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2016年6月 1日 (水)

法人企業統計に見る企業活動はやや下向きなるも設備投資は伸びる!

本日、財務省から1-3月期の法人企業統計が公表されています。季節調整していない原系列の統計で、2期連続の減収減益を記録し、売上げは前年同期比3.3%減の332兆874億円、経常利益は9.3%減の15兆8997億円でした。ただ、設備投資は前年同期比で+4.2%増の13兆6805億円と12四半期連続の増加となっています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

経常益9.3%減 1-3月法人企業統計、2期連続で減収減益
財務省が1日発表した2016年1-3月期の法人企業統計によると、全産業(資本金1千万円以上、金融機関を除く)の経常利益は前年同期比9.3%減だった。売上高も3.3%減で、減収減益は2期連続。設備投資額は4.2%増だったが、伸び率は鈍化した。企業の利益は高水準を維持したが、円高などが押し下げ要因となった。
経常利益を業種別にみると、製造業が20.4%減と大きく落ち込み、非製造業は4.5%減だった。製造業では自動車など輸送用機械が28.7%減。北米への車輸出台数ベースで好調に推移したが、1-3月期の為替レートは1ドル=115.32円と前年同期から約4円の円高となったことから利益を圧迫した。電気機械も60.7%減だった。
全産業の経常利益は減少したが、金額は1-3月期としては過去4番目の高さだった。
売上高は製造業で2.2%減、非製造業は3.8%減だった。資源安が響き、石油・石炭は30.2%減だった。
一方、設備投資は製造業、非製造業共に増え12四半期連続で増加した。輸送用機械では新型車向けの生産能力増強のため11.4%増だった。化学でも研究開発投資が増え20.2%増。非製造業ではオフィスビルなどの新設が進み、建設業で20.7%増となった。
内閣府が5月中旬に公表した1-3月期の国内総生産(GDP)では、実質設備投資が前期比1.4%減だった。8日に発表する改定値では、今回の法人企業統計の結果を反映する。SMBC日興証券の丸山義正チーフマーケットエコノミストは8日のGDP改定値で設備投資の前期比がプラスに転じると予測した。

いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、法人企業統計のヘッドラインに当たる売上げと経常利益と設備投資をプロットしたのが下のグラフです。色分けは凡例の通りです。ただし、グラフは季節調整済みの系列をプロットしています。季節調整していない原系列で記述された引用記事と少し印象が異なるかもしれません。影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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前回の昨年10-12月期の統計が公表された際にも、企業活動には陰りが見え始めたと結論しましたが、基本的なラインは続いています。すなわち、季節調整済みの系列で見て、売上高では2014年10-12月期をピークとして5四半期連続で減収が続き、経常利益でも3四半期連続の減益となっています。売上げの方は製造業と非製造業で大きな違いはありませんが、経常利益では製造業の減益が大きくなっています。円高の影響をモロに受けた結果だと私は受け止めています。もっとも、減益というものの経常利益ではまだリーマン・ショック前の水準にあり、設備投資や人件費負担に耐える水準だと私は理解していますが、労使の力関係もあって賃上げが抑制されているのは事実かもしれません。特に、春闘をリードする金属労協などが企業収益に惑わされて賃上げを低く抑えられたのは、消費へのインパクトを通じて日本経済の悪循環を招きかねないことから、実に残念だったと私は考えています。また、下のパネルの設備投資については、人で不足などを背景にこのところやや上向き加減でしたが、1-3月期は新興国経済の低迷や円高進行などを受けて、上向きの角度が鈍っているのが見て取れます。

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続いて、上のグラフは私の方で擬似的に試算した労働分配率及び設備投資とキャッシュフローの比率をプロットしています。労働分配率は分子が人件費、分母は経常利益と人件費と減価償却費の和です。特別損益は無視しています。また、キャッシュフローは実効税率を50%と仮置きして経常利益の半分と減価償却費の和でキャッシュフローを算出しています。このキャッシュフローを分母に、分子はいうまでもなく設備投資そのものです。いずれも、季節変動をならすために後方4四半期の移動平均を合わせて示しています。太線の移動平均のトレンドで見て、労働分配率はグラフにある1980年代半ば以降で歴史的に経験したことのない水準まで低下しました。また、最初にお示ししたグラフでは季節調整済みの設備投資はこの7-9月期にやや増加したものの、キャッシュフローとの比率で見れば設備投資は50%台後半で停滞が続いています。これまた、法人企業統計のデータが利用可能な期間ではほぼ最低の水準です。経常利益などの企業収益の先行きに不安が残るものの、これらのグラフに示された財務状況から考えれば、まだまだ雇用の質的な改善のひとつである賃上げ、もちろん、設備投資も大いに可能な企業の財務内容ではないかと私は期待しています。

本日公表された法人企業統計などを盛り込んで、1-3月期のGDP統計2次QEが来週6月8日に内閣府から公表される予定となっています。需要項目の中では、引用した記事の最後のパラにもある通り、季節調整済みの前期比で▲1.4%減だった設備投資が上方修正されるんではないかと私は予想しています。また、日を改めて2次QE予想として取りまとめたいと思います。

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