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2016年11月29日 (火)

OECD「経済見通し」は世界の経済成長率を上方修正!

昨日2016年11月28日、経済協力開発機構(OECD)から「経済見通し」 OECD Economic Outlook, November 2016 が公表されています。Chapter 1 の General assessment of the macroeconomic situation だけがpdfでアップされています。ヘッドラインとなる世界の成長率見通しは9月時点の予測に比べ+0.1%ポイント引き上げて3.3%に上方修正され、新たに予測した2018年は+3.6%と見込んだ一方で、今年2016年は2.9%で据え置いています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

世界の成長率を上方修正 OECD予測、17年3.3%に
経済協力開発機構(OECD)は28日、2017年の世界経済の見通しを上方修正した。世界経済は「低成長のわな」に陥っているが、各国の財政政策で成長率が高まると分析した。実質国内総生産(GDP)の伸び率は、9月時点の予測に比べ0.1ポイント引き上げて3.3%、新たな予測を出した18年は3.6%とした。16年は2.9%で据え置いた。
米国は17年に2.3%、18年に3.0%と成長が加速する姿を描く。トランプ次期大統領が公約した5500億ドルのインフラ投資を予測に織り込んだ。
消費や投資が活発になり、世界経済にも波及するとみている。米国の財政拡大による世界経済へ押し上げは、17年が0.1ポイント、18年は0.3ポイントになると試算した。
16年に6.7%成長を見込む中国は、17年が6.4%、18年が6.1%と減速する。過剰生産の解消に取り組むことが影響する。財政政策が下支えするため、大幅な減速は避けられるとみている。
日本は事業規模28兆円の経済対策の効果が出て、17年の成長率を1.0%と0.3ポイント引き上げた。18年は財政健全化の取り組みが優先するため、0.8%成長に減速する。
OECDはG20諸国で実施している貿易制限策が増えていることに警鐘を鳴らした。保護主義的な政策は成長の阻害要因になるとした。

やや長くなったものの、いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、プレス公表資料から主要国の成長率見通しの総括表を引用すると以下の通りです。

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最新の11月時点での見通しと前回の9月時点での見通しが並べられていますが、成長率の水準は低いものの、もっとも大きな上方修正があったのは我が日本のようです。今年2016年は+0.3%ポイント、来年2017年は+0.2%ポイント、それぞれ上方修正されています。我が国の成長率そのものは2016年+0.8%、2017年+1.0%、2018年+0.8%ですから、上のテーブルに示された先進国の中でもほぼ最低水準に近いんですが、まずまず安定的に+0.5%から+1%くらいと見られる潜在成長率近傍の成長を実現するものと見込まれています。なお、現時点で消費税率が10%に引き上げられるのは2019年10月と予定されていますので、この見通し期間中の消費税率引き上げは織り込まれていません。逆に、トランプ次期米国大統領がすでに表明している5500億ドルのインフラ整備などは前提条件として盛り込まれているようです。また、引用した記事にもある通り、日本の事業規模28兆円の経済対策の効果も入っています。

さらに、プレス公表資料では、Key Issues として以下の4点を指摘しています。

  • The global economy remains in a low-growth trap, but more active use of fiscal policy will raise growth modestly
  • Policy uncertainties and financial risks are high
  • Fiscal, structural, trade policies need to be interwoven for gains
  • Collective action enables greater gains at lower political cost

ということで、特に財政政策と構造政策と貿易政策を重視し、トランプ次期米国大統領の政策も見据えつつ、貿易制限的な措置に関しては特に警戒感をあらわにしている一方で、財政政策についても過度の財政再建策の適用につき好ましくない場合があるとの態度を明らかにしています。国別財政政策スタンスにより、2016-17年の財政政策を評価している表 Most countries are moving toward the right fiscal stance, but many could do more をプレス公表資料から引用すると下の通りです。表を見れば明らかな通り、オレンジ色の国々は2016年度から2017年度にかけて財政政策のスタンスを拡張的な方向で変更したわけです。日本については2016-17年度と2年連続して中立的なスタンスを維持していると評価されています。

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また、本日は総務省統計局の失業率や厚生労働省の有効求人倍率などの雇用統計が、また、経済産業省の商業販売統計が、それぞれ公表されています。いずれも10月の統計ですが、失業率は前月と同じ3.0%を、また、有効求人倍率はさらに上昇して1.40倍を記録した一方で、小売業販売額は季節調整していない原系列の統計で見た前年同月比で▲0.1%減と、引き続き冴えない結果に終わりました。いつものグラフは下の通りです。上から順に、失業率、有効求人倍率、新規求人数、ここまで季節調整済みの系列で、以下、商業販売統計のうちの小売業販売額の季節調整していない原系列の前年同月比伸び率と季節調整指数です。

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最後に、我が国の商業販売統計とも関連して、先週11月25日は米国などで感謝祭後の最初の金曜日、すなわち、いわゆる Black Friday だったんですが、CNNニュースなどでキャリーされている全米小売業協会(NRF)のサイトでリポートされているデータでは、今年2016年の客足は154百万人と昨年2015年の151百万人より増加したものの、1人当たり支出は$289.19と昨年の$299.60からわずかに減少しています。客足と単価をかければ支出総額が出るハズなんですが、私が勝手に計算すると前年比で▲1.6%と出ます。ただし、いわゆるミレニアル世代を中心に、昨日は、いわゆる cyber Monday だったところ、in-storeよりもオンラインでのショッピングが増加している事実も同時に報告されています。

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