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2017年2月 4日 (土)

米国雇用統計の雇用者増はアッとびっくりの+227千人増で利上げをサポートか?

日本時間の昨夜、米国労働省から1月の米国雇用統計が公表されています。非農業雇用者数の増加幅は+227千人増と、前月の+157千人増や市場の事前コンセンサスの+175千人増を大きく上回りました。ただ、失業率はさすがに前月から0.1%ポイント上がって4.8%を記録しています。いずれも季節調整済みの系列です。まず、Los Angeles Times のサイトから最初の7パラだけ記事を引用すると以下の通りです。

U.S. economy creates robust 227,000 jobs in January; unemployment rate remains low at 4.8%
The labor market started the year strong, adding a robust 227,000 net new jobs last month while more people began looking for work, the Labor Department said Friday.
Although the January job growth figure exceeded expectations - and was the best since September - that was somewhat offset by a downward revision of job growth the previous two months by 39,000.
Those changes meant job growth averaged 187,000 for 2016 and that President Trump is inheriting a solid labor market.
The unemployment rate last month inched up a tenth of a percentage point to 4.8%, but that wasn’t bad news.
The uptick was caused by 76,000 more people looking for work. The percentage of working-age Americans in the force increased to 62.9%. That was the best level since September, though still near a 40-year low.
But wage growth remained a concern. Average hourly earnings were up 3 cents to $26 last month, down from December’s strong 6-cent increase. For the 12 months ended Jan. 31, wages increased 2.5%.
The slowdown in wage growth came even though worker pay got a boost last month because minimum wage increases kicked in on Jan. 1 in 19 states, either through automatic cost-of-living bumps or scheduled changes passed by voters or lawmakers.

この後、さらにカリフォルニア州の雇用情勢や産業別の分析などなどが続きますが、長くなりますので割愛しました。包括的によく取りまとめられている印象です。続いて、いつもの米国雇用統計のグラフは下の通りです。上のパネルは非農業部門雇用者数の前月差増減の推移とそのうちの民間部門、下のパネルは失業率です。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。全体の雇用者増減とそのうちの民間部門は、2010年のセンサスの際にかなり乖離したものの、その後は大きな差は生じていません。

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繰り返しになりますが、雇用者増が前月差で+200千人を超えたのは4か月ぶりで、改定後の昨年2016年12月が+157千人増、そして、市場の事前コンセンサスも+200千人増には届かない、というふうに私は聞いていましたので、ちょっとびっくりの大幅増でした。トランプ大統領の重視するメインストリームの製造業も、12月の+11千人増に続いて、わずかながら1月も+5千人増を記録しています。小売り業も+45.9千人増と堅調な個人消費を反映しているようですし、引き続き、ヘルスケアも+32.1千人増を示しています。米国連邦準備制度理事会(FED)の公開市場委員会(FOMC)は今週半ばの1月31日から2月1日にかけて開催されていて、年初の利上げは見送られていますが、ちょうど1か月後の3月3日に公表される米国雇用統計を見た上で、3月14-15日に開催される次回FOMCで利上げが議論される可能性も出てきたと私は受け止めています。ただ、引用した記事の最後のパラで触れられている通り、FEDのイエレン議長は下のグラフの賃金の伸びも重視していると報じられており、今後の動向が気にかかるところです。

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ということで、時間当たり賃金の前年同月比上昇率は上のグラフの通りです。ならして見て、ほぼ底ばい状態が続いている印象ですが、それでも、12月の前年比上昇率は+2.9%を記録し、2009年6月以来7年半振りの高い伸びを示しています。1月の+2.5%も底堅い気がしますし、一時の日本や欧州のように底割れしてデフレに陥ることはほぼなくなり、逆に、トランプ政権の経済政策次第では上昇率が加速する可能性もなしとしません。

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