

打線が相変わらずの貧打でサッパリ得点できない中、先発能見投手が初回に大崩れしてBクラスに転落してしまいました。交流戦からの連敗は5連敗になり、借金も2に増えました。阪神はこのままズルズルと落ちて行って、Bクラスに定着してしまうんでしょうか?

ツキが変わったヤクルト戦は、
がんばれタイガース!

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今週のジャズは上原ひろみ「ALIVE」を聞く

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今週のジャズは、ようやく、上原ひろみの新しいアルバム「ALIVE」です。先月発売されたところで、諸事情あって、今月下旬にアマゾンのギフトを入手予定だったものですから、早速買い求めました。ベースのアンソニー・ジャクソン、ドラムスのサイモン・フィリップスと組んだトリオ・プロジェクトの新しいアルバムは「VOICE」と「MOVE」に続く3枚目です。私はすべて買い求めました。その昔はよくCDを買っていたんですが、最近ではめずらしい気もします。まず、曲の構成は以下の通りです。

  1. ALIVE
  2. WANDERER
  3. DREAMER
  4. SEEKER
  5. PLAYER
  6. WARRIOR
  7. FIREFLY
  8. SPIRIT
  9. LIFE GOES ON

ノッケのアルバムのタイトル曲が何と16分の27拍子で圧倒されます。終盤に向けて、リリカルなナンバーも取り入れ、各曲の完成度が高い上に、アルバムとしてもとても完成度が高くなっています。このトリオのアルバムとしては2作目の「MOVE」よりも、最初の「VOICE」の方を私は評価していたのですが、文句なく3作目にして上原ひろみの代表作となるアルバムと言えます。どうでもいいことながら、山中千尋がホーンも入れたグループで録音したアルバム「Somethin' Blue」を来月リリースすることになっていて、大いに楽しみにしているんですが、私としてはいまだに山中千尋の代表作はヴァーヴでのメジャー・デビューのアルバム「Outside by the Swing」だと思っていたりします。その意味で、上原ひろみの「進化」に私は大いに注目しています。ジャズファンを自任するのあれば、何としてでも聞いておくべきアルバムのひとつだと思います。

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2014年6月28日 (土)

貧打で中日投手陣を打ち崩せず借金生活に入る!

  HE
中  日100000010 262
阪  神000001000 172

阪神打線が中日先発の山井投手に抑えこまれ、山崎投手と梅野捕手のルーキー・バッテリーは7回までよく抑えたんですが、終盤に勝ち越されてそのまま追いつけませんでした。敗因は貧打に尽きます。5番マートン外野手まではまずまずなんですが、6番福留選手以下の下位打線がサッパリ打てずに得点力が上がりません。阪神はこのままズルズルと落ちて行ってしまうんでしょうか?

明日は能見投手に期待して、
がんばれタイガース!

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今週の読書は開発経済学を少し違った角度から見た『悪い奴ほど合理的』ほか

今週の読書は海外の翻訳教養書が中心で、レイモンド・フィスマン/エドワード・ミゲルの『悪い奴ほど合理的』ほか、以下の通りです。

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まず、レイモンド・フィスマン/エドワード・ミゲル『悪い奴ほど合理的』(NTT出版) です。表紙に見る通り、原題は Economic Gangsters であり、副題は「腐敗・暴力・貧困の経済に立脚しており、著者は2人とも開発経済学者です。ですから、冒頭から先進国の援助を重視するサックス教授と市場メカニズムの確立を重視するイースタリー教授の対立が解説されていたりします。そして、発展途上国が経済を開発し発展させて行く上で、本書の中に登場する経済的ギャングが経済学的にいかに合理的かを解き明かしていますが、決して、経済的インセンティブ一本槍ではなく、文化的な面を重視したコロンビアの首都ボゴタ市政策などにもスポットを当てています。過去の暗い歴史ながら、魔女狩りや我が国の姥捨て風習などは生産性の低い高齢女性を排除する試みであった可能性を示唆したり、最大の経済的な非合理性の塊と私が考えている戦争についても、内戦からの復興と外敵との戦争終了からの復興の違いを指摘したりしていて、とても興味深い内容を含んでいます。ただし、終章で述べられている経済的ギャングと戦う術については、それが出来ていないからまだ経済的ギャングがはびこる余地が残されているわけであり、さらに踏込みが必要な部分であろうという気がします。ひょっとしたら、永遠にそうなのかもしれません。

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次に、ペドロ G.フェレイラ『パーフェクト・セオリー』(NHK出版) です。これも表紙に見る通り、副題が「一般相対性理論に挑む天才たちの100年」となっていて、アインシュタインに始まる一般相対性理論に関する物理学の解説書・歴史書となっており、著者は物理学者です。私は専門外もはなはだしいんですが、著者が「相対性理論の黄金の10年」と呼ぶ1960年代から70年代にかけて、京都で小学生や中学生をしていたものですから、我が国でノーベル物理学賞を最初に授賞された湯川英樹先生の公演を何度か聞いたことがあり、何の専門知識もないながら物理学、特に宇宙に対する興味は尽きません。ついでながら、何かの面接などの折に「尊敬する人は?」との問いに対しては「湯川秀樹先生」と答えるのを常にしています。専門外の私からすれば、ダークマターやダークエネルギーは極めて疑わしいものとしか映りませんし、アインシュタインの宇宙項に至ってはインチキそのものなんですが、統一場理論など、何と言っても現時点では科学の中でももっとも美しい体系を有する分野のひとつである物理学の解説書として本書は最適と言えます。そして、本書で取り上げられている物理学とは何の関係もありませんが、エコノミストとしては物理学、宇宙論とともに、生物学の中の進化論は押さえておきたいところだと考えています。何ら、ご参考まで。

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最後に、エリック・シュミット/ジャレッド・コーエン『第五の権力』(ダイヤモンド) です。知っている人は知っていると思いますが、本書の著者の1人であるエリック・シュミットはグーグルの会長/元CEOです。もちろん、グーグルの有名人といえば現CEOのラリー・ペイジだと私は思っているんですが、シュミット会長もご活躍のようです。本書の原題は The New Degital Age であり、コネクティビティをひとつのキーワードとしています。私には日本語のボキャブラリが不足していて、どう表現していいのか分かりませんが、現在の Internet Society における天下国家の問題を正面から取り上げています。というのも、現在の Internet Society については、もっぱらマーケティングの面から取り上げられることが多く、いかにしてコネクティビティやICT技術をビジネスに活かすか、という観点からの本はいっぱい出ているような気がしますが、本書のように天下国家、革命、テロ、復興などから Internet Society やICT技術が語られている本は、私は不勉強にして初めて読みました。一例を上げると、専門外の私でもプライバシーとセキュリティはトレードオフの関係にありそうだということは理解しますし、どのように解決されるべきかにも大いに興味があることろで、例えば、伊藤計劃『ハーモニー』では健康というセキュリティが前面に出て、プライバシーはちょっと恥ずかしくて、ややエッチな色彩を帯びる話題という後景に退くものとして描かれていますし、本書でも明快な結論が得られるわけではありませんが、自分自身の考えを取りまとめる上でとても参考になります。

『パーフェクト・セオリー』を取り上げたパラグラフでチラリと書きましたが、私はエコノミストとして物理学、特に宇宙論、さらに、生物学の進化論、そして、人文科学からは歴史学を経済を語る上での教養として押さえておきたいと考えていますが、来週の読書は歴史に関する本を少し借りられそうに期待しています。

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2014年6月27日 (金)

交流戦明け初戦は中日と引き分け連敗ストップならず!

 十一十二 HE
中  日100000000100 271
阪  神000001000100 291

ボロボロの戦績で最後は3連敗した交流戦が終わりました。でも、貧打は相変わらずでチャンスは作れども決定打なく、中日と引分けでした。先発メッセンジャー投手は9回を1失点に抑えたんですが、6回のゴメス選手のどん詰まりのタイムリーの1点だけで延長戦に入り、いきなり呉投手がホームランを浴びたものの、なんとか関本選手のタイムリーで追いつき、最後の12回ウラはワンアウト満塁のチャンスに代打新井選手がピーゴロに倒れました。呉投手のリリーフ失敗と打線の決定打不足は交流戦からずっと続いているようです。

明日は連敗ストップ目指して、
がんばれタイガース!

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雇用統計と商業販売統計と消費者物価に対していかに消費増税は影響したか?

本日は6月最終の閣議日で、いくつか重要な政府統計が発表されています。すなわち、総務省統計局の失業率や厚生労働省の有効求人倍率などの雇用統計、経済産業省の商業販売統計、総務省統計局の消費者物価(CPI)などが明らかにされています。いずれも5月の統計です。まず、統計のヘッドラインを報じる記事を日経新聞のサイトから引用すると以下の通りです。

雇用22年ぶり高水準 5月有効求人倍率1.09倍
厚生労働省が27日発表した5月の有効求人倍率(季節調整値)は1.09倍と前月から0.01ポイント上がった。改善は18カ月連続で、1992年6月以来、約22年ぶりの高い水準。製造業やサービス業などで求人が伸びた。完全失業率も3.5%まで下がり16年5カ月ぶりの水準になった。雇用需給の引き締まりが賃金上昇を通じ、物価を一段と押し上げる構図になりつつある。
有効求人倍率は全国のハローワークで職を探す人1人に対して、企業から何件の求人があるかを示す。数字が高いほど仕事を見つけやすい。
5月に受け付けた新規求人数は4.0%増えた。プラスは4年3カ月連続。主要11業種のうち8業種で伸びた。製造業が12.2%増えたほか、教育が11%、サービス業が8.4%それぞれ伸びた。
雇用の逼迫は小売り現場のアルバイトなど非正規社員で先行したが、正社員の需給も改善傾向が鮮明になっている。5月の正社員の有効求人倍率(季節調整値)も0.67倍と前月から0.02ポイント上がり、比較できる2004年11月以来の最高を更新した。需給が釣り合っていることを示す「1倍」は大きく下回るものの、正社員の求人も増えている。
総務省が27日まとめた5月の完全失業率(季節調整値)は3.5%と前月から0.1ポイント改善し、97年12月以来の低い水準となった。完全失業率は15歳以上の働き手のうち、仕事に就かず職探し中の失業者の割合を示す。15歳から64歳の就業率は73.0%と比べられる68年以来で過去最高の水準となった。
雇用者に占める非正規の比率は36.6%と前年同月より0.3ポイント上がった。新たに働き始めた女性や高齢者はパートや嘱託で働くこと多いためだ。
総務省は雇用情勢について「引き続き持ち直しの動きが続いている」とみている。景気回復に伴い求人が増える一方、生産年齢人口の減少で働き手が少なくなっているためだ。人手不足が深刻な外食などの産業では賃金が上がりつつある。企業が膨らむ人件費を商品価格に転嫁していけば、上昇傾向の物価を一段と押し上げる可能性がある。
5月の小売販売額、2カ月連続で減少 家電や自動車で反動減
経済産業省が27日発表した5月の商業販売統計(速報)によると、小売業の販売額は11兆4340億円で、前年同月から0.4%減った。減少は2カ月連続。消費増税前の駆け込み購入に伴う反動で、自動車や大型家電の販売が振るわなかった。
前回の消費税率引き上げ直後の1997年5月(1.4%減)と比較すると下落率は小さい。経産省は「前回の引き上げ時に比べ、反動減からの回復が早い」とみている。
小売業の内訳をみると、普通車や小型車の販売が伸びず、自動車が4.1%減だった。冷蔵庫や洗濯機など消費増税前に駆け込み購入が目立った白物家電の販売が減ったため、機械器具が7.2%減。一方、気温上昇で初夏向けの衣料販売が伸び、織物・衣服・身の回り品が2.7%増だった。
大型小売店は0.5%減の1兆5929億円で、2カ月連続で減少した。既存店ベースは1.2%減。高額品を中心に駆け込みの反動が残り、百貨店は2.1%減。スーパーは0.8%減だった。
コンビニエンスストアは6.4%増の8779億円。たばこには駆け込み購入の反動減が残ったが、気温上昇でアイスなどの販売が好調で、既存店ベースでも1.3%増だった。
同時に発表した専門量販店販売統計(速報)によると、5月の販売額は家電大型専門店は2959億円、ドラッグストアが3808億円、ホームセンターが2955億円だった。
消費者物価5月3.4%上昇 32年ぶり伸び
総務省が27日発表した5月の全国消費者物価指数(CPI、2010年=100)は値動きの激しい生鮮食品を除く指数が103.4と、前年同月比で3.4%上がった。消費増税が5月支払い分の公共料金に反映され、全体を押し上げた。前年同月比3.5%上昇だった1982年4月以来、32年1カ月ぶりの高い水準になった。
日銀は消費増税の物価押し上げ効果が4月は1.7ポイント、公共料金分が加わる5月は2.0ポイントと推計している。増税の影響を除くと、5月の消費者物価上昇率は1.4%となり、4月の1.5%よりやや緩やかだった。
5月のCPIの内訳を財・サービス別にみると、電気料金は前年同月比11.4%上がったほか、都市ガスは8.9%、プロパンガスは8.1%、上下水道は3.6%それぞれ上昇した。原油高を背景にガソリンも上がっており、エネルギー全体では10.1%の上昇だった。
耐久消費財の値上がりも続いている。ルームエアコンが19.4%、ノートパソコンが15.5%、洗濯機が21.7%それぞれ上がった。サービス分野では、外食が3.0%上がった。サービス全体でも1.8%上がっており、労働需給の逼迫が、サービス価格をゆるやかに押し上げていることをうかがわせた。
全国の先行指標となる東京都区部の6月中旬速報値は生鮮食品を除く指数が102.0と、前年同月比2.8%の上昇だった。上昇幅は4月と同じだった。

いずれもとてもよく取りまとめられた記事なんですが、さすがに、これだけ並べるともうおなかいっぱい、という気もします。次に、雇用統計のグラフは以下の通りです。見れば分かると思いますが、一応、上のパネルから順に、失業率、有効求人倍率、新規求人数のグラフです。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた部分は景気後退期です。

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4月統計が発表された際にもこのブログに書きましたが、雇用については消費増税のマクロ経済へのネガティブなインパクトをものともせずに改善を続けています。ただし、雇用の先行指標である新規求人については、上のグラフに見る通り、少しもたつきを見せています。失業率については、現状の3%台半ばを自然失業率と見なすエコノミストも少なくないんですが、私はここ1-2年でも十分に3%台そこそこ、すなわち、3.1-3.2%くらいまでは低下する余地があるし、さらに進んで、少し前までの我が国のフィリップス曲線を前提にして2%インフレを展望するならば、失業率が3%を割り込んで2%台にまで低下しても決して不思議ではない、と前々から表明しているところです。なお、雇用の非正規比率は前年同月と比較すれば、引用した記事のように、確かに上昇を見せていますが、季節調整していない原系列の統計ながら、直近では今年2014年2月をピークとして5月まで3か月連続で非正規比率が低下していることも注目すべきです。もっとも、繰返しになりますが、単なる季節的な動きなのかもしれません。昨年1月から取り始めた統計ですから、もう少しデータが蓄積されないと季節変動を除去ないし抽出することは困難です。

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季節調整していない商業販売統計の小売業の前年同月比と季節調整した指数のグラフは上の通りです。小売業販売額の前年同月比は4月の▲4.3%減から5月は早くも▲0.4%減まで下げ幅を縮小しました。ただし、同じく個人消費の代理変数と見なされている総務省統計局の家計調査の結果は前年同月比で▲8.0%減と消費増税による大きな反動減がまだ続いています。おそらく、実感はこの商業販売統計と家計調査の間にあるような気もしますが、注意すべきは家計調査が物価上昇を差し引いた実質で表章されているのに対して、商業販売統計は名目である点です。名目で前年同月比が▲0.4%減ですから、後に見る消費者物価の上昇を差し引いた実質では▲4%減くらいの印象となります。いずれにせよ、その名目でも1997年4月の前回の消費増税の後には、駆込み需要とその後の反動減が一巡する間、すなわち12か月間の長きにわたって前年同月比マイナスが続いたんですが、今回については賃上げや夏のボーナスに伴う所得の状況にもよるものの、早い段階で前年同月比マイナスを脱する可能性があると私は受け止めています。

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最後に、消費者物価上昇率の推移は上のグラフの通りです。折れ線グラフが全国の生鮮食品を除くコアCPI上昇率と食料とエネルギーを除く全国コアコアCPIと東京都区部のコアCPIのそれぞれの上昇率を示しており、積上げ棒グラフは全国のモアCPI上昇率に対する寄与度となっています。東京都区部の統計だけが6月中旬値です。これもいつものお断りですが、いずれも総務省統計局の発表する丸めた小数点以下1位の指数を基に私の方で算出しています。引用した記事にもある通り、消費増税の影響を除いた日銀試算ベースで、4月+1.5%上昇から5月は+1.4%の上昇と、やや物価上昇は緩やかになりました。ただし、これは主としてエネルギー価格の変動によるものであり、今週初めの6月23日の日銀黒田総裁による経済同友会会員懇談会における講演にある通り、「これから夏場に向けては、前年比プラス幅が一旦1%近傍まで縮小する」(p.4)と見込まれていますので、金融政策当局では織込み済みのようです。逆から見て、この程度の上昇幅の縮小では日銀は追加緩和には踏み切らないと私は考えています。

この週末を経て来週月曜日には鉱工業生産指数が、火曜日には日銀短観が公表されます。消費増税直後の経済指標はこれで一巡したこととなり、8月の1次QE、9月の2次QEを経て、来年10月1日からの第2段階目の消費増税の議論が進むことと私は予想しています。

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2014年6月26日 (木)

来週7月1日に発表予定の日銀短観の予想やいかに?

