本日公表の景気動向指数から先行き景気をどう考えるか?
本日、内閣府から5月の景気動向指数が公表されています。ヘッドラインとなるCI一致指数は前月から▲1.5ポイント下降して110.5を、CI先行指数は前月と変わらず100.0を、それぞれ記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。
景気一致指数、1.5ポイント低下 5月、判断「足踏み」で据え置き
内閣府が7日発表した5月の景気動向指数(2010年=100、速報値)で、景気の現状を示す一致指数は前月比1.5ポイント低下の110.5だった。低下は3カ月ぶり。内閣府は一致指数の基調判断を「足踏みを示している」に据え置いた。
前月と比較可能な8指標のうち6指標が一致指数のマイナスに影響した。なかでも軽自動車などの出荷が落ち込んだことで、耐久消費財出荷指数が悪化。鉱工業生産財出荷指数も指数低下につながった。有効求人倍率や中小企業出荷指数(製造業)は改善したが補えなかった。内閣府は4月の熊本地震による影響は限定的とみている。
数カ月先の景気を示す先行指数は横ばいの100.0だった。新規求人数や新設住宅着工床面積が改善を示した。一方、鉱工業用生産財在庫率指数などが悪化した。
いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、下のグラフは景気動向指数です。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた部分は景気後退期を示しています。
グラフを見ても明らかなんですが、CI一致指数に比べてCI先行指数が長らく下降状態にあったんですが、3か月後方移動平均で見て5月指数は11か月振りに上昇に転じています。また、CI一致指数が3か月振りに下降し、単月で▲1.5ポイントとそこそこの大きさなんですが、3か月後方移動平均ではまだプラスを維持しています。少し詳しく系列別に見ると、CI先行指数では新規求人数(除学卒)、新設住宅着工床面積、消費者態度指数などがプラス寄与した一方で、逆サイクルの鉱工業用生産財在庫率指数や中小企業売上げ見通しDIがマイナス寄与しており、相殺して前月から横ばいの一方で、CI一致指数では有効求人倍率(除学卒)と中小企業出荷指数(製造業)を除いて、ほとんどがマイナス寄与しており、特に大きい順で、耐久消費財出荷指数、鉱工業用生産財出荷指数、生産指数(鉱工業)、投資財出荷指数(除輸送機械)などとなっています。5月のCI一致指数が大きく下降したのは鉱工業生産と出荷の影響を受けており、逆に、CI先行指数は雇用、住宅、消費者マインドといった系列がプラス寄与しています。CI一致指数は5月に下降したわけですし、統計作成官庁の内閣府の基調判断の通り、当面の景気は「足踏み」が続く可能性があるものの、少し先を見通せば、CI先行指数は先行き景気の緩やかな回復を示唆している可能性が高いんではないか、と私は楽観しています。また、本日公表の5月の景気動向指数の系列を詳細に見る限り、その場合のけん引役は企業部門ではなく家計部門となる可能性が十分にあるんではないか、という気もします。
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