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2016年12月12日 (月)

増加に転じた機械受注とマイナス幅が着実に縮小する企業物価指数(PPI)をどう見るか?

本日、内閣府から10月の機械受注が、また、日銀から11月の企業物価 (PPI)が、それぞれ公表されています。機械受注は変動の激しい船舶と電力を除くコア機械受注の季節調整済みの系列で見て、前月比+4.1%増の8783億円を記録し、企業物価はヘッドラインの国内物価上昇率は前年同月比で▲2.2%の下落を示しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

機械受注、10月4.1%増 非製造業が3年5カ月ぶり高水準
内閣府が12日発表した10月の機械受注統計によると、民間設備投資の先行指標とされる「船舶・電力を除く民需」の受注額(季節調整値)は、前月比4.1%増の8783億円だった。増加は3カ月ぶり。QUICKが事前にまとめた民間予測の中央値(1.1%増)を大幅に上回った。非製造業からの受注額が2013年5月以来3年5カ月ぶりの高い水準となり、全体をけん引した。
機械受注の基調判断は、過去3カ月の動向を踏まえ「持ち直しの動きに足踏みがみられる」に据え置いた。
製造業からの受注額は1.4%減の3310億円と3カ月連続で減った。電子計算機で反動減が出た電気機械は26.2%減、非鉄金属も前月に原子力原動機などで大型受注があった反動で69.6%減と落ち込んだ。
非製造業からの受注額は4.6%増の5336億円と3カ月ぶりに増えた。発電機など内燃機関が増え、その他非製造業が56.0%増えた。農林漁業では農林機械や建設機械が伸び26.7%増になった。
前年同月比での「船舶・電力を除く民需」の受注額(原数値)は5.6%減だった。内閣府は10-12月期見通しを5.9%減と開示していた。10月の実績を踏まえ、内閣府は「思ったほどのマイナスではないのかもしれない」との見方を示した。
11月の企業物価、前年比2.2%下落 米政策期待で前月比は上昇
日銀が12日に発表した11月の国内企業物価指数(2010年平均=100)は99.1で、前年同月比で2.2%下落した。前年比で下落するのは20カ月連続。ただ、下げ幅は6カ月連続で縮小し、15年5月以来の小ささとなった。足元の商品価格の上昇や円安進行が物価下落を抑えている。
前月比では0.4%の上昇だった。米国の次期政権の政策期待や中国の公共事業拡大に急激な円安が重なり、銅や地金など非鉄金属の価格が上昇した。
円ベースの輸出物価は前月比で3.1%上昇、前年比で7.8%下落した。輸入物価は前月比で5.4%上昇し、前年比では10.2%下げた。
企業物価指数は企業同士で売買するモノの価格動向を示す。公表している814品目のうち前年同月比で下落したのは504品目、上昇は226品目だった。下落と上昇の品目差は278品目で、10月の確報値(312品目)から縮小した。
日銀は企業物価の前月比での上昇について「石油輸出国機構(OPEC)の減産合意や中国の(鉱山に対する)環境規制といった供給要因に加え、米国や中国の財政政策への期待が要因」と指摘。その上で「実需といえるものはそれほど大きくない。供給要因や政策期待がいつまで続くのか注視していく」とした。

いつもながら、よく取りまとめられた記事だという気がします。次に、機械受注のグラフは以下の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその6か月後方移動平均を、下は需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は、その次の企業物価とも共通して、景気後退期を示しています。

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機械受注については、引用した記事にもある通り、コア機械受注が日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスを上回って増加しましたが、注意すべきは、11月の米国大統領選挙の結果が出る前の調査結果であり、トランプ次期米国大統領の選出による円安などの前の状況を基にした統計であるという点です。ですから、季節調整済みの系列で見て、製造業は3か月連続の前月比マイナスですが、船舶と電力を除く非製造業+4.6%と増加し全体を押し上げています。円安前ですので、基本的には、マクロ経済の環境改善に伴う受注増と考えていますが、それほどすぐには発注が来るわけでもないでしょうし、もう少し長い目で設備投資環境を考える必要がありそうです。特に、次期米国大統領のトランプ効果としては円安と株高が短期的に生じており、企業収益の改善などを通じて設備投資にプラスの影響を及ぼすと考えられますが、TPP脱退などの通商政策をはじめとして、経済大国である米国の内向き政策が世界経済の先行き不透明感を増幅させる可能性も十分あり、引き続き、上のグラフの上のパネルに見られる通り、横ばい圏内の動きを示す可能性が高いと私は考えています。もっとも、明確な上向き基調に戻るのも時間の問題であり、さらに、日本経済の現在の実力からすれば、横ばい基調でもそれなりに堅調な動きを考えるべきです。ただ、消費をはじめとして内需に力強さは感じられません。逆に、人口減少下で人手不足は労働から設備資本への代替を促進します。またまた逆を考えれば、せっせと内部留保を溜め込む企業行動がどこまで合理的かも、私には理解できません。設備投資の先行きについては、いろいろと考える要素が多過ぎるような気がします。

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次に、企業物価(PPI)上昇率のグラフは上の通りです。上のパネから順に、国内物価、輸出物価、輸入物価別の前年同月比上昇率、需要段階別の上昇率、最後に、輸入物価のうちの円建て原油価格指数を、それぞれプロットしています。上の2つのペネルで影をつけた部分は、景気後退期を示しています。ということで、企業物価(PPI)上昇率はここ数か月でかなりマイナス幅を縮小させています。すなわち、今年5月には前年同月比で▲4.4%の下落だったのが、3か月後の8月には▲3.6%に縮小し、さらに3か月後の11月の統計では▲2.2%までマイナス幅が半減しました。特に、11月統計については国際商品市況の上昇が石油価格のみならず銅価格にも及び、川上の銅地金と川下の電力ケーブルなどの非鉄金属が大きなプラス寄与を示しています。ただ、11月統計ながらトランプ効果による円安の物価への影響はまだ大きくはないものと私は想像しています。もちろん、消費者物価(CPI)よりも川上のPPIに円安は早めに現れると考えるべきですので、年明け早々にも何らかの効果が見られると期待しています。ただ、国際商品市況や円安のCPIへの効果についてはさらに遅れることが確実で、来年半ばから後半ではないかと予想しています。なお、上のグラフの一番下のパネルにプロットした原油価格の前年同月比は11月で▲5.2%まで縮小しています。物価はかなり粘着的な指標ですが、来年にはPPIで前年同月比プラスに転じ、うまく行けば年後半にもCPIがプラス転換する可能性があると受け止めています。ただ、日銀の物価目標であるCPI+2%はまだ先が長い可能性があります。

最後にどうでもいいことながら、日本漢字能力検定協会による今年の漢字は「金」だったそうです。さらにどうでもいいことながら、2位は「選」、3位は「変」だったそうです。ご参考まで。

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