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2016年4月14日 (木)

IMF「世界経済見通し」World Economic Outlook の見通し編第1章を読む!

4月15日からのIMF世銀総会を前に、4月12日に国際通貨基金(IMF)から「世界経済見通し」World Economic Outlook (WEO) のフルリポートが明らかにされています。まず、IMFのサイトから成長率見通しの総括表を引用すると以下の通りです。画像をクリックすると、pdfの全文リポートpp.2-3の Table 1.1. Overview of the World Economic Outlook Projections の2ページだけを抜き出したpdfファイルが別タブで開くようになっています。

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まず、ヘッドラインとなる成長率見通しですが、世界経済の成長率は、2016年+3.2%、2017年+3.5%と、今年2016年1月の前回見通しから、2016年は▲0.2%ポイント、2017年は▲0.1%ポイントの下方修正となっています。先進国経済においても2016年から2017年にかけて成長率は加速すると見込まれている中で、日本だけは2017年4月に消費税率を引き上げるため、2016年の+0.5%成長から2017年には▲0.1%のマイナス成長に陥ると予測されています。なお、前回見通しの2016年+1.0%、2017年+0.3%のプラス成長から下方修正されており、加えて、上のテーブルにも見られる通り、前回見通しからの下方修正幅も先進国の中でほぼ最大クラスとなっています。消費増税が織り込まれているとはいえ、2017年のマイナス成長も日本経済の弱さを目立てせているような気がしないでもありません。成長率をどこからどう見ても、世界経済の中でもっとも低迷しているのは日本であると考えるべきです。

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次に、上のグラフはリポートから Figure 1.10. China's Share of Value-Added Exports and Change in Export Volume Growth を引用しています。このグラフは中国経済の減速について輸出入を通じた影響を見ています。縦軸が付加価値ベースの中国への輸出シェア、横軸は輸出数量の伸びです。基本的に、中国経済が減速して世界経済にブレーキとなっているわけですから、右下がりの1次近似曲線が引けると考えるべきです。そして、近似曲線こそ引いてありませんが、インドのように左下に外れている国は中国経済の減速以上に経済が悪化しており、逆に、ニュージーランドのように右上に外れている国は中国経済の減速にもかかわらず持ちこたえている、と評価することが出来ます。日本はほぼ標準的ないしやや中国経済悪化の影響ほどは下振れしていない、と見ることが出来るのではないかと受け止めています。にしては、日本経済の成長率見通しが先進国の中でももっとも下振れしているのは、中国要因ではなく他の海外要因ないし国内要因で経済が低迷しているということになります。

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次に、上のグラフはリポートから Figure 1.17. Risks to the Global Outlook を引用しています。昨年4月時点での見通しから、現時点ではややファンチャートは下方にシフトし、世界経済は下振れしていると考えるべきです。また、何種類かのリスクの中でも、特に石油市場のリスクによって景気が下振れする蓋然性が高まっていることが読み取れます。

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次に、上のグラフはリポートから Figure 1.18. Recession and Deflation Risks を引用しています。地域別の景気後退とデフレの確率、それも現在の確率と前回見通し時の確率が示されています。日米欧の先進国の中で、日本は景気後退確率は最も高いながら、デフレ確率は欧州よりも低くなっています。米国はどちらの確率も日欧と比べてもっとも低い結果が示されています。それにしても、中国などのアジア新興国は世界経済減速の主因と目されているにもかかわらず、何と、景気後退の確率もデフレの確率もともにゼロとなっています。日本も高度成長期はこうだったのかもしれません。

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グラフの最後は、リポートから Scenario Figure 1. Decomposition of the Change in Oil Prices を引用しています。バレル100ドル超の石油価格を見込んでいた2014年の経済見通しと2年後の現時点で50ドルくらいの価格を見込んでいる差の分解を試みています。結果は見ての通りで、青い供給ショックが大きな部分を占めています。次いで、赤い部分の成長率の下振れショック、そして、黄色いエネルギー効率の改善と試算されています。何となく理解できる気がします。

最後に、政策対応について、先進国においては、成長率の引上げ及び持続的な成長のため、(1) 構造改革、(2) 継続的な金融緩和、(3) 財政による支援の3つのアプローチ three-pronged approach が必要と指摘し、新興国においては、やはり3点、(1) 中国経済のより均衡のとれた成長への移行に対する支援、(2) 経済の脆弱性に対する対応、(3) 商品価格安の状況へ適応、がそれぞれ必要との結果を示しています。特に国別で日本に対しては、日銀のマイナス金利導入がデフレ脱却へのコミットメントを明確に示したと評価しつつ、最低賃金などの賃上げを目標とする政策の必要性について言及しています。アベノミクスは正しい方向なのかもしれません。

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