非農業部門で235千人の増加を記録した米国雇用統計は利上げを支持するか?
日本時間の昨夜、米国労働省から2月の米国雇用統計が公表されています。非農業雇用者数の増加幅は+235千人増と、市場の事前コンセンサスの+190千人増を大きく上回りました。加えて、失業率も前月から0.1%ポイント下がって4.7%を記録しています。いずれも季節調整済みの系列です。まず、Los Angeles Times のサイトから最初の3パラだけ記事を引用すると以下の通りです。
Warm weather and rising business optimism helped the U.S. economy to create another burst of job growth last month, giving President Trump an early confidence boost and all but assuring that the Federal Reserve will nudge up interest rates next week.
Employers added 235,000 jobs in February, about as many as in January and well above analysts' expectations and the average monthly payroll growth for all of last year, the Labor Department said Friday,
Friday's report was the first major employment gauge capturing an entire month with Trump as president, and administration officials were so eager to link the unexpectedly strong showing to Trump that White House Press Secretary Sean Spicer broke an obscure federal rule by publicly touting the news within the first hour of the report's release.
この後、さらに政府の報道官の発言やエコノミストへのインタビューなどが続きますが、長くなりますので割愛しました。包括的によく取りまとめられている印象です。続いて、いつもの米国雇用統計のグラフは下の通りです。上のパネルは非農業部門雇用者数の前月差増減の推移とそのうちの民間部門、下のパネルは失業率です。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。全体の雇用者増減とそのうちの民間部門は、2010年のセンサスの際にかなり乖離したものの、その後は大きな差は生じていません。
1月の米国雇用統計でアッとびっくりしましたので、2月の非農業雇用者数増加の+235千人増には驚きませんでしたが、もはや、secular stagnation は米国経済には当てはまらないんではないかというくらいの堅調な米国雇用統計でした。雇用者の増加幅はひとつの目安とされる200千人を今年2017年に入って1月2月と2か月連続で上回っていますし、直近3か月でみても増加幅は月平均+209千人と力強さを保っています、しかも、トランプ大統領の重視するメインストリームの製造業雇用も、昨年2016年12月+18千人増、今年2017年1月+11千人増、2月+28千人増と着実に3か月連続で増加を示しています。加えて、失業率も前月から低下を示していますし、こういった好調な雇用情勢を受けて、米連国邦準備理事会(FED)は次回の連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げに踏み切るんでいはないかと、大方のエコノミストは考えています。私もそうです。イエレン議長は3月3日の講演会で雇用統計の目安として「月75千から125千人の就業増」を上げており、2月の米国雇用統計の結果は文句なしでこれを上回っていますので、米国労働市場がほぼ完全雇用に達した中で、まだインフレが高まる局面には達していないものの、米国の利上げの確度はとても高いと考えるべきです。
ということで、時間当たり賃金の前年同月比上昇率は上のグラフの通りです。ならして見て、ほぼ横ばい状態が続いている印象ですが、それでも、12月の前年比上昇率は+2.9%を記録し、2009年6月以来7年半振りの高い伸びを示しています。2月の+2.6%も底堅い気がしますし、一時の日本や欧州のように底割れしてデフレに陥ることはほぼなくなったと考えるべきです。
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