下降を続ける景気動向指数は景気後退を示唆するのか?
本日、内閣府から12月の景気動向指数が公表されています。ヘッドラインとなるCI一致指数は前月から▲0.7ポイント下降して111.2、同じくCI先行指数も▲1.2ポイント下降して102.0を、それぞれ記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。
景気一致指数、12月は2カ月連続低下 判断「足踏み」で据え置き
内閣府が5日発表した2015年12月の景気動向指数(2010年=100、速報値)によると、景気の現状を示す一致指数は111.2で前月から0.7ポイント下がった。中国の景気減速の影響などで生産や消費関連指標が低調。2カ月連続のマイナスとなった。直近数カ月の平均値などから機械的に判断する基調判断は、前月までの「足踏みを示している」に据え置いた。
前月と比較可能な8指標のうち、5つがマイナスに影響した。資本財と建設財がともに低調だった投資財出荷指数(輸送機械除く)のほか、電子部品やデバイス工業が振るわなかった鉱工業用生産財の出荷指数が下振れした。鉱工業生産指数や商業販売額(卸売業・小売業)の悪化も響いた。一方、有効求人倍率(学卒を除く)や中小企業出荷指数(製造業)の改善は一致指数を下支えした。
数カ月先の景気を示す先行指数は1.2ポイント低下の102.0だった。低下は2カ月連続で、13年1月(101.6)以来の低水準。原油安の影響を受けた日経商品指数や東証株価指数の下落などが先行指数の重荷となった。
いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、下のグラフは景気動向指数です。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた部分は景気後退期を示しています。
鉱工業生産指数と同じでジグザグした横ばい圏内の動きながら、CI一致指数、CI先行指数とも基調判断的に「足踏み」が続いており、12月指数は2か月連続で下降を示しています。特に、12月の月次の経済指標は雇用関係を例外として、生産から販売までほぼ軒並み悪化を示した指標が多く、各種経済指標をいわば「合成」した景気動向指数が下降したのは当然といえば当然かもしれません。引用した記事にもある通り、中国経済の減速や国際商品市況での石油価格の低下など、海外要因の景気停滞を私は感じていますが、それだけ、日本が相対的に小国になったことの証拠のような気がしてなりません。CI一致指数のうち前月からの寄与度の絶対値で±0.1以上の系列としては、引用した記事にも上げられている通り、プラスでは有効求人倍率(除学卒)と中小企業出荷指数(製造業)がある一方で、マイナスには投資財出荷指数(除輸送機械)、鉱工業用生産財出荷指数、生産指数(鉱工業)、商業販売額(卸売業)(前年同月比)の4系列が並んでいます。日銀のマイナス金利導入による追加緩和も、為替相場で判断する限り、賞味期限は決して長くなかったようですし、先進国でとびぬけて大きな財政赤字を抱える日本としては、海外経済の持ち直しを待つしかないんでしょうか?
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