1月の景気動向指数はどこまで信頼できるか?
本日、内閣府から1月の景気動向指数が公表されています。ヘッドラインとなるCI一致指数が+2.9ポイント上昇して113.8を示した一方で、CI先行指数は▲0.4ポイント下降して114.7を記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。
景気一致指数、1月2.9ポイント上昇 3カ月ぶりプラス、先行指数は低下
内閣府が7日発表した1月の景気動向指数(2010年=100、速報値)によると、景気の現状を示す一致指数は113.8となり、前月と比べ2.9ポイント上昇した。生産関連統計の持ち直しなどを受け、3カ月ぶりにプラスとなった。一致指数の基調判断は「足踏みを示している」に据え置いた。
前月と比較可能な8指標のうち、6指標が上昇に寄与した。土木関係の機械出荷が伸びた投資財出荷指数(輸送機械除く)の寄与度が最も高かった。春節(旧正月)前に増産の動きがあった影響でスマートフォン(スマホ)向け電子部品などの出荷が増え、鉱工業生産指数も一致指数の押し上げ要因となった。自動車向けのプラスチック製品が伸びた中小企業出荷指数(製造業)や、耐久消費財出荷指数も改善した。
一方、数カ月先の景気を示す先行指数は0.4ポイント低下し101.4となった。低下は3カ月連続で、12年12月(98.9)以来の低水準。年初から下落が続いた東証株価指数や、日経商品指数の下げが重荷となった。新規求人数(学卒除く)も先行指数のマイナスに影響した。
いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、下のグラフは景気動向指数です。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた部分は景気後退期を示しています。
CI一致指数はここ数か月同じような傾向なんですが、ジグザグした動きでほぼ横ばい圏内の動きながら、1月については3か月振りの上昇で上昇幅もかなりありました。しかし、この上昇は。基本的に、鉱工業生産指数が春節効果で跳ねたのを受けており、どこまでサステイナブルかは疑問です。引用した記事にもある通り、統計作成官庁である内閣府でも基調判断は「足踏み」に据え置いています。また、CI一致指数が横ばい圏内ながら、CI先行指数については一致指数よりもやや下向き加減が強く表れているのがグラフから見て取れます。もっとも、CI一致指数の1月のジャンプが春節効果でサステイナブルではない一方で、CI先行指数の1月の低下も年明け後の金融市場の混乱を反映しており、東証株価指数と日経商品指数(42種総合)が大きなマイナス寄与を示していますので、コチラもまたいつまでもマイナスが続くわけではないような気がしないでもありません。他方、CI一致指数のプラス寄与は鉱工業生産指数の関係が多く、プラスの寄与度が大きい順に、投資財出荷指数(除輸送機械)、生産指数(鉱工業)、中小企業出荷指数(製造業)、鉱工業用生産財出荷指数、耐久消費財出荷指数が並んでいます。景気動向指数は基調判断など、かなり機械的に計算すべき指標であり、逆から見て、それなりの信頼性は確保している指標だと考えるべきなんですが、1月統計だけは一致指数も先行指数もややイレギュラーな要因を含んでいるため、景気判断材料としては1回パスなんではないかという気がします。
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