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2016年1月20日 (水)

国際通貨基金(IMF)による「世界経済見通し改定」World Economic Outlook Update やいかに?

日本時間の昨夜、国際通貨基金(IMF)から「世界経済見通し改定」World Economic Outlook Update が公表されています。今年2016年の世界経済の成長率は10月時点での見通しの+3.6%から+3.4%にやや下方修正されています。我が国の成長率見通しは2016年+1.0%の後、2017年+0.3%と2017年のみ▲0.1%ポイント下方修正されています。サブタイトルは Subdued Demand, Diminished Prospects とされています。国際機関のリポートを取り上げるのはこのブログの特徴のひとつであり、今夜のエントリーでは図表を引用しつつ、簡単に紹介しておきたいと思います。まず、とても長くなりますが、IMFのサイトからリポートのサマリーを3点引用すると以下の通りです。

Subdued Demand, Diminished Prospects
  • Global growth, currently estimated at 3.1 percent in 2015, is projected at 3.4 percent in 2016 and 3.6 percent in 2017. The pickup in global activity is projected to be more gradual than in the October 2015 World Economic Outlook (WEO), especially in emerging market and developing economies.
  • In advanced economies, a modest and uneven recovery is expected to continue, with a gradual further narrowing of output gaps. The picture for emerging market and developing economies is diverse but in many cases challenging. The slowdown and rebalancing of the Chinese economy, lower commodity prices, and strains in some large emerging market economies will continue to weigh on growth prospects in 2016-17. The projected pickup in growth in the next two years-despite the ongoing slowdown in China-primarily reflects forecasts of a gradual improvement of growth rates in countries currently in economic distress, notably Brazil, Russia, and some countries in the Middle East, though even this projected partial recovery could be frustrated by new economic or political shocks.
  • Risks to the global outlook remain tilted to the downside and relate to ongoing adjustments in the global economy: a generalized slowdown in emerging market economies, China’s rebalancing, lower commodity prices, and the gradual exit from extraordinarily accommodative monetary conditions in the United States. If these key challenges are not successfully managed, global growth could be derailed.

次に、下のテーブルはIMFのサイトから引用した世界経済の成長率見通しの総括表です。やや愛想なしですので、いつもの通り、画像をクリックするとpdfのリポートのうちの6ページ目の Table 1. Overview of the World Economic Outlook Projections のページだけを抜き出したpdfファイルが別タブで開くようになっています。

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要するに、かなりトートロジーに近いんですが、需要が下振れして成長率見通しを低下させた、ということになります。今年2016年と来年2017年とも成長率見通しは昨年2015年10月時点から下振れしたんですが、先進国と新興国・途上国に分けると、最近時点で世界の成長を牽引してきた新興国・途上国の成長率下振れの方がやや大きく、2016-17年どちらも先進国▲0.1%ポイントの下方修正に対して、新興国・途上国では▲0.2%ポイントの下方修正となっています。注目の中国は昨年10月の段階ですでに、2015年の成長率実績+6.9%に対して、2016年+6.3%、2017年+6.0%と徐々に成長率が低下していくシナリオでしたから、今回の改定見通しでの下方修正はなされていないんですが、現在の中国の政権が目標としていると考えられている+6.5%成長を下回るとの予想になっています。特に、成長率の下方修正が大きかったのは石油価格下落の影響の大きいロシアとブラジルと予測されています。なお、日本の成長率は今年2016年+1.0%の後、来年2017年は4月から消費税率が10%に引き上げられる影響で+0.3%まで成長が鈍化すると見込まれています。米国は2016-17年にかけて+2.6%成長と、昨年10月時点からは▲0.2%ポイントの下方修正とはいえ、そこそこ高成長を続けると予想されている一方で、ユーロ圏欧州も2016-17年は▲0.2%ポイントの下方修正ながら、+1.7%成長に回復すると見込まれています。
世界経済の先行きリスクとしては、中国の予想以上の減速、米国の金融政策に伴う米ドルの増価と世界金融のタイト化、新興国・途上国での通貨ショックの発生と伝播、地政学的な緊張の高まり、の4点を上げています。政策の優先課題として日本を含む先進国に求められるポイントは、緩和的な金融政策の継続、状況が許せば短期的財政政策により将来の生産資本を強化するような投資により景気回復を支援、構造改革を通じた潜在産出水準の引き上げ、なお、構造改革には労働市場参加及び雇用の押し上げ、過剰債務という負のレガシーへの取り組み、製品市場・サービス市場への参入の障壁の削減が課題として取り上げられるべきと指摘しています。加えて、欧州については難民問題への対応も必要としています。

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最後に、IMF「世界経済見通し改定」を離れて、すでに今日1月20日から始まっているダボス会議を主催している世界経済フォーラムが明らかにした「グローバル・リスク報告書 2016」Grobal Risks Report 2016 から Figure 1: The Global Risks Landscape 2016 を引用すると、上の画像の通りです。私の目には、failure of climate change mitigation and adaptation と large-scale involuntary migration とが大きなリスクに見えます。ブルーの経済的なリスクは少し後景に退いたのかもしれません。

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