国際通貨基金(IMF)の「世界経済見通し改定」World Economic Outlook (WEO) Update やいかに?
日本時間の昨日、国際通貨基金(IMF)から「世界経済見通し改定」World Economic Outlook (WEO) Update が公表されています。副題は、Slower Growth in Emerging Markets, a Gradual Pickup in Advanced Economies とされており、新興国経済が引き続き停滞から抜け出せないものの、先進国経済はゆるやかに成長を高める、との見通しを提示しています。ただし、米国を中心に今年2015年1-3月期に成長の鈍化が見られたことから全体的に今年の成長率見通しは引き下げられています。しかも、下方改定幅は新興国よりも先進国の方が大きかったりします。まず、IMFの見通し総括表を IMF Survey Magazine のサイトから引用すると以下の通りです。なお、いつもの通り、クリックすると詳細なpdfファイルが別タブで開くようにリンクを張ってあります。なお、全文リポートは英語版、日本語版ともアップされており利用可能です。
世界経済の成長率見通しは、今年2015年1-3月期の米国のマイナス成長などを反映して、4月時点の見通しから▲0.2%ポイント下方修正されて+3.3%と見込まれています。ただし、来年2016年は4月時点から変わらず+3.8%成長と予測されています。日本の成長率についても、2015年は4月時点の見通しから▲0.2%ポイント下方修正されて+0.8%、来年2016年は変わらず+1.2%とされています。もっとも、日本経済に関する記述はかなり少なくなったように見受けます。従って、先進国経済については米国と欧州に終始している印象で、米国経済については、ファンダメンタルズと考えられる賃金の伸び、労働市場環境、緩和的な金融環境、燃料価格の下落、及び力強さを増した住宅市場などに変化はないと指摘し、欧州については、、総じて堅調に内需が回復しインフレ率が上昇をはじめるなど概ね軌道上にあるとしています。もちろん、ギリシアへの言及も忘れられているわけではありません。米欧に続いて、ホンの少しだけ日本経済にも言及があり、実質賃金と消費の基本的な勢いが弱くなっている ("weaker underlying momentum in real wages and consumption") と指摘されています。
短期的見通しにかかるリスクの分布については、引き続き、若干下振れに偏っているとし、上振れリスクは原油価格の下落による景気押上げ効果だけを指摘しています。このため、財政余地を備えた国ではインフラ投資の拡大などにより短期的な財政スタンスを緩和すべきであると主張しています。ただ、日本を含めて、ということなんでしょうが、公的債務が過重な国では財政健全化のペースを債務削減と経済活動への負担の間で適切にバランスを取るべきとの見方を示しています。

目を国内に転じると、本日、内閣府から消費者態度指数が公表されています。代表的な需要サイドの消費者マインドといえます。6月統計では前月から少し上昇して41.7を記録しました。

また、日銀から企業物価 (PPI)が公表されています。ヘッドラインとなる国内物価上昇率は前年同月比で▲2.4%の下落となりました。昨年4月の消費増税の影響が一巡するとともに、国際商品市況における原油価格低下の影響で前年比マイナスを続けています。
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