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2014年10月 7日 (火)

本日発表の景気動向指数は景気後退局面入りを示唆しているか?

本日、内閣府から8月の景気動向指数が発表されています。CI一致指数は▲1.4ポイント下降して108.5、CI先行指数も同じく▲1.4ポイント下降して104.0を記録し、統計作成官庁である内閣府では基調判断を「下方への局面変化」に下方修正しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

8月の景気一致指数、1.4ポイント低下 基調判断「下方へ局面変化」
内閣府が7日発表した8月の景気動向指数(CI、2010年=100)速報値は、景気の現状を示す一致指数が前月比1.4ポイント低下の108.5だった。低下は2カ月ぶり。搬送装置など設備機械の生産が減少したうえ、自動車や家電の生産も低調だった。
内閣府は、一致指数の動きから機械的に求める景気の基調判断を4カ月続いた「足踏みを示している」から、「下方への局面変化を示している」に引き下げた。基調判断の引き下げは今年4月以来、4カ月ぶり。
数カ月後の先行きを示す先行指数は1.4ポイント低下の104.0だった。自動車など耐久消費財の在庫水準が悪化しており、3カ月ぶりに低下した。景気に数カ月遅れる遅行指数は0.4ポイント低下の118.0だった。
指数を構成する経済指標のうち、3カ月前と比べて改善した指標が占める割合を示すDI(最高は100)は一致指数が20.0、先行指数が44.4だった。

いつもながら、簡潔によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、下のグラフは景気動向指数です。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた部分は景気後退期を示しています。

photo

基調判断が「下方への局面変化」に下方修正されましたので、政府の景気判断基準である「『CIによる景気の基調判断』の基準」に従えば、「事後的に判定される景気の山・谷が、それ以前の数か月にあった可能性が高いことを示す。」ということを意味します。もっとも、この基調判断はCI一致指数の動きから機械的に求めていることも事実ですし、内閣府の「景気動向指数の利用の手引」に従えば、実際の景気転換点を判定するのはヒストリカルDIですから、今日示された景気動向指数の基調判断の基礎となっているCI一致指数とは異なる指標であることも確かであり、この結果だけを見て軽々な判断を下すことはできないようにも見えます。私も半分くらい同意しますが、、エコノミストの中には今年2014年1月をピークにしてすでに景気後退局面に入っている可能性を示唆する意見があるのもこれまた事実です。CI一致指数の項目別に細かく寄与度を見ると、最大のプラスの項目でも中小企業出荷指数(製造業)が+0.10にとどまり、マイナスは軒並み▲0.10を超えていますが、特に大きな項目は投資財出荷指数(除輸送機械)、生産指数(鉱工業)、所定外労働時間指数(調査産業計)などが上げられます。

来年早々にも景気動向指数研究会が開催されて、ヒストリカルDIを基に景気転換点を同定する可能性もありますが、来年2015年10月からの消費税率再引上げの判断はすでに12月中に終わっている可能性も残されています。12月に判断しないと政府予算案が組めないからです。なんとも悩ましいタイム・スケジュールです。

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