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2016年5月23日 (月)

貿易統計に見る熊本地震の影響は大きいのか?

本日、財務省から4月の貿易統計が公表されています。ヘッドラインとなる輸出額は季節調整していない原系列の統計で▲10.1%減の5兆8892億円、輸入額は▲23.3%減の5兆657億円、差引き貿易収支は+8235億円の黒字と3か月連続の黒字を記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

4月の貿易収支、3カ月連続の黒字 熊本地震で輸出減
財務省が23日発表した4月の貿易統計速報(通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は8235億円の黒字(前年同月は583億円の赤字)だった。貿易黒字は3カ月連続。黒字額は2010年3月以来、6年1カ月ぶりの高水準だった。原油安で輸入額の減少幅が大きくなった。黒字幅はQUICKがまとめた市場予想(5350億円の黒字)を上回った。
輸出額は前年同月比10.1%減の5兆8892億円と、7カ月連続で減った。対米輸出は11.8%減と2カ月連続で減少。品目別では自動車が4.4%減と、14年11月以来、1年5カ月ぶりに前年割れした。4月下旬に発生した熊本地震により、大手車メーカーの部品工場が生産を停止した影響が出た。中国を含むアジア向けは、台湾向けの鉄鋼半製品などの輸出が振るわず、11.1%減った。
対ドルの円相場が111.23円と前年同月から7.2%の円高となったことも輸出額の減少要因。対世界の輸出数量指数は4.6%低下し、2カ月連続でマイナスとなった。
輸入額は23.3%減の5兆657億円と、16カ月連続で前年実績を下回った。金額は11年2月以来、5年2カ月ぶりの低水準。原油価格が下落し、サウジアラビアからの原粗油やカタールからの液化天然ガス(LNG)などの輸入額が減った。

いつもの通り、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、貿易統計のグラフは以下の通りです。上下のパネルとも月次の輸出入を折れ線グラフで、その差額である貿易収支を棒グラフで、それぞれプロットしていますが、上のパネルは季節調整していない原系列の統計であり、下は季節調整済みの系列です。輸出入の色分けは凡例の通りです。

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まず、注目された熊本地震の輸出への影響なんですが、引用した記事にもある通り、前年同月比で見て、国別では米国向けの輸出が減少し、さらに、品目別では自動車輸出が減少しているので、米国経済の低迷の影響があるとはいえ、やや輸出にネガティブな影響が見受けられるような気がしますが、熊本地震の輸出への影響はほとんど限定的といっていいレベルの減少であろうと私は受け止めています。むしろ、直感的には、輸出の減少は円高に起因し、輸入の減少は我が国景気動向に由来すると考える方が自然だという気がします。輸出入の差引きで決まる貿易収支の黒字幅が大きいのは、どちらかといえば輸入の減少に起因し、国際商品市況における石油価格の低迷と我が国景気の停滞に原因がありそうな気がします。上のグラフ、特に季節調整済みの系列のグラフからも、輸出入がともに減少する中で、特に輸入額の減少の方が大きくて差額が貿易黒字につながっているのが見て取れると思います。別の見方をすれば、貿易黒字は定着しつつあると考えるべきです。

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輸出をいくつかの角度から見たのが上のグラフです。上のパネルは季節調整していない原系列の輸出額の前年同期比伸び率を数量指数と価格指数で寄与度分解しており、まん中のパネルはその輸出数量指数の前年同期比とOECD先行指数の前年同月比を並べてプロットしていて、一番下のパネルはOECD先行指数のうちの中国の国別指数の前年同月比と我が国から中国への輸出の数量指数の前年同月比を並べています。ただし、まん中と一番下のパネルのOECD先行指数はともに1か月のリードを取っており、また、左右のスケールが異なる点は注意が必要です。ということで、貿易収支の黒字が定着しつつある要因は現在のところ輸出額の増加よりも輸入額の減少の寄与の方が大きいと考えられるため、必ずしも手放しで評価できるわけではないと受け止めている一方で、先行きについては、さすがの国際商品市況もそろそろ底打ちに向かう一方で、我が国からの輸出も増加の方向に向かうと考えられるので、おそらくとても緩やかな動きながら、それなりの拡大均衡に向かう可能性があると私は考えています。すなわち、米国経済は6月にも再利上げが予定されているほど堅調であり、欧州経済と中国経済も最悪期を脱しているように受け止めています。大きな懸念材料は為替です。しかし、米国が再利上げに踏み切れば、現在の円高は是正される可能性があるんではないかと私は楽観しています。

繰り返しになりますが、詳細な情報があるわけではないものの、貿易統計から見て熊本地震の輸出入への影響はかなり限定的と私は受け止めています。為替の影響は無視すべきではないものの、世界経済の回復とともに我が国からの輸出も緩やかに増加する可能性が高まっていると考えるべきです。

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