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2016年4月12日 (火)

IMF「世界経済見通し」World Economic Outlook の分析編を読む!

先週4月7日のエントリーの最後で触れたところですが、4月15日からのIMF世銀総会を前に、4月6日に国際通貨基金(IMF)から「世界経済見通し」World Economic Outlook (WEO) の分析編第2章と第3章が明らかにされています。まず、両章のタイトルは以下の通りです。

Chapter 2:
Understanding the Slowdown in Capital Flows to Emerging Markets
Chapter 3:
Time for a Supply-Side Boost? Macroeconomic Effects of Labor and Product Market Reforms in Advanced Economies

ということで、見れば明らかなんですが、第2章では新興国や途上国への資金流入が減速している点を分析し、第3章では先進国での供給サイドの構造改革について考察を加えています。国際機関のリポートを取り上げるのはこのブログの最大の特徴のひとつですし、図表を引用しつつ、簡単に紹介しておきたいと思います。

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まず、リポートから Figure 2.1. Net Capital Inflows to Emerging Market Economies and Number of Debt Crises, 1980-2015:Q3 を引用すると上のグラフの通りです。黒い折れ線グラフに着目して、実線がすべての新興国を含むネットの資本流入であり、破線はロシアと中国を除いています。1980年から現在まで3回ほど低下の時期があり、1985年の前後、1990年代後半、そして、2010年以降です。最近時点の2010年以降の資本流入の減速では特に実線と破線の乖離が大きくなっているのが見て取れます。IMFでは40を超える新興市場国・地域のデータを分析した結果として、総じて、資本フローの変化において世界的なプッシュ側の要因の重要性は、公的債務が少なく、潤沢な外貨準備を備え、為替相場の柔軟性が高い新興市場国・地域で低くなっていたと結論し、直近の国際金融フローの減速のマクロ的影響がそれほど大きくなかったのは、こういったより健全な政策枠組みの効果であろうとの政策的な含意を引き出しています。

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次に、リポートから Figure 2.5. Net Capital Inflows by Region, 2000-15:Q3 を引用すると上のグラフの通りです。これは地域的に、特に中国を含む東アジアにおけるネットの資本流入が減少している点を検証しています。GDP比ですから実額ではないものの、かなりのマイナス、すなわち、ネットで資本が流出に転じていることが読み取れます。

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次に、リポートから を引用すると上のグラフの通りです。先進国の成長会計を示していて、赤い積み上げ棒グラフで示された雇用の増加の成長への寄与が徐々に縮小しているのが見て取れます。我が国では労働力人口がすでに縮小に転じており、この部分がマイナスに寄与していることは広く知られている通りです。これを補うに、黄色い全要素生産性(TFP)の上昇が必要ではないかという問題意識であり、そのため、先進国における供給サイドの構造改革を取り上げています。

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最後に、リポートから Figure 3.1. Evolution of Potential Output Growth and Its Components in Advanced Economies を引用すると上のテーブルの通りです。一番左の列が改革の領域を示しており、製造市場、雇用保護法制、失業給付、労働税制、労働市場活性化政策の5分野、うち4分野の圧倒的多数が雇用に関する規制や政策だったりします。そのそれぞれに通常の経済条件、不況下の経済条件、好況下の経済条件、さらにそれぞれに短期と中期を割り当てて、プラスとマイナスの経済効果を示しています。例えば、真ん中へんの失業給付の改革、おそらく、失業給付の短期化や削減など、については、不況下で短期には景気を悪化させかねないものの、通常の経済条件や好況下ではプラスの政策効果が見込める、としています。その時々の経済条件を考慮し、さらに、目先の短期的な効果を追うのか、それとも、中期的な長い目で見た効果を目指すのか、各国の政策当局の腕の見せ所かもしれません。

なお、経済見通しを含むIMF「世界経済見通し」World Economic Outlook (WEO) のフルリポートがもうすぐ、すなわち、米国東海岸時間(EST)の9時、日本時間の今夜10時に発表される予定とIMFのサイトでアナウンスされています。今夜はムリですので、日を改めて見通し編を取り上げたいと思います。

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