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2014年6月 2日 (月)

法人企業統計に見る設備投資と企業部門の資金余剰やいかに?

本日、財務省から1-3月期の法人企業統計が発表されています。ヘッドラインとなる売上と経常収益については製造業・非製造業ともに増収増益となり、設備投資も増加しています。まず、日経新聞のサイトから統計の詳細を報じた記事を引用すると以下の通りです。

1-3月期設備投資7.4%増 法人企業統計 4四半期連続プラス
財務省が2日発表した1-3月期の法人企業統計によると、金融業と保険業を除く全産業の設備投資は前年同期比7.4%増の12兆2307億円で、4四半期連続のプラスだった。伸び率は2013年10-12月期の4.0%増から拡大し、12年4-6月期(7.7%増)以来、7四半期ぶりの高さとなった。非製造業で引き続き設備投資が活発なうえ、製造業でも輸送用機械を中心に回復が目立った。
設備投資の産業別の投資動向をみると、製造業は6.8%増と2四半期連続で増加した。新型車対応で設備を増強した輸送用機械や、飲料関連の生産ラインを増強した食料品などの伸びが寄与した。非製造業は7.7%増と、4四半期連続で増えた。オフィスビルなどへの投資が増えた建設業や、大型商業施設の新規出店や空港ターミナルビル拡張などがあった不動産業の増加が目立った。
国内総生産(GDP)改定値を算出する基礎となり注目度が高いソフトウエアを除く全産業の設備投資は、季節調整して前期と比べると3.1%増と4四半期連続のプラスだった。
全産業の売上高は前年同期比5.6%増の345兆3293億円と、3四半期連続で増えた。製造業は5.8%増。輸送用機械や化学、食料品などが増えた。非製造業は5.6%増。建設業や卸売業、小売業が増加した。
経常利益は20.2%増の17兆4552億円と、9四半期連続で増えた。製造業は5.4%増。住宅向け建材設備や太陽光発電資材が好調だった金属製品のほか、コスト削減や円安効果が浸透した電気機械などが伸びた。非製造業は28.2%増。公共工事や戸建て需要の増加などで建設業が伸長したほか、4月からの消費増税を前に自動車や建材などを扱う卸売業の好調が目立った。
財務省は今回の調査結果を踏まえ、設備投資の回復や企業の業績改善が続いていることから「景気は緩やかな回復基調が続いている」との見方を示している。
同統計は資本金1000万円以上の企業の収益や投資動向を集計。今回の結果は内閣府が9日に発表する1-3月期のGDP改定値に反映される。

いつもの通り、とてもよくまとまった記事だという気がします。次に、法人企業統計のヘッドラインに当たる売上げと経常利益と設備投資をプロットしたのが下のグラフです。ただし、グラフは季節調整済みの系列をプロットしています。季節調整していない原系列で記述された引用記事と少し印象が異なるかもしれません。また、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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アベノミクスによる景気回復・拡大が製造業と非製造業を通じて浸透し、企業規模別にも、おおむね、いわゆる「全員参加」型の景気拡大の姿に近づいていると評価できます。特に、設備投資に関しては季節調整済みの系列が発表されるのは全産業のほか製造業・非製造業別だけで、季節調整していない原系列の統計のベースでしか細かい産業別や規模別の詳細が把握できないんですが、この2014年1-3月期になってようやく資本金10億円以上の大企業の設備投資額が前年同期比でプラスに転換しています。資本金1,000万円から1億円の区分の企業では昨年2013年4-6月期から、資本金1-10億円でも昨年7-9月期から設備投資がプラスに転じているんですが、ようやく資本金10億円以上の大企業も設備投資を増加させ始めたと言えます。大企業だけに設備投資全体への影響は大きく、ようやく底ばいを脱して徐々に増加傾向を強めると予想しています。先行指標である電力と船舶を除く民需のコア機械受注の動向とも整合的です。ただし、1次QEの設備投資が季節調整済みの前期比で+4.9%増でしたから、法人企業統計の名目ベースの前期比+3.1%増の結果から考えて、来週6月9日発表予定の2次QEで下方修正されるものの修正幅は大きくないと受け止めています。

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続いて、上のグラフは擬似的に私の方で試算した労働分配率及び設備投資とキャッシュフローの比率をプロットしています。労働分配率は分子が人件費、分母は経常利益と人件費と減価償却の和です。特別損益は無視しています。また、キャッシュフローは実効税率を50%と仮置きして経常利益の半分と減価償却の和でキャッシュフローを算出しています。このキャッシュフローを分母に、分子はいうまでもなく設備投資そのものです。いずれも、季節変動をならすために後方4四半期の移動平均を合わせて示しています。太線の移動平均のトレンドで見て、昨年10-12月期までは労働分配率も投資比率もともに低下を続けていましたが、1-3月期に入って設備投資比率は上昇しています。結果的に、私の計算では企業の資金余剰はようやく減少に転じたと考えているんですが、引き続き、高い水準の内部留保を持ち続けていることは変わりありません。企業部門の資金余剰が急速に縮小するとは考えられませんし、この資金余剰を企業部門から設備投資や賃上げの形で広く日本経済に均霑させることが重要、との私の見方にも変化ありません。ただし、1-3月期を対象とした調査結果ですから、ベースアップなどが織り込まれていない可能性が高く、取りあえず、設備投資にキャッシュフローが流れたんだろうと理解しています。現状の労働需給の引締りを受けて、また、春季の労使交渉の結果を踏まえた賃金改定の後、年央以降の賃金動向や労働分配率の行方を注目すべきです。

今日発表の法人企業統計を受けて、来週6月9日には1-3月期のGDP統計2次QEが発表される予定となっています。設備投資と在庫が小幅に下方修正され、成長率も当然下方修正されると私は見込んでいますが、詳細な2次QE予想は日を改めて取り上げたいと思います。

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