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2017年3月31日 (金)

鉱工業生産指数(IIP)と雇用統計と消費者物価指数(CPI)の今後の動向やいかに?

本日、経済産業省から1月の鉱工業生産指数(IIP)が、また、総務省統計局の失業率や厚生労働省の有効求人倍率などの雇用統計が、さらに、総務省統計局から消費者物価指数(CPI)が、それぞれ公表されています。鉱工業生産は季節調整済みの系列で前月比+2.0%の増産、失業率は2.8%と前月から▲0.2%ポイント低下し、有効求人倍率は前月から横ばいで1.43を記録し、生鮮食品を除くコアCPIの前年同月比上昇率は+0.2%と先月統計からプラスに転じいます。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

失業率2月2.8%、22年ぶり低水準 鉱工業生産2%上昇
雇用が一段と改善している。総務省が31日発表した2月の完全失業率(季節調整値)は2.8%と前月に比べ0.2ポイント低下した。1994年6月の2.8%以来22年8カ月ぶりの低水準。同日発表の有効求人倍率は1.43倍(季節調整値)と前月と同じだが、四半世紀ぶりの高さだ。運輸、製造業など幅広い業種で人手不足が続いている。
失業者が減り、就業者が増えたことが指標の改善につながった。失業者(原数値)は188万人と前年同月に比べ25万人減った。自営業を含めた就業者は6427万人。働き始める女性や高齢者が増え、51万人増えた。
雇用者のうち正社員は51万人増加した。非正規社員は15カ月ぶりに減少に転じ、10万人減った。企業は人材確保のため、待遇の良い正社員の採用を増やしている。
人手不足は深刻だ。厚生労働省発表の有効求人倍率は1.43倍だった。新規求人数(原数値)をみると、製造業(前年同月比10.7%増)や運輸・郵便業(5.6%増)などで増加が目立った。
生産活動も世界経済の回復を受けて活発になっている。経済産業省が同日発表した2月の鉱工業生産指数(2010年=100、季節調整済み)速報値は前月比2.0%上昇の102.2だった。上昇は2カ月ぶり。自動車産業が春先に投入する新車を増産したほか、機械や化粧品関連も全体を押し上げた。同省は基調判断は前月と同じ「持ち直しの動き」とした。
全15業種のうち9業種で前月水準を上回った。普通乗用車やエンジンなど輸送機械が全体をけん引、4.7%上昇した。はん用・生産用・業務用機械は前月水準を4.9%上回った。一方、メモリーや液晶部品など電子部品・デバイスは1.6%低下し、5カ月ぶりに前月を下回った。
メーカーの先行き予測をまとめた製造工業生産予測調査によると、3月は2.0%低下するものの、4月は8.3%の大幅上昇を見込んでいる。
2月の全国消費者物価、0.2%上昇 エネルギー価格上昇で
総務省が31日発表した2月の全国消費者物価指数(CPI、2015年=100)は値動きの大きな生鮮食品を除く総合指数が99.6と、前年同月比0.2%上昇した。プラスは2カ月連続。QUICKがまとめた市場予想の中央値(0.2%上昇)に一致した。原油などエネルギー価格が上昇したことが寄与した。
生鮮食品を含む総合では全体の56.4%にあたる295品目が上昇し、173品目が下落した。横ばいは55品目だった。
生鮮食品を含む総合は99.8と0.3%上昇した。イカなど生鮮魚介の価格高騰が続き、指数押し上げに寄与した。生鮮食品とエネルギーを除く総合は100.3と、0.1%上昇した。プラスは41カ月連続。
併せて発表した東京都区部の3月のCPI(中旬速報値、15年=100)は生鮮食品を除く総合が99.4と、前年同月比0.4%下落した。下落は13カ月連続。エネルギーが前年同月比で下落したことが響いた。

いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。でも、統計をいくつも取り上げると、かなり長くなってしまいました。続いて、鉱工業生産と出荷のグラフは以下の通りです。上のパネルは2010年=100となる鉱工業生産指数そのもの、下は輸送機械を除く資本財出荷と耐久消費財出荷です。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた部分は、次の雇用統計とも共通して、景気後退期です。

