上昇率を高めた企業向けサービス価格指数(SPPI)をどう見るか?
本日、日銀から2月の企業向けサービス物価指数(SPPI)が公表されています。前年同月比上昇率で見て、ヘッドラインSPPIは+0.8%、国際運輸を除くコアSPPIも+0.8%と、徐々に上昇幅が拡大しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。
2月の企業向けサービス価格指数、前年比0.8%上昇 広告が寄与
日銀が27日発表した2月の企業向けサービス価格指数(2010年平均=100)は103.3で、前年同月比0.8%上昇し、44カ月連続で前年を上回った。上げ幅は前月から0.3ポイント拡大し、消費税を除いたベースでは15年8月以来、1年半ぶりの高い伸び率となった。前月比も0.3%上昇した。好調な収益や年度末に向けた予算消化などを背景に、企業のテレビ広告への出稿意欲が高まったことが指数を押し上げた。
広告のほか運輸・郵便では原油価格の上昇による貨物運賃の改善や、中国の鉄鉱石の需要増加で外航貨物輸送の荷動きが好調だったことも寄与した。外航タンカーは15年9月以来、1年5カ月ぶりにプラスに転じた。諸サービスのうち宿泊サービスでは、大都市のホテルが出張などビジネス需要や外国人観光客の減少に対応して単価を引き上げたほか、地方ではコンサートのための宿泊や外国人観光客の増加により、前月からプラス幅が拡大した。
対象の147品目のうち、価格が上昇したのは62、下落した品目は47で、上昇品目数は下落品目数より15品目多かった。
日銀の調査統計局はヤマトホールディングス(9064)傘下のヤマト運輸の値上げ検討について「今後どうなるかは分からないが、道路貨物輸送に影響が出ても不思議はない」との見方を示した。
いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、SPPI上昇率のグラフは以下の通りです。サービス物価(SPPI)と国際運輸を除くコアSPPIの上昇率とともに、企業物価(PPI)上昇率もプロットしてあります。SPPIとPPIの上昇率の目盛りが左右に分かれていますので注意が必要です。なお、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

SPPI上昇率はこのところ+0.2%~+0.5%のレンジ圏内で推移して来たんですが、とうとう+0.5%wpかなり上回る上昇率に達しました。素直に考えれば、国際商品市況の石油価格の波及効果ではないか、と考えないでもなかったんですが、石油価格に敏感な国際運輸を除くコアSPPIでもヘッドラインと同じ上昇率ですので、石油価格上昇の寄与は決して大きくないと考えるべきです。すなわち、前年比寄与度の前月差を詳しく見ると、外航貨物輸送は+0.03%と、それなりのプラスの寄与度を示していますが、それ以上に、テレビ広告の+0.13%を含む広告が+0.21%と大きな寄与を示しており、宿泊サービスの+0.04%なども外航貨物運輸の寄与度を上回っています。引用した記事にも、年度末の予算消化もあるんでしょうが、好調な企業業績に支えられたテレビ広告、大都市のホテルの客室単価引き上げなどが上昇要因として明記されています。
私には判断がつきかねているんですが、2月のこのSPPI上昇率の加速が一時的要因なのか、トレンドの変化なのか、やや不明です。国際商品市況の石油価格に連動した上昇加速の部分は大きくなさそうです。そして、このまま3月の年度末を迎えた後、4月の価格改定期の動向については、私の希望的観測も含めて、日銀のインフレ目標に近づくような価格改定が数多く見られるよう願っています。特に、ヤマト運輸 vs アマゾンほかのネット通販の価格交渉がどのように決着するかは大きな関心と興味を持ってウォッチしたいと思います。
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