来週火曜日7月1日の発表を前に、シンクタンクや金融機関などから6月調査の日銀短観予想が出そろっています。4月からの消費増税後の初の短観ですから注目が集まっていますが、いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、ネット上でオープンに公開されているリポートに限って、大企業製造業と非製造業の業況判断DIと大企業の設備投資計画の予想を取りまとめると下の表の通りです。設備投資計画は当然ながら2014年度です。ヘッドラインは私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しましたが、今回の日銀短観予想については、2014年度の設備投資見通しに着目して拾いました。ただし、三菱総研だけは設備投資計画が予測項目に含まれていないため、先行きの業況判断DIに関するコメントを取っています。いつもの通り、より詳細な情報にご興味ある向きは左側の機関名にリンクを張ってあります。リンクが切れていなければ、html の富士通総研以外は、pdf 形式のリポートが別タブで開くか、ダウンロード出来ると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちに Acrobat Reader がインストールしてあってリポートが読めるかもしれません。

機関名大企業製造業
大企業非製造業
<設備投資計画>
ヘッドライン
3月調査 (先行き)+8
+13
<+0.1>
n.a.
日本総研+11
+16
<+6.9>
製造業、非製造業ともに、国内景気の回復基調や低金利を受けた良好な投資環境、設備の老朽化等を背景に、維持・更新目的を中心に、先延ばしてきた設備投資に前向きとなる見通し。加えて、人手不足を背景に、省力化・合理化投資も期待可能。もっとも、中長期的な人口減少による国内需要の先細りが懸念されるなか、成長期待の本格回復は見込めず、中小企業を中心に、能力増強に慎重な姿勢はなお根強い状況。
大和総研+18
+17
<+4.8>
リーマン・ショック以降、低水準での推移が続いていた設備投資は、足下で徐々に改善傾向にある。設備投資の先行指標である機械受注統計などを見ても改善が続いており、設備投資は増加基調が続く見込みである。改善の続く企業収益を背景に、賃上げや設備投資などを積極的に行う企業が増加することで、生産性の上昇やさらなる経済の循環的改善も期待できよう。
みずほ総研+14
+20
<+4.1>
2014年度の設備投資計画(全規模・全産業)は前年比▲0.7%と、3月調査(同▲4.2%)から上方修正されると予測する。修正幅(+6.2%)の割にマイナス計画となっているのは、2013年度が大幅に上方修正され、発射台が高くなったためである。
ニッセイ基礎研+15
+19
<+6.7>
14年度設備投資計画(全規模全産業)については前年度比1.0%増(前回は同4.2%減)に上方修正されると予想。例年6月調査では年度計画が固まってくることに伴って上方修正される傾向が強いためである。さすがに増税直後という不透明感から大幅な上方修正とはいかないものの、経常利益が1-3月期に過去最高を記録するなど企業の投資余力が高まっている点は追い風だ。従って、設備投資は例年と遜色ない幅の上方修正が行われ、プラス圏に浮上すると見ている。
伊藤忠商事経済研+14
+19
<+6.3>
大企業非製造業の2014年度計画は前年度比5.2%と、同時期の2013年度計画の4.9%を上回り、金融危機以降で最も高い伸びになる見込みである。大都市での再開発に伴う不動産業や、家計の消費形態の変化に対応するための小売業の店舗投資などがけん引する。一方、大企業製造業の2014年度計画は8.4%と同時期調査の2013年度6.7%こそ上回るが、2012年度12.4%との対比では半分程度にとどまる。また、製造業の設備投資計画は6月もしくは9月がピークで、その後下方修正される傾向が強い点を勘案すれば、最終的な着地は2013年度(当社予想1.1%)と同程度の低い伸びになる可能性が高い。海外生産を重視する姿勢が強まる下で、製造業の国内投資は拡大し難い状況にある。
第一生命経済研+15
+19
<+5.3>
2014年度の設備投資計画は、大企業・製造業が前年比9.7%、非製造業が前年比3.2%とプラスに浮上する見通しである。マクロの設備投資は、2014年1-3月に急増する動きをみせた。これは、パソコンソフトのサポートが終了するのに伴っての更新投資増や、リース取引での駆け込みの影響である。こうした変化が、短観でも2014年度以降の前向きな動きにつながっていくのだろうか。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券+19
+22
<+8.1>
14年度の設備投資計画については、大企業・中小企業とも、3月調査からの大幅な上方修正が見込まれる。企業収益が回復基調で推移する中、企業経営者は生産能力の増強や営業用設備の機能拡充に積極的に対応している模様だ。
三菱総研+17
+21
<n.a.>
6期ぶりの低下を予想するが、低下幅は小幅にとどまる見込み。増税後も企業の業況は底堅く推移している。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング+14
+18
<+6.7>
今年度(2014 年度)の設備投資計画は、大企業では製造業、非製造業ともに上方修正が見込まれる。もっとも、企業が海外での投資を重視する流れが変わらない中では、生産能力の増強などの大規模な投資が国内で増加するとは考えにくい。今後も、国内での設備投資は、維持・更新投資や研究開発投資など企業が競争力を維持するために必要とされる最低限度のものに限られるだろう。
富士通総研+18
+21
<+5.6>
好業績を背景に、製造業、非製造業とも投資意欲が高まっている。長らく設備投資を手控えてきたために生産設備の老朽化が進んでおり、更新投資に踏み切るだけでも一定の投資が出やすい環境になっている。企業経営者の円安期待の定着により、投資の国内回帰の動きが一部で出ていることも、設備投資の追い風になっている。大企業は3月調査では過去の平均と比べ、高めからスタートしたが、今回調査では順調に上方修正されると見込まれる。中小企業も過去のパターンと同様に、上方修正されると予想される。

まず、日銀短観のヘッドラインとなる業況判断DIの予想については、3月調査における先行き判断ほどには悪化しないとの結果が示されています。すなわち、4月の消費増税に伴う景気の下押し効果については、アチコチで「想定内」という表現が用いられたんですが、実は、企業マインド的には消費増税のマイナス効果は「想定内」どころか想定以下だったことが示唆されていると私は受け止めています。一部ながら、3月調査の足元よりも6月の方がマインドは改善するとの見方も示されていますし、少なくとも、6月調査の時点までで見て、先行き景気を悲観する材料は見当たりません。
次に、設備投資計画ですが、いくつかコメントを引いたように、3月調査では荒っぽい見込みだったものが6月調査では具体的な計画にグレードアップして、設備投資計画が大きく上方修正されるのが日銀短観の統計としてのひとつのクセなんですが、景気の拡大期にはそれがいっそう強調され、今年もその傾向が強く現れる、との予想となっています。みずほ総研のコメントにある通り、伸び率よりも修正幅のほうが大きいのは前年度2013年度の実績見込が上方修正されて、いわゆるゲタが大きくなっているからです。おそらく、2014年度の設備投資はリーマン・ショック以降で最大の伸びを示すことになると私も予想していますが、製造業の設備投資に対する見方は分かれます。すなわち、いわゆる産業空洞化の流れは止まらず、海外投資が主流となって国内投資に回帰することはない、とする見方と、一部ながらも投資の国内回帰が始まる、とする見方です。明らかに程度問題なんですが、為替相場次第では製造業の設備投資が大きく増加する可能性も決して低くないと私は考えています。ここでも金融政策の重要性を強調しておきたいと思います。
最後に、2011-14年度の大企業全産業の設備投資計画のグラフを伊藤忠経済研のリポートから引用しています。ご参考まで。

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2014年6月25日 (水)

企業向けサービス価格上昇率は順調にプラス幅を拡大!

本日、日銀から5月の企業向けサービス価格指数(SPPI)が公表されています。ヘッドラインのSPPI上昇率は前年同月比で+3.6%、変動の大きい国際運輸を除くコアSPPIも同じく+3.6%と、いずれも4月から+0.2%ポイント上昇幅を拡大しています。なお、今回の統計発表では基準年が2005年から2010年に変更されています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

5月の企業向けサービス価格、前年比3.6%上昇
消費税の影響除く伸び率は0.9%上昇

日銀が25日発表した4月の企業向けサービス価格指数(2010年平均=100)は102.5と、前年同月に比べ3.6%上昇した。伸び率は前月から0.2ポイント拡大した。消費増税の影響を除く伸び率は前年同月比0.9%上昇。伸び率は前月から0.2ポイント拡大した。0.9%の上昇は現行基準でさかのぼれる2001年1月以降で最大の伸びとなった。
消費税の影響を除いたベースで品目別に見ると、上昇が目立ったのはテレビや新聞の広告。テレビ広告は増税後の需要喚起を狙う企業からの受注が増えた。また建築設計や宿泊サービスも伸び率を拡大した。
企業向けサービス価格指数は運輸や通信、広告など企業間で取引されるサービスの価格水準を示す。日銀は今回発表分から基準年を従来の05年から10年に改定。調査対象となるサービスも一部を変更し、新しい数値を算出した。職業紹介などを対象に加えた一方で、輸入サービスを調査対象外とした。

いつもながら、よく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、企業向けサービス物価上昇率のグラフは以下の通りです。上のパネルはサービス物価(SPPI)とコアSPPIの上昇率とともに、企業物価(PPI)上昇率もプロットしています。SPPIとPPIの上昇率の目盛りが左右に分かれていますので注意が必要です。なお、影をつけた部分は景気後退期を示しています。下のパネルは2005年基準と2010年基準のヘッドラインSPPI上昇率の推移です。

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5月のSPPI上昇率は前年同月比で見て+3.6%、消費税の影響を除いても+0.9%でしたから、順調にプラス幅を拡大していると見ています。一部に便乗値上げが見られる可能性は否定しませんが、価格上昇圧力が強いというか、値上げが受け入れられやすい需給状況になっていると言うことも出来ます。かつてのデフレ期と違って、マイルドなインフレに向けて期待が修正されつつあるように私は受け止めています。品目で見ると、引用した記事にまる通り、4媒体広告のうちインターネットと雑誌は低下したものの、新聞とテレビでは上昇を示し、土木建築サービス、宿泊サービス、ソフトウェア開発などで上昇の寄与が大きくなっていると報告されています。
それから、基準改訂に関しては、すでに日銀調査統計局から「企業向けサービス価格指数・2010年基準改定結果」と題する調査論文が6月17日に公表されています。上のグラフの下のパネルに示されている通り、もっとも基準年から離れた2013年についてはラスパイレス指数の上方バイアスがかなり大きくなっているように私には見えるんですが、日銀の公式見解としては、この調査論文の p.10 に示されているように、2011-13年の各年の平均で見る限り、ウエイト効果が最大で+0.05%ポイント、品目指数改定効果が最大で+0.09%ポイントのプラス寄与となる一方、リセット効果が最大で▲0.10%ポイント、新サービス取り込み効果が最大で▲0.03%ポイントのマイナス寄与となっており、プラスとマイナスが相殺されたこともあって、「2010年基準指数と2005年基準指数(国内ベース)の総平均・前年比の乖離は、各年の平均でみると、ごくわずかです」ということになります。私も統計局に在籍していた経験がありますから、基準年改定の影響はあくまで小さくて政策策定への影響はなかった、と言わざるをえないことは理解します。

最後に、多くの善良なる日本国民にはどうでもいいことのように見えますが、企業向けサービス価格指数と国内企業物価指数の英語名称が今日から変更になっています。上にお示ししたグラフはすでに一部にこの変更を取り込んでいますが、詳細は以下の日銀のサイトで確認できます。

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FIFAワールドカップ日本はコロンビアに負けて1次リーグで敗退!

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サッカーはよく分からないんですが、ブラジルで開催されているFIFAワールドカップの1次リーグ第3戦で日本はコロンビアに1-4で完敗し、1次リーグ敗退が決まりました。1次リーグではとうとう1勝も上げられませんでした。
誠に残念

4年後の次のワールドカップは、
がんばれニッポン!

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2014年6月24日 (火)

ビール類はいかに飲まれているか?

昨日6月23日、楽天リサーチから「ビールに関する調査」結果が公表されています。そろそろ気温も上がってビールの季節かもしれません。実は、私は昨年まで家庭でビールはもちろん酒類はいっさい飲まなかったので、こういったアンケート調査は完全に無視してきたんですが、なぜか、今シーズンからナイターを見ながらビール類を飲むようになってしまいました。週1-2回くらいではないかと思います。なお、ビールか発泡酒か第3のビールか、当然に表示されているハズなんですが、私は気にしていませんので何でもいいと考えています。飲んでいて区別もつきません。ということで、まず、調査結果の概要を4点ほど楽天リサーチのサイトから引用すると以下の通りです。

ビールに関する調査
  • ビール類は、年代が高くなるにつれてより平日中心に飲まれるように
  • 男性40-50代は「普通のビール」よりも「第三のビール」で節約志向
  • 手軽さや気軽さが求められている「発泡酒・第三のビール」と、じっくり味わうことが求められている「プレミアムビール」
  • "オン"の1杯目は「ビール」が91.5%、高年齢層のビールリピート率は半数以下

この調査は、全国に在住する20代から60代のうち、自宅または外出先で月に1回以上ビール類を飲む男女計1,000人を対象にしています。もちろん、ネット調査ですので、一定のバイアスが存在することを前提に、図表を引用しつつ簡単に見ておきたいと思います。

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まず、自宅でビール類をいつ飲むか、曜日と時間帯で問いを設定していて、その回答のグラフが上の通りです。私の場合は、阪神タイガースのナイターを見ながら飲む、という回答になります。デーゲームではなくナイターですから、時間帯は夜ということになります。昼間は飲みません。そして、曜日についてはナイターさえあれば関係なく、ということになります。一般の回答を見ても、平日・休日・休前日と曜日に大きな差はなく、ただし、時間帯は圧倒的に夜に飲む、という結果が示されています。

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次に、各ビール類の購入重視点を上位3位まで問うた回答の結果は上のグラフの通りです。私は何のケレン味もなく「重視点はない」ということになります。ですから、メディアで最近はやった言葉で言えば「最後は金目でしょ」ということになり、発泡酒や第3のビールで上位に位置している「価格が安い」ということなんだろうと思います。グラフの引用はしませんが、購入場所についても、私の場合、一番安いディスカウントストアで350mlの6缶パックを買うパターンが多い気がします。でも、今年に入ってから今まで、6缶パックを2-3パックほどしか買っていませんので、パターンといえるほどのパターンはありません。なお、付け加えると、ビールを作っている人には誠に申し訳ないながら、のどごしとか、キレとか、飲みごたえとか、香りとかは何の区別もつきません。おそらく、今年の阪神が弱いので、思わしくない試合展開の憂さ晴らしに飲んでいるような気もします。

なお、先週6月19日にNTTコム リサーチから「映画館での映画鑑賞」に関する調査の結果が公表されているんですが、話題の「アナ雪」を私はまだ見ていませんのでパスします。昨年の「風立ちぬ」は見たんですが、今夏のジブリ映画「思い出のマーニー」はどうなんでしょうか?

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2014年6月23日 (月)

東洋経済による「住みよさランキング2014」トップ50やいかに?

