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2014年12月24日 (水)

2060年の世界貿易はどうなっているか?

経済学の論文ではありませんが、12月1日に経済協力開発機構(OECD)から超長期の世界貿易、すなわち、2060年の世界の貿易パターンを探るリポート "Trade Patterns in the 2060 World Economy" が発表されています。実は、今年2014年7月に50年後の政策課題を考えるリポート "Policy Challenges for the Next 50 Years" も明らかにされており、その姉妹編ということになります。この7月のリポートはブログでは取り上げなかったように記憶しています。7月に公表された50年後の政策課題を模索するリポートと12月に発表された世界の貿易パターンを試算するリポートの参照先は次の通りです。

国際機関のリポートを取り上げるのは、何といっても、このブログの特徴のひとつですから、今夜のエントリーでは、いくつかグラフを引用しつつ、簡単にリポートを紹介したいと思います。

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まず、貿易パターンに関するリポートの p.18 Figure 4. Growth in real GDP over the next 50 years を引用すると上の通りです。いわゆる「収斂理論」ではありませんが、成長率は先進国であるOECD加盟国と新興国・途上国である非加盟国の間で緩やかに収束に向かいます。リポートでは、"Over the next half century, world GDP is projected to grow on average around 3% per year with declining rates in many countries. Up until 2030, world growth will be sustained by a rising weight of China and India with high, albeit declining, growth while after 2030 fast growth in Africa is expected to support world growth. The OECD trend GDP growth is projected at about 2% annually until 2050-2060, and growth in emerging economies will continue to outpace the OECD, but the difference will narrow over coming decades as income levels in emerging economies catch up to those in the OECD." (pp.17-18 paragraph 44) とされています。

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そして、興味深いのは世界の貿易シェアであり、貿易パターンに関するリポートの p.20 Figure 6. The geographical distribution of trade will shift を引用すると上の通りであり、米国やユーロ圏欧州が2012年から2030年そして2060年にかけて、輸出で定義された世界貿易のシェアを緩やかに低下させて行く一方で、日本は2030年から2060年にかけてわずかながらもシェアを回復します。アジア新興国の両雄である中国とインドも対照的です。中国は2012年から2030年ではシェアを大きく伸ばすのに対して、2030年から2060年では逆にシェアを低下させます。インドはこの期間で緩やかながら着実にシェアを上昇させます。途上国では、2030年から2060年にかけてアフリカがかなり大きくシェアを伸ばすのが印象的です。雑な表現かもしれませんが、"In terms of geographical distribution, there will be large shifts in trade patterns, reflecting among other things uneven developments in income across the globe as well as changes in comparative advantages." (p.19 paragraph 47) ということになります。

7月に公表された50年後の政策課題を考えるリポートでは、教育年限の伸長と生産性の関係や移民の活用、さらに、気候変動問題などのいかにも長期的な政策課題が取り上げられていましたが、貿易パターンの変化も明らかにされ、シーマン・ショック後の金融危機を乗り越えて、新たな長期政策の課題を模索する余裕ができたのかもしれません。

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