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2014年11月 8日 (土)

米国雇用統計は堅調に推移し米国経済の拡大を示す!

日本時間の昨夜、米国労働省から米国雇用統計が発表されています。いずれも季節調整済みの系列で見て、ヘッドラインとなる失業率は前月からさらに0.1%ポイント低下して5.8%を記録し、非農業部門雇用者数も前月から+214千人の増加を示しました。このデータが示されていれば、中間選挙の結果は少し違っていたかもしれません。まず、New York Times のサイトから記事を最初の4パラだけ引用すると以下の通りです。

Jobs Data Show Steady Gains Even as Voters Signal Anxiety
Only days after many voters complained that the economy was getting worse, the latest government report on jobs, released Friday, provided fresh evidence that it was getting better. Employers added an estimated 214,000 jobs in October, the Labor Department found, and the official jobless rate, bolstered by a big rise in the number of people finding jobs, dropped to 5.8 percent, down sharply from 7.2 percent last October.
The increase, combined with a revision that showed 31,000 jobs were added to the numbers previously reported for August and September, puts the average monthly employment gain for the past six months at 235,000 - an indication, analysts said, that the economy's progress was gaining momentum.
A range of other job measures all improved. More than 683,000 people reported that they found a job last month, according to a separate survey by the Labor Department. And the number of people walking away from the labor market has halted, while the average number of hours worked ticked up.
The primary disappointment was the lack of wage growth. Hourly average earnings have remained stuck, rising only 0.1 percent in October, on the heels of no gain in September. For the year, wage gains are up just 2 percent, barely ahead of the pace of inflation. That lack of progress is likely to cause the Federal Reserve to move cautiously before raising interest rates from their near-zero level.

まずまずよく取りまとめられている印象があります。この後に、労働参加率などの失業率と雇用者数以外の指標を含めてエコノミストへのインタビューなどが取り上げられていますが、長くなりますので割愛します。続いて、いつもの米国雇用統計のグラフは下の通りです。上のパネルは非農業部門雇用者数の前月差増減の推移とそのうちの民間部門、下のパネルは失業率です。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。全体の雇用者増減とそのうちの民間部門は、2010年のセンサスの際にかなり乖離したものの、その後は大きな差は生じていません。

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ヘッドラインとなる火農業部門雇用者の前月差伸びが、市場の事前コンセンサスでは235千人くらいでしたので、これは下回ったものの、さかのぼって改定された8-9月の前月差増加数がそれぞれ203千人、256千人と以前の公表値から上方修正され、8-10月の3か月の非農業部門における雇用者数の平均伸びは毎月224千人ですし、失業率も2か月連続で6%を下回って、10月はとうとう5.8%に達しましたから、米国の雇用は堅調に推移していると受け止めています。この先のクリスマス商戦もにらみつつなんでしょうが、米国連邦準備制度理事会(FED)は量的緩和のテイパリングを進める可能性が一段と高まったと考えるべきです。産業別の雇用者数を見ても、10月は製造業が15千人増加したほか、建築業も12千人増え、民間サービス部門での雇用者数は181千人増、教育や医療関連が41千人増、クリスマス商戦を控えた小売りでも27千人増と、軒並み雇用者数を増加させています。

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特に目立つのが新規の求人増です。最新データでも8月までしか情報がアップデートされておらず、失業率や雇用者数の統計のような10月の足元の数字はまだ入手できないんですが、マンキュー教授のブログでも注目しており、上のグラフはそのマネをしています。新規求人数がリーマン・ショック前の水準に到達したのが見て取れます。

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また、日本の経験も踏まえて、もっとも避けるべきデフレとの関係で、私が注目している時間当たり賃金の前年同月比上昇率は上のグラフの通りです。ならして見て、ほぼ底ばい状態が続いている印象です。逆に言えば、サブプライム危機前の+3%超の水準には復帰しそうもないんですが、同時に、底割れして日本のようにゼロやマイナスをつけて、デフレに陥る可能性は小さそうに見えます。

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