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2015年10月13日 (火)

9月の消費者態度指数の悪化は雇用や賃金に由来するのか?

本日、内閣府から9月の消費者態度指数が公表されています。一般世帯の消費者態度指数は前月から▲1.1ポイント低下して40.6を記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

9月の消費者態度指数、1.1ポイント低下の40.6 判断は据え置き
内閣府が13日発表した9月の消費動向調査によると、消費者心理を示す一般世帯の消費者態度指数(季節調整値)は前月比1.1ポイント低下の40.6だった。「暮らし向き」や「耐久消費財の買い時判断」など4つの意識指標が全て低下し、2カ月ぶりの低下となった。8月下旬以降に株式相場が急落したことが消費者の心理を落ち込ませた。
方向感のない動きが続いていることから、内閣府は消費者心理の基調判断を「足踏みがみられる」に据え置いた。
意識指標では「暮らし向き」が1.3ポイント低下したほか、「雇用環境」も1.4ポイント低下した。株価下落により「資産価値」も3.0ポイント低下した。
1年後の物価見通しについて「上昇する」と答えた割合(原数値)は前月から0.8ポイント上昇し、86.3だった。
調査基準日は9月15日。全国8400世帯が対象で、有効回答数は5510世帯(回答率は65.6%)だった。

いつもながら、簡潔によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、消費者態度指数のグラフは以下の通りです。ピンクで示したやや薄い折れ線は訪問調査で実施され、最近時点のより濃い赤の折れ線は郵送調査で実施されています。また、影をつけた部分はいずれも景気後退期です。

photo

消費者態度指数を構成する各消費者意識指標のコンポーネントを前月差で見ると、雇用環境が▲1.4ポイント低下し44.9、暮らし向きが▲1.3ポイント低下し38.8、耐久消費財の買い時判断が▲1.2ポイント低下し39.1、収入の増え方が▲0.5ポイント低下し39.4と、すべてのコンポーネントがマイナスに振れています。7月には▲1.4ポイント低下、8月には逆に+1.4ポイント上昇、そして、直近の9月には▲1.1ポイントの低下と、ならしてみてほぼ横ばい圏内の動きながら、引用した記事にもある通り、統計作成官庁である内閣府では基調判断は「足踏み」で据え置いています。基本的には、消費者態度指数のコンポーネントのうちでも雇用や暮らし向きが特に前月からのマイナス幅が大きくなっており、少なくとも8月から9月にかけては雇用や賃金発のマインド悪化の可能性が考えられます。今夏のボーナスをはじめとして、賃上げや所得の改善が不十分であるためにマインドが低迷しているのではないかと私は危惧しています。
私は公務員であると同時にエコノミストなので、ややどうかという気もするんですが、政労使会議が賃上げに一定の効果があったという見方なのかどうか、本日、総理大臣官邸で第19回日本経済再生本部が開催され、未来への投資を拡大するために官民対話が設置されたそうです。賃上げの次は、政府から企業に投資拡大を要請するんでしょうか? そこまで我が国企業人のアニマル・スピリットは冷え固まっているんでしょうか?

なお、広く報道されている通り、日本時間の昨夜、ノーベル経済学賞はアンガス・ディートン教授に授与されると発表されています。昨夜は体調が思わしくなくて早寝してしまいましたので、改めて取り上げておきたいと思います。いわゆる AIDS = Almost Ideal Demand System についてミュールバウアー教授との共著で発表した American Economic Review の論文へのリンクは以下の通りです。なお、同じ2人の著者による消費理論に関する書籍もあるハズです。それから、近著では邦訳された『大脱出』(みすず書房)があり、私も読んで今年2015年2月8日付けのエントリーで読書感想文を公開しています。ただ、開発経済学的に考えて、インセンティブを適切に活用すれば、先進国からの開発援助なしに途上国の自律的な経済発展や自立が進む、といった趣旨の『大脱出』の考えには同意できない旨も明記してあります。

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