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2016年7月 1日 (金)

底堅い業況判断DIを示した6月調査の日銀短観をどう見るか?

本日、日銀から6月調査の日銀短観が公表されています。ヘッドラインとなる大企業製造業の業況判断DIは3月から横ばいの+6を、大企業非製造業も3月の+22からやや悪化して+19を、それぞれ記録しました。先行きは、大企業製造業はやはり横ばいの+6と、大企業製造業はやや悪化して+17と、それぞれ見込まれています。また、今年度2016年度の大企業全産業の設備投資計画は3月調査の▲0.9%減から上方修正され+6.2%増と集計されています。ただし、過年度2015年度の大企業全産業の設備投資計画は前年度比で+9.8%減から+3.4%の実績見込みに大幅に下方修正されています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

6月日銀短観、大企業・製造業DIプラス6 前期から横ばい 先行きもプラス6
日銀が1日発表した6月の全国企業短期経済観測調査(短観)は、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)が大企業製造業でプラス6だった。前回の3月調査(プラス6)から横ばいだった。国内外の需要低迷に加え外国為替市場での円高が進んだ影響で自動車産業など輸出関連企業の景況感が悪化した一方、市況改善などを背景に素材関連企業が持ち直した。
業況判断DIは景況感が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を引いた値。6月の大企業製造業DIは、QUICKがまとめた市場予想の中央値のプラス4を上回った。回答期間は5月30日-6月30日で、回答基準日の6月13日までに7割の企業が回答した。英国のEU(欧州連合)離脱決定で金融市場などが混乱した影響はほとんど反映していないとみられる。
3カ月先については、大企業製造業がプラス6の見通しだった。世界経済の先行き不透明感や円高が景況感の重荷になるが、熊本地震後に低迷した製造業の挽回生産などの拡大を見込んでいた。
2016年度の事業計画の前提となる想定為替レートは大企業製造業で1ドル=111円41銭だった。前回の117円46銭よりも円高・ドル安方向に修正された。
大企業非製造業のDIはプラス19と、前回から3ポイント悪化した。
悪化は2四半期連続。国内個人消費の低迷を背景に業況感が悪化した。訪日外国人観光客に関連する消費の伸び悩みも業況感を下押しした。
3カ月先のDIは2ポイント悪化し、プラス17を見込む。円高・株安などで個人消費の先行きへの懸念が強い。
中小企業は製造業が1ポイント悪化のマイナス5、非製造業は4ポイント悪化の0だった。先行きはいずれも悪化を見込む。
2016年度の設備投資計画は大企業全産業が前年度比6.2%増だった。6月調査の0.9%減から上方修正された。もっとも昨年の同時期の計画(9.3%増)を下回った。
16年度は大企業のうち製造業は12.8%増、非製造業は2.7%増を計画している。
16年度の全規模全産業の設備投資計画は前年度比0.4%増で、市場予想の中央値(0.5%増)を下回った。
大企業製造業の16年度の輸出売上高の計画は前年度比1.6%減で3月調査の1.5%減から下方修正された。円高や新興国経済の減速を背景に、企業が慎重な姿勢を示したとみられる。
大企業製造業の販売価格判断DIはマイナス12と、3月調査(マイナス15)から3ポイント改善。DIは販売価格が「上昇」と答えた企業の割合から「下落」と答えた企業の割合を差し引いたもの。企業がコストを販売価格に転嫁する姿勢はみられるものの、景気の不透明感などからDIの改善幅は小幅だった。
金融機関の貸出態度判断DIは全規模・全産業で23と、3月調査から横ばいだった。

やや長いんですが、いつもながら、適確にいろんなことを取りまとめた記事だという気がします。続いて、規模別・産業別の業況判断DIの推移は以下のグラフの通りです。上のパネルが製造業、下が非製造業で、それぞれ大企業・中堅企業・中小企業をプロットしています。色分けは凡例の通りです。なお、影をつけた部分は景気後退期です。

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まず、企業マインドは足元と目先の先行きで意外と底堅いと私は受け止めています。もっとも、英国のEU離脱、いわゆるBREXITがほとんど考慮されていないようですから、その点は割り引く必要があるかもしれません。いずれにせよ、昨年年央からの中国やブラジルをはじめとする新興国景気の低迷、今年明けて以降の株安や為替の円高進行などの金融市場の動揺、などなど、企業マインドを悪化させる要素が決して少なくない中で、少なくとも大企業レベルではマインドは底堅いというべきです。ただ、ここから先は私の解釈、というか、直観的な理解なんですが、現時点では、このまま景気後退に一直線で進むというマインド悪化は見られず、先行きに対する漠然とした不安感とでもいう雰囲気が漂っている段階ではないかと考えられます。もしもそうであれば、政策的に何らかの景気対策を考えることにより、この漠然とした不安感はある程度までは取り除ける可能性がなくはない、と私は考えています。

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続いて、いつもお示ししている設備と雇用のそれぞれの過剰・不足の判断DIのグラフは上の通りです。設備については、後で取り上げる設備投資計画とも併せて見て、設備の過剰感は完全に払拭されたと考えるべきですし、雇用人員についても不足感が広がっています。特に、採用に苦労している中堅・中小企業では大企業よりも不足感が強まっています。ただし、足元から目先の先行きについては、統計の誤差範囲かもしれませんが、人手不足に関しては大企業レベルでは不足感の加速には歯止めがかかりつつあるように見受けられる一方で、規模の小さな企業ではまだまだ不足感が強まっているようです。

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続いて、設備投資計画のグラフは上の通りです。今年2016年度の計画は黄緑色のやや太いラインと同色の大きなマーカで示されていますが、見ての通りで、3月調査から上方修正され大企業全産業で前年度比+6.2%増と計画されています。全規模全産業では、3月調査の前年度比▲4.8%減から、6月調査では+0.4%増に上方修正されています。この統計の「クセ」のようなもので、3月調査のほぼ横ばいという標準的なところから始まって、6月調査では大きく上方修正、というパターンが見られます。先行き、さらに景気が上向くのであれば、それに従って上方修正される可能性が高くなるのが日銀短観の統計としてのクセと考えるべきです。ただし、注意しておかねばならないのは、昨年度2015年度の設備投資計画の実績見込みが、3月調査の大企業全産業の+9.8%増から6月調査では+3.4%増に大きく下方改定されている点です。すなわち、2015年度の設備投資計画から後送りされて2016年度の計画がやや膨らんだ、という面があるのを忘れるべきではありません。私はかねてより設備投資については、強気のマインドのソフトデータと冴えないハードデータの乖離を指摘して来ましたが、どうも、強気のソフトデータの方にムリがあったようです。そして、その分が2015年度から2016年度に後送りされているだけなのであれば、2016年度の設備投資計画の今後の行く方にも影響が出る可能性を指摘しておきたいと思います。

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最後に、日銀短観のほかに本日公表された経済指標のグラフは上の通りです。上から3枚のパネルは雇用統計であり、それぞれ、失業率有効求人倍率、新規求人数の推移です。さらに、消費者物価上昇率と消費者態度指数のグラフが続きます。なお、去る6月17日に総務省統計局から「2015年基準改定に伴う公表スケジュール」が公表されており、2015年度基準消費者物価が8月に公表される旨が明らかにされています。

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