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2014年8月14日 (木)

機械受注の動向とと設備投資計画は整合的か?

本日、内閣府から6月の機械受注統計が発表されています。民間設備投資の先行指標である船舶・電力を除く民需の動向を見ると、5月前月比▲19.5%減の後、6月は+8.8%増の7,458億円となり、ややリバウンドに力強さを欠いています。また、船舶・電力を除く民需で定義されるコア機械受注の7-9月見通しについては、前期比+2.9%増の2兆3,484億円とわずかながら増加する見込みとなっています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

機械受注の回復鈍く 7-9月は2.9%増の見通し
内閣府が14日発表した6月の機械受注統計によると、民間設備投資の先行指標とされる「船舶・電力除く民需」の受注額(季節調整値)は前月比8.8%増の7458億円だった。前月が統計を遡ることができる2005年4月以降で最大の減少幅(19.5%減)だったため、反動で3カ月ぶりにプラスに転じた。ただQUICKが13日時点でまとめた民間予測の中央値(16.2%増)は大幅に下回った。
主な機械メーカー280社が製造業から受注した金額は6.7%増の3024億円と3カ月ぶりに増加した。電気機械向けの電気計測器や半導体製造装置、「その他製造業」向けのボイラーやタービンなどが伸びた。
船舶・電力を除いた非製造業から受注した金額も4.0%増の4441億円と2カ月ぶりのプラス。建設業向けの建設機械や卸売・小売業向けの冷凍機械などが増えた。
同時に発表した4-6月期の船舶・電力除く民需の受注額は10.4%減の2兆2824億円だった。4月、5月の落ち込みを補えず5四半期ぶりのマイナス。下げ幅は2009年1-3月期(12.3%減)以来、過去3番目の大きさだ。「ウィンドウズXP」のサポート終了に伴い、3月までに企業がパソコンの更新投資を活発化した反動が響いたことも一因とみられる。製造業、非製造業ともに弱い実績を踏まえ、内閣府は機械受注の判断を前月の「増加傾向に足踏みがみられる」から「一進一退で推移している」へと2カ月連続で下方修正した。
7-9月期の船舶・電力除く民需の受注額は2.9%増の見通し。製造業が引き続き軟調に推移する一方、非製造業で回復を見込む。

いつもながら、よく取りまとめられた記事だという気がします。次に、機械受注のグラフは以下の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその6か月後方移動平均を、下は需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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消費増税前の駆込み需要で、コア機械受注は3月に前月比+19.1%増を記録した後、4月▲9.1%減、5月も▲19.5%減と大幅なマイナスが続いて、6月は何とか3か月ぶりに+8.8%増とプラスに転じたものの、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスは+17.0%の大幅増だったわけですから、やや物足りない結果に終わりました。結局、消費増税直後の4-6月期は▲10.4%の大幅減となり、5四半期ぶりの前期比マイナスでした。引用した記事にもある通り、7-9月期もリバウンドは+2.9%増と回復の足取りは鈍くなっています。ただ、この9月までの年度上半期のコア機械受注の動きは、例えば、日銀短観に示された設備投資計画と整合的ではないと私は受け止めています。ですから、強気に見れば計画通りに年度後半にかけて設備投資が増加するとの見方が出来る一方で、弱気で見れば機械受注の通りに設備投資計画が下方修正されるとも考えられます。経常利益の水準や資金余剰の現状からして、前者の強気の見方に近い展開が望めるんではないかと私は考えていますが、輸出の動向次第では弱気の目が出る可能性も残されていると考えるべきです。その意味でも、統計作成官庁である内閣府の基調判断「一進一退」というのは、言い得て妙だという気がしないでもありません。

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ついでながら、機械受注の四半期統計が利用可能になりましたので、達成率のグラフは上の通りです。影をつけた部分は景気後退期なんですが、エコノミストの経験則として、達成率90%が景気の分かれ目となると考えられています。コア機械受注の達成率は1-3月期の105.7%の後、実に、4-6月期はその分かれ目の90%に急低下しました。景気転換に対してそれほど機械的な判断が下せる指標ではありませんが、気にかかるところです。

従来から何度も指摘してきましたが、今回の景気回復・拡大局面では、家計部門の強さと企業部門の弱さが好対照をなしています。機械受注と設備投資は後者の代表格と言えます。この企業部門が景気拡大に連ならないと、賃上げという形で家計所得のサポートが出来ません。日本企業のアニマル・スピリットはデフレ期にここまで徹底的に萎縮してしまったんでしょうか?

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