今年の「経済財政白書」の分析結果やいかに?
本日、内閣府から今年の「経済財政白書」が公表されています。副題は「リスクを越えて好循環の確立へ」とされており、さまざまな分析がなされています。大部なリポートであって、私もまだ全文を読み通したわけではありませんが、グラフとともに2点ほど私が注目したポイントを取り上げておきたいと思います。取りあえず、公表当日中にブログにアップしておくのも意味あることではないかと自負しています。
まず、上のグラフは白書 p.11 第1-1-2図 為替市場の動向と株価の推移、我が国と英国及びEUとの経済関係 を引用しています。すなわち、白書冒頭の 第1章 景気動向と好循環の確立に向けた課題 の中でもそのまた冒頭の 第1節 景気の現状と好循環の確立に向けた課題 において、景気の現状に続いて我が国経済が抱えるリスク要因が分析されており、最初の p.10 で英国のEU離脱、いわゆるBREXITが我が国経済が抱えるリスク要因の筆頭に取り上げられています。すなわち、「国際金融資本市場は大きく変動し、我が国においても、ドル円レートは一時1ドル=100円を割り込むなど円高方向に推移し、株価も1万5,000円台を割り込む局面もあった」として、その背景資料となっています。その上で、BREXITから我が国経済への波及として以下の3つのルートを提示しています。
- 金融資本市場の変動による影響
- 不確実性の高まりによる影響
- 今後の英国とEUの関係の変化が貿易や投資に直接的に及ぼす影響
次に、上のグラフは白書 p.32 第1-2-3図 若年子育て期世帯の将来不安 を引用しています。すなわち、第1章 第2節 個人消費の伸び悩みとその要因 では、力強さを欠く個人消費の構造的要因として、家電エコポイント制度などの各種施策等による需要の先食いが耐久財の消費に影響していることを指摘しつつ、世代別に分析すると、世帯主が39歳以下である若年子育て期世帯に着目し、可処分所得の増加に比して消費支出が抑制されていることから、子供に対する保育料や教育資金、社会保険料などの負担が発生する中で、将来も安定的に収入を確保できるのか、老後の生活設計は大丈夫なのかといった将来不安に基づいて若年子育て期世帯で消費抑制が生じている可能性を指摘しています。世代間不平等のしわ寄せを受けている世代で消費抑制が生じている可能性があり、私の従来からの主張にも合致しており、さすがに白書の着眼点の確かさを確認した思いです。

なお、今日、同じく内閣府から7月の消費者態度指数も公表されています。いつものグラフは上の通りです。前月から▲0.5ポイント低下し41.3を記録しています。消費者マインドは相変わらず低調であると受け止めています。
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