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2014年10月22日 (水)

今日発表の貿易統計から何が読み取れるか?

本日、財務省から9月の貿易統計が公表されています。季節調整していない原系列の統計で見て、ヘッドラインとなる輸出額は前年同月比6.9%増の6兆3832億円、輸入額も6.2%増の7兆3415億円、差引き貿易赤字は▲9583億円を記録しました。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

9月の貿易赤字9583億円、同月として過去最大 赤字は27カ月連続
財務省が22日発表した9月の貿易統計速報(通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は9583億円の赤字だった。貿易赤字は27カ月連続。9月としては13年(9432億円の赤字)を上回り、現行基準で比較可能な1979年以降で最大となった。輸出額はアジア向けを中心に拡大したものの、液化天然ガス(LNG)など燃料輸入や、米アップルの新型スマートフォン「アイフォーン6」発売に伴う中国からの通信機の輸入が増え、貿易赤字が膨らんだ。
輸出額は前年同月比6.9%増の6兆3832億円。輸出が前年同月を上回るのは2カ月ぶり。自動車や鉄鋼、船舶の輸出額の増加が寄与した。地域別では対アジアが8.1%増の3兆4410億円と2カ月ぶりに増加。うち中国は8.8%増の1兆1544億円で、9月としては最大となった。米国向けも2カ月ぶりの増加となった。輸出全体での数量指数も2.8%増えた。
一方、輸入額は6.2%増の7兆3415億円で、2カ月ぶりの増加。品目別ではLNGが21.0%増えたほか、携帯電話を中心とする通信機が11.6%増と目立ち、輸入額は9月としては79年以降で最大となった。地域別では、アジアからが8.8%増の3兆4411億円で、このうち中国が8.3%増の1兆8240億円。EUからは4.2%増の6988億円だった。アジア、中国、EUからの輸入額はいずれも9月としては過去最大だった。対米国も2カ月ぶりに増加に転じ、4.4%増の1兆1582億円だった。輸入全体の数量指数は3.0%増えた。
為替レート(税関長公示レートの平均値)は1ドル104円94銭で、前年同月比6.2%の円安。貿易収支は対米国が5407億円の黒字で、8カ月ぶりに前年同月比で黒字額が増えた。対中国の貿易赤字は6696億円で31カ月連続の赤字で、対EUの貿易赤字も491億円と21カ月連続して赤字だった。

いつもの通り、とてもよく取りまとめられている記事だという気がします。次に、貿易統計のグラフは以下の通りです。上下のパネルとも月次の輸出入を折れ線グラフで、その差額である貿易収支を棒グラフで、それぞれプロットしていますが、上のパネルは季節調整していない原系列の統計であり、下は季節調整済みの系列です。輸出入の色分けは凡例の通りです。

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ごく短い期間で為替が動いたほかは、大きな動きもなく、貿易収支は一種の「膠着状態」になっているように見受けられます。季節調整値で見て、輸出額は今年5月を底にして徐々に増加の兆しを見せ始めていますが、見ようによってはほぼ横ばい圏内の動きとも見えます。他方、9月に限れば輸出額以上に輸入額が増加し、貿易赤字はほぼ▲1兆円のあたりで高止まっています。中国は言うに及ばず、欧州との貿易赤字は景気局面の違いに起因します。我が国も景気後退局面に入った可能性が示唆されているにもかかわらず、それ以上に欧州景気の現状が思わしくないと受け止めています。ただし、原油市況は着実に下落を続けており、円安が少し進んだくらいでは円建ての支払い額が増加するようにも見えません、石油価格の下落は貿易赤字の縮小要因といえます。

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上のグラフは輸出の動向をフォローしています。上のパネルは季節調整していない輸出額の前年同月比の伸び率を数量と価格で要因分解しており、下のパネルは輸出数量とOECD先行指数のそれぞれの前年同月比をプロットしています。ただし、OECD先行指数は1か月だけリードを取っています。輸出数量の伸びはほぼゼロ近傍なんですが、先行きに関しては海外経済、特に新興国と欧州が回復するに従って増加基調へ向かうと期待していますが、問題はそのスピードです。足元では海外経済の減速感が高まる中、IMF「世界経済見通し」に示されたように、世界経済の景気回復がさらに後ズレするリスクが高まっていると考えるべきです。為替の円安も短期間で終了してしまった感がありますし、輸出が大きく伸びる状況にはないと覚悟すべきです。従って、貿易赤字も黒字転換するのはかなり先になりそうです。先月の貿易統計の発表時の見方と比較して、輸出の回復テンポについては少し悲観的な見方に傾きつつあります。

最後に、経常収支統計は未発表ですが、最初に書いた通り、貿易収支は「膠着状態」にありますので、7-9月期の外需寄与度はほぼゼロか、極めて小幅のプラスではないかと私は予想しています。4-6月期の外需寄与度は+1%を超えていましたので、7-9月期の成長率の足を引っ張りそうです。

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