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鉱工業生産は季節調整済みの前月比で+2.0%の増産となりました。特に、業種別では、輸送機械工業が前月比+4.7%増、はん用・生産用・業務用機械工業が+4.9%増、化学工業(除. 医薬品)が+7.2%増など、の業種の伸びが大きくなっています。通常、我が国が世界経済の中で比較優位を持っていると考えられている業種の伸びが高くなっており、その意味では、何となく安心感があります。バックグラウンドとしては、世界経済が回復基調に復したことから我が国工業品に対する需要が復活した点が上げられます。一方で、出荷は前月から減少しています。この点が3-4月の生産計画に出ており、製造工業生産予測調査に従えば、3月が▲2.0%の減産となり、逆に4月は+8.3%の増産と見込まれています。4月の増産予測はにわかには信じがたく、仕上がりでは増産幅は縮小される可能性が高いと考えるべきですが、2月の生産がプラスで出荷がマイナスの分、3月が減産で調整するというのは、いかにもありそうなパターンではなかろうかと受け止めています。ただ、財別の出荷では上のグラフの下のパネルに見る通り、資本財(除. 輸送機械)こそ前月比▲3.1%減ですが、耐久消費財は+3.5%増を記録していますし、グラフには取り上げていないものの、建設財は+0.6%増、非耐久消費財も+1.3%を示しています。生産は世界経済の拡大に伴って回復基調にあると考えられます。

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続いて、雇用統計のグラフは上の通りです。いずれも季節調整済みの系列で、上から順に、失業率、有効求人倍率、新規求人数をプロットしています。影をつけた期間はいずれも景気後退期です。引用した記事にもある通り、失業率も有効求人倍率もいずれも人手不足を示す水準にありますが、繰り返しこのブログで指摘している通り、まだ賃金が上昇する局面には入っておらず、完全雇用には達していない、と私は考えています。引用した記事もそうですが、世間一般で人口に膾炙した「人手不足」は、あくまで、我が国の失われた20年のデフレ期に容易に雇用できた低賃金の非正規労働が不足しているだけであり、より本格的に企業活動の拡大に貢献したり、高賃金でなければ雇用できない正規職員などの人手が不足しているわけではないのだろうと理解しています。しかし、失業率が3%を割り込んで2%台後半に入りましたので、いよいよ本格的に賃金が上昇する水準に達しつつあるような気もします。2%台の失業率が今後も続くかどうか、現時点ではなんともいえませんが、私は大いに期待しています。

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次に、いつもの消費者物価上昇率のグラフは上の通りです。折れ線グラフが凡例の色分けに従って生鮮食品を除く全国のコアCPI上昇率と食料とエネルギーを除く全国コアコアCPIのそれぞれの上昇率を示しており、積上げ棒グラフは全国のコアCPI上昇率に対する寄与度となっています。エネルギーと食料とサービスとコア財の4分割です。なお、いつものお断りですが、いずれも総務省統計局の発表する丸めた小数点以下1位の指数を基に私の方で算出しています。丸めない指数で計算している統計局公表の上昇率や寄与度とはビミョーに異なっている可能性があります。加えて、酒類の扱いがビミョーに私の試算と総務省統計局で異なっており、私の寄与度試算ではメンドウなので、酒類(全国のウェイト1.2%弱)は通常の食料には入らずコア財に含めています。念のため。ということで、ようやく、国際商品市況の石油価格の底入れから上昇に従って我が国の物価も上昇に転ずる、との結果となっています。上のグラフでは積上げ棒グラフの黄色がエネルギー価格の寄与なんですが、2月CPIからプラス寄与に転じています。ただ、石油価格下落の影響はこの先もまだ物価に波及を続ける可能性があり、上のグラフでも食料とエネルギーを除くコアコアCPI上昇率が低下してマイナスに転じているのが見て取れます。従って、先行きのコアCPI上昇率がこのまま一直線でプラス幅を拡大するかどうかは楽観できないと受け止めています。

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最後に、CPI上昇率がプラスに転じた現時点で、物価上昇の「質」というか、大雑把ながら品目別に少しだけ詳しく見ておきたいと思います。上のグラフは、上のパネルが頻度別消費者物価上昇率を、下のパネルが基礎的・選択的別消費者物価上昇率の推移を、それぞれプロットしています。プラスに転ずる少し前から、頻度別では頻度高く購入する財・サービスの物価上昇が高くなり、同時に、選択的消費よりも必需的消費の物価上昇の方が高くなっています。直観的には所得の低い階層の世帯にダメージの大きい物価上昇のように見えますが、グラフはお示ししないものの、5分位別の消費者物価上昇率では、2月統計でも所得の最も低い第Ⅰ分位の消費バスケットに合わせた物価上昇率が+0.2%であるのに対して、所得の最も高い第Ⅴ分野では+0.3%となっています。それ以前は、この差がより大きく、例えば、1月統計では第Ⅰ分位+0.3%に対して第Ⅴ分位+0.5%でした。所得と物価上昇の影響との関連が今のところは謎となっており、今後の推移を見たいと思います。

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