やや旧聞に属する話題ですが、先週6月18日に東洋経済のサイトで「住みよさランキング2014」トップ50が明らかにされています。千葉県の印西市が3年連続でトップとなり、こういった調査で上位に並ぶ北陸3県の住みよさが目立った結果と私は受け止めています。東洋経済のサイトから以下の通りトップ50の画像を引用します。

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諸事情あって、今夜はこれだけで簡単に済ませておきます。悪しからず。

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2014年6月22日 (日)

能見投手が打ち込まれて楽天に完敗し交流戦を9勝15敗で終える!

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  HE
楽  天040100000 5100
阪  神000001000 170

ラッツ選手のツーランなど能見投手が打ち込まれて楽天に完敗でした。連続試合10奪三振の日本記録もダメでした。他方、楽天先発の美馬投手も危険球退場しましたが、阪神打線はつけ込むことすら出来ませんでした。打線は決定打なく、わずかに1点に終わりました。
10年目を迎えた交流戦はこれにて終了し、阪神は10年間でワーストの勝率に終わり、最後に3連敗で貯金を使い果たして勝率5割に戻ってしまいました。来週からレギュラーシーズンに立ち返って、タイガースは巻き返しなるんでしょうか、それとも、このまま沈んで行くんでしょうか。

しばらく休んで次の中日戦は、
がんばれタイガース!

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今週の読書は日本を知る教養書『日本仏教入門』や『武士道』など

先週は図書館の予約のめぐりが悪く、余り借りられませんでした。仕方がないので、「図書館戦争」シリーズや「三毛猫ホームズ」のシリーズなどの文庫本を借りて読んで長い通勤電車の時間潰しをしていました。新刊本は3冊だけで、実に偶然にも、国際日本文化研究センターという京都は桂の西の外れにある研究機関の教授が書いた日本文化を取り上げた教養書が2冊と、文庫本として新たに単行本のお色直しなった近藤史恵さんのライト・ミステリです。

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まず、末木文美士『日本仏教入門』(角川選書) です。その名の通り、我が国仏教に関する入門書なんですが、教養書というよりはややレベルが高く、専門書ないしは学術書に近い内容と覚悟して読むべきです。奈良時代の南都六宗から始まって、平安時代に北嶺二宗が加わり、さらに、鎌倉時代に念仏や題目を唱える宗派、すなわち、浄土宗・浄土真宗、日蓮宗が日本国内で発生し、加えて、中国から禅宗がもたらされ、我が国の仏教は宗派の数としてはほぼ固まった後、江戸時代の檀家制度や現在の葬式仏教まで、幅広く論じています。私は在家の仏教徒ですから、僧侶の世界はほとんど知らないんですが、得度と受戒の違いも知りませんでしたし、それなりに勉強にはなりました。中国仏教と違って、浄土宗系の他力本願がかなりの比率を占める日本仏教の特性は、それなりに理解していたつもりですが、中韓の華厳経信仰に対して、我が国では法華経に対する篤い信仰が独特の仏教のあり方だとは知りませんでした。本書を批判するほどの学識は持ち合わせないんですが、1点だけ、仏教を仏教だけで論じようとするムリを感じました。文化面はもちろん、比叡山と朝廷の関係、あるいは、織田政権と大坂本願寺との関係などの政治面についても目配りが欲しかった気がします。最後に、輪廻転生についてももっと知りたかったものですから、少し知的欲求が満たされない不満が残りました。

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次に、笠谷和比古『武士道』(NTT出版) です。武田家に伝わる『甲陽軍鑑』などを引いた17世紀の武士道、まだまだ武断派の勢いのあるころの武士道、さらに、有名な『葉隠』などを引いて解説を加えた18世紀の武士道、最後に19世紀の武士道と、時代を追って武士道について論じた後、最終章でに武士道の本質について解明を試みています。ただし、どこまで武士道が解明されているかはやや疑問が残ります。西欧的な騎士道のマッチョな世界と大きく異なるのは、何と言っても、日本の武士道における女性の役割ですが、この点は適切に強調されています。また、私は不勉強にして武家屋敷駈込慣習は知りませんでした。ただし、私の誤解かもしれませんが、武士道が武士の間だけにおける文化や慣習だったのか、町民や農民も含めた広く日本国民一般に共有されていた世界観だったのかについては疑問が残ります。著者は後者の見方を取っているようですが、領民すべて戦闘員という意味で戦闘国家に近かった薩摩などは言うに及ばず、下士がお城で奉公するのではなく田畑を耕して農民と似通った生活をしていた田舎諸藩であればともかく、士農工商が明確に分業していた江戸や京・大阪では町人や農民の世界観と武士道は交わるところが少なかったのではないか、と私は考えています。それ故に、明治期に入って教育勅語などで歪められた武士道が帝国陸軍などの軍隊にはびこったのではないかと想像しています。

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今週の読書はわずか3冊目にして終わりになってしまうんですが、最後に、近藤史恵『タルト・タタンの夢』(創元推理文庫) です。いろんなシリーズを書いて多作な作者のビストロ・パ・マルのシリーズ第1作が文庫本にお色直しされましたので読んでみました。なお、このシリーズは第2作『ヴァン・ショーをあなたに』まで出版されていて、一応、私はこの機会に読んでみました。なお、私はこの作者の作品では、プロの自転車レーサーを主人公にするサクリファイスのシリーズはすべて読んでいます。多くのこの作者の作品と同じで、このビストロ・パ・マルのシリーズでもライトなミステリというか、軽い謎解きが加わります。本格推理小説にあるような密室殺人事件などは起こりませんが、ちょっと不思議な出来事を三船シェフが解き明かします。その意味で、清掃人キリコのシリーズと似通っている気がしますが、私もこの作者の作品をすべて読んでいるわけではありませんので、もっと似通ったシリーズがあるのかもしれません。ただ、清掃人キリコのシリーズと違うと私が直感しているのが2点あり、第1にフランス料理の薀蓄が得られます。その意味で、梨園を舞台にした今泉探偵のシリーズで歌舞伎に関する薀蓄が傾けられるのと似ています。ペダンティックとまでは言いませんが、私のように料理や食事や歌舞伎に何の興味も持っていない人間ではなく、料理や食事に対するそれなりの愛着を感じる人には付加価値があるような気がします。ただし、その裏返しかもしれませんが、第2にシリーズが早く終わりそうな予感がします。すでに、今泉探偵シリーズは終わっているのではないかと私は認識していますが、同じ傾向をたどる可能性を指摘しておきたいと思います。決して、フランス料理に対する薀蓄が続かないと主張するつもりはありませんので、私の予感が外れることを祈念しております。

今週はもう少し予約した図書が回ってくることを祈念しております。

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2014年6月21日 (土)

則本投手に手も足も出ず楽天に完敗!

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  HE
楽  天001200010 480
阪  神000000000 072

メッセンジャー投手が守備のミスから3-4回に3点を取られ、逆に、阪神打線は則本投手に手も足も出ず楽天に完敗でした。8回表に楽天が4点目を入れた時点で敗戦を確信し、私はお風呂に入ってしまいました。阪神リードなら逆転負けの確率も小さくないんですが、楽天リードで則本投手がマウンドなら阪神が勝てる確率は限りなくゼロに近いと試算した次第です。湿りっぱなしの阪神打線は、キッチリと則本投手に完封されてしまいました。

明日の交流戦最終戦は、
がんばれタイガース!

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映画「万能鑑定士Q モナ・リザの瞳」を見に行く

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よくよく考えてみて、ひょっとしたら、今年に入ってから映画を見ていないような気がして、このところヒマなのもあって、今日の午後は近くのシネコンに映画を見に行きました。上のポスターの通り、綾瀬はるかと松坂桃李主演の「万能鑑定士Q モナ・リザの瞳」です。原作は松岡圭祐の人気シリーズ、佐藤信介監督作品です。
私にしては原作を読んでいなかったんですが、なかなか面白かったです。ラストのどんでん返しも凝っていました。映画らしくお金のかかった映像と音楽のよさが感じられました。でも、最後のホンモノのモナ・リザを選ぶシーンは違和感ありました。印刷されたポスターとキャンバスの絵画なんですから、当たり前に選べるような気がします。それにしても、ホントにモナ・リザが日本に来る日はやってくるんでしょうか?

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2014年6月20日 (金)

Webサービスのパスワード管理やいかに?

やや旧聞に属する話題ですが、先週木曜日の6月12日にトレンドマイクロ社から「パスワードの利用実態調査 2014」と題するリポートが発表されています。中身は何かというと、IDとパスワードでのログインが必要なWebサービスの利用者を対象に、パスワードの利用や管理の実態を調べるアンケート調査です。まず、トレンドマイクロ社のサイトから調査結果のポイントを2点だけ引用すると以下の通りです。

パスワードの利用実態調査 2014
  1. パスワードを使いまわしているユーザが9割以上
  2. 約7割が自分のパスワード管理にセキュリティ上リスクがあると認識

ということで、下の円グラフは、Webサービスの利用にあたり、パスワードを使い分けているか、使い分けている場合、何種類のパスワードを使い分けているか、についての回答です。なお、そもそも、何種類くらいのWebサービスを利用しているかの調査結果がほしいところですが、それは示されていません。

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見れば分かる通り、上の引用にもあるように、パスワードを重複して使い回しているユーザが93.1%に上ります。逆から見て、6.9%のユーザはすべてのWebサービスで異なるパスワードを設定しているわけです。私の場合、ブログ、Webメール、SNS、図書館など、の種類別でついつい共通のパスワードを設定してしまっています。特に同種のWebサービスを利用している件数が多いのは図書館です。例えば、新宿区立図書館と渋谷区立図書館と港区立図書館のパスワードは同じだったりします。それでも数種類のWebサービスに対して、数種類のパスワードを設定していますので、この調査項目に即して言えば6種類以上になります。私の場合は図書館だけでも軽く10館を超えますので、もしもすべてに異なる設定をしているのであれば、パスワード管理はとてもタイヘンです。グラフは引用しませんが、パスワードを使い回す理由は「忘れてしまう」が74.7%を占めて、もっとも多くなっています。分かる気がします。また、パスワードの管理について、「パスワードは手帳やノートにメモする」がもっとも多くて44.2%に上ります。

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上に引用したグラフは、Webサービスでパスワードを設定する際の意識に関する調査結果です。ハイライトしてあるように、セキュリティ上のリスクを感じているユーザは70%を超えますが、逆に、定期的にパスワードを変更するのを面倒と感じる人も55%に達しています。この両者を満足させる解として、トレンドマイクロ社では「1つのマスターパスワードで複数のID/パスワードを管理できるパスワード管理ツールなどを活用する」を上げています。私の場合はメモはメモなんですが、直接にIDやパスワードをメモするんではなく、いわゆるパスワードのヒントをメモすることにしています。というのも、WebサービスであればURLでサイトが特定されパスワード管理ツールも有効なんでしょうが、Webサービスでなくオフラインでパスワードを要求されるケースには対応できません。例えば、典型的にはパソコンというか、Windowsにログオンするパスワードとか、私の場合は日記帳とかです。パスワード設定して暗号化したオフィス文書や圧縮ファイルなども利用する機会がありますし、オフラインまで対応してくれるパスワード管理ツールがあれば私も使いたい気がします。

私がパスワードに設定しているのは、基本的に、他の人から見れば意味をなさないランダムな文字の配列に見えるのに、私自身からすればそれなりの意味がある文字列、例えば、「2001年宇宙の旅」の愛嬌あるロボットHALはIBMからアルファベット順で1字ずつ前にズラした文字列だということはつとに有名ですが、こういった形で馴染みのある地名や人名を何文字かズラしたり、逆書きにしたり、といった文字列にしている場合が多いんですが、それでも、シーケンシャルに手当たり次第に試行されれば破られる可能性はありますし、コストパフォーマンスを考えれば、余りに凝ったことをするのも気がひけるように感じています。

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2014年6月19日 (木)

今年の株主総会集中日6月27日の集中率は40%を下回る!

今年の株主総会は6月14日にトヨタが先陣を切ってシーズン幕開け、と報じられていましたが、私も今週に入って山手線のターミナル駅などで株主総会へのルートを確保し、株主に便宜をはかるマイクロ・バスを2度ほど見たりして、いよいよ株主総会のシーズン入りを実感しています。しかし、いつもの東証の株主総会集中率の調査結果を見る限り、集中率は年々低下しているようです。東証のサイトから引用したグラフは以下の通りです。

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その昔は、総会屋対策として株主総会を1日に集中させる傾向があり、かつては95%を超えていた集中率も、今年の集中日である6月27日はとうとう40%を割ってしまっています。株主がいくつもの株主総会に出席できるようにとの配慮だそうです。私は集中するよりは分散する方がいいんではないかと直感的に感じています。でも、株主になったことがないので分かりません。まあ、取りあえず、帰宅が遅くなったので、軽く済ませておきます。

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2014年6月18日 (水)

貿易赤字の続く貿易統計から何を読み取るか?

本日、財務省から5月の貿易統計が発表されています。季節調整していない原系列で見て、統計のヘッドラインとなる輸出額は前年同月比▲2.7%減の5兆6076億円、輸入額も▲3.6%減の6兆5165億円、差引き貿易収支は▲9090億円の赤字となりました。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

5月の貿易赤字9090億円 輸出15カ月ぶり減少
財務省が18日発表した5月の貿易統計速報(通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は9090億円の赤字だった。赤字額は前年同月の9913億円を下回り、4月に続いて2カ月連続で縮小した。貿易赤字は23カ月連続。QUICKが17日時点で集計した民間の予測中央値は1兆1764億円の赤字だった。
輸出額は前年同月比2.7%減の5兆6076億円。15カ月ぶりのマイナスとなった。品目では自動車の対世界輸出額が4.3%減と14カ月ぶりに減少したほか、半導体等電子部品も5.2%減少した。地域別では欧州向けが14.5%増と12カ月連続のプラスが続いているものの、構成比の大きいアジア向けは3.4%減と15カ月ぶりの減少。米国向けも17カ月ぶりの減少となった。対世界でみた輸出数量は3.4%のマイナスとなった。
一方、輸入額は3.6%減の6兆5165億円と、19カ月ぶりに減少した。品目別では液化天然ガス(LNG)の輸入額は3.0%増と高止まりが続いているものの、中東カタールからの原粗油や、中国からの携帯電話などの通信機、豪州からの石炭などの輸入額の減少が目立った。地域別では欧州からの輸入額が5.7%増加したが、アジアからが1.2%減と21カ月ぶりの減少、米国からも14カ月ぶりのマイナスに転じた。輸入数量は対世界で4.0%減少した。
為替レート(税関長公示レートの平均値)は1ドル=102円12銭で、前年同月比2.9%の円安だった。

いつもながら、とてもよく取りまとめられた記事です。次に、貿易統計のグラフは以下の通りです。上下のパネルとも月次の輸出入を折れ線グラフで、その差額である貿易収支を棒グラフで、それぞれプロットしていますが、上のパネルは季節調整していない原系列の統計であり、下は季節調整済みの系列です。輸出入の色分けは凡例の通りです。

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下のパネルの季節調整済みのグラフで見て、足元で輸出は横ばいながら、輸入が減少しており、貿易収支もやや減少傾向にあるように見えなくもありませんが、2014年4-5月については駆込み需要の反動が小さくないと私は考えています。2014年4月から消費税率が引き上げられたのは記憶に新しいところですが、実はいわゆる環境税も2014年4月から増税されており、ひょっとしたら、この環境税増税と消費税増税の合せ技で、エネルギー輸入については家計の消費よりも大きな3月までの駆込みと4-5月の反動減を生じている可能性があります。一応、環境税に関するおさらいですが、環境省のサイトに示された情報に従えば、原油・石油製品、LPGとLNG、そして、石炭まで含めて、「地球温暖化対策のための課税の特例」として、2012年10月、2014年4月、2016年10月の3段階に分けて、ほぼ3等分された増税が実施されます。ほぼ3等分と言いつつ、実は、ビミョーに最後の2016年10月の増税が一番重課なので、忘れられがちなんですが、2014年4月にも環境税の増税が実施されているのは事実です。消費増税と合わせて、化石燃料に対して駆込み需要と反動減を生じさせているわけです。

