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2016年10月 5日 (水)

IMF「世界経済見通し」見通し編が公表される!

日本時間の昨夜、国際通貨基金(IMF)から今週末10月7-9日の世銀IMF総会を前にIMF「世界経済見通し」見通し編が公表されています。pdfの全文リポートもアップされています。ヘッドラインとなる世界経済の成長率は今年2016年+3.1%、来年2017年+3.4%と7月時点の「改定見通し」からほぼ変更なしとなっています。ただし、日本については、消費増税の先送りで2017年の成長率見通しが上方改定されています。まず、リポート p.21 の日本の経済見通しに関するパラを引用すると以下の通りです。

Japan's growth is projected to remain weak, in line with potential, at 0.5 percent in 2016, before rising to 0.6 percent in 2017. Postponement of the consumption hike, the recently announced growth-enhancing measures, including the supplementary budget, and additional monetary easing will support private consumption in the near term, offsetting some of the drag from the increase in uncertainty, the recent appreciation of the yen, and weak global growth. Japan's medium-term prospects remain weak, primarily reflecting a shrinking population.

ということで、日本経済の見通し、短期だけでなく中期的にも、包括的に概観されています。要するに、2016-17年の成長率は潜在成長率並みの+0.5%近傍であり、補正予算を含む経済対策と追加的な金融緩和が個人消費を押し上げる効果を見込むことが出来ることから、いくぶんなりとも円高や世界経済の低迷の効果を減殺する、というカンジでしょうか。でも、中期的には人口減少に伴って成長率見通しは低位にとどまる、ということになります。

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続いて、上のテーブルはIMFのニュースサイト IMF Sees Subdued Global Growth, Warns Economic Stagnation Could Fuel Protectionist Calls から成長率見通しの総括表を引用しています。いつもの通り、画像をクリックするとリポート pp.2-3 の見通し総括表の2ページだけを抜き出した pdf ファイルが別タブで表示されるようになっています。

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次に、先行きリスクについて、リポートから p.29 Figure 1.19. Risks to the Global Outlook 及び p.30 Figure 1.20. Recession and Deflation Risks の2つのグラフを強引に連結して引用すると上の通りです。まず、Figure 1.19. Risks to the Global Outlook について見ると、一番上のパネルのファン・チャートを見る限り、一昨年2014年10月や昨年2015年10月時点の見通しと比較して、特に一昨年10月と比べれば、まだまだ下方リスクの方が大きいと考えられますが、来年2017年までスコープに入れても、さすがに、世界経済の成長率が+2%を割り込む可能性は低そうです。ただし、最大のリスク要因は石油市場だと結論しているようです。さらに、Figure 1.20. Recession and Deflation Risks を見れば判ると思いますが、今年2016年4月の時点からやや低下したとはいえ、先進国の中では我が国の景気後退確率がもっとも高くなっています。下のパネルのデフレ確率も同じで、特に、リポート p.30 では消費者物価の最近の動向と円高のためにデフレ確率が上昇している "the probability of deflation has increased in Japan owing to weak momentum in consumer prices and the recent appreciation of the yen" と結論しています。

最後に、政策対応について Country-Specific Priorities では、p.32 で日本に対し、マイナス金利を含む日銀の金融緩和はデフレに逆戻りしないためには "critical" であり、財政による景気浮揚策も成長加速には有効だが、中期的な成長期待と賃金上昇を促進する包括的な政策が必要 "a comprehensive policy approach is required that enhances demand support with actions to lift medium-term growth expectations and boost wages" と指摘しています。その中身として、正規と非正規を指していると思われる労働の二重性の縮小、あるいは、女性や高齢者の労働参加率の上昇などは、従来からのありきたりな内容だという気がしないでもないんですが、私が注目しているのは、企業が過剰なキャッシュを溜め込むのを防止するガバナンスの強化 "stronger corporate governance to discourage companies from accumulating excess cash reserves" が加わり、さらに、高収益企業に賃上げを促す所得政策 "income policies that motivate profitable companies to raise wages" です。実現にはいくつかハードルがあるように見えますが、何とか政策として可能な範囲で取り込める部分を探すということになりそうな気がします。

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