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2016年7月13日 (水)

帝国データバンクによる熊本地震によるマクロ経済への影響分析やいかに?

とても旧聞に属する話題ながら、6月28日に帝国データバンクから「熊本地震によるマクロ経済への影響分析」と題するリポートが公表されています。もちろん、pdfの全文リポートもアップされています。まず、帝国データバンクのサイトから分析結果を4点引用すると以下の通りです。

分析結果
  1. 平成28年熊本地震による被害の大きかった熊本県と大分県の名目県内総生産(GRP)は、日本全体の1.9%(2013年度)を占めており、自動車工場の被災でサプライチェーンが大きく毀損した新潟県中越沖地震(2007年7月)の被災地となった新潟県と同程度
  2. 熊本地震では、九州自動車道の一部不通で生産された農産物の流通への打撃が懸念されるほか、電気製品に組み込まれる電子部品などの供給力低下は、企業がサプライチェーンを再構築するきっかけとなる可能性もある
  3. 過去の震災が日本経済に与えた影響では、東日本大震災を除き、発災の翌期にはプラス成長に転じており、とりわけ個人消費の回復がけん引してきた。しかし、過去の震災は日本経済が堅調に推移していたなかで発生していた。今回の熊本地震は、国内総生産(GDP)が過去8期中4期でマイナス成長を記録するなど、景気が停滞するなかで発生しており、影響は新潟県中越沖地震を上回る懸念もある
  4. TDBマクロ経済予測モデルによる見通しでは、日本銀行と政府による支援策で、震災からの復旧・復興に向けた環境が整いつつあり、住宅投資や公共投資の集中投下で2017年1-3月期以降は過去の震災時と比較して堅調に推移すると予測される

かなり長くなってしまって、ほぼほぼすべてを網羅的に概観しているような気もしますが、追加的に、政府の対策を簡単に見ておきたいと思います。まず、内閣府では「平成28年熊本地震の影響試算について」と題するリポートで、熊本・大分両県に及ぶストック被害を約2.4-4.6兆円と試算しています。両県のストック総額が約63兆円ですから、大雑把に4%から7%くらいの被害ということになります。これに対して、政府は4月26日に激甚災害の指定を行い、土木施設災害復旧事業等に関する特別の財政援助、農地等の災害復旧事業に係る補助の特別措置などを実施する政令がすでに施行されており、また、補正予算案につて、被災者の生活再建や道路の復旧などを後押しするため7,780億円を計上する方針と報じられています。日銀も4月28日に貸付総額3,000億円を無利息で実施するという被災地金融機関支援オペの措置を決定・導入しています。
最後に、下のグラフはリポートから 震災発生後の実質GDPの推移 のグラフを引用しています。黒いラインがTDBマクロ経済予測モデルを用いた帝国データバンクの予測なんですが、これを見る限りは、熊本地震の影響は限定的とも見えます。でも、このグラフはかなりミスリーディングです。すなわち、オレンジのラインの新潟県中越沖地震の後の実質GDPが大きく落ち込んでいるのが読み取れますが、これは地震の影響というよりは、リーマン証券の破たんなどの金融危機の影響と考えるべきです。このグラフでは、東日本大震災だけが景気回復を腰折れさせかねない経済へのインパクトを持っていた、と私は考えています。その点を考慮しつつ眺める必要がありそうです。

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