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輸出については、なかなか回復が思わしくありません。その大きな要因は欧米をはじめとする先進国、さらに、中国をはじめとする新興国やアジアの景気回復・拡大のテンポが上がらないことです。上のグラフは季節調整していない貿易指数を基に、上のパネルは輸出額の前年同月比を数量と価格で要因分解しており、下のパネルは輸出数量とOECD先行指数のそれぞれの前年同月比をプロットしています。ただし、OECD先行指数は1か月だけリードを取っています。足元で輸入数量の前年同月比はほぼゼロ近傍で伸びない姿が続いており、下のパネルから、需要サイドではOECD諸国の景気が足踏みしているため、我が国製品への需要が伸び悩む原因となっているのが見て取れます。今年2014年の1-3月期は我が国では消費増税前の駆込み需要で高成長を記録した一方で、米国でもマイナス成長でしたし、欧州の景気も思ったほどのペースで拡大していません。新興国についてもやや景気が足踏みを続けています。こういった需要サイドの要因とともに、アベノミクス初期の円高修正ないし円安の進行もほぼ一巡したことから価格面での効果も剥落し、輸出は伸び悩んでいます。逆から見て、欧州をはじめとする先進国経済や新興国が成長モメンタムを取り戻せば、我が国の輸出も伸びを高めることが期待されます。もっとも、貿易のシークエンスは、米国・欧州→中国などのアジア→日本、という順ではないかと私は予想しています。ただし、輸出ではありませんが、私の専門外で予想しかねる点もいっぱいあり、典型的には、イラク情勢の緊迫化に関して原油価格がどのように反応するか、です。一般的には、米国の商品市況におけるWTIが先駆けて大きく変動する一方で、我が国の原油価格により大きな影響を及ぼしているドバイ原油はWTIよりも遅れて、そして、もっと落ち着いた動きとなる、と私は認識していますが、例外がないわけでもないんだろうと考えています。

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最後に、以前から、このブログでも何度か書きましたが、電力をはじめとするエネルギー価格の上昇に伴って、世界における我が国産業の比較優位構造が変化しつつあるのではないか、と私は考えています。例えば、先週6月12日に帝国データバンクから「電気料金値上げに対する企業の意識調査」と題するリポートが発表されていますが、電気料金値上げで経常利益が減少する産業別の企業数の割合は以下のグラフの通りです。「製造業」で一括されているので何とも言えませんが、製造業の中で電力料金が占める割合が高い産業があるわけでしょうから、我が国の電力料金やエネルギー価格の上昇は国際貿易の比較優位構造に変化を及ぼすことは確実です。歴史的に見ても、アルミ精錬産業が我が国から姿を消したのは電力料金が高騰し国際競争力を喪失したからです。この先、アルミ精錬産業のように完全に日本国内から消失するかどうかはともかく、電力料金値上げやその他の条件に伴って国際競争力を大きく低下させ、輸出入に現れる比較優位構造にどのような変化が生じるのかはエコノミストとして大いに興味があるところです。

なお、エネルギー価格の高騰により比較優位を失う産業が出ることはある意味で当然です。そして、政策策定には強い現状維持バイアスがかかるんですが、比較優位を失った産業がゾンビ化するのに手を貸すような政策を取るべきでないことも言うまでもありません。

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2014年6月17日 (火)

呉投手がリリーフに失敗するも12回マートン選手のサヨナラ打で日本ハムに先勝!

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 十一十二 HE
日本ハム000010002000 371
阪  神010000011001x 4130

緊迫した投手戦から延長戦に入り、マートン選手のサヨナラ打で日本ハムに先勝しました。9回に呉投手がリリーフに失敗し、逆転されたタイミングで私はお風呂に入ってしまいました。長風呂1時間を経て、10時を過ぎてもまだ試合が続いているのでびっくりしましたが、交流戦初めての連勝を見られてよかったです。ホントは呉投手が9回でピシャリと締めて勝つのが一番なんですが、藤浪投手の代わりに金田投手に勝ちがつきましたし、それはそれでよしとします。

明日は3連勝目指して、
がんばれタイガース!

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ウェザーニューズによる今年の花粉飛散傾向のまとめやいかに?

先週6月12日にウェザーニューズから「2014年のスギ・ヒノキ花粉飛散傾向のまとめ」が公表されています。今年の花粉飛散については、昨年の半分以下という事前の予想があり、実際に、東京都では昨年比わずかに23%だったそうです。ただし、私の実感からすれば、花粉飛散の時期がやや短かっただけで、1日当たりの飛散量は昨年と大差ないと感じていました。ただし、花粉症の季節は完全に終わったんですが、私は6月に入ってからも鼻水が止まらなかった日があって、私の実感は花粉症以外のアレルゲンによるアレルギーも含まれている可能性がありますので、やや被害が大きい方にバイアスがかかっている可能性は否定できません。

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ということで、上の画像は都道府県別に2014年スギ・ヒノキ花粉の飛散量を取りまとめてあります。上から順に、昨年2013年との比較、平年との比較、そして、絶対数です。東京都に関して具体的な数字を上げれば、今年のスギ・ヒノキ花粉の飛散量は2,888個であり、昨年比23%、平年比35%とグッと少なかったことが確かめられます。四国と九州の一部を除けば、全国かなりの地域で昨年と比べても平年と比べても、今年はスギ・ヒノキの花粉飛散量は少なかったと言えます。ただし、この飛散量の減少は飛散時期が短かったことに起因するという私の実感も、おおむね確認されました。というのは、これも東京都に限って言えば、今年の本格飛散開始日は3月4日で、昨年の2月20日よりも2週間近く遅くなっています。もっとも、本格飛散終了は今年5月2日の昨年5月1日ですからほぼ変わりなく、昨年は飛散開始日が早くてうるう年だった点が、花粉飛散量が多かった要因のひとつであった、というか、逆から見れば、今年は飛散開始日が遅くてうるう年ではなかった点が、花粉飛散量が少なかった要因のひとつと考えるべきです。

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最後に、関東の花粉飛散量と症状のグラフを引用すると上の通りです。例年の3月上旬のピークが少し後ズレしているような気がしないでもありません。また、ウェザーニューズの花粉症のまとめサイトによれば、来年2015年の東京・関東はいわゆる花粉飛散の表年に当たり、2015年は2014年の1.5-2倍の飛散量となる予想が示されています。何とか乗り切りたいと思います。

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2014年6月16日 (月)

インテージの消費税増税影響分析プロジェクトに見る消費増税の影響やいかに?

とても旧聞に属する話題ですが、調査会社のインテージから消費税増税影響分析プロジェクト「総括レポート」が発表されています。今どきのことですから、サイトにはすべての図表を収録したpdfの全文リポートもアップされており利用可能です。単純なアンケート調査ではなくパネル調査ですから、統計局的なランダム・サンプリングと国勢調査で把握した母集団への回帰はムリとしても、きちんと処理されていれば大きな偏りはないものと考えられます。ということで、インテージのサイトから調査結果のポイントを4点ピックアップすると以下の通りです。

Pick Up
  • 増税前のまとめ買いは1997年の増税時より拡大
  • 2014年消費税増税の主役は60代
  • 増税後の生活必需品への影響は限定的
  • 購買回復をけん引しているのも60代

年代別の購買意欲は別にして、私や多くのエコノミストは消費増税前は、「増税前の駆込み需要も増税後の反動減も1997年当時に比べて小さく想定の範囲内」と考えていたんですが、実際には、「増税前の駆込み需要も増税後の反動減も1997年当時に比べて大きかったが、それでも想定の範囲内」というのが実態だったと考えられます。

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まず、調査対象を主婦に限定し、購入品目も自動車などの高額な耐久消費財を除いた生活必需品に限定した購買金額の前年比を1997年増税時と今回で比較したグラフを引用すると上の通りです。実際には、自動車や家電などの高額な耐久消費財における増税前の駆込み需要と増税後の反動減の方が大きいのかもしれませんが、こういった調査では把握が難しく、調査の際にで抜け落ちる確率が高かったりします。把握が比較的容易な生活必需品レベルで1997年と今回のぞれぞれの消費増税で比較すると、今回の方が時期的にも早くから駆込み需要が始まっており、前年比で見た駆込み需要とその後の反動減も大きくなっていることが読み取れます。ただし、繰返しになりますが、自動車や家電といった高額の耐久消費財が調査対象から外れている点は考慮すべきです。

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次に、この調査結果からマーケティングの関係で重視されている年代別の購買者なんですが、引用した上のグラフの通り、60代が1997年当時よりもシェアを増加させています。しかし、これは団塊の世代に従ったデモグラフィックな効果なんだろうと私は受け止めています。すなわち、団塊の世代は1946-48年生まれですから。1997年増税時は50歳前後、40代と50代だったわけですが、今回の増税時はすべてが60代半ばから後半に入っています。日本国民全体が高齢化しているわけですから、購買年代が上昇して団塊の世代が含まれる60代に達したというのは特段のファクト・ファインディングではなく、当たり前の現象であると私は感じています。

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次に、マーケティングや今後の消費行動への分析として、品目ごとに増税後の商品選択基準を「安さ←→付加価値」と「愛着←→買い回り」の2軸でプロットした購買基準プロット図を引用すると上の通りです。右上に行くほど増税で値上がりしても愛着ある商品を選ぶことから消費増税の影響が少ない品目であり、逆に左下に行くほど価格の安いPB商品などに流れやすいと分析しています。いくつか実例を上げると、にわかに私には理解し難いところなんですが、ペットフードがかなり右上に位置しているのに比べて、人間が口にする煎餅・あられやキャンディはずっと左下にあります。また、ビール/発泡酒/第3のビールはかろうじて右上ですが、チューハイは左下だったりします。まあ、インスタント麺や冷凍食品は左下なんだろうというのは理解できる気がします。

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最後に、品目は限定的ですが、まとめ買い購買者と通常購買者で増税後の購買行動を前年比トレンドで見たグラフを引用すると上の通りです。品目は生活必需品の中でも、食品・飲料・日用雑貨品・化粧品、ペットフード、ペット用品に限られるんですが、まとめ買いに走った購買者は当然ながら消費増税前の駆込み需要の山が高くて、増税後の反動減の谷も深いんですが、5月に入ってほぼ通常購買者と同じレベルまで落ち着きを取り戻しています。自動車を毎月買う人は普通はいないわけで、高額の耐久消費財については購入頻度が低いですから、マクロの反動減はアンケート調査からは捉えにくい一方で、生活必需品については反動減はほぼ1か月で終了というのは事前の想定通りだった気がします。

何度も繰り返して申し訳ありませんが、自動車や家電といった高額の耐久消費財が調査対象外なのはホントの意味で駆込み需要と反動減を把握する上で致命的ですが、生活必需品の買い物の増減を消費増税の前後でそれなりに分かりやすく、同時に、先行きの消費動向も含めて分析した結果だと受け止めています。

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2014年6月15日 (日)

メッセンジャー投手の快投と緒方外野手のスリーランで西武に完勝!

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  HE
阪  神001051100 8130
西  武001000000 160

メッセンジャー投手の快投が8回まで続き、最終回は安藤投手が3人で締めて西武に完勝でした。5回のビッグイニングは緒方外野手のスリーランから、満塁の場面でワイルドピッチによりセカンド・ランナーの大和選手までホームに生還するナイスランで5点と効率よく攻めました。緒方選手のホームランを見て、次打者席にいたメッセンジャー投手が軽く右手でガッツポーズを取っていたのが印象的でした。

明後日からの日本ハム戦も、
がんばれタイガース!

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FIFAワールドカップ予選リーグ第1戦はコートジボワールに逆転負け!

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サッカーはよく分からないんですが、ブラジルで開催されているFIFAワールドカップの予選リーグ初戦で日本は本田選手が先取点を上げたんですが、後半の半ばに続けざまに2点を取られて、そのまま押し切られコートジボワールに逆転負けでした。NHKの地上波で観戦していたんですが、後半に入って、両チームとも選手交代があり、試合の雰囲気が変わったような気がしないでもありませんでした。
開催地がレシフェですから南緯10度足らず、ジャカルタが南緯7度でしたので気候は分からないでもありません。気候だけを考えれば、アフリカに有利で日本チームにはキツい試合だったのではないかと思います。

次のギリシア戦は、
がんばれニッポン!

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今週のアルバムはキース・ジャレット「ノー・エンド」

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キース・ジャレット「ノー・エンド」を聞きました。1986年に録音された多重演奏モノで、ギターとベースが中心です。音楽ジャンルとしてはジャズではありません。ですから、ジャズ・ピアニストとしてのキース・ジャレットが好きだというファンはこのアルバムまで聞いてみる必要はないかと思います。私のようなヒマ人か、あるいは、ジャズという音楽ジャンルを超えて、音楽家や芸術家として、あるいは、単なる人間としてのキース・ジャレットをよりよく知りたいというファン向けかという気がします。私は買うんではなく、図書館で借りて聞きました。ご参考まで。

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2014年6月14日 (土)

わずか5安打2得点の貧打で連続試合2桁奪三振記録の力投能見投手を見殺し!

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  HE
阪  神100001000 250
西  武02000100x 370

貧打で能見投手を見殺しにし西武に敗れて、またまたカード初戦を取れませんでした。能見投手は5試合連続の10奪三振のセリーグ記録を樹立する力投だったんですが、打線が5安打2得点では好調ライオンズには勝てません。監督が休養すればチームは調子が上向いたりするんでしょうか。タイガースの和田監督やいかに?

明日は、
がんばれタイガース!

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今週の読書は清純派に復活なった青山七恵『風』ほか

今週の読書は、やや怪しげな『快楽』と『めぐり糸』の後、短篇集で清純派に復活なった青山七恵『風』ほか、以下の通りです。今週は経済書と教養書もまずまず当たりでした。

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まず、青山七恵『風』(河出書房新社) です。短篇集であり、「ダンス」、「二人の場合」、「風」、「予感」の超短編から短編ないし中編くらいの4作品を収録しています。最後の「予感」は前後の見開き表紙に作者の手書きで綴られています。私はこの作者が芥川賞を授賞された「ひとり日和」から一部にさかのぼって読んだ作品も含めて、おそらく、単行本で出版されている作品はすべて読んでいるつもりです。しかし、最近2作の『快楽』はともかくとしても、『めぐり糸』については、現時点での青山七恵が挑戦すべき内容の作品とは思えませんでした。20-30年後くらいであればともかく、アラサーの作家が少し背伸びをした印象しか残りませんでした。その点でこの作品は清純派の青山七恵に戻った安心感があります。ただし、私は純文学は清純派に限るとか、官能文学はよくないとか言っているわけではなく、現時点での青山七恵については私は清純派の作品が好きである、ということですので念のため。なお、私はこの作者の短篇集としては『かけら』がもっとも好きなんですが、この『風』の評価も、かなり高いと受け止めています。エンタメでない純文学の瑞々しさに触れることの出来るいい作品です。オススメです。私のような青山七恵ファンは必ず読んでおくべきです。

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次に、大塚啓二郎『なぜ貧しい国はなくならないのか』(日本経済新聞出版) です。タイトルから想像される通り、開発経済学の入門書です。学生のレベルによっては大学の講義などで教科書にすることも可能かもしれません。著者は正察研究大学院大学の教授であり、我が国開発経済学の泰斗である速水佑次郎門下の農業経済学を専門とする学者さんです。最初のはしがきにある通り、開発経済学の経済学の部分は「常識を体系化」した学問として捉え、私の言うところの前期開発経済学、すなわち、食料生産などの国民生活の基礎的な基盤をまず充足させる政策から始まっています。私はどちらかと言うと、後期開発経済学、すなわち、ビッグプッシュから先の工業化などのキャッチアップ政策が専門ですが、いずれにせよ、とても分かりやすく平易に途上国の経済発展の状態を伝え、途上国の国民生活の向上のために必要とされる政策を正確に体系化しています。専門の学生やビジネスマンだけでなく、広く世界に目を向けたい多くの人にオススメです。

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次に、チップ・ウォルター『人類進化700万年の物語』(青土社) です。作者は科学ジャーナリストで、この本は人類進化をテーマにしています。特に、現在生き残っているホモ・サピエンス以外の人類、例えば、ネアンデルタール人とかクロマニョン人とかがどうして絶滅して我々だけが生き残っているのかの謎に挑戦しています。本書では少なくとも27種もの人類が誕生しては消えて行ったと跡付けています。ゴリラのようにガッチリ体型のネアンデルタール人ではなく、柳腰の華奢な体型は直立歩行という特性をより際立たせるという可能性を指摘し、脳を発達させるために未熟な段階で子供を産んでしまう、というか、逆に、母体の中で脳を発達させ、ゴリラのように20か月ほども母体にいれば産道から出て来られない、ような脳の発達を見せ、脳の発達を最重要視した進化を遂げた可能性、また、ネアンデルタール人は種として滅んだかもしれないが、ホモ・サピエンスと混ざった可能性などが指摘されていて、まったく専門外の私でもとても興味深く読めました。たぶん、専門書のレベルには達していないんでしょうが、教養書としてオススメです。

