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2015年2月19日 (木)

1月貿易統計で輸出数量増と輸入価格低下で貿易赤字は大幅に縮小!

本日、財務省から1月の貿易統計が発表されています。季節調整していない原系列の統計で見て、ヘッドラインとなる輸出額は前年同月比+17.0%増の6兆1447億円、輸入額は▲9.0%減の7兆3222億円、差引き貿易収支は▲1兆1775億円の赤字を記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

1月の貿易赤字1兆1775億円、前年比57%減 輸出額17%増
財務省が19日発表した1月の貿易統計速報(通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は1兆1775億円の赤字で、赤字額は2兆7950億円だった前年同月に比べ57.9%減少した。貿易赤字は31カ月連続。QUICKが18日までにまとめた民間予測の中央値は1兆6813億円の赤字だった。原油価格の低下で輸入額が押し下げられたほか、輸出回復が寄与し、貿易赤字は市場予想を大きく超す縮小幅となった。
輸出額は前年同月比17.0%増の6兆1447億円で、5カ月連続で前年同月を上回った。品目別では自動車、半導体等電子部品、船舶などの輸出増が寄与した。地域別では対米国が自動車などの輸出増が寄与し16.5%増の1兆1927億円。対アジアは22.7%増の3兆3141億円、うち対中国は20.8%増の1兆419億円。アジア、中国からの輸出額はいずれも比較可能な1979年以降で1月としては過去最大となった。対欧州連合(EU)は7.4%増の6563億円で、英国向けの自動車、船舶の伸びが寄与した。輸出全体の数量指数は前年同月比11.2%増加した。
一方、輸入額は前年同月比9.0%減の7兆3222億円で、2カ月ぶりに前年同月を下回った。原油価格の低下を反映して原粗油の輸入額は前年同月比40.5%減少し、6カ月連続で前年同月を下回った。このほか、ナフサなどの石油製品、液化石油ガス(LPG)などの減少も目立った。地域別では対米国が1.4%減の6473億円。対アジアは3.0%減の3兆5630億円で、うち対中国は6.9%減の1兆7783億円。アジア、中国からの輸入はいずれも5カ月ぶりに減少した。輸入全体の数量指数は前年同月比6.3%減り、4カ月連続で前年同月を下回った。
為替レート(税関長公示レートの平均値)は1ドル=119円27銭で、前年同月比14.1%の円安だった。

いつもの通り、とてもよく取りまとめられている記事だという気がします。次に、貿易統計のグラフは以下の通りです。上下のパネルとも月次の輸出入を折れ線グラフで、その差額である貿易収支を棒グラフで、それぞれプロットしていますが、上のパネルは季節調整していない原系列の統計であり、下は季節調整済みの系列です。輸出入の色分けは凡例の通りです。

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単純にグラフを見て、特に、季節調整済みの系列をプロットした下のパネルから明らかなように、最近数か月で輸入額が減少を続ける一方で、輸出額が上向きになっているのが読み取れます。輸入額の減少は明らかに、国際商品市況における原油価格の下落が大きく影響しています。例えば、半年前の2014年7月統計と本日発表の2015年1月統計における原油及び粗油の輸入を見比べると、半年前は1638万klで1兆1701億円に上っていましたが、直近では暖房需要も含めて1752万klと数量は増加しているものの、輸入額では逆に8393億円に急減しています。輸出は次のグラフを見た後で詳細に検討するとしても、当然ながら、両者の差分たる貿易収支の赤字幅が縮小しています。私の知り合いのエコノミストの中には、来月発表の2月の貿易統計では貿易収支は黒字転換するとか、いや3月統計から黒字だとか、そういった見方が決して勇み足とも思えずに受け止められているような気がします。実は、日経センターが取りまとめている「ESPフォーキャスト」では、先日2月10日の公表資料ではまだ、貿易収支が「数年内に黒字転換しない」が過半のエコノミストの支持を受けていたんですが、来月かさ来月あたりから変化を見せるかもしれないと、私は楽しみにしていたりします。

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次に、輸出の動向は上のグラフの通りです。上のパネルは季節調整していない原系列の輸出額指数の前年同月比を数量指数と価格指数で寄与度分解したものであり、下のパネルは同じく原系列の輸出額の最近の前年同月比伸び率について、対世界輸出、対アジア輸出、対北米輸出、対EU輸出のそれぞれの伸びをプロットしています。引用した記事にもある通り、地域別に輸出はアジア向けやべ尾国向けなどで大きな増加を示しています。押しなべて、為替の円安効果が出始めたんではないかと受け止める向きが多いんですが、特にアジア向け輸出に関しては、春節効果も見逃せません。すなわち、昨日2月17日から24日まで中国は7連休と私は聞き及んでいますが、今年は2月に設定されている春節に入る前の段階の1月のうちに日本からの駆込み輸出が出たんではないか、という効果です。もしもそうなら、逆に、2月はこの反動でアジア向け、特に中国向けの輸出が伸び悩む可能性は否定できません。また、順番が逆になりましたが、上のパネルから輸出の伸びが為替要因の価格によるものではなく、少なくとも1月の輸出は数量に支えられていることが明らかに読み取れます。

実は、私は今日通勤の帰路にターミナル駅近くのデパートに立ち寄ったんですが、何と、季節外れの福袋が並んでいました。中国からの春節休みを利用した観光客を当て込んだものだという解説を聞いてしまいました。一昔前と違って、中国の春節が我が国経済に及ぼす影響がいろんなところに現れているような気がします。

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