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2015年12月 1日 (火)

法人企業統計の設備投資は先行きの増加を示しているか?

本日、財務省から7-9月期の法人企業統計が公表されています。季節調整していない原系列のベースで統計のヘッドラインを見ると、売上高は前年同期比+0.1%増の328兆2391億円、経常利益は製造業は減益ながら非製造業で大きく増加し+9.0%増の15兆2172億円、設備投資は+11.2%増の10兆4937億円を、それぞれ記録しており、収益をはじめとする堅調な企業活動がうかがえます。また、設備投資は季節調整済みの系列で前期4-6月期から+5.4%の増加を示しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

設備投資、前年比11.2%増 7-9月法人企業統計
財務省が1日発表した2015年7-9月期の法人企業統計によると、金融業・保険業を除く全産業の設備投資は前年同期比11.2%増の10兆4937億円と、10四半期連続で増えた。自動車の増産投資などで伸び率は4-6月期(5.6%増)を上回り、設備投資の勢いが加速。7-9月期の設備投資額としてはリーマン・ショック後の最高となり、前年比の伸び率は07年1-3月期以来の高水準だった。
産業別の設備投資の動向は、製造業が12.6%増と5四半期連続で伸びた。非製造業は10.4%増で10四半期連続のプラス。新型車や自動車向け電子部品の増産投資、スマートフォン(スマホ)関連の投資などがけん引した。
国内総生産(GDP)改定値を算出する基礎となる「ソフトウエアを除く全産業」の設備投資額は、季節調整済みの前期比で5.4%増えた。4-6月期(前期比2.7%減)から2四半期ぶりのプラスに転じた。
経常利益は前年同期と比べ9.0%増の15兆2172億円だった。北米中心に自動車販売が好調で、円安効果も寄与。小売業では訪日客の需要増も利益を押し上げ、7-9月期としては過去最高だった。一方、季節調整済みの前期比では6.3%減り、消費増税後の14年4-6月期(6.6%減)以来のマイナス幅だった。原油安による製品価格の低下などで石油・石炭業が不調だった。供給過剰の影響が続く鉄鋼業も振るわなかった。
全産業の売上高は前年同期比0.1%増の328兆2391億円だった。製造業は微減だったが、非製造業(0.1%増)は10四半期連続で伸びた。
同統計は資本金1000万円以上の企業収益や投資動向を集計。今回の15年7-9月期の結果は、内閣府が8日発表する同期間のGDP改定値に反映される。

かなり長いんですが、よくまとまった記事だという気がします。次に、法人企業統計のヘッドラインに当たる売上げと経常利益と設備投資をプロットしたのが下のグラフです。色分けは凡例の通りです。ただし、グラフは季節調整済みの系列をプロットしています。季節調整していない原系列で記述された引用記事と少し印象が異なるかもしれません。また、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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法人企業統計のヘッドラインを示すいくつかの指標のうち、季節調整済みの系列の経常利益こそ前期比でマイナスをつけましたが、売上げ、利益、設備投資などの中心となる指標はいずれも堅調な企業活動を示しているものと受け止めています。季節調整済みの系列の経常収支も前期比で減少したとはいうものの、水準で見ると前期の4-6月期に次いで過去2番目の大きさです。また、季節調整済みの系列が公表されていないのでグラフにはしていませんが、季節調整していない原系列の在庫投資については、製造業と非製造業を合わせて4-6月期に3兆4305億円積み上がったのに対し、7-9月期には▲3815億円の在庫取り崩しがあって、積み上がりに比べて取り崩しのペースが緩やかながら、ある程度は在庫調整が進んでいることが伺えます。
特に下のパネルの設備投資について企業の資本金規模別に詳しく見ると、季節調整済みの系列は公表されていないながら、今年に入って原系列の設備投資額の前年同期比を資本金規模別で比べと、いずれもプラスで伸びているところ、すべての四半期において資本金1000万円から1億円の企業の伸びがもっとも高く、次いで1億円から10億円、そして、資本金10億円以上の企業の設備投資の伸びがもっとも小さくなっています。人手不足に対応した設備投資が進んでいるのではないかと想像させるに十分な結果ではないかと思います。ただし、今後の設備投資がこのまま増加に向かうかというと少し疑問が残ります。というのは、先月公表された機械受注で7-9月期が前期比▲10%減を記録しており、先行指標の機械受注と設備投資と投資計画の3つに整合性がないからです。機械受注に何らかの漏れがあるとすれば、投資計画と設備投資の増加は整合的ですが、ソフトデータに近い投資計画がこの先で下方修正されるとすれば、そして、それをハードデータで機械受注が裏付けているのであれば、設備投資は増加しないシナリオもあり得ます。法人企業統計の統計としての信頼性の問題とも併せて、現時点で確たる方向性は見出せません。

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続いて、上のグラフは私の方で擬似的に試算した労働分配率及び設備投資とキャッシュフローの比率をプロットしています。労働分配率は分子が人件費、分母は経常利益と人件費と減価償却費の和です。特別損益は無視しています。また、キャッシュフローは実効税率を50%と仮置きして経常利益の半分と減価償却費の和でキャッシュフローを算出しています。このキャッシュフローを分母に、分子はいうまでもなく設備投資そのものです。いずれも、季節変動をならすために後方4四半期の移動平均を合わせて示しています。太線の移動平均のトレンドで見て、労働分配率はグラフにある1980年代半ば以降で歴史的に経験したことのない水準まで低下しました。また、最初にお示ししたグラフでは季節調整済みの設備投資はこの7-9月期にやや増加したものの、キャッシュフローとの比率で見れば設備投資は50%台後半で停滞が続いています。これまた、法人企業統計のデータが利用可能な期間ではほぼ最低の水準です。雇用の量的な増加や質的な改善のひとつである賃上げ、もちろん、設備投資も大いに可能な企業の財務内容ではないかと私は期待しています。

最後に、これらの法人企業統計を大雑把に見て、来週11月8日公表予定の7-9月期GDP統計の2次QEでは設備投資が素直に上方修正されるものと予想しています。近く、2次QE予想がシンクタンクなどから出そろったら、日を改めて取り上げたいと思います。

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