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2016年1月 9日 (土)

堅調な雇用増を示した米国雇用統計は米国の利上げをサポートするか?

日本時間の昨夜、米国の労働省から昨年2015年12月の米国雇用統計が公表されています。ヘッドラインとなる非農業部門雇用者数は前月から+292千人増加し、失業率は前月と同じ5.0%を記録しています。いずれも季節調整済みの系列です。まず、New York Times のサイトから記事を最初の7パラだけ引用すると以下の通りです。

Robust Hiring in December Caps Solid Year for U.S. Jobs
In an impressive sprint at 2015's end, employers added 292,000 workers to their payrolls in December, the government said on Friday, punctuating a year of healthy growth.
The unemployment rate stayed at 5 percent last month, the Labor Department said, but that was mostly because large numbers of people went looking for work.
The department revised its earlier estimate of job creation in October and November, adding 50,000 more jobs to last year's totals. All in all, the economy added 2.65 million jobs for the year, capping a two-year gain that was the best since the late 1990s.
The jobless rate, which has declined since topping the 10 percent mark in October 2009, continues to hover just above what economists consider full employment - the point where further declines could start to push up inflation.
"I think this really is illustrative of the fact that economic momentum in the United States is still awfully strong," said Carl Tannenbaum, chief economist at Northern Trust. "In spite of the craziness we've seen from Asian markets this week, the fundamentals here at home are still solid."
Despite the improving job market, sluggish wage growth remains a persistent thorn. Wages remained flat in December.
Looking ahead, the biggest question is whether overall growth will remain strong enough to keep hiring steady, or whether turmoil in China and elsewhere in the global economy will weigh on the United States economy by holding down exports and further undercutting the struggling manufacturers.

この後、さらにエコノミストなどへのインタビューが続きます。いつもよりやや長くなりましたが、包括的によく取りまとめられている印象です。続いて、いつもの米国雇用統計のグラフは下の通りです。上のパネルは非農業部門雇用者数の前月差増減の推移とそのうちの民間部門、下のパネルは失業率です。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。全体の雇用者増減とそのうちの民間部門は、2010年のセンサスの際にかなり乖離したものの、その後は大きな差は生じていません。

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米国の中央銀行に当たる連邦準備制度理事会(FED)が昨年12月に連邦公開市場委員会(FOMC)でゼロ金利を解除して利上げを開始した直後の米国雇用統計ということで、大いに市場やエコノミストから注目されましたが、最初に書いた通り、非農業部門雇用者数は前月から+292千人増と市場の事前コンセンサスを大幅に上回り、失業率も3か月連続の5.0%ですから、かなり完全雇用に近い印象ですし、マクロの米国景気動向を反映する米国雇用統計は堅調そのものと受け止めています。12月統計が出たことで季節調整替えがありましたが、少なくとも直近の2015年10-12月の3か月は雇用増が+200千人を超えており、失業率も5.0%ですから、大きな判断の変化につながる変更はないと私は受け止めています。日本はエル・ニーニョの影響で暖冬なんですが、昨冬は寒波に見舞われた米国も今年は暖冬らしくて、建設業でも雇用増が見られています。
ただし、北朝鮮の自称「水爆実験」はともかく、足元、というか、今週になって人民元安が進んだり、中国の株式市場が変調を来たたりし始めしており、我が国でも東証株価が5日連続で下げていますので、アジアを中心に世界の金融市場にはそれなりの警戒感が漂い始めているのも事実です。米国では今年から来年にかけて1年ごとに25ベーシスの利上げを4回、すなわち、年100ベーシスの利上げが予想されていますが、第2回めの利上げは少し後送りされる可能性もなくはないと私は考えています。すなわち、先行きの米国金融政策は堅調な米国国内景気と中国などのマーケットの動向の双方を視野に入れつつ決定されるものと考えられます。

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また、日本やユーロ圏欧州の経験も踏まえて、もっとも避けるべきデフレとの関係で、私が注目している時間当たり賃金の前年同月比上昇率は上のグラフの通りです。ならして見て、ほぼ底ばい状態が続いている印象です。サブプライム・バブル崩壊前の+3%超の水準には復帰しそうもないんですが、まずまず、コンスタントに+2%のラインを上回って安定して推移していると受け止めており、少なくとも、底割れしてかつての日本や欧州ユーロ圏諸国のようにゼロやマイナスをつけてデフレに陥る可能性は小さそうに見えます。

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