米国雇用統計は再び米国雇用と経済の堅調さを示す!
日本時間の昨夜、米国労働省から2月の米国雇用統計が公表されています。ヘッドラインとなる非農業部門雇用者数は前月から+242千人の増加した一方で、失業率は前月と同じ4.9%を記録しています。いずれも季節調整済みの系列です。まず、New York Times のサイトから記事を最初の5パラだけ引用すると以下の通りです。
Jobs Report Shows Brisk U.S. Hiring in February
With anxiety about the economy bubbling up on Wall Street and at campaign rallies around the country, the government reported on Friday that employers added 242,000 workers in February, a hefty increase that highlighted the labor market's steady gains.
"We've got a real strong job market going," said Carl Tannenbaum, chief economist at Northern Trust. "It does suggest that fears about a U.S. recession have been greatly overdone."
Four years ago, at this point in the last presidential election cycle, the jobless rate was 8.3 percent and the economic recovery was in a relatively early stage. Then, worries centered on rising gas prices, deep consumer debt and government layoffs.
Now, the recovery is in its seventh year, the unemployment rate has dropped sharply to 4.9 percent and the private sector has chalked up 72 months of uninterrupted job gains, the longest streak on record. Oil prices may still be causing ulcers, but this time it is primarily producers who are feeling the pain, because prices have plunged.
The shadow on the otherwise positive Labor Department report was that wages fell 0.1 percent in February, a disappointment after January's promising 0.5 percent increase. That put the yearly growth in wages at 2.2 percent, only slightly ahead of the inflation rate. The average length of the workweek declined by 0.2 hours last month.
この後、さらにエコノミストなどへのインタビューが続きます。いつもよりやや長くなりましたが、包括的によく取りまとめられている印象です。続いて、いつもの米国雇用統計のグラフは下の通りです。上のパネルは非農業部門雇用者数の前月差増減の推移とそのうちの民間部門、下のパネルは失業率です。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。全体の雇用者増減とそのうちの民間部門は、2010年のセンサスの際にかなり乖離したものの、その後は大きな差は生じていません。
まず、非農業部門の雇用者数に関する市場の事前コンセンサスは+200千人に届かないレベルでしたので、かなりこれを上回っています。しかも、直近の先月1月と先々月12月がいずれも上方改定されており、2月と合わせて直近3か月の雇用増は月平均で+228千人ですから、一応の目安とされる+200千人を上回っていると見なすことも可能で、1月はやや下振れしたものの、依然として米国の雇用はかなり堅調と考えるべきです。セクター別では石油などの資源価格下落の影響で鉱業が減少しているものの、やはり米国経済は個人消費が牽引していることを表していて、小売業やヘルスケアが増加を見せています。失業率も5%を下回る水準にあって、ほぼ完全雇用と考えてよさそうです。今月は米国連邦準備制度理事会(FED)が連邦公開市場委員会(FOMC)を15-16日にかけて開催しますが、昨年12月に再開した利上げを決定するするかどうかはビミョーなところです。毎年1%ポイントのFF金利引き上げのためには、25ベーシスの利上げを4回実施する計算になりますので、12月に続く利上げはそろそろ3月にも、と考えられなくもないんですが、中国などの新興国経済の低迷に起因する金融市場の動揺などの影響をFOMCがどのように判断するかが注目されます。私は1回パスではないかと考えているんですが、パスするべきではないという意見も聞こえてきます。
また、日本やユーロ圏欧州の経験も踏まえて、もっとも避けるべきデフレとの関係で、私が注目している時間当たり賃金の前年同月比上昇率は上のグラフの通りです。ならして見て、ほぼ底ばい状態が続いている印象です。サブプライム・バブル崩壊前の+3%超の水準には復帰しそうもないんですが、まずまず、コンスタントに+2%のラインを上回って安定して推移していると受け止めており、少なくとも、底割れしてかつての日本や欧州ユーロ圏諸国のようにゼロやマイナスをつけてデフレに陥る可能性は小さそうに見えます。
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