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2015年12月14日 (月)

9月調査からほぼ横ばいを示した日銀短観から何が読み取れるか?

本日、日銀から12月調査の日銀短観が公表されています。主要な結果はほぼ横ばいとなりました。まず、ヘッドラインとなる大企業製造業の業況判断DIは9月の+12から横ばいの+12を、大企業非製造業も9月から横ばいの+25を、それぞれ記録しました。また、本年度2015年度の大企業全産業の設備投資計画は9月調査の+10.9%増からわずかに下方修正されたものの、やっぱりほぼ横ばいの10.8+%増と集計されています。ただ、先行き景況判断は大企業製造業で▲5低下して+7を、また、大企業非製造業でも▲7低下して+18を、それぞれ見込んでいます。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

大企業製造業の景況感、横ばい 12月の日銀短観
日銀が14日発表した12月の全国企業短期経済観測調査(短観)は、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)が大企業製造業でプラス12だった。前回の9月調査(プラス12)から横ばいだった。化学や造船・重機などが改善した半面、中国景気減速の影響で非鉄金属や機械が悪化し全体の重荷になった。
業況判断DIは景況感が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を引いた値。12月の大企業製造業DIは、QUICKがまとめた市場予想の中央値のプラス11を上回った。回答期間は11月11日-12月11日で、今回の回答基準日は11月27日だった。
3カ月先については、大企業製造業がプラス7になる見通し。新興国経済の先行き不透明感などから石油・石炭製品や繊維、電気機械などを除く多くの業種で景況感の悪化を見込む。
2015年度の事業計画の前提となる想定為替レートは大企業製造業で1ドル=119円40銭と、前回の117円39銭よりも円安・ドル高方向に修正された。
大企業非製造業のDIもプラス25と、前回から横ばいだった。マンションのくい打ちデータ偽装問題や人件費の上昇を背景に、不動産業や物品賃貸業の景況感が悪化した。一方、通信や情報サービスの改善が全体を下支えした。訪日外国人観光客の増加を背景とした宿泊・飲食サービスの景況感も引き続き良好だった。
3カ月先のDIは7ポイント悪化し、プラス18を見込む。通信料金の値下げ圧力を背景に通信が大幅な悪化を見込むほか、新興国経済の先行き不透明感などを背景に観光関連の業種も大幅な悪化を見込んでいる。
中小企業は製造業が横ばいの0、非製造業は2ポイント改善のプラス5だった。先行きはいずれも悪化を見込んでいる。
15年度の設備投資計画は大企業全産業が前年度比10.8%増だった。9月調査の10.9%増から小幅ながら下方修正されたが、QUICKがまとめた市場予想の中央値(10.2%増)は上回った。世界的な景気の先行き不透明感は根強いが、過去最高水準の企業収益などを背景に修正幅は小幅にとどまった。大企業のうち製造業は15.5%増、非製造業は8.5%増を計画している。
全規模全産業の設備投資計画は前年度比7.8%増で、9月調査の6.4%増から上方修正された。中小や中堅企業は軒並み上方修正し、市場予想の中央値(6.8%増)を上回った。
大企業製造業の輸出売上高は前年度比3.4%増と、9月調査から上方修正された。円安基調が続いていることで輸出企業が先行きについて強めの計画を設定したとみられる。
大企業製造業の販売価格判断DIはマイナス11と、9月調査(マイナス7)から4ポイント下落した。DIは販売価格が「上昇」と答えた企業の割合から「下落」と答えた企業の割合を差し引いたもの。個人消費の低迷が長期化しており、企業がコストを販売価格に転嫁する姿勢が一段と弱まった。

やや長いんですが、いつもながら、適確にいろんなことを取りまとめた記事だという気がします。続いて、規模別・産業別の業況判断DIの推移は以下のグラフの通りです。上のパネルが製造業、下が非製造業で、それぞれ大企業・中堅企業・中小企業をプロットしています。色分けは凡例の通りです。なお、影をつけた部分は景気後退期です。

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まず、日銀短観のヘッドラインと見なされている大企業製造業の業況判断DIは9月調査から横ばいでかつ、大企業非製造業も横ばいでした。引用した記事にもある通り、業況判断DIも設備投資計画も市場の事前コンセンサスでは、今日公表された実績よりももう少し下方修正ではないかと予想されていただけに、逆から見て実績は予想以上の企業マインドの強さを見せつけたことになります。私の目から見て、企業マインドが9月から弱含む要因は、海外の中国をはじめとする新興国経済の減速と国内では消費の回復の遅れなんですが、これらの要因が企業マインドには足元ではそれほど反映されなかった、ということなります。逆に、先行きの業況判断は製造業も非製造業もしっかりと下がっています。従って、エコノミストにより評価が分かれる可能性が高そうな結果です。すなわち、足元で市場の事前コンセンサスほどには業況判断DIが下がらなかった点をもって堅調と判断するか、逆に、先行きの業況判断をもって不透明とするか、もともとエコノミストがどのように経済を見ているかによって評価が分かれそうな気がします。そして、おそらく、あくまでおそらくなんですが、足元が堅調で先行きが不透明というのは、決して、相反するわけではありませんから、どちらも正しいんだろうと私自身は受け止めています。

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続いて、いつもお示ししている設備と雇用のそれぞれの過剰・不足の判断DIのグラフは上の通りです。なお、3枚目、一番下のグラフは設備と雇用の過不足感から、設備3割の雇用7割で加重平均して作成してみた全体の需給ギャップです。設備については、後で取り上げる設備投資計画とも併せて見て、設備の過剰感は完全に払拭されたと考えるべきですし、雇用人員についても不足感が広がっています。特に、採用に苦労している中堅・中小企業では大企業よりも不足感が強まっています。といいつつ、それにしては、毎月勤労統計などで見る賃金が上がらないのが不思議なんですが、少なくとも、時間はかかる可能性はあるものの、雇用の量的な拡大から、賃金の上昇や正規雇用の増加などの雇用の質的な改善に向かうルートに乗っていることは事実であろうと私は受け止めています。

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続いて、設備投資計画のグラフは上の通りです。今年2015年度の計画は黄色いラインと四角い大きな黄色いマーカで示されていますが、見ての通りで、大企業製造業の景況感とは逆に、9月調査からやや下方修正されたものの、大企業全産業で前年度比+10.8%増と計画されています。下方修正されたとはいえ、まだかなり高い増加率だと考えるべきです。加えて、中堅・中小企業では9月調査から上方修正となっており、全規模全産業で前年度比+%7.8%増で、9月調査の6.4%増から上方修正の設備投資計画となっています。直近の10月統計の機械受注を除いて、ソフトデータの設備投資計画とハードデータの資本財出荷や機械受注との間にギャップが存在するんですが、ひょっとしたら、このまま設備投資はいずれかの時点で「爆発」するのかもしれません。

従来からの設備投資計画におけるハードデータとソフトデータのギャップに加えて、業況判断マインドの足元と先行きの乖離も、今日発表の日銀短観では明らかになりました。後者は両立し得るのでまだしも、設備投資については私はこの先の年度内で「爆発」する可能性は決して高くないと考えており、どのような着地点が実現されるのか、期待しつつもやや不安を感じています。

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