« OECD 未就学児童の教育に関するリポートに見る極めて低い日本の公費負担! | トップページ | アッとびっくりの改善を示した米国雇用統計から米国の利上げを考える! »

2015年11月 6日 (金)

本日公表の景気動向指数に見る景気の方向感やいかに?

本日、内閣府から9月の景気動向指数が公表されています。ヘッドラインとなるCI一致指数は前月から▲0.3ポイント下降して111.9を、CI先行指数も▲2.1ポイント下降の101.4を、それぞれ記録しています。一致指数・先行指数ともに3か月連続の下降となっています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

景気一致指数、9月は3カ月連続低下 先行は13年1月以来の低さ
内閣府が6日発表した9月の景気動向指数(2010年=100、速報値)は景気の現状を示す一致指数が111.9と、前月に比べ0.3ポイント下がった。消費増税後に景気が低迷した14年4-6月以来の3カ月連続マイナスとなった。内閣府は直近数カ月の平均値などから機械的に判断する景気の基調判断を5月以降と同じ「足踏みを示している」に据え置いた。
一致指数を構成する10指標のうち5指標が悪化した。自動車部品などの輸送機械やプラスチック製品工業向けが振るわなかった中小企業出荷指数(製造業)が下振れした。薄型テレビや携帯電話などの出荷が低迷した耐久消費財出荷指数や、商業販売額(小売業・卸売業)も悪化した。一方、鉱工業生産指数や投資財出荷指数(輸送機械除く)は持ち直し、一致指数を下支えした。
数カ月先の景気を示す先行指数は前月比2.1ポイント低下の101.4だった。低下は3カ月連続。東証株価指数の下落が重荷となり、指数は13年1月以来、2年8カ月ぶりの低水準に落ち込んだ。

いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、下のグラフは景気動向指数です。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた部分は景気後退期を示しています。

photo

引用した記事にもある通り、統計作成官庁である内閣府では、基調判断を5月からの「足踏み」で据え置いています。内閣府から公表されている「景気動向指数 平成27(2015)年9月分 (速報) の概要」の2ページ目に従えば、景気が悪化していく方向で考えて、「足踏み」の後は「下方への局面変化」なんですが、当月の前月差の符号がマイナスであることを前提として、7か月後方移動平均(前月差)の符号がマイ ナスに変化し、マイナス幅(1-3か月の累積)が1標準偏差分以上と定義されています。CI一致指数の7か月後方移動平均は、すでに、先月からマイナスに転じており、今月は2か月連続のマイナスを示しているところです。ですから、来月も前月差マイナスを記録し、3か月の累積でマイナス幅が1標準偏差を越えれば、基調判断は「下方への局面変化」となります。すなわち、その時点から数か月前ですから、今年2015年春ころに景気転換点を迎えていた可能性が示唆されるわけです。もっとも、というか、何というか、「下方への局面変化」の次の段階の「悪化」は3か月連続で3か月後方移動平均が下降する、と定義されていますから、実は、すでにこの基準は「クリア」していたりします。ただし、海外経済動向などを見る限り、この10-12月期で現在の景気の踊り場が反転する可能性があり、少なくとも、私はそういう気が強くしていますので、数か月前に景気転換点を同定するかどうかはビミョーなところかもしれません。
なお、9月のCI一致指数の構成系列のうち、プラスに寄与したのは、鉱工業用生産財出荷指数と生産指数(鉱工業)と投資財出荷指数(除輸送機械)などであり、逆に、マイナスに寄与したのが、中小企業出荷指数(製造業)と商業販売額(卸売業)(前年同月比)と耐久消費財出荷指数と商業販売額(小売業)(前年同月比)などとなっています。9月のCI一致指数を見る限り、生産や投資財出荷などの企業部門がプラスに寄与し、耐久消費財出荷や商業販売などの家計部門がマイナスに寄与した、という内容になっています。ただし、ほぼ完全雇用に達したこともあり、雇用や労働の動きが少なくなっているのかもしれません。

|

« OECD 未就学児童の教育に関するリポートに見る極めて低い日本の公費負担! | トップページ | アッとびっくりの改善を示した米国雇用統計から米国の利上げを考える! »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 本日公表の景気動向指数に見る景気の方向感やいかに?:

« OECD 未就学児童の教育に関するリポートに見る極めて低い日本の公費負担! | トップページ | アッとびっくりの改善を示した米国雇用統計から米国の利上げを考える! »