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次に、長谷川修一『旧約聖書の謎』(中公新書) です。作者は歴史学や聖書学も修めたイスラエル考古学の若き第一人者だそうです。広く人口に膾炙したノアの箱舟から始まって、モーセに率いられたユダヤ人の出エジプト、ダビデとゴリアテの対決ほか旧約聖書の7つのエピソードを歴史的な事実かどうかについて、検証とまで行かなくても、考古学で得られた史実と突き合わせて、それなりに考察を加えています。そても面白かったんですが、ユダヤ教徒とユダヤ人を同一と考えるなど秀逸な面もある一方で、ユダヤ教徒の少ない日本人相手の本ですから、旧約聖書に盛り込まれたエピソードが、たとえ史実と異なっているとしても、どういった宗教的な意味を持たせているのかについては、もう少し解説が欲しかった気がします。割合と、各エピソードがメソポタミア周辺の遊牧民などの生活観を反映していることが私なりに理解できただけに、宗教的な面ももう少し掘り下げたらもっと面白かったかもしれない、と思わないでもありません。

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次に、三浦しをん『星間商事株式会社社史編纂室』(ちくま文庫) です。これはまったく新刊書ではなく、数年前に単行本として出版された本が、今年になって新たに文庫本として出ているのを読みました。中規模商社に勤務する社史編纂室勤務の女性を主人公に、会社におけるパブリックな社史編纂の活動と、腐女子というか、BL小説の作家として同人誌を出版するプライベートな活動の両面から、会社の歴史の中で何故か誰も触れたがらない「高度経済成長期の穴」を探るのが主たるストーリーとなっています。以下ネタバレかもしれませんが、なにせ新刊ではないので、結論はインドネシアのデビ夫人よろしく、東南アジアの大統領に日本人女性を差し出した、というのが結論だったりします。私はジャカルタ勤務の経験があり、深田祐介『神鷲(ガルーダ)商人』を読んだんですが、何となくながら、参考になるかもしれません。

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最後に、冲方丁『もらい泣き』(集英社) です。これも新刊ではなく、約2年ほど前に出版された本なんですが、何となく借りてみました。エッセイというか、「小説すばる」誌のコラムをまとめた単行本です。短編よりもさらに短く仕上がっています。小説ではなく、フィクションながら、あくまでエッセイというか、コラムです。5月17日付けの記事で銀座を舞台にした藤田宜永『銀座 千と一の物語』を取り上げましたが、よく似た印象ながら、さすがにコラムよりも小説にまとめた方が自由度が高くて出来はいいような気がしました。私の感受性が少しズレているのかもしれませんが、余り泣けない話が少なくなかったような気がします。やや失敗だったかもしれません。

今週は『なぜ貧しい国はなくならないのか』を別にして専門書がなかったんですが、今も教養書を何冊か借りていますので、ここしばらく、小説と教養書を中心に、逆から見て、経済書や専門書から外れた読書になるかもしれません。

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2014年6月13日 (金)

下の子の高校の文化祭に行く

今日は、梅雨が早くも明けて一気に夏が来たかのようなお天気でした。正午過ぎから1時間足らず夕立のような通り雨もありました。
ということで、今日は休暇を取って下の子が通う高校の文化祭を見に行きました。自転車で2時間位かかるかと思いましたが、1時間半ほどでした。10時から1時間ほどで極めて大雑把に見て回りました。その後、途中の図書館に立ち寄った際に通り雨に遭遇し、自転車も屋根のあるところに駐めましたので、1時間ほど読書して過ごし、午後からは区立体育館の室内プールでゆったりと泳ぎました。お休みのためだけではないんですが、今週は残業が多くてストレスが溜まってしまいました。プールで泳ぐのが私のストレス解消法となっていたりします。
下の写真は文化祭の模様です。上から順に、要するに見て回った順番なんですが、肛門入り口の立て看板、下の子が所属するクラブの展示室の入り口、プロ野球展の部屋にあった1985年に阪神タイガースが日本一になった際の特集記事、最後に、なかなか立派な書道展の一例です。ただし、書道展の篆刻はなぜかすべてクラブ名になっており、個人で篆刻をしているわけではないようです。

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2014年6月12日 (木)

機械受注は消費増税後の4月も堅調に推移する!

本日、内閣府から4月の機械受注統計の結果が公表されています。GDP統計のベースの設備投資の先行指標となるコア機械受注、すなわち、船舶と電力を除く民需で見て、▲9.1%減の8513億円を記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

4月機械受注、前月比9.1%減 3月の反動で2カ月ぶりにマイナス
内閣府が12日発表した4月の機械受注統計によると、民間設備投資の先行指標とされる「船舶・電力除く民需」の受注額(季節調整値)は前月比9.1%減の8513億円だった。3月の伸び率が統計を遡ることができる2005年4月以降で過去最高(19.1%増)だった反動で、2カ月ぶりにマイナスに転じた。
内閣府は一時的な反動減の要因が大きいとみており、機械受注の判断を前月の「増加傾向にある」で据え置いた。
主な機械メーカー280社が製造業から受注した金額は9.4%減の3484億円と2カ月ぶりに減少。その他製造業向けのボイラーやタービン、その他輸送用機械向けの航空機、運搬機械などが前月に伸びた反動で減少した。
一方で、船舶・電力を除いた非製造業から受注した金額は0.9%増の5195億円と2カ月連続で増加した。金融・保険業向けのコンピューターや運輸・郵便業向けの鉄道車両が伸びた。
毎月の変動が大きい船舶・電力や官公需を含む受注総額は34.8%増の3兆1260億円となり、ともに過去最高を記録して2カ月連続のプラス。大型案件が相次いだ外需の受注額が1兆6148億円と過去最高となったことがけん引した。

いつもの通り、いろんなことをとても適確に取りまとめた記事だという気がします。次に、機械受注のグラフは以下の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその6か月後方移動平均を、下は需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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コア機械受注は3月統計が消費増税前の駆込み需要も含めて、前月比で+19.1%増と大きく伸びた反動減とともに4月からの消費増税もあり、4月は▲9.1%減の8513億円と減少を示しましたが、日経・QUICKに示された市場の事前コンセンサスは前月比▲11.0%減でしたので、これは上回りました。今年に入ってからも、1月+8.1%増、2月▲4.6%減、3月+19.1%増、4月▲9.1%減と、ならしてみればおおむねプラスですし、統計作成官庁である内閣府も「機械受注は、増加傾向にある」との基調判断を据え置いています。上のグラフからも増加のモメンタムは失われておらず、増加基調は続いていることが読み取れます。それから、コア機械受注の外数ですが、官公需は+40.5%増の2971億円、外需も+71.3%増の1兆6148億円と大きく増加しており、船舶と電力を含む民需の▲2.1%減を補っている形です。特に、外需はコア機械受注の先行指標と見なされており、先行きのコア機械受注の増加につながる可能性を示唆しています。特に、先月公表された四半期見通しでは、4-6月期は前期比+0.4%増でしたので、この先、5-6月がほぼ横ばいでも達成可能な数字です。ひょっとしたら、上振れる可能性もあります。

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消費増税に伴う景気落ち込みを防止する対策として公共投資が増加しており、その関係で4月の機械受注の官公需が前月比で+40.5%増の2971億円と大きく増加したことに注目する向きもありますが、例年通りの予算の執行に伴う増加であると私は受け止めています。上のグラフの通り、後方6か月移動平均で見る限り、この先に増加の気配はあるものの、4月の時点では大きく官公需の機械受注が増加したという形にはなっていません。それよりも、前月比+71.3%増の外需の激増ぶりが際立っています。トレンド的な増加というよりも、私は詳細情報を持ち合わせませんが、引用した記事にあるように大型案件があったと考えた方がよさそうです。前月公表された4-6月期見通しでは前期比+33.5%が示されていましたので、すでに織込み済みの大型案件があったように推測しています。

今週月曜日に発表された1-3月期2次QEでは設備投資がかなりの増加を示しました。何度かこのブログで主張した通り、企業部門に滞留する資金余剰を賃上げや設備投資の形で日本経済全体に均霑させることが重要な課題であると私は考えています。設備投資はまずまず進み始めました。次は賃上げです。

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2014年6月11日 (水)

法人企業景気予測調査と企業物価に見る消費増税の影響やいかに?

本日、財務省から今年4-6月期の法人企業景気予測調査が、また、日銀から5月の企業物価指数 (CGPI) が、それぞれ公表されています。法人企業景気予測調査については日銀短観ほどではないものの、企業マインドを把握できる指標として消費増税後の企業マインドの方向が注目されているところですが、大企業全産業の景況判断指数(BSI)でみて、1-3月期の+12.7から大きく悪化し、4-6月期には▲14.6と6四半期ぶりにマイナスをつけました。CGPIも4月に上昇した後の5月の動向が気にかかるところですが、国内物価の前年同月比上昇率で見て、4月の+4.2%から5月は+4.4%に上昇幅を拡大しました。まず、それぞれ頭系のヘッドラインを報じた記事を日経新聞のサイトから引用すると以下の通りです。

4-6月の大企業景況判断、マイナス14.6 7-9月はプラス13
内閣府と財務省が11日発表した4-6月期の法人企業景気予測調査によると、大企業全産業の景況感を示す景況判断指数はマイナス14.6だった。マイナスは2012年10-12月期(マイナス5.5)以来、6期ぶり。消費税率引き上げ後の反動で、幅広い業種で景況感の悪化が目立った。3月の前回発表時点での4-6月期見通し(マイナス9.8)から悪化した。
指数は自社の景況が前の期と比べて「上昇」と回答した企業の割合から「下降」の割合を差し引いて算出。消費増税を前にした1-3月期の大企業全産業の景況感はプラス12.7だった。
大企業のうち製造業はマイナス13.9と、5期ぶりのマイナス。自動車本体や同関連部品メーカーなどで景況感が悪化した。一方、非製造業はマイナス15.0で、マイナスは6期ぶり。住宅関連や衣料品などの卸売業、家電や自動車を取り扱う小売業などを中心に悪化が目立った。中小企業の景況判断指数は全産業でマイナス21.5だった。
一方、7-9月期の見通しでは大企業全産業がプラス13.4と改善に転じ、2004年4-6月期の調査開始以降で最高水準となる見込み。製造業はプラス16.0、非製造業はプラス12.1へと上向く。中小企業は7-9月期はマイナス3.7だが、10-12月期の先行きではプラス1.6を見込む。
14年度の設備投資計画(ソフトウエアを含む)は全産業で前年度比4.5%増だった。3月の前回発表時には5.1%減を見込んでいた。企業業績が上向いていることを受け、設備投資マインドに改善の動きがみられるようだ。このうち製造業は10.8%増で、半導体や自動車関連で設備増強や更新意欲が高い。一方、非製造業は1.5%増。不動産業で大型商業施設やオフィスビルの開発や、鉄道関連で安全投資を検討する企業が目立った。
調査は資本金1000万円以上の1万6192社を対象に実施し、回答率は80.0%。調査基準日は5月15日だった。
同調査は日銀が7月1日に発表する企業短期経済観測調査(短観)の内容を予測する手掛かりとして注目される。
5月の国内企業物価、4.4%上昇 5年7カ月ぶり高い伸び
日銀が11日発表した5月の国内企業物価指数(2010年平均=100、速報値)は106.1と、前年同月比で4.4%上昇した。エネルギー価格が高騰した2008年10月(4.5%上昇)以来5年7カ月ぶりの高い伸びとなり、市場予想の中心値(4.1%上昇)を上回った。消費税を除いたベースの上昇率も1.6%と前月(1.5%)をわずかながら上回った。4月の消費増税後も、需給の引き締まりで幅広い品目での値上がりが続いている。
企業物価指数は出荷や卸売り段階など企業間で取引する製品の価格水準を示す。全820品目のうち、前年比で上昇した品目は435、下落した品目は302。上昇が下落を上回るのは9カ月連続。円安一服で物価押し上げ効果が和らぐなか、上昇が続く状況について日銀は「需給の引き締まりで価格が落ちにくくなっている」とみる。
消費税を除くベースで項目別にみると、再生可能エネルギーの買い取り制度に伴う家庭の負担金の増加で「電力・都市ガス・水道」が前月に比べ上昇、物流や観光需要の高まりで「石油・石炭製品」も値上がりした。一方で、「農林水産物」、「情報通信機器」は値下がりした。
円ベースの輸出物価は前年比0.8%下落、輸入物価は0.7%上昇した。

統計が2本あるので、かなり長くなってしまいましたが、いつもながら、よく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、下のグラフは法人企業景気予測調査のうち大企業の景況判断BSIをプロットしています。重なって少し見にくいかもしれませんが、赤と青の折れ線の色分けは凡例の通りです。影をつけた部分は景気後退期を示しています。これは企業物価上昇率のグラフも同じです。

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言わずもがなで、消費増税前の駆込み需要で1-3月期に+12.7とプラスを記録していた大企業全産業の景況判断指数BSIは、消費税率が引き上げられた4-6月期にはドンと▲14.6まで落ちました。6四半期振りのマイナスを記録したわけですが、BSIのマイナスは続かず、早くも7-9月期には+13.4と大きくプラスに回帰すると見込まれています。引用した記事にもある通り、7-9月期の大企業ではやや製造業のマインドがよく、製造業BSIは+16.0、非製造業BSIは+12.1と見込まれています。中堅企業も水準は少し大企業よりも低いものの、四半期で見てプラスとマイナスの符号は大企業と同じですし、また、中小企業では7-9月期までBSIのマイナスが続くものの、10-12月期にはプラスに転換すると見込まれています。設備投資についても3月調査時点では本年度マイナスと計画されていたんですが、今回の調査では企業業績の改善などからプラスに転じています。現時点でこの統計のBSIや設備投資計画から企業マインドを推し量る限り、総じて、消費増税の影響は限定的で想定の範囲内と考えてよさそうです。ただし、売上げは下期にならないと回復を示さないと予想されているようです。

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続いて、企業物価上昇率のグラフは上の通りです。上のパネルは国内と輸出入別の前年同月比上昇率を、下のパネルは需要段階別の上昇率を、それぞれプロットしています。消費増税から2か月が経過した5月時点の企業物価は、早くも4月から上昇幅を拡大しています。すなわち、国内企業物価の前年同月比で見て、3月に+1.7%まで達していた上昇率が、4月には消費増税に伴う一時的な需給ギャップの悪化から消費税を除くベースで+1.5%に上昇幅を縮小させた後、5月には同じベースで+1.6%に上昇幅を拡大させています。ただし、4月から5月に向けて前月比で上昇した寄与が大きい項目が、電力・都市ガス・水道と石油・石炭製品ですから、景気の拡大に伴う需給の引締りから価格上昇圧力が生じているのかどうかはまだ疑問が残ります。もちろん、電力・都市ガス・水道といった公共料金を別にすれば便乗値上げの可能性も否定できません。ただし、長らくデフレが続いた後で、消費増税も含めて前年同月比で+4.4%の国内企業物価の上昇はかなり大きいと言わざるを得ず、これが川下の消費者物価に波及して行くわけですから、需給の引締りというディマンドプル要因だけでなく、コストプッシュ要因による物価上昇が受け入れられやすくなっているのは確かなんだろうと受け止めています。

今週に入ってから公表された消費者態度指数や景気ウォッチャーの消費者マインドも5月に大きく改善を示しましたし、企業マインドも年央以降に改善すると見込まれており、物価が徐々に上昇する中で、景気が拡大してお給料が上がる世界を早く取り戻したいと思います。まだ統計に出て来ていないのは、後はお給料だけかもしれません。

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2014年6月10日 (火)

ブラジル国民はサッカーのワールドカップ開催をどのように受け止めているか?

