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2015年7月 8日 (水)

大きく低下した景気ウオッチャーと黒字が続く経常収支から何が読み取れるか?

本日、内閣府から6月の景気ウォッチャーが、また、財務省から5月の経常収支が、それぞれ公表されています。景気ウォッチャーは代表的な供給サイドのマインド調査ですが、6月の現状判断DIは前月から▲2.3ポイント低下の51.0を記録しました。また、経常収支は季節調整していない原系列の計数で+1兆8809億円の黒字でした。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

6月の街角景気、現状判断指数は2カ月連続悪化
内閣府が8日発表した6月の景気ウオッチャー調査(街角景気)によると、街角の景気実感を示す現状判断指数は51.0で、前月比2.3ポイント低下(悪化)した。悪化は2カ月連続。家計動向で小売関連の指数が低下した。
2-3カ月後を占う先行き判断指数は53.5で、1.0ポイント低下した。悪化は7カ月ぶり。家計動向や雇用関連が低下した。
内閣府は基調判断を「緩やかな回復基調が続いている」に据え置いた。
経常収支、5月は1兆8809億円の黒字 5月として8年ぶり高水準
財務省が8日発表した5月の国際収支状況(速報)によると、モノやサービスなど海外との総合的な取引状況を表す経常収支は1兆8809億円の黒字だった。黒字は11カ月連続で、前年同月の5129億円の黒字から大幅に改善した。5月としては、2007年以来8年ぶりの高水準だった。QUICKがまとめた民間予測の中央値(1兆5500億円程度の黒字)も上回った。
企業が海外子会社から受け取る配当金収入などにあたる第1次所得収支が5月として過去最大を記録した。原油価格が下落し、輸入額が大幅に減少した。旅行や輸送などのサービス収支が3月に次いで2度目の黒字になった。サービス収支のうち、旅行収支が単月で過去2番目の黒字幅だったほか、知的財産権など使用料の黒字額も過去最高だった。
5月の貿易収支は473億円の赤字だった。前年同月の6987億円の赤字からは大幅に改善した。中国の景気減速を背景に、輸出額が5兆7072億円と、前年同月と比べ79億円(0.1%)減った。一方、輸入額は5兆7545億円と、6593億円(10.3%)減った。原油や天然ガスなどの資源価格の低下が主因だ。
第1次所得収支は2兆130億円の黒字と、5541億円増えた。5月としての黒字額は比較可能な1985年1月以降で最大だった。配当金収益や債券利子が拡大した。
サービス収支は1037億円の黒字だった。サービス収支のうち、旅行収支は1031億円の黒字だった。単月として96年1月以降で最高となった4月に次ぐ黒字幅を記録した。円安を背景に訪日外国人客数が増えている。自動車関連のロイヤルティーの受取額が増えたこともサービス収支の黒字に寄与した。

2つの記事を引用したのでやや長くなったものの、いずれも、よく取りまとめられた記事だという気がします。次に、景気ウォッチャーのグラフは以下の通りです。現状判断DIと先行き判断DIをプロットしています。色分けは凡例の通りです。また、影をつけた部分はいずれも景気後退期です。

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改めて統計のヘッドラインを再録すると、景気の現状判断DIは前月から▲2.3ポイント低下して51.0となり、先行き判断DIも▲1.0ポイント低下の53.5でした。現状判断DIは2か月連続の低下、先行き判断DIは7か月振りに今年に入って初めて低下しています。景気ウォッチャーは3つのコンポーネントから構成されているんですが、6月の現状判断DIについては、家計動向関連DIが小売関連を主因に低下した一方で、企業動向関連DIが製造業を主因に上昇しています。3つ目のコンポーネントである雇用関連DIは低下しています。ということで、家計動向が低下、企業動向が上昇と、消費の低迷と設備投資などの回復が特徴的な結果を示していると私は受け止めています。2012年暮れのアベノミクス以来、しばらく家計が我が国景気をけん引した後、昨年4月の消費増税で消費が大きく落ち込んだ後、今年に入って設備投資などから企業がようやく景気のけん引役に戻ったのかもしれません。もっとも、足元の4月から新興国などの海外景気を主因として景気は踊り場に入ったと見られますので、設備投資などの企業活動だけでなく、ボーナスや賃上げによる所得の増加に支えられた消費の拡大による家計からの景気のサポートも必要です。6月の景気ウォッチャー調査の結果は、この家計部門がまだ本格的に回復していないとのマインドを示しているわけですから、企業と家計の両輪がそろっての景気拡大にはもう少し時間がかかるのかもしれません。

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次に、経常収支のグラフは上の通りです。青い折れ線グラフが経常収支の推移を示し、その内訳が積上げ棒グラフとなっています。色分けは凡例の通りです。引用した記事にもある通り、5月の経常収支は季節調整していない原系列の統計で1兆8809億円を超える黒字を計上しましたが、上のグラフに見る季節調整済みの系列でも、3月に経常黒字が2兆円を超えた後、4-5月統計でも1兆円を上回っています。季節調整しない原系列の統計では、引用した記事にもある通り、11か月連続の経常黒字であり、グラフにある季節調整済みのベースでも9か月連続です。基本的には、上のグラフに見られるように、黒い棒グラフの貿易収支の赤字幅の縮小が大きな要因となっており、加えて、第1次所得収支については円安による円換算後の評価額増や、サービス収支についてはインバウンド観光客による消費増などが寄与して来ました。しかし、この経常黒字拡大パターンもそろそろ終了となりそうで、特に、貿易収支は踊り場とはいえ好調な内需と新興国などの景気低迷による外需の停滞の組合せですから、貿易収支の黒字化はが可能なのかどうか、つい最近まで、私は新興国や欧州の景気次第で我が国貿易収支の黒字化は可能と考えて来ましたが、ギリシア経済などを見る限り、とても先行き不透明です。

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