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2014年11月 6日 (木)

景気動向指数の基調判断は「悪化」ではなく「局面変化」で据え置かれ景気後退局面入りは避けられたか?

本日、内閣府から9月の景気動向指数が発表されています。CI一致指数は前月比+1.4ポイント上昇して109.7を、また、CI先行指数も+1.2ポイント上昇の105.6を、それぞれ記録しました。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

景気一致指数、9月1.4ポイント上昇 基調判断据え置き
内閣府が6日発表した9月の景気動向指数(CI、2010年=100)速報値は、景気の現状を示す一致指数が前月比1.4ポイント上昇の109.7と2カ月ぶりのプラスだった。自動車やテレビといった耐久消費財の出荷が好調だったほか、自動車用エンジンやスマートフォン(スマホ)部品の生産が伸びた。
内閣府は一致指数の動きから機械的に求める景気の基調判断を前月までの「下方への局面変化を示している」で据え置いた。
数カ月後の先行きを示す先行指数は1.2ポイント上昇の105.6と2カ月ぶりのプラスだった。鉄鋼業や電子部品・デバイス工業で在庫が減ったことや、新設住宅着工床面積が伸びたことが寄与した。
景気に数カ月遅れる遅行指数は1.9ポイント低下の115.8だった。完全失業率や家計消費支出の悪化が響いた。
指数を構成する経済指標のうち、3カ月前と比べて改善した指標が占める割合を示すDIは一致指数は55.6、先行指数が33.3だった。

いつもながら、簡潔によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、下のグラフは景気動向指数です。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた部分は景気後退期を示しています。そろそろ、このブログのローカル・ルールにより、今年1月をピークとし8月をトラフとする景気後退期をブログの管理者権限で勝手に暫定設定しようかと考えないでもないんですが、取りあえず、さ来週の1次QEまで待ちたいと思います。たぶん、その次の来月の景気動向指数まで待つような気もします。

photo

ということで、引用した記事にもある通り、統計作成官庁である内閣府では基調判断を「下方への局面変化」に据え置きました。ひとまず、というか、何というか、「悪化」への機械的な下方修正はなされていません。ところで、内閣府の発表する概要リポートには、なぜか、先月の8月指数の発表時から「『CIによる景気の基調判断』の基準」と題するメモが2枚目につけられているんですが、これに従えば、「悪化」の基準は「原則として3か月以上連続して、3か月後方移動平均が下降した場合。」と示されています。9月のCI一致指数は3か月後方移動平均が0.13 ポイント上昇し、6か月ぶりの上昇となった一方で、7か月後方移動平均は0.47 ポイント下降し、4か月連続の下降を記録しています。CI一致指数を構成するコンポーネントのうち耐久消費財出荷指数、鉱工業生産財出荷指数、生産指数(鉱工業)、前年同月比で見た商業販売額(卸売業)がプラスの寄与が大きく、逆に、大口電力使用量と有効求人倍率のマイナス寄与が大きくなっています。

繰返しになりますが、このブログだけのローカル・ルールとはいえ、今年1月をピークとして8月をトラフとする景気後退期の設定はもう少し様子を見たいと思います。上のグラフでもCI先行指数がほぼ下げ止まって、CI一致指数とともに反転上昇の兆しもあり、日銀の追加緩和もラグを伴いつつ効果を示す可能性があります。ギリギリ景気後退は避けられたかもしれません。

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