いよいよ、FIFAワールドカップのブラジル大会開幕が近づきましたが、なぜか、ブラジル国民はワールドカップ開催を否定的に受け止めているとの調査結果が明らかにされています。

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私がよく参照している Pew Reseaqrch Center の Global Attitudes Project から、6月3日に Brazilian Discontent Ahead of World Cup と題するリポートが公表されています。上のグラフの通り、"About six-in-ten (61%) think hosting the event is a bad thing for Brazil because it takes money away from schools, health care and other public services — a common theme in the protests that have swept the country since June 2013." との結果が示されています。昨年、2020年の東京オリンピック開催が決まった折には、日本国内は肯定的な雰囲気が多かったような気がするんですが、同じようにスポーツとは言いながら、時期も国もイベントも違うというものですから、かなり異なる結果が出たようです。

私はもともとサッカーにはそれほど興味もなく、仕事の都合で帰宅が遅くなりったこともあり、簡単に済ませておきたいと思います。

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2014年6月 9日 (月)

スタンリッジ投手に手も足も出ずソフトバンクに完敗!

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  HE
ソフトB202010001 690
阪  神000000000 032

スタンリッジ投手に打線が沈黙し、かたやメッセンジャー投手は序盤から打ち込まれて、一方的な展開でソフトバンクに完敗でした。投手陣は10点打線のホークス相手に2試合で8点と6点の計14点と打ち込まれ、打線は昨日爆発して14点取ったものの、今日は完封負けという安定しない状態です。パ・リーグ2強の一角であるホークスに連勝というのは、現在のタイガースの実力からして、無理な注文だったのかもしれません。

明後日からのロッテ戦は、
がんばれタイガース!

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上方修正された1-3月期2次QEと4月を底に改善を示す景気ウォッチャーと消費者態度指数と黒字を記録した経常収支

本日、内閣府から今年2014年1-3月期のGDP統計が発表されています。いわゆる2次QEです。1次QEの前期比+1.5%成長、前期比年率+5.9%成長から、設備投資などを主因にやや上方改定され、前期比で+1.6%成長、前期比年率で+6.7%成長を記録しました。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

1-3月期実質GDP改定値、年率6.7%増に上方修正
内閣府が9日発表した2014年1-3月期の国内総生産(GDP)改定値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比1.6%増だった。年率換算では6.7%増と5月15日発表の速報値(5.9%増)から上方修正された。6四半期連続のプラスで、伸び率は11年7-9月期(10.8%増)以来10四半期ぶりの大きさとなった。設備投資が大幅に上方修正されたためだ。
1-3月期の法人企業統計をもとに推計し直した結果、設備投資は7.6%増(速報値は4.9%増)に上方修正された。11年10-12月期(8.3%増)以来9四半期ぶりの高い伸び率となった。内閣府は「金融・保険業や運輸・郵便業、建設業で設備投資の伸びが高まった」としている。個人消費も商業販売統計の確報化で飲料などの非耐久財が伸びたことなどが寄与し2.2%増(速報値は2.1%増)と小幅に上振れした。
一方、民間の在庫寄与度はマイナス0.5ポイント(速報値はマイナス0.2ポイント)に下方修正。公共投資も3月分の建設総合統計を加味した結果、2.7%減(同2.4%減)に下振れした。
生活実感に近い名目GDPは1.4%増(速報値は1.2%増)、年率で5.7%増(同5.1%増)だった。
総合的な物価の動きを示すGDPデフレーターは前年同期比マイナス0.1%(同プラス0.0%)だった。速報段階では09年7-9月期以来18四半期ぶりにプラス転換していたが、改定値では18四半期連続でマイナスとなった。

ということで、いつもの通り、とても適確にいろんなことが取りまとめられた記事なんですが、次に、GDPコンポーネントごとの成長率や寄与度を表示したテーブルは以下の通りです。基本は、雇用者報酬を含めて季節調整済み実質系列の前期比をパーセント表示したものですが、表示の通り、名目GDPは実質ではなく名目ですし、GDPデフレータと内需デフレータだけは季節調整済み系列の前期比ではなく、伝統に従って季節調整していない原系列の前年同期比となっています。また、項目にアスタリスクを付して、数字がカッコに入っている民間在庫と内需寄与度・外需寄与度は前期比成長率に対する寄与度表示となっています。もちろん、計数には正確を期しているつもりですが、タイプミスもあり得ますので、データの完全性は無保証です。正確な計数は自己責任で、最初にお示しした内閣府のリンク先からお願いします。

需要項目2013/1-32013/4-62013/7-92013/10-122014/1-3
1次QE2次QE
国内総生産 (GDP)+1.3+0.7+0.3+0.1+1.5+1.6
民間消費+1.0+0.7+0.2+0.4+2.1+2.2
民間住宅+1.8+0.8+3.3+4.3+3.1+3.1
民間設備▲2.2+0.9+0.9+1.6+4.9+7.6
民間在庫 *(+0.1)(▲0.4)(+0.1)(▲0.1)(▲0.2)(▲0.5)
公的需要+1.5+1.6+1.5+0.5▲0.4▲0.5
内需寄与度 *(+0.9)(+0.6)(+0.8)(+0.6)(+1.7)(+1.9)
外需寄与度 *(+0.4)(+0.1)(▲0.5)(▲0.6)(▲0.3)(▲0.3)
輸出+4.3+2.9▲0.7+0.5+6.0+6.0
輸入+1.1+1.8+2.4+3.7+6.3+6.3
国内総所得 (GDI)+0.9+0.7+0.1▲0.1+1.0+1.2
国民総所得 (GNI)+0.8+1.5▲0.1▲0.1+0.7+0.8
名目GDP+0.9+0.6+0.2+0.2+1.2+1.4
雇用者報酬+0.9+0.2▲0.4▲0.1▲0.3▲0.2
GDPデフレータ▲1.0▲0.6▲0.4▲0.4±0.0▲0.1
内需デフレータ▲0.8▲0.4+0.3+0.5+0.7+0.7

テーブルに加えて、いつもの需要項目別の寄与度を示した積上げ棒グラフは以下の通りです。青い折れ線でプロットした季節調整済みの前期比成長率に対する寄与度であり、左軸の単位はパーセントです。グラフの色分けは凡例の通りとなっていますが、本日発表された1-3月期の最新データでは、前期比成長率が大きなプラスであり、特に消費増税前の駆込み需要に伴う赤の民間消費と水色の設備投資のプラス寄与が大きく、逆に、黒の外需がマイナス寄与を示しているのが見て取れます。

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先週木曜日の2次QE予想を取り上げたエントリーでは、1次QEとほぼ変わらず+5%台半ばから後半くらいの成長率で、どちらかと言えば、下方修正の可能性が高いと主張したんですが、1次QE、2次QEとも私の予想は下方に外したようで、2次QEでは設備投資の上方改定を主因に成長率も上方修正されています。先週も強調しましたが、先行きについては、足元の4-6月期にマイナス成長に陥ることは確実としても、7-9月期にはプラス成長に復帰して、2四半期連続のマイナス成長というテクニカル・リセッションを記録することはない、との見通しがエコノミストの間の緩やかなコンセンサスであろうと私は受け止めています。GDPデフレータはゼロからマイナスに下方改定されています。いずれにせよ、景気認識や先行き見込みに対して変更を迫るような統計ではなかったと考えるべきです。

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続いて、上のグラフはこれも本日内閣府から発表された景気ウォッチャー消費者態度指数をプロットしています。いずれも5月が最新データとなっており、4月の消費増税後の5月の動向が気にかかるところですが、供給サイドのマインドである景気ウォッチャーも、需要サイドのマインドである消費者態度指数も、いずれも4月を底にして5月はかなりジャンプしています。統計作成官庁である内閣府の基調判断だけ取り上げると、景気ウォッチャーは長くて複雑怪奇なんですが、「景気は、緩やかな回復基調が続いているが、消費税率引上げに伴う駆込み需要の反動により、このところ弱い動きもみられる。先行きについては、緩やかに回復していくと見込まれる」とされ、消費者態度指数は「5月の消費者マインドは、持ち直しの動きがみられる。」とまとめられています。いずれにせよ、4月が底であったかどうかはもう少し長い目で見る必要があるものの、景気ウォッチャーの先行き判断DIがすでに4月の段階で50に達したことに象徴される通り、消費者マインドの先行きは決して悪くないと私は判断しています。

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最後に、上のグラフは本日財務省から発表された経常収支をプロットしています。季節調整済みの系列で見て、今年に入ってから経常赤字が続いていましたが、4月は+1305億円の経常黒字を記録しました。季節調整していない原系列の統計では、4月に旅行収支が黒字になるなど円高修正ないし円安の効果が出ているようです。ただし、貿易収支はならして見れば毎月▲1兆円ほどの赤字を計上しており、為替の効果はまだ見られず、貿易収支が黒字になるにはもう少し時間がかかるのかもしれません。

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2014年6月 8日 (日)

ダイナマイト打線が初回から爆発しソフトバンクに打ち勝つ!

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  HE
ソフトB105110000 8120
阪  神90111020x 14180

ダイナマイト打線が初回に爆発し乱打戦を制してソフトバンクに勝利しました。初回9点の先制パンチはさすがに大きく、結果的には1回の9点目が決勝点となった形でした。先発の榎田投手は3回に大きく崩れ、勝利投手は2イニング投げた鶴投手でしたので、次回の登板に期待します。交流戦10カード目にして初めて第1戦勝利です。まだ交流戦でセリーグのチームが負けまくって、広島はとうとう首位から陥落しましたが、阪神も貯金がかなり減りました。阪神もこの先が踏ん張りどころです。それにしても、長い試合でした。

明日はメッセンジャー vs スタンリッジの注目の対決、
がんばれタイガース!

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先週の読書はやや期待外れに終わった原田マハ『太陽の棘』ほか

先週の読書は、やや期待外れに終わった原田マハ『太陽の棘』ほか、以下の通りです。相変わらず、このところ、専門書・経済書はパッとしたのに当たりません。

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まず、原田マハ『太陽の棘』(文藝春秋) です。終戦直後の沖縄における米軍属の精神科医と沖縄のニシムイ・アート・ヴィレッジの芸術家たちとの交流という実話に基づく小説ですが、結論から言うと、どうしようもなく浅くて上っ面をなぞっただけの非現実的な小説だったと私は受け止めています。というのは、私は友情とは対等平等の間にだけ成立するとは考えるわけではありませんが、交流の両方に位置する人たちに隔たりがありすぎると感じ、違和感を覚えます。すなわち、軍人ではなく軍属とはいえ、おそらく、主人公である医者は終戦直後の沖縄において米軍将校に匹敵する位置を占めている一方で、沖縄の芸術家たちはあくまで占領される側の被支配者にしか過ぎません。しかも、大きな隔たりのある両者の交流を米国人を主人公に「上から目線」で展開するんですから、これを小説で表現するためにはかなりの力量を要しますが、作者にはそこまでの力量はなかったと言わざるを得ません。もちろん、努力の跡は見られます。例えば、タイラたちを軒並み現在で言う芸大のエリートコースをたどっていると持ち上げたり、p.176 で主人公の医師に「我々が支配する側で彼らが支配される者だとかいう意識を、ほとんど持っていなかった。」と言わしめたりしています。同時に、主人公の沖縄の前の赴任地である京都の人について、実は私も京都人のひとりですが、「京都の人々は、不思議なほど私にやさしかった。あるいは、たとえ我々に憎しみや恐れを感じたとしても、それを完璧に隠しおおせる深い闇を、彼らは持ち合わせていたのかもしれない。」と p.36 で評していて、まったくその通りと受け止めた一方で、沖縄人もヒガを別にして、タイラの態度や言動など、京都人に共通する部分が少なくなく、沖縄人も「深い闇」を持っている可能性をどこまで考慮して物語を進めているのか、私には疑問です。その意味で両者の交流に奥深さが感じられません。いくつかメディアの書評なども拝見しましたが、「終戦直後の沖縄占領下における米国人医師と沖縄の芸術家の心温まる物語」といった浅い理解しか示されておらず、沖縄人の「深い闇」を指摘する書評は、私は残念ながら発見することが出来ませんでした。あるいは、作者の評者も意図的に沖縄人の「深い闇」を棚上げにして、この作品を「終戦直後の米国人と沖縄人の心温まる交流を描き、小学生高学年から中学生の読書に最適の本」として推奨することで暗黙の合意が成り立っているのかもしれません。それにしても、沖縄について「腫れ物に触るような態度」をいつまで続けるつもりなんでしょうか。なお、私はまだ読んでいないので、成功しているかどうかは分かりませんし、方向性の是非はともかく、福島については『美味しんぼ』がこれを克服しようと何らかの努力をしているように私には見えます。

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次に、湊かなえ『豆の上で眠る』(新潮社) です。アンデルセン童話「エンドウ豆の上に寝たお姫さま」をモチーフに、2歳違いの姉妹の妹を主人公にして、小学校の頃の姉の2年間に失踪事件から、2年後に戻ってきた姉がホンモノか、入れ替わっているかについて推理を巡らせます。もちろん、「豆の上で眠る」ような違和感を覚え続けるんですから、妹の方は2年の失踪から戻ってきた姉をホンモノかどうか、極めて強い疑いの目で見ているわけですが、誘拐した犯人が自首したり、DNA鑑定の結果、姉は両親の子供である確率が極めて高いとの結果を突きつけられたりして、実際に何が起こっているのか、何が真実なのか、作者は極めて巧妙に読者をミスダイレクションの罠に取り込みます。戻ってきた姉と妹との関係、母と主人公との関係、祖母の思惑など、女性の作者らしく女性の視点や心理が極めてディテールに富んで描き出された後、主人公である妹の感じた違和感の原因である謎が解かれて、驚愕の事実が明らかにされます。ミステリとしても一級品です。真梨幸子や沼田まほかるとともにイヤミスの女王に最も近い作者のひとりらしく、読後感はとてもよくないです。でも、私もそうですが、この作者のファンは読んでおくべき1冊と言えます。

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次に、冲方丁『はなとゆめ』(角川書店) です。『天地明察』と『光圀伝』に続く、この作者の時代小説第3弾です。前2作の舞台であった江戸時代から大きく時代はさかのぼって平安時代に飛び、主人公というか、1人称の語り手は『枕草子』の作者である清少納言だったりします。もちろん、ストーリーの主要な部分は内裏における中宮定子とのやり取りであり、清少納言は中宮定子をまさに「やんごとなきお方」として描き出し、内裏をこの世の浄土と考えています。歴史的に明らかな通り、道隆をバックにする中宮定子は道長をバックにした彰子に一条帝の中宮の座を明け渡すことになるわけですが、当然ながら、清少納言の定子に対する忠誠は浄土へのあこがれとともに何ら変わりません。定子と浄土が清少納言の人生における2つのテーマであり、短歌や恋よりも上位概念であると言えます。ところで、清少納言はしばしば紫式部と比較され、平安時代の女性文学の代表作である、小説の『源氏物語』とエッセイの『枕草子』も引き比べられたりするわけですが、私の知る限り、現代女性から見て自慢話の多い清少納言よりも紫式部が好まれているように受け止めています。他方、やや暗い紫式部に比べて清少納言は明るい性格で自慢話を展開しており、私なんぞは明るい性格の女性にも好感を持ったりします。また、私の友人に冲方丁の最高傑作は『マルドゥック・スクランブル』であると称して憚らない知り合いがいるんですが、私もいわゆる完全版を今年になってから読んでみました。どっちもどっちだという気がしますが、SF小説か時代小説か、という観点ではなく、この作者の個別の作品に関しては、『マルドゥック・スクランブル』よりも『天地明察』に私は軍配を上げます。ついでながら、この作品に関するダ・ヴィンチNewsの作者のへインタビューに目を通しておけば、この作品を読み進む上で参考になります。

