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2015年12月22日 (火)

我が国の生産性は高まっているのか?

先週12月18日付けで生産性本部から「日本の生産性の動向」2015年版が公表されています。2014年度の実質労働生産性上昇率は▲1.6%と2009年度以来5年ぶりのマイナスを記録しています。まず、生産性本部のサイトからリポートのポイントを3点引用すると以下の通りです。

内 容
  1. 2014年度(年度ベース)の日本の名目労働生産性は770万円。実質労働生産性上昇率は-1.6%と、2009年度以来5年ぶりのマイナス。
  2. 2014年(暦年ベース)の日本の労働生産性(1人当たり)は72,994ドル、OECD加盟34カ国の中では第21位。就業1時間当たり(41.3ドル)でも順位は第21位となっている。
  3. 2010年代の日本の全要素生産性(TFP)上昇率は+0.8%。2000年代後半(-0.4%)から大きく改善した。

ということで、生産性本部のリポートの主として第Ⅱ部日本の労働生産性の動向と第Ⅲ部労働生産性の国際比較から図表を引用しつつ、簡単に紹介しておきたいと思います。

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まず、上のグラフはリポート p.9 から 図2-1 日本の名目労働生産性の推移 と 図2-2 日本の実質労働生産性上昇率の推移 を引用しています。日本の名目労働生産性は、2011年度の755.1万円から緩やかながら改善が続いており、2014年度には769.9万円に達しています。ただ、2014年4月からの消費税率の引き上げに伴う物価上昇により、2014年度については実質労働生産性上昇率は▲1.6%と2009年度以来のマイナスに転じています。また、グラフの引用はしませんが、p.13 に 図2-8 時間当たり名目労働生産性の推移 が示されており、2014年度のマン・アワー・ベースの名目労働生産性は4,417円と米国のサブプライム・バブル崩壊前の2007年度の4,416円を超えて、最近では最も高くなっています。これで賃上げが生じないんですから、極めて不思議な現象といえます。

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次に、その時間当たり、というか、マン・アワー当たりの労働生産性を国際比較したグラフですが、リポート p.34 から 図3-8 OECD加盟諸国の時間当たり労働生産性 を引用しています。為替は市場レートではなく、購買力平価ベースの比較です。2014年の日本の就業1時間当たり労働生産性は、41.3ドル(4,349円)となっており、OECD加盟34か国の中でみると21番目となっています。これは、OECD平均の44.8ドルををやや下回る水準となっています。日本の順位は1990年代から20番目前後で大きく変わらない状況が続いています。

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加えて、マン・アワー当たりの実質労働生産性の上昇率の国際比較について、リポート p.36 から 図3-11 OECD加盟諸国の時間当たり実質労働生産性上昇率 のグラフを引用すると上の通りです。前に引用した労働生産性の水準のグラフと比べると、生産性が収斂するかどうかはエコノミストの間でも議論は分かれそうな気がしますが、これを見る限り収斂の方向にあるといってよく、チリやポーランドといった低生産性国の生産性の伸びが高くなっています。しかし、このグラフでも日本はOECD平均の伸び率+0.8%を下回り、+0.6%を示しています。

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労働生産性のグラフを並べてしまいましたが、最後に、全要素生産性(TFP)の上昇率の国際比較について、リポート p.52 から OECD主要国のTFP上昇率 のグラフを引用すると上の通りです。2010年代に入ってから、2010-13年における年率平均の日本の全要素生産性(TFP)上昇率は+0.8%に上っており、OECD主要19カ国の中では、韓国の+1.6%、オーストラリアの+1.0%、ドイツの+0.9%に次いで4番目となっており、米国の+0.3%やフランスの+0.5%を上回っています。しかも、我が国の直近の実績である2000年代後半の2005-09年の▲0.4%から大きく改善しています。景気循環要因という気もしますが、我が国の労働生産性については、人口の高齢化も進んで伸び悩んでいる可能性が高いものの、全要素生産性(TFP)については他の先進国と比べても、過去の我が国の実績と比べても、かなり高いと計測されており、我が国の成長見込みも期待が持てそうです。

一度、何かの読書感想文で書いたように記憶していますが、生産物を労使で分配する場合、ゼロサム的というか、階級闘争的に考えて、資本家階級の取り分を減らして労働者階級に手厚く分配するという見方も場合によっては必要ですが、労働生産性を引き上げることにより、双方の取り分をともに増加させる解決策も魅力的です。そのカギは生産性の上昇にあり、その生産性の上昇のためには設備投資に体化された技術革新がもっとも手っ取り早いことを主張しておきたいと思います。

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