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2015年6月 6日 (土)

米国雇用統計は順調な米国景気の拡大を示すのか!

昨日、米国労働省から5月の米国雇用統計が公表されています。季節調整済の系列で見て、ヘッドラインとなる非農業部門雇用者の前月からの増加は+280千人を、失業率は前月から+0.1%ポイント上昇したものの依然として低水準の5.5%を、それぞれ記録しています。まず、New York Times のサイトから記事を最初の5パラだけ引用すると以下の通りです。

Strong Job Growth Data Eases Concerns After Winter Dip in Economy
You could almost hear the sighs of relief.
Worries about the American economy's momentum were blunted on Friday by the government's announcement that e mployers added a hefty 280,000 jobs in May, well above the monthly average logged over the last year.
The official unemployment rate ticked up slightly to 5.5 percent as more Americans jumped back into the labor pool and began the job hunt. Hourly wages, which have grown fitfully, rose 0.3 percent last month, possibly helping to lure back some discouraged workers who had been staying on the sidelines.
The new data is likely to buttress the argument that the economy's modest contraction in the first quarter and other pasty-faced reports were a blip, partly a casualty of the harsh winter, rather than evidence of a more fundamental slowdown.
The return of stronger job growth is also likely to bolster the resolve of Federal Reserve officials who hope to start raising interest rates from their near-zero level later this year.

やや長いものの、包括的によく取りまとめられている印象です。続いて、いつもの米国雇用統計のグラフは下の通りです。上のパネルは非農業部門雇用者数の前月差増減の推移とそのうちの民間部門、下のパネルは失業率です。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。全体の雇用者増減とそのうちの民間部門は、2010年のセンサスの際にかなり乖離したものの、その後は大きな差は生じていません。

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非農業部門雇用者数の前月からの増加幅に関して、市場の事前コンセンサスは220-30千人でしたから、かなりこれを上回った結果だと受け止められているようです。しかも、異常気象だった冬季を過ぎて、西海岸の港湾労働紛争も集結し、4月の+221千人に続いて5月も+280千人の雇用増と、米国労働市場の一応の目安とされる+200千人増を軽く上回っていますので、米国経済が冬季の減速を終えて本格的に回復軌道に戻りつつあることが実感されます。特に、小売業の雇用増が消費の回復を示唆していると考えるべきです。失業率も先月から+0.1%ポイント上昇しましたが、景気回復に伴って労働市場に復帰する失業者の増加による労働参加率の高まりも同時に生じており、決して悪い数字と考える必要はありません。市場の観測によれば、米国連邦準備制度理事会(FED)は早ければ9月か10月にでも利上げを開始しそうですが、先週5月28日に明らかにされた国際通貨基金(IMF)の 2015 Article IV Consultation のステートメントではインフレ率との見合いで、場合によっては "keeping the fed funds rate at 0-0.25 percent into the first half of 2016" も imply される、と結論しています。とても回りくどい表現ですが、京都人として何となく理解できるものがあったりします。

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また、日本やユーロ圏欧州の経験も踏まえて、もっとも避けるべきデフレとの関係で、私が注目している時間当たり賃金の前年同月比上昇率は上のグラフの通りです。ならして見て、ほぼ底ばい状態が続いている印象です。サブプライム・バブル崩壊前の+3%超の水準には復帰しそうもないですが、まずまず、コンスタントに+2%のライン周辺で安定していると受け止めており、少なくとも、底割れしてかつての日本や現在の欧州ユーロ圏諸国のようにゼロやマイナスをつけてデフレに陥る可能性は小さそうに見えます。

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