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次に、朝日新聞経済部『限界にっぽん』(岩波書店) です。副題「悲鳴をあげる雇用と経済」から理解できる通り、主要には日本の雇用市場について取材した結果をとても批判的な観点から取りまとめています。これも、最初に書評を上げておくと、6月1日付けの毎日新聞における伊東光晴先生の書評が読み進む上で参考になります。ということで、「マクド難民」から始まって「追い出し部屋」から「介護バブル」まで、正社員の職を失って、不安定な非正規雇用、上がらない賃金、など、我が国の雇用の暗黒部分をたんねんに取材し、批判的に取りまとめています。ただし、メディアの取材なので仕方ない面もありますが、これら現在の日本の労働市場の悲惨な現状が、経済合理性に基づく企業行動の結果なのか、それとも、人間としての尊厳を脅かす行過ぎなのかは明確に示されていません。暗黙のうちに「行過ぎ」感は出しているんですが、取りあえず、事実を取材した結果ということで、エコノミストへのインタビューなどで補足する意図はなかったんでしょうか。それとも、「経済合理性の範囲内」という結論だったのでカットしたんでしょうか。気になるところです。「行過ぎ」感の一部として、pp.92-93に退社した技術者が韓国や中国の企業に採用されて技術が流出する、といった記述は見かけましたが、それ以上の取材はなかったように思います。また、何年か前に読売新聞が独自の年金案を明らかにして、私なんかは大いにびっくりさせられた記憶があるんですが、pp.211-16で英国やデンマークと言った外国の例を引合いに出して、具体的な改善策を模索する方向性は示しているんですが、何らかの今後の先行きの方向性は打ち出せなかったのでしょうか。取材結果がとても素晴らしいだけに、やや残念という気がしないでもありません。もちろん、対応策は政府の仕事であってメディアのなすべきカテゴリーではなく、取材した事実を基に批判することがメディアの存在価値、と言った見方がないわけでもないんでしょうが、経営者にはインタビューしているわけですから、解決策や打開策の模索のためのインタビューも欲しかった気がします。でないと、青い鳥を探して「ないものねだり」をしているんではないかと言う批判的な見方が成り立ちかねません。

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最後に、寺島実郎[監修]/日本総合研究所[編]『全47都道府県幸福度ランキング』(東洋経済) です。昨年、同じ趣旨の『2013年版』が出版されているらしいんですが、私は不勉強にして知りませんでした。簡単に解説すると、人口増加率、1人当たり県民所得、国政選挙の選挙投票率、カロリーベースの食料自給率、財政健全度を基本指標として、加えて、健康分野、文化分野、仕事分野、教育分野の合計60指標から都道府県別の幸福度を弾き出しています。ということで、気になる総合ランキングは、1位福井県、2位東京都、3位長野県、4位鳥取県、5位富山県、6位石川県、7位滋賀県、8位千葉県、9位愛知県、10位神奈川県、がトップテンを占めています。ちなみに、47位は沖縄県、BBの46位は高知県だったりします。個別指標の解説やランキングの詳細などとともに、第4章では世界的な幸福度研究の先行例の紹介もあり、それなりに充実した内容となっています。こういった都道府県別ランキングを算出すると、下位の県などから根拠ない感情的な批判が出たりするんですが、幸福度の研究成果として注目すべき結果である、とまでは言わないものの、ランキングまではともかく、何らかの定量的な把握は必要だという気がします。ランキングは定量化のオマケと考えるべきです。

今週末に、青山七恵の短篇集『風』の予約が回ってきました。芥川賞受賞のころから私は注目していて、単行本はすべて読んでいるつもりなんですが、ここ最近の2作の『快楽』と『めぐり糸』については、従来の清純派路線から少し外れる試みにも見えました。その意味でも、最新作の『風』はとても楽しみです。また、まったく読んでいませんが、『新潮』に連載中の「繭」も単行本になるのが待ち遠しいです。

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2014年6月 7日 (土)

パリーグ首位のオリックスに力の差を見せつけられて完敗!

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  HE
オリックス000220000 441
阪  神000010000 141

パリーグ首位のオリックスに力の差を見せつけられて完敗でした。ルーキー東明投手に緒方選手のラッキーパンチ1発に抑えられ、能見投手を引っ張りすぎて逆転ささた昨夜の阪神ベンチの作戦をあざ笑うかのような早めの投手リレーに打線が沈黙しました。代打も代走もなしで、ベンチワークも何の工夫もありませんでした。監督の頭の中は投手交代でいっぱいだったんでしょうか? 明日も甲子園で負け続けるんでしょうか?

明日のホークス戦は、
がんばれタイガース!

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5月の米国雇用統計は米国景気拡大テンポの加速を示唆!

昨夜、米国労働省から5月の米国雇用統計が公表されています。統計のヘッドラインとなる非農業部門雇用者数は前月から+217千人増加し、失業率も前月と変わらず6.3%の低い水準を維持しています。いずれも季節調整済みの系列です。まず、Los Angeles Times のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

Economy recovers all jobs lost in Great Recession; don't celebrate yet
After adding 217,000 net new jobs last month, the U.S. economy has recovered all the positions lost during the Great Recession. But economists warned that the news Friday from the Labor Department was no real reason to celebrate.
"Things are improving, but it's happening agonizingly slowly," said Heidi Shierholz, a labor market economist at the Economic Policy Institute.
"At the pace we are currently going, it will take nearly four more years to get back to prerecession labor market conditions."
Total nonfarm employment in May reached 138.463 million, surpassing the previous high point of 138.365 million in January 2008, the Labor Department said.
The recession, which had just begun then, caused the economy to shed 8.7 million jobs through February 2010. The labor market has been slowly growing since then and the announcement that the workforce had hit a new record was a milestone in the recovery.
But Shierholz noted that the working-age population has grown by 14.5 million people since January 2008. She estimated the economy is still 6.9 million jobs short of where it was at the start of the recession, given that growth. The gap is reflected in the unemployment rate. The Labor Department said Friday that the rate held steady in May at 6.3%, the lowest level since September 2008. But the rate was 5% when the recession began in December 2007, and economists say that's roughly the full employment level.
And the unemployment rate might overstate the health of the labor market.
The labor force participation rate held steady in May at 62.8%, the lowest level since 1978, and Federal Reserve policymakers said they were using other indicators in addition to the unemployment rate to determine how much stimulus the economy still needs.
May's job growth was solid but unspectacular, down from 282,000 jobs added in April and roughly in line with analysts' expectations. The Labor Department initially estimated April's job growth at 288,000.
The economy has averaged 197,000 net new jobs a month over the last year.
But many of the jobs being created to replace those lost in the recession are lower-paying, such as retail sales clerks and restaurant workers.
"It is a quality game much more than it is a quantity game," said Lindsey Piegza, chief economist at brokerage Sterne Agee.
"We're really not seeing that high-wage recovery that is indicative of a strong consumer lining their pockets with wages and going out and spending," she said.
The strongest job growth last month was in business and professional services and in healthcare and social assistance. Both sectors added 55,000 net new jobs. Employment in restaurants and bars rose by 32,000 in May. But higher-wage manufacturing and construction industries saw little change in employment.
Overall, average hourly earnings in the private sector rose by 5 cents last month to $24.38. Over the 12 months ended in May, wages are up 2.1%, not much above the rate needed to keep up with inflation.
After a winter slowdown caused by extreme weather, the recovery has shown signs of picking up.
The economy shrank 0.1% from January through March, the first quarterly contraction in three years. But economists are expecting the economy to grow by as much as 4% in the second quarter.

やや長いんですが、まずまずよく取りまとめられている印象があります。続いて、いつもの米国雇用統計のグラフは下の通りです。上のパネルは非農業部門雇用者数の前月差増減の推移とそのうちの民間部門、下のパネルは失業率です。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。全体の雇用者増減とそのうちの民間部門は、2010年のセンサスの際にかなり乖離したものの、その後は大きな差は生じていません。

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産業別に見ると、製造業や建設がまだ力強さにかける一方で、運輸・倉庫や教育・ヘルスケアやレジャーなどが大きな伸びを示しています。そして、何よりも、雇用者の増加が今年2月から4か月連続で200千人を超え、失業率も4月5月と6.3%という6%台半ばを下回る水準を維持しているわけですから、米国雇用はかなり堅調と言えます。雇用統計は米国の中央銀行である連邦準備制度理事会 (FED) がいわゆるデュアル・マンデート、すなわち物価の安定とともに雇用の最大化を追求することから、もっとも重視する指標とされており、先ごろ公表されたベージュブックでも各地で「安定、もしくは強含み」と指摘されているところです。1-3月期のGDP成長率こそ冴えなかったものの、引用した記事の最後のパラにある通り、4-6月期は成長率も高まる予想が一般的であり、今冬の寒波による停滞を乗り切って、ここ2-3か月で米国景気の拡大テンポが加速している可能性があると私は受け止めています。FED の量的緩和政策の終了、いわゆるテイパリングも着実に実行されるんではないかと考えられますし、早ければ、来年にも金利引上げが始まる可能性があります。

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また、日本の経験も踏まえて、もっとも避けるべきデフレとの関係で、私が注目している時間当たり賃金の前年同月比上昇率は上のグラフの通りです。ならして見て、ほぼ底ばい状態が続いている印象です。逆にいえば、サブプライム危機前の+3%超の水準には復帰しそうもないんですが、同時に、底割れして日本のようにゼロやマイナスをつけて、デフレに陥る可能性は小さそうに見えます。ですから、欧州中央銀行は先の理事会でマイナス金利を適用してデフレ回避に全力を上げていますが、米国にはその必要はなさそうです。

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2014年6月 6日 (金)

呪われた交流戦カード初戦はまたまた絵に描いたような逆転負け!

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  HE
オリックス000000040 480
阪  神101000100 390

交流戦カード初戦は何をやっても負けと決まったようです。またまた絵に描いたような逆転劇が8回に待っていました。実は、私は7回ウラの攻撃を終えて、鳥谷選手のタイムリーで3点差とリードを広げた時点で、何の疑問もなくお風呂に入ってしまいました。お風呂から上がると、試合終了でヒーローインタビューのタイミングかと思っていたら、まだ8回ウラのタイガース攻撃中で、何と8回に4点取られて4-3と逆転されていました。前の楽天戦第1戦と同じで、プロレスの悪役よろしく、終盤まで圧倒的に有利に試合を進めながら、最後は逆転負けする役回りです。まさかとは思いますが、交流戦はこのままカード初戦を落とし続けるんでしょうか。どうも、今年のタイガースは勝負どころに弱いようですから、ペナントレースも期待が持てないもかもしれません。

明日こそ、
がんばれタイガース!

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消費増税により4月の景気動向指数CI一致指数は大きく下降!

本日、内閣府から4月の景気動向指数が発表されています。消費増税直後の景気統計ということで注目されたんですが、統計のヘッドラインとなるCI一致指数が前月から▲3.4ポイント下降して111.1となり、CI先行指数も▲0.5ポイント下降して106.6を記録しました。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

4月の景気一致指数、震災以来の下げ幅 基調判断を下方修正
内閣府が6日発表した4月の景気動向指数(CI、2010年=100)速報値は、景気の現状を示す一致指数が前月比3.4ポイント低下の111.1と、2カ月ぶりのマイナスだった。低下幅は東日本大震災のあった11年3月(6.7ポイント低下)以来3年1カ月ぶりの大きさ。消費増税前の駆け込み需要の反動で自動車や家庭用品の販売が鈍ったことや、輸送用機械や電子部品・デバイスの出荷が落ち込んだことが響いた。
内閣府は一致指数の動きから機械的に求める景気の基調判断を最上位の「改善を示している」から「足踏みを示している」に下方修正した。判断を引き下げるのは12年10月以来1年6カ月ぶり。
数カ月後の先行きを示す先行指数は0.5ポイント低下の106.6と3カ月連続のマイナスだった。消費増税で中小企業の売上見通しや消費者心理が引き続き悪化した。
景気に数カ月遅れる遅行指数は2.5ポイント低下の116.0だった。
指数を構成する経済指標のうち、3カ月前と比べて改善した指標が占める割合を示すDIは一致指数が20.0、先行指数が11.1だった。

いつもながら、簡潔によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、下のグラフは景気動向指数です。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた部分は景気後退期を示しています。すでに、5月30日付けのエントリーで紹介した通り、内閣府の景気動向指数研究会において第15循環の景気の谷は2012年11月であったと暫定的に同定されています。詳しくは「第15循環の景気の谷の暫定設定について」を参照下さい。

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2011年3月の震災以来の大きな落ち込みで、統計作成官庁の内閣府が基調判断を下方修正した、ということになれば、それなりのショックなんでしょうが、エコノミストの間ではほぼ予想通りの反応で受け止めています。日経QUICKによる市場の事前コンセンサスに従えば、▲3.7ポイントの低下が予想されていましたし、CI一致指数の下げ幅に対してCI先行指数の下げ幅がかなり縮小してきましたから、今年の年央以降7-9月期には景気は拡大基調に回帰すると見込まれています。上のグラフの上のパネルのCI一致指数と先行指数を見ても、水色の先行指数に着目すると、1次微分はまだマイナスながらも2次微分はプラスに転じた雰囲気が読み取れます。先行指数は早ければ来月にも前月比プラスに転じる可能性があると私は見込んでいます。相変わらず、景気動向指数は統計としての信頼性が高いと感じています。なお、CI一致指数のマイナス寄与は商業販売統計の小売販売額と卸売販売額が上位に出ています。これも予想通りの動きと考えるべきです。ただし、耐久消費財出荷がプラス寄与を示している一方で、輸送機械を除く投資財出荷が商業販売に続く大きなマイナス寄与を示しているのは、現時点までの景気拡大に対する家計部門と企業部門の寄与を勘案すれば、とても理解しやすいと受け止めています。

景気動向指数に現れた我が国の景気動向は、4月1日の消費増税をはさんで、ほぼ事前の想定通りの動きを示していると私は考えています。来週月曜日のGDP統計2次QEは大きなサプライズはないと予想していますが、年央以降の経済指標に注目です。

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2014年6月 5日 (木)

来週発表の2次QEは1次QEからわずかに下方修正か?

今週月曜日このブログでも取り上げたように法人企業統計が発表され、来週月曜日の6月9日に今年2014年1-3月期GDP速報2次QEが内閣府より公表される予定となっています。必要な経済指標がほぼ出尽くし、シンクタンクや金融機関などから2次QE予想が出そろいました。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、web 上でオープンに公開されているリポートに限って取りまとめると下の表の通りです。ヘッドラインは私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しています。可能な範囲で、先行き経済の動向に関する記述を取っているつもりですが、何分、2次QEですのでおおむねアッサリしたものだったりします。一応、先行きに言及しているのは、みずほ総研と伊藤忠経済研の2機関だけであり、この2機関についてはヘッドラインも長めに引用してあります。より詳細な情報にご興味ある向きは左側の機関名にリンクを張ってありますから、リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開いたり、ダウンロード出来たりすると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちに Acrobat Reader がインストールしてあって、別タブが開いてリポートが読めるかもしれません。

機関名実質GDP成長率
(前期比年率)
ヘッドライン
内閣府1次QE+1.5%
(+5.9%)
n.a.
日本総研+1.4%
(+5.5%)
1次QEから下方修正される見込み。
大和総研+1.4%
(+5.8%)
若干ながら一次速報から下方修正される見通しである。
みずほ総研+1.7%
(+6.8%)
4-6月期は年率▲4%前後の大幅なマイナス成長を予測。駆け込み需要の反動で、個人消費や住宅投資が落ち込む見込み。もっとも、7-9月期にはプラス成長に復し、景気後退は回避する見通し。
ニッセイ基礎研+1.5%
(+6.0%)
1次速報の前期比1.5%(年率5.9%)とほぼ変わらないだろう。
伊藤忠経済研+1.3%
(+5.5%)
4-6月期の実質GDP成長率を前期比年率▲5.8%と予想している。ただし、日本経済の落ち込みは一時的にとどまり、景気後退へは向かわず、7-9月期以降は年率2%程度の成長軌道へ復帰すると想定している。
第一生命経済研+1.4%
(+5.7%)
設備投資が上方修正、在庫投資が下方修正されるとみられるが、いずれも修正は小幅で、GDP成長率も1次速報からほとんど変化なしと予想する。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券+1.4%
(+5.7%)
1次速報の前期比年率5.9%から同5.7%に小幅下方修正されると予想する。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング+1.4%
(+5.6%)
下方修正が見込まれる。
三菱総研+1.4%
(+5.7%)
1次QE時点から小幅の下方修正を予想する。
日本経済研究センター+1.4%
(+5.6%)
小幅下方改定される見通し。

GDP統計のヘッドラインとなる成長率については、先月発表された1次QEからほぼ修正なしで、どちらかと言えば下方修正の可能性が高いものの、それでも消費増税前の駆込み需要などに支えられて前期比年率で+5%台後半の高い成長率が見込まれています。先行きについては、足元の4-6月期にマイナス成長に陥ることは確実としても、7-9月期にはプラス成長に復帰して、2四半期連続のマイナス成長というテクニカル・リセッションを記録することはない、との見通しがエコノミストの間の緩やかなコンセンサスではないかと私は受け止めています。
下のグラフは、かなり私の実感に合致するという意味で、伊藤忠商事経済研のリポートから引用しています。設備投資と在庫投資が1次QEから下方修正される一方で、その他の需要項目にはほとんど変化なく、全体として成長率が下方改定される形になっていますが、前期比年率成長率で5%台半ばから後半くらい、という結果です。

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2014年6月 4日 (水)

藤浪投手の好投と昨夜の鬱憤を晴らす打線爆発で楽天にボロ勝ち!

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  HE
阪  神034002000 9112
楽  天100000000 171

打線爆発で9点を取り楽天に大勝でした。昨夜の負け方が嫌な雰囲気でしたので、序盤から大量点が取れると試合展開も安心できます。前回の登板に続いて、先発藤浪投手も安定した投球を見せ7回まで1点に抑え4勝目を記録しました。復活なった福原投手も元気な投球を見せましたし、新井選手の先発出場もファンにはいいサービスだったかもしれません。

明後日からの甲子園での関西ダービーは、
がんばれタイガース!

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2014年6月4日の雑感 - 今年上半期のベストセラー文芸書とお気に入りのコマーシャル

去る6月1日に、東販から今年2014年上半期のベストセラーが発表されています。集計期間は2013年12月1日から2014年5月28日なんだそうですが、総合、文庫総合、単行本、新書、全集の5部門で、単行本は文芸書、ノンフィクション・教養書他、ビジネス書、ゲーム攻略本、児童書、実用書の6分野に、また、新書はノベルス、ノンフィクションノ2分野にさらに細分化されています。興味ふかい部門や分野も多いんですが、文芸書に限ってトップテンを東販のサイトから引用すると以下の通りです。

 書名著者出版社
1村上海賊の娘 (上・下)和田竜新潮社
2女のいない男たち村上春樹文藝春秋
3終物語 (中・下)西尾維新講談社
4海賊とよばれた男 (上・下)百田尚樹講談社
5ロスジェネの逆襲池井戸潤ダイヤモンド社
6インフェルノ (上・下)ダン・ブラウンKADOKAWA
7約束の海山崎豊子新潮社
8ペテロの葬列宮部みゆき集英社
9原発ホワイトアウト若杉冽講談社
10永遠の0百田尚樹太田出版

まったくの自慢話なんですが、トップテンのうち、3と7と9を別にして、その他の7冊は私はすでに読んでいます。それから3の『終物語』は上巻が少し遠くの図書館に届いており、今月いっぱいくらいかけて上中下巻を読もうと予定しているところです。残念ながら、7と9は現時点では予定が立っていません。

それから、お気に入りのコマーシャル2点です。まず、大塚製薬のポカリスエット・イオンウォーターCMの人魚姫篇です。YouTubeの大塚製薬公式チャンネルにアップされています。見ればわかると思いますが、深田恭子シリーズの最新版です。

それから、画像や動画は引用しませんが、高梨臨のJR東日本ビューカードのポスターが目につきます。私は通勤電車は高田馬場で西武線と山手線を乗り換えるんですが、4月くらいにはバスガイドさんの制服のようなコスチュームの高梨臨のポスターがやたらと貼ってありました。今でもいくつか残っています。ついでにどうでもいいことですが、西武線の駅で西武ライオンズの選手の交流戦に向けたポスターもいくつか目にします。タイガースは甲子園でライオンズに連敗したので少し目障りです。

取り上げたトピックのボリュームの観点から、「読書感想文のブログ」に分類しておきます。

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2014年6月 3日 (火)

楽勝ペースが最終回に暗転し楽天に逆転サヨナラ負け!

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  HE
阪  神000000120 380
楽  天000000004x 450

7回までは見応えのある投手戦を展開し、終盤に3-0までリードを広げながら、最終回に4点取られて楽天に逆転サヨナラ負けでした。結果的には、呉投手のリリーフ失敗ということになるのかもしれませんが、7回と8回の得点の後に併殺で追加点を取れなかった攻撃陣にも課題が残った気がします。アホらし

明日は、
がんばれタイガース!

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毎月勤労統計に見る所定内給与の低下は何に起因するのか?

本日、厚生労働省から4月の毎月勤労統計調査の速報が公表されています。統計のヘッドラインとなる現金給与総額は季節調整していない原系列の統計で見て前年同月比+0.9%増となったものの、所定内給与はマイナスでした。また、景気に敏感な所定外労働時間は季節調整済みの統計で前月比▲2.7%の減少を示しました。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

4月の現金給与総額、0.9%増 残業増え、2カ月連続プラス
厚生労働省が3日発表した4月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上)によると、従業員1人当たり平均の現金給与総額は前年同月比0.9%増の27万4761円と、2012年3月(0.9%増)に並ぶ2年1カ月ぶりの高い伸び率だった。増加は2カ月連続。残業代などの所定外給与や期末賞与を含む特別給与が伸びた。
所定外給与は5.1%増の2万564円と13カ月連続で増加した。景気回復を背景に生産活動が活発化している。製造業や卸売・小売業などがけん引し、高い水準で推移した。特別給与は20.5%増の1万208円だった。プラス幅は13年1月(22.1%増)以来1年3カ月ぶりの大きさ。収益改善を受けて期末賞与を支払う企業が増えた。
一方、基本給や家族手当などの所定内給与は0.2%減の24万3989円と、23カ月連続で減少した。新卒採用者が増加している一方、給与水準が高い団塊の世代の退職が続いており、所定内の平均額の減少につながっている。春季労使交渉でベースアップを実施する企業が増えたが影響は限られた。
残業などの所定外労働時間は6.4%増の11.6時間だった。このうち、製造業の所定外労働時間は8.0%増え、16.2時間となった。
正規雇用を中心にした一般労働者とパートタイム労働者を合計した常用雇用は1.3%増の4656万4000人。このうち一般労働者は0.6%増え、パートタイム労働者も2.8%増加した。一般労働者の伸び率は今年1月以降拡大傾向にある。
厚労省は同時に、雇用保険のコンピューターシステムのプログラムにミスがあり過去の統計の一部に誤りがあったと発表した。最近約3年間の賃金や労働時間などの指数を最大0.1ポイント修正した。

次に、毎月勤労統計のグラフは上の通りです。上のパネルは現金給与総額とその内の所定内給与のそれぞれの季節調整していない原系列の前年同月比を、下のパネルは季節調整した製造業の所定外労働時間を、それぞれプロットしています。影をつけた部分は景気後退期です。

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まず、上のパネルの賃金ですが、引用した記事にもある通り、残業代などの所定外給与や期末賞与を含む特別給与が伸びたことから現金給与総額が前年に比べて増加している一方で、消費と強い相関を有する所定内給与、すなわち、経済学的なカテゴリーで言うところの恒常所得に近い概念のお給料は減少しています。4月からベースアップの実施などで所定内給与がどれくらい伸びたのかについて、私なんぞは楽しみに統計を待っていたんですが、少し驚きの結果となりました。ひとつには、ベースアップなどの賃上げはまだ大企業に偏っており、中小企業に波及するには時間がかかる、という見方が出来ます。他方、知り合いのエコノミストから示唆されたんですが、4月の所定内労働時間は前年同月比で▲1.1%の減少を示しており、3月の▲0.1%減から減少幅を拡大していて、▲0.2%減を示した所定内給与の減少は実は労働時間の減少に起因する可能性がある、という見方です。単純に所定内労働時間と所定内給与を比較すれば、▲1.1%減と▲0.2%減ですから、労働時間当たりの所定内給与は上昇していることになります。この点については、現時点で得られる情報からは何とも判断できませんが、いずれにせよ、賃金についてはもう少し長い目で観察する必要があります。下のパネルの所定外労働時間については、アッサリと言うと、3月の駆込み需要の反動で4月の生産がやや落ちたわけですから、生産の派生需要である労働に対しても需要は低下していると言うわけです。所定内労働時間もある程度はこの影響であろうと推測しています。

ただし、労働時間とこれに起因する賃金の変動について考えると、我が国における4月と5月については前年同月で比較しても、ゴールデンウィークの日並びによる影響は避けられませんから、なかなか判断は難しいところです。

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2014年6月 2日 (月)

法人企業統計に見る設備投資と企業部門の資金余剰やいかに?

本日、財務省から1-3月期の法人企業統計が発表されています。ヘッドラインとなる売上と経常収益については製造業・非製造業ともに増収増益となり、設備投資も増加しています。まず、日経新聞のサイトから統計の詳細を報じた記事を引用すると以下の通りです。

1-3月期設備投資7.4%増 法人企業統計 4四半期連続プラス
財務省が2日発表した1-3月期の法人企業統計によると、金融業と保険業を除く全産業の設備投資は前年同期比7.4%増の12兆2307億円で、4四半期連続のプラスだった。伸び率は2013年10-12月期の4.0%増から拡大し、12年4-6月期(7.7%増)以来、7四半期ぶりの高さとなった。非製造業で引き続き設備投資が活発なうえ、製造業でも輸送用機械を中心に回復が目立った。
設備投資の産業別の投資動向をみると、製造業は6.8%増と2四半期連続で増加した。新型車対応で設備を増強した輸送用機械や、飲料関連の生産ラインを増強した食料品などの伸びが寄与した。非製造業は7.7%増と、4四半期連続で増えた。オフィスビルなどへの投資が増えた建設業や、大型商業施設の新規出店や空港ターミナルビル拡張などがあった不動産業の増加が目立った。
国内総生産(GDP)改定値を算出する基礎となり注目度が高いソフトウエアを除く全産業の設備投資は、季節調整して前期と比べると3.1%増と4四半期連続のプラスだった。
全産業の売上高は前年同期比5.6%増の345兆3293億円と、3四半期連続で増えた。製造業は5.8%増。輸送用機械や化学、食料品などが増えた。非製造業は5.6%増。建設業や卸売業、小売業が増加した。
経常利益は20.2%増の17兆4552億円と、9四半期連続で増えた。製造業は5.4%増。住宅向け建材設備や太陽光発電資材が好調だった金属製品のほか、コスト削減や円安効果が浸透した電気機械などが伸びた。非製造業は28.2%増。公共工事や戸建て需要の増加などで建設業が伸長したほか、4月からの消費増税を前に自動車や建材などを扱う卸売業の好調が目立った。
財務省は今回の調査結果を踏まえ、設備投資の回復や企業の業績改善が続いていることから「景気は緩やかな回復基調が続いている」との見方を示している。
同統計は資本金1000万円以上の企業の収益や投資動向を集計。今回の結果は内閣府が9日に発表する1-3月期のGDP改定値に反映される。

いつもの通り、とてもよくまとまった記事だという気がします。次に、法人企業統計のヘッドラインに当たる売上げと経常利益と設備投資をプロットしたのが下のグラフです。ただし、グラフは季節調整済みの系列をプロットしています。季節調整していない原系列で記述された引用記事と少し印象が異なるかもしれません。また、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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アベノミクスによる景気回復・拡大が製造業と非製造業を通じて浸透し、企業規模別にも、おおむね、いわゆる「全員参加」型の景気拡大の姿に近づいていると評価できます。特に、設備投資に関しては季節調整済みの系列が発表されるのは全産業のほか製造業・非製造業別だけで、季節調整していない原系列の統計のベースでしか細かい産業別や規模別の詳細が把握できないんですが、この2014年1-3月期になってようやく資本金10億円以上の大企業の設備投資額が前年同期比でプラスに転換しています。資本金1,000万円から1億円の区分の企業では昨年2013年4-6月期から、資本金1-10億円でも昨年7-9月期から設備投資がプラスに転じているんですが、ようやく資本金10億円以上の大企業も設備投資を増加させ始めたと言えます。大企業だけに設備投資全体への影響は大きく、ようやく底ばいを脱して徐々に増加傾向を強めると予想しています。先行指標である電力と船舶を除く民需のコア機械受注の動向とも整合的です。ただし、1次QEの設備投資が季節調整済みの前期比で+4.9%増でしたから、法人企業統計の名目ベースの前期比+3.1%増の結果から考えて、来週6月9日発表予定の2次QEで下方修正されるものの修正幅は大きくないと受け止めています。

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続いて、上のグラフは擬似的に私の方で試算した労働分配率及び設備投資とキャッシュフローの比率をプロットしています。労働分配率は分子が人件費、分母は経常利益と人件費と減価償却の和です。特別損益は無視しています。また、キャッシュフローは実効税率を50%と仮置きして経常利益の半分と減価償却の和でキャッシュフローを算出しています。このキャッシュフローを分母に、分子はいうまでもなく設備投資そのものです。いずれも、季節変動をならすために後方4四半期の移動平均を合わせて示しています。太線の移動平均のトレンドで見て、昨年10-12月期までは労働分配率も投資比率もともに低下を続けていましたが、1-3月期に入って設備投資比率は上昇しています。結果的に、私の計算では企業の資金余剰はようやく減少に転じたと考えているんですが、引き続き、高い水準の内部留保を持ち続けていることは変わりありません。企業部門の資金余剰が急速に縮小するとは考えられませんし、この資金余剰を企業部門から設備投資や賃上げの形で広く日本経済に均霑させることが重要、との私の見方にも変化ありません。ただし、1-3月期を対象とした調査結果ですから、ベースアップなどが織り込まれていない可能性が高く、取りあえず、設備投資にキャッシュフローが流れたんだろうと理解しています。現状の労働需給の引締りを受けて、また、春季の労使交渉の結果を踏まえた賃金改定の後、年央以降の賃金動向や労働分配率の行方を注目すべきです。

今日発表の法人企業統計を受けて、来週6月9日には1-3月期のGDP統計2次QEが発表される予定となっています。設備投資と在庫が小幅に下方修正され、成長率も当然下方修正されると私は見込んでいますが、詳細な2次QE予想は日を改めて取り上げたいと思います。

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2014年6月 1日 (日)

3番4番でワンチャンスをモノにし岩田投手が日本ハム打線を抑えて完勝!

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  HE
阪  神004000000 430
日本ハム000000100 161

3回に相手チームのフィルダース・チョイスのミスもありましたが、鳥谷遊撃手らしい押出しフォアボールと4番打者らしいゴメス選手の走者一掃のツーベースでワンチャンスをモノにし、日本ハムに完勝して昨夜の雪辱を果たした試合でした。今日は清水捕手に代えて梅野捕手を先発させましたが、打棒はともかく岩田投手の持ち味を活かす女房役としては合格点といえます。岩田投手のピッチングに関して言えば、昨年まで私から見て信頼感がイマイチだったんですが、今年は抜群の安定感で4回以降の打撃陣のゼロ行進も嫌な雰囲気を生じさせることなく、クローザーの呉投手につないでくれました。呉投手も西武戦のリリーフ失敗が信じられないような石直球の球威でピシャリと日本ハム打線を抑え切りました。

次の楽天戦も、
がんばれタイガース!

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今週のジャズ鑑賞は西山瞳ピアノソロ「クロッシング」

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今週のジャズ鑑賞のアルバムは西山瞳のピアノソロで「クロッシング」です。昨年2013年11月にリリースされています。何はさて置き、曲目構成は以下の通りです。

  1. Monochrome Flowers
  2. A.J. Crossing
  3. からたちの花
  4. Giraffe's Dance
  5. めぐり逢い
  6. That Day
  7. Il Tuo Amore
  8. 錦の館
  9. Paradigm Shift, Dimension Shift
  10. Le Vase de Sable
  11. Call
  12. 死んだ男の残したものは
  13. 月下に舞う

このピアニストの初めてのピアノソロによるアルバムです。日本人の女性ピアニストですから、当然比較の対象は上原ひろみや山中千尋になるべきなんですが、ちょっとジャズの傾向が違うので私のこのブログではパスします。キレイに弾こうとしているのはよく判りますが、流麗ではあっても迫力不足と言え、BGMでシャラシャラと流す音楽だという気がします。私がジャズに求めているピアノではありません。もっとも、世界ではジャズ・ピアノとして通用しなくても、こういったピアノを好きな日本人はいっぱいいると思います。このピアニストのホームページを拝見すると、昨年2013年にいくつかアルバムを出しているようで、実は、全部聞いたわけではないので断言するのは少し憚られますが、このピアニストのアルバムの中で、私が聞いたうちでは2006年のデビュー作「キュービウム」を超えるアルバムには残念ながらまだ接していません。

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