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2017年1月19日 (木)

Oxfamによる格差に関する2017年版報告書「99%のための経済」やいかに?

やや旧聞に属する話題ですが、今週月曜日の1月16日に、世界経済フォーラムのダボス会議に先がけて、Oxfamから格差問題に関する最新の報告書「99%のための経済」An Economy for the 99% が明らかにされています。もちろん、pdfのリポートもアップされています。いくつかのメディアでは、Oxfamのプレスリリース「たった8人のトップ富裕者が世界の下位半分36億人と同じ資産を保有している」Just 8 men own same wealth as half the world をキャリーしているのを私も見かけました。まず、リポートの表紙から概要を引用すると以下の通りです。

An Economy for the 99%
New estimates show that just eight men own the same wealth as the poorest half of the world. As growth benefits the richest, the rest of society - especially the poorest - suffers. The very design of our economies and the principles of our economics have taken us to this extreme, unsustainable and unjust point. Our economy must stop excessively rewarding those at the top and start working for all people. Accountable and visionary governments, businesses that work in the interests of workers and producers, a valued environment, women's rights and a strong system of fair taxation, are central to this more human economy.

このパラグラフを見て、格差是正のために雇用の確保、環境の保護、女性の権利の尊重、公平な税制などのいくつかの主張も理解できるんですが、私の興味の範囲ながら、リポートからいくつか図表を引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

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上のテーブルは、リポート p.11 にある Box 1: Oxfam's wealth inequality calculations から Table 1: Share of wealth across the poorest 50% of the global population を引用しています。このブログの昨年2016年11月28日付けのエントリーで取り上げたところですが、クレディ・スイス証券から明らかにされている世界の富裕層の資産保有に関するリポート The Global Wealth Report 2016 などから試算を行っており、2014年1月時点ではトップ富裕者85人が世界の下位半分と同じ額の資産を保有しているとしていたところ、2015年10月時点では世界の富裕層1%とそうでない99%の資産額がほぼ等しいとの試算結果を得て、その時点では下位半分の資産が占める割合は0.7%だったものが、2016年データではさらに格差が広がり、世界の下位半分の資産はわずかに0.2%にしかならず、世界の富裕者上位8人とほぼ同額となったとの試算結果を明らかにしています。

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次に、上のグラフは、リポート p.16 から Figure 2: Apple minimizes material and labour costs to maximize its profits (Apple iPhone 2010) を引用しています。最新ではないんですが、2010年の iPhone 4 のコスト構造について、"Capturing Value in Global Networks: Apple's iPad and iPhone" と題する米国の研究者の学術論文から引用・再構成しています。労働者に支払われるのはわずがに5%余りに過ぎない一方で、Appleの利益は60%近くに達しています。賃金が上がらない反面、企業が内部留保を溜め込んで、配当や株価に反映して株主の利益となったり、ストック・オプションで経営者の懐を潤わしたりしているのが読み取れるデータです。日本企業も少なからず、同じような企業行動を取っていると私は考えています。

ここ数年で日本のみならず世界経済における格差や不平等は急速に拡大を見せています。Oxfamに指摘されるまでもなく、政府が取り組むべき優先順位の高い経済課題といえます。

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