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2016年3月25日 (金)

前年同月比横ばいの消費者物価指数とかろうじてプラスの企業向けサービス価格指数から何を読み取るべきか?

本日、物価指標が2つ公表されています。すなわち、総務省統計局から消費者物価指数 (CPI)が、また、日銀から企業向けサービス物価指数 (SPPI)が、それぞれ公表されています。いずれも2月の統計です。前年同月比上昇率で見て、生鮮食品を除くコアCPIは2か月連続で横ばいを記録した一方で、SPPIは+0.2%を示しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

全国消費者物価、2月は横ばい 3月都区部はマイナス幅拡大
総務省が25日発表した2月の全国消費者物価指数(CPI、2010年=100)は、値動きの大きい生鮮食品を除く総合が102.5と、前年同月と比べ横ばいだった。横ばいは2カ月連続で、QUICKの市場予想(0.1%上昇)には届かなかった。一方、先行指標となる3月の東京都区部のCPI(中旬速報値、生鮮食品除く)は0.3%下落し、2月(0.1%下落)からマイナス幅が拡大した。
2月の全国CPI(生鮮食品除く)は、原油安の影響で電気代や都市ガス代の下落幅が1月より拡大。エネルギー関連の品目が引き続き軒並み値下がりした。一方、生鮮食品除く食料や外国パック旅行などの物価は上昇した。2月は外国為替市場で円高・ドル安が進んだものの「現下の物価動向に大きく影響したとは見ていない」(総務省)という。
食料・エネルギーを除く「コアコア」の指数は101.1で0.8%上がり、上昇率は1月(0.7%上昇)からやや拡大し。生鮮食品を含む総合は前月の横ばいから0.3%の上昇へ変わった。総務省は「エネルギーの下落の影響を除けば、緩やかな上昇基調」との見方を変えなかった。
東京都区部の3月のCPI(生鮮食品除く)は3カ月連続でマイナスとなった。年初からの原油相場の一段安を受け、電気代や都市ガス代、ガソリン代の下振れ圧力が強まった。一方で「コアコア」のCPIは0.6%上がり、上昇率は2月から0.1ポイント拡大した。併せて発表した東京都区部の15年度のCPI(生鮮食品除く)は前年比で横ばいだった。
2月の企業向けサービス価格、前年比0.2%上昇 前月から伸び鈍化
日銀が25日発表した2月の企業向けサービス価格指数(2010年=100)は102.5と、前年同月に比べ0.2%上昇した。外国人観光客向けサービスは引き続き好調だが、原油安による輸送費の下落などの影響で伸び率は1月の確報値(0.3%上昇)から鈍化した。前月比では横ばいにとどまった。
前年比での上昇は32カ月連続。ただ伸び率は13年10月以来の低水準となった。
品目別に前月と比較すると、前年の大型企画の反動などでテレビ広告が大きく上昇幅を縮小した。外航貨物輸送も燃料価格の一段安や円高の影響で下げ幅を拡大した。一方でアジア方面を中心に好調だった国際航空旅客輸送は上昇した。
日銀は「国内需給の改善による値上げは緩やかに続いている」(調査統計局)との見方は変えていない。ただ国際商品市況の先行きや、4月の価格改定の動向は注視が必要としている。
上昇品目は61、下落品目は54。上昇品目と下落品目の差は7と、1月確報値の5からは拡大した。
日銀は今回、14年9月以降の数値を見直した。

いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、いつもの消費者物価上昇率のグラフは上の通りです。折れ線グラフが凡例の色分けに従って生鮮食品を除く全国のコアCPI上昇率と食料とエネルギーを除く全国コアコアCPIと東京都区部のコアCPIのそれぞれの上昇率を示しており、積上げ棒グラフは全国のコアCPI上昇率に対する寄与度となっています。東京都区部の統計だけが2月中旬値です。いつものお断りですが、いずれも総務省統計局の発表する丸めた小数点以下1位の指数を基に私の方で算出しています。丸めない指数で計算している統計局公表の上昇率や寄与度とはビミョーに異なっている可能性があります。

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繰り返しになりますが、2月のコアCPI上昇率は1月に続いて2か月連続で前年比横ばいでした。2月統計では宿泊料や外国パック旅行などの押し上げ要因によりゼロだったですが、私を含めて多くのエコノミストは先行きはマイナスに転じるものと予想しています。早ければ3月統計からマイナスになる可能性も十分あります。実際に、東京都区部コアCPIの3月中旬速報値では前年同月比で▲0.3%であり、3か月連続でマイナスを記録しています。引用した記事にもある通り、食料とエネルギーを除いたコアコアCPI上昇率は+1%を切っているとはいうものの、まだプラスなんですが、これもエネルギー価格が川下に浸透するにつれてプラス幅を縮小させると考えるべきです。要するに、足元の物価動向は日銀のインフレ目標+2%から遠ざかっているわけです。もちろん、先行きCPI上昇率がマイナスになるとしても、ほぼすべてエネルギー価格と円高による輸入物価の下落の影響であり、上のグラフで見ても2月統計でもエネルギーの寄与度はほぼ▲1%あります。加えて、今春闘は3年連続でベースアップがあったものの、安倍総理が「もう少し期待をしていた」と発言していたように、やや物足りない結果に終わりそうですから、日銀においても4月の金融政策決定会合で「展望リポート」の物価見通しを1月時点での2016年度+0.8%から下方修正する可能性が高く、これと合わせて追加緩和に踏み切るんではないか、と予想するエコノミストも少なくありません。

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続いて、SPPI上昇率のグラフは以下の通りです。サービス物価(SPPI)と国際運輸を除くコアSPPIの上昇率とともに、企業物価(PPI)上昇率もプロットしてあります。SPPIとPPIの上昇率の目盛りが左右に分かれていますので注意が必要です。なお、影をつけた部分は景気後退期を示しています。2月のSPPI前年同月比上昇率は+0.2%とプラスを維持したものの、前月からプラス幅は縮小しています。単月の動きながら、2月統計で上昇幅が縮小したのは広告の寄与が大きく、これは企業収益が停滞している影響ではないかと私は危惧しています。もちろん、国内の人手不足による人件費コストの上昇に比較して、国際商品市況の石油価格の下落を上回った影響も無視できません。ここ数か月でSPPI上昇率はほぼ膠着した状態にありますが、人手不足による人件費上昇の影響と石油価格下落の直接なしい間接の影響の綱引きになる点は変わりないものと考えてよさそうです。

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