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2014年12月 2日 (火)

毎月勤労統計に見る雇用の質的改善やいかに?

本日、厚生労働省から10月の毎月勤労統計が発表されています。ヘッドラインとなる現金給与総額は季節調整していない原系列の統計で26万7935円と前年同月比+0.5%増を記録し、また、景気に敏感な所定外労働時間指数は製造業の季節調整済みの系列で前月から+1.8%増と、生産と足並みをそろえて増加しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

10月の給与総額0.5%増 実質は2.8%減
厚生労働省が2日まとめた10月の毎月勤労統計調査(速報値)によると、パートを含む労働者1人が受け取った現金給与総額の平均は前年同月より0.5%多い26万7935円となり、8カ月連続で増えた。物価上昇による目減り分を考えると、実質2.8%減と16カ月連続のマイナスだった。物価の上昇に賃金の伸びは追いついていないが、マイナス幅は2カ月連続で縮まっている。
従業員5人以上の事業所を調べた。ベースアップの広がりで、基本給を示す所定内給与は0.4%増と5カ月連続で増えた。残業代など所定外給与も伸びた。
所得の動きをどう見るかは2日公示の衆院選でも争点となっている。1日の日本記者クラブ主催の党首討論会では民主党の海江田万里代表が物価上昇で実質賃金はマイナスだと批判したのに対し、安倍晋三首相(自民党総裁)が1人当たりの平均賃金ではなく雇用者数の伸びを掛け合わせた総額で考えるべきだと反論する場面もあった。
業種別の現金給与総額をみると、郵便局など複合サービス業が5.9%増えたほか、学術研究(4.5%増)、不動産・物品賃貸業(2.5%増)が好調だった。製造業も1.7%増えた。
毎月勤労統計の速報値は調査対象にパート労働者の数が少なく、数字が実態よりも高く出やすい。今月中旬に発表する確報値では下方修正される可能性がある。

次に、毎月勤労統計のグラフは上の通りです。上のパネルは現金給与総額とその内の所定内給与の季節調整していない原系列の前年同月比を、真ん中のパネルは季節調整した製造業の所定外労働時間を、下のパネルはフルタイムとパートタイムの就業形態別雇用の季節調整していない原系列の前年同月比を、それぞれプロットしています。影をつけた部分は景気後退期です。

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物価上昇を勘案した実質の賃金の伸びはまだマイナスですが、季節調整していない原系列の統計の前年同月比で見て、名目では、引用した記事にもある通り、現金給与総額で3月から8か月連続、所定内給与で6月から5か月連続で、それぞれプラスを記録しています。上のグラフのうちの真ん中のパネルを見ても、消費に影響を及ぼすいわゆる恒常所得部分である所定内給与がこのところ増勢を強めているのが見て取れます。グラフと順番が逆になりましたが、一番上のパネルの製造業における所定外時間指数は鉱工業生産指数に従って反転上昇に転じた可能性が高いと受け止めています。労働需要は生産から生じる派生需要ですので、鉱工業生産指数と所定外労働時間指数はともに直近では2014年3月ピークの8月トラフと一致した動きを示しています。ただし、4月から8月までの5か月間を景気後退期と同定するかどうかは、何ともビミョーなところです。私が決めていいのであれば、景気後退期にはせずにパスするんではないかと思います。最後の一番下のパネルは就業形態別雇用の推移であり、フルタイムの一般労働者とパートタイムのそれぞれの前年同月比伸び率をプロットしています。最近時点で、フルタイムの一般労働者の伸びが高まっているのが見て取れ、ほぼパートタイムと伸び率が同等に達しています。

労働市場については、まだまだ、大和総研のリポート「人手不足は本当に深刻なのか?」に見られるように、メディアでの「人手不足」の報道が先行しているだけであって、経済全体としては人手不足が深刻かどうかに疑問を呈する意見も少なくありませんが、そろそろ、量的な雇用の拡大局面から質的な改善局面、すなわち、賃金の上昇や正規雇用の増加などが生じやすくなっていることは事実であろうと受け止めています。

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