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2016年10月11日 (火)

季節要因で悪化に見える景気ウオッチャーと黒字を続ける経常収支!

本日、内閣府から9月の景気ウォッチャーが、また、財務省から8月の経常収支が、それぞれ公表されています。季節調整していない系列で見て、景気ウォッチャーの現状判断DIは前月から▲0.8ポイント悪化して44.8を、また、先行き判断DIは+1.1ポイント上昇して48.5をそれぞれ記録し、経常収支は2兆8億円の黒字を計上しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

9月の街角景気、現状判断指数は3カ月ぶり悪化
内閣府が11日発表した9月の景気ウオッチャー調査(街角景気)によると、街角の景気実感を示す現状判断指数は44.8で、前月比0.8ポイント低下(悪化)した。悪化は3カ月ぶり。
2-3カ月後を占う先行き判断指数は48.5で、1.1ポイント上昇した。改善は3カ月連続。家計動向と企業動向、および雇用関連が改善した。
内閣府は基調判断を「持ち直しの動きがみられる」で据え置いた。
8月の経常収支、2兆8億円の黒字 対外直接投資は10年半ぶり赤字
財務省が11日発表した8月の国際収支状況(速報)によると、海外との総合的な取引状況を示す経常収支は2兆8億円の黒字だった。前年同期に比べて3759億円黒字幅を拡大した。黒字は26カ月連続。原油安を背景に貿易収支が改善したことが寄与した。
貿易収支は2432億円の黒字で、前年同月(3292億円の赤字)から大幅に改善。原油や液化天然ガス(LNG)などの燃料価格が下落し、輸入額が5兆587億円と18.3%減少した。円高進行も外貨建ての輸入額の減少につながった。自動車や鉄鋼などを中心に輸出額も5兆3019億円と9.6%減少したが、輸入の落ち込みの方が大きかった。
サービス収支は525億円の赤字(前年同期は421億円の黒字)だった。通信関連の支払いで「その他サービス収支」が悪化。出国日本人数が増えたことで旅行収支も黒字幅が縮小した。
第1次所得収支は1兆9853億円の黒字と前年同月に比べて565億円黒字幅を縮小した。円高で証券投資などの収益が目減りした。
対外直接投資は1兆4072億円の赤字だった。赤字になるのは2006年2月(952億円の赤字)以来10年6カ月ぶり。企業による海外子会社における株式資産の売却などが影響した。

いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。でも、2つの統計を並べるとどうしても長くなってしまいがちです。続いて、景気ウォッチャーのグラフは下の通りです。現状判断DIと先行き判断DIをプロットしています。いずれも季節調整済みの系列です。色分けは凡例の通りです。また、影をつけた部分はいずれも景気後退期です。

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少しややこしいんですが、季節調整していない原系列の統計で見ると、9月は現状判断DIが低下したものの、先行き判断DIは上昇しています。でも、季節調整値で見ると、上のグラフの通り、現状判断DIは前月比+0.3ポイント上昇の46.3、先行き判断DIも+0.7ポイント上昇の49.6と、いずれも上昇を示しています。軽く考えると、原系列の統計では季節要因により低下した、といえるかもしれません。ですから、統計作成官庁である内閣府でも基調判断は「持ち直しの動き」で据え置いています。季節調整しない原系列のデータについては、9月がかなり天候要因が芳しくなかった点も考慮する必要があるかもしれないため、いずれにせよ、見た目ほど景気ウォッチャーは悪化しておらず、先行き判断DIは原系列・季節調整済み系列とも上昇を示していることから、先行きのマインドも悪くないと考えてよさそうです。毎月勤労統計に見る実質賃金も上昇を示し、正規職員も増加を示し始めていますので、景気ウォッチャーでも雇用関連は堅調に推移しており、マインドも底堅いと評価すべきです。

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次に、経常収支のグラフは上の通りです。青い折れ線グラフが経常収支の推移を示し、その内訳が積上げ棒グラフとなっています。色分けは凡例の通りです。上のグラフは季節調整済みの系列をプロットしている一方で、引用した記事は季節調整していない原系列の統計に基づいているため、少し印象が異なるかもしれませんが、経常収支についてもかなり震災前の水準に戻りつつある、と私は受け止めています。ただし、引用した記事にもある通り、経常黒字の背景は国際商品市況における石油価格低下であり、場合によっては、石油価格の動向という不透明な要因支えられていることは忘れるべきではありません。もちろん、為替要因についても円高の進行が企業収益だけでなく、対外バランスに及ぼす影響は